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JIROの独断的日記
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2009年12月25日(金) 「<自殺者>3万人超す 前年上回る恐れも 1〜11月」←「WHO による自殺予防の手引き」の「マスメディアのための手引」

記事:<自殺者>3万人超す 前年上回る恐れも 1〜11月(12月25日19時58分配信 毎日新聞)

(http://mainichi.jp/select/wadai/news/20091226k0000m040059000c.html)

警察庁は25日、11月の自殺者数が2494人だったと公表し、1〜11月の累計は3万181人(昨年同期比445人増)となり

12年連続で3万人を超えた。12月もこのペースで推移すれば、統計の残る78年以降で最多だった03年の3万4427人よりは少ないものの、

08年の3万2249人を上回る見通し。

金融危機が深刻化した昨年10月以降長引く不況で、経済的要因による自殺が増えているとみられる。


◆コメント:メディアは、自殺に無関心では困るが、報道の仕方に気をつけなければダメですよ。

結論から書くと、自殺者数を減らすことは可能だろうが、完全になくすことは不可能である。

「完全に」なくそうとしたら、最も手っ取り早い強引な方法は、うつ病の人、抑うつ状態の人、

うつろな目をした、如何にも自殺しそうな人を、片っ端から隔離病棟に入院させて、監視するしかない。


しかし、これは基本的人権の中でも最も基本的な「身体の自由」を剥奪することになるし、

旧ソ連が、反政府的思想の持ち主を強制的に「精神病院」に「入院」させていた歴史的事実から明らかなとおり、

国家権力の濫用が、懸念される。


今日の記事は、統計的事実を書いているだけだが、マスコミが「自殺」に関して報道するときは、

細心の注意を払うべきである。マスコミによる「自殺報道」が自殺者数を増やす危険がある。

私が記憶する限りにおいて、マスコミが自殺の連鎖を引き起こした可能性が疑われる例として、

練炭自殺、中学生のイジメを苦にした自殺、硫化水素を発生させることによる自殺の三つが、挙げられる。

この日記で、過去にそれを何度も指摘した。それは、

2003年05月24日(土)「集団自殺」と「通り魔」は報道しない方がよいのではないか。

2006年11月15日(水)「小中学生の自殺連鎖止まらず」←お前ら(マスコミ)がいちいち報道するのも一因だぞ。

2006年12月25日(月)「いじめ自殺報道」が「自殺連鎖」を誘発した可能性あり。専門家の指摘←私は、先月同じ事を書きました。

2008年05月11日(日)「<硫化水素自殺>ホテル客が浴室で 従業員も病院搬送 東京」←手段だけが騒がれ、自殺の動機を誰も問題視しない。

などである。


◆WHOによる自殺予防の手引きという文書があり、「マスメディアのための手引き」という項目がある。

内閣府の「自殺対策ホームページ」には、WHO による自殺予防の手引き

掲載されており、この「手引き」には、特にマスコミ向けに「マスメディアのための手引き」という項目がわざわざ設けられている。

この中にマスコミが自殺を報道するときの「心得」が書かれている。一部抜萃する。

自殺を報道する際の一般的原則

自殺を報道する際にはとくに以下の点に注意を払う必要がある。

● 慎重かつ正確に統計を解釈する。

● 信頼できる情報源を利用する。

● 時間が迫っているからといって、十分に用意されていないコメントを安易に用いない。

● 件数の少ない事例を過度に一般化することに対して特に慎重にする。たとえば、「自殺の疫病」「世界

でもっとも高い自殺率を呈する地域」などといった表現は使うべきではない。

社会・文化的な変化に対する理解できる反応として自殺行動を報道するのを控える。


  【特別な自殺をどのように報道すべきか】

  以下の点を念頭に置くべきである。



● 特に有名人が自殺した場合には、自殺を過度にセンセーショナルに報道すべきではない。最小限度の報

道にとどめる。その人が罹患していた可能性のある精神的な問題についても取り上げる。詳しすぎる報

道はできる限り控えるように努力する。自殺者、方法、現場の写真は提示すべきではない。自殺の見出

しを一面に載せることは自殺報道では望ましいことではない。



自殺手段やその入手方法を詳しく報道するのは避ける。メディアによって報道された自殺方法が、それ

に引き続く自殺でもしばしば模倣されることを明らかにしている研究がある。
特定の場所(ある特定の

橋、崖、ビル、鉄道)がしばしば自殺の場所として広く知られていて、それが報道されることによって、

さらに多くの人々がその場所で自殺する危険がある。



● 自殺を説明ができないこととして報道したり、あるいはあまりにも単純化して報道すべきではない。自

殺はけっして単一の原因や出来事だけで生じるわけではない。しばしば多くの要因が複雑に関連して自

殺が生じている。たとえば、精神障害、身体疾患、薬物乱用、家庭的な問題、対人的な葛藤、人生の問

題などが複雑に関係している。さまざまな原因が自殺に関連していたことを認識するほうが有用である。



破産、試験の不合格、性的虐待といった個人的な問題を解決する方法として自殺を報道すべきではない。



● 偏見や心理的な悩みといった問題について配慮し、遺族や他の遺された人々に及ぼす影響を考慮して報

道すべきである。



自殺者を殉教者のように美化したりすると、潜在的に自殺の危険の高い人に対して、社会が自殺を名誉

あるものとみなしているとのメッセージを送ってしまいかねない。
むしろ、自殺した人を悼むことを強

調すべきである。



● 自殺未遂のために身体的に障害が残った点(脳障害、麻痺など)を報道することは、自殺の抑止となる

可能性がある。

新聞・テレビの社会部の人々はこの文書の存在を知らないのではないだろうか?

練炭による集団自殺や、硫化水素自殺に関して詳しく報道することは、明らかに太字で強調した、
自殺手段やその入手方法を詳しく報道するのは避ける。

に従っていない。

また、いじめによる自殺が続いていたときにそれを報道したのは、
破産、試験の不合格、性的虐待といった個人的な問題を解決する方法として自殺を報道すべきではない。

という項目に抵触していると思われる。


今日の記事は、統計的事実を書いているだけだ、と先に書いたが、

記事の最後に、
金融危機が深刻化した昨年10月以降長引く不況で、経済的要因による自殺が増えているとみられる。

実は、厳密にはWHOがいうところの、
社会・文化的な変化に対する理解できる反応として自殺行動を報道するのを控える。

とのアドヴァイスに鑑み、適当ではない。

このように点検してみると、日本のマスコミはWHOの「手引き」からすると、かなり問題がある。

WHOの「自殺を報道する際の一般的原則」を熟読して貰いたい。

酷な言い方になるが今まで、マスコミ報道が自殺者の増加の一因になっていた

(故意に、でないことは分かるが)、と思われるのだ。

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