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JIROの独断的日記
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2007年09月01日(土) ブッシュ米大統領:テロ特措法「延長に期待」←日本の安保理常任理事国入りを妨害し、「従軍慰安婦で謝罪要求」しておいてよく言えるね。

◆記事:ブッシュ米大統領:テロ特措法めぐり初言及「延長に期待」

【ワシントン共同】ブッシュ米大統領は30日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に先立ち、

アジアの一部メディアと会見、「テロとの戦い」への日本の貢献を称賛した上で

「日本が積極的に影響力を維持することを期待する」と述べ、テロ対策特別措置法の延長に強い期待を示した。

また「われわれは拉致問題を忘れない」として、今後も北朝鮮に拉致問題解決を促していく決意を強調。

大統領がテロ特措法延長に関し、公に発言したのは初めて。

大統領は、APECの際に行われる安倍晋三首相との日米首脳会談でも

「テロとの戦いが中心議題の一つになる」と明言。

民主党が反対しているテロ特措法延長への期待を、首脳レベルで安倍首相に直接伝える意向を示唆した。

また昨年4月にホワイトハウスで面会した拉致被害者横田めぐみさんの母親、横田早紀江さんについて

「彼女が今も感じているであろう心の痛みは想像を絶している」と述べ、

拉致問題解決の重要性を強調した。(毎日新聞 2007.08.31 東京夕刊)


◆コメント:日本をナメきっていた米国が少し慌てている。

民主党、小沢代表が「テロ特措法延長に反対」との見解を明らかにしたとき、

駐日米国大使のシーファーが、小沢代表に会見を求め、一度、断られた。

その後、もう一度民主党に依頼して、漸く小沢氏との面談が実現した。

この件に関しては8月8日に書いた

(ココログ版はこちらです)。

本論から話がそれるが、一応書いておく。

そもそも、これは外交上、日本政府に対して礼を失している。

私は安倍首相の思想や安倍内閣の政策(構想)には、全然同意できないが、

それとこれとは、別の話だ。

米国が正式に、テロ特措法延長を日本に頼みたいのならば、駐日米国大使が会う相手は、

内閣総理大臣か外務大臣か、少なくとも内閣官房長官である。シーファー大使は政府与党に

事前の了解も得ずに、いきなり野党党首に「テロ特措法延長を認めてくれ」と言った。

それが外交上の常識を逸脱している。

こういうときに、日本政府(安倍内閣)は米国に対して抗議するべきなのにしなかった。

細かい話のようだが、このような小さいことの積み重ねにより、日本は米国にナメられるのだ。

それはさておき、ナメられっぱなしだった状況は変わりつつある、又は変わるかも知れない。



米国大使が野党党首に対して、まだ臨時国会も開かれていないというのに、11月に期限が到来する

テロ特措法の延長(元来、テロ特措法は時限立法である)を認めてくれ、と頼む為に、先方からすっ飛んでくる

という光景を、私はかつて見たことがない。

米国は参院選における自民党大敗により、最早政府与党は、野党の合意がなくては法案一本通せない、

との現実に少々慌てているのである。

テロ特措法延長は、本質的に、法的に認められないが、外交上の駆け引きの問題としても重要である。


◆都合の良いときだけ日本を利用しやがって。

テロ特措法の法的な問題、アメリカが仕掛けたアフガン戦争の違法性に関しては、8月8日の記事で書いた。

前回はできるだけ論理を強調した。

今日は、もうすこし自由に、つまり、「ぶっちゃけた話」を書かせていただく。

参院選直後、民主党・小沢代表が「テロ特措法延長に反対」の意思表示をしてから、前述の駐日米国大使をはじめ、

米国本国の政府高官は、入れ替わり立ち替わり、

「日本の海上自衛隊の役割(引用者注:「無料ガソリンスタンド」のこと)は極めて重要だ」

「日本は米国にとって、最も重要な同盟国である。テロ特措法延長に期待している」

とおだてたり、なだめたり、一方では、
「(テロ特措法を)延長しないと、日米間の同盟関係に深刻な影響を及ぼすかも知れない」

と脅してみたり、かまびすしいこと、この上ない。

冒頭に引用した記事のとおり、米国大統領までが、「テロ特措法延長に期待している」

と言った。調子の良い奴らだ。

日本がアメリカにとって「重要な同盟国」ならば、何故、「従軍慰安婦問題について日本政府の正式な謝罪を求める」下院決議を採択したのだ。

アメリカは関係ないだろう。

私は「従軍慰安婦問題」がどうでも良い、と書いているのではない。

アメリカの連邦議会がこのような決議をするのは、大きなお世話だ、と主張しているのだ。

これが、「米国の重要な同盟国」に対してやることだろうか。

まだある。

2005年9月、日本は国連安全保障理事会の常任理事国になろうとしたが、アメリカは中国と結託して反対した。

当時私は、選挙戦で埋もれたニュース「安保理改革 G4案、採決断念」なんとアメリカが中国と協力して反対しているのです。という記事を書いた

(因みにココログはこちら)ので、良く覚えている。

これが、「米国の重要な同盟国」に対してやることだろうか。


◆アフガニスタン戦争の違法性をもう一度。湾岸戦争との対比。パパ・ブッシュの方が紳士的だった。

アメリカへの恨みつらみは、一息入れて、「アフガン戦争が違法である。」ことをもう一度書く。

同盟国と言えども違法行為を支援してはいけないからである。

テロ特措法はアフガニスタン戦争を支援するための法律だ。

2001年9月11日テロの後、アメリカが国連決議の無いまま、勝手に

「犯人アルカイーダで、親玉はオサマ・ビンラディンだ。アフガニスタンのタリバン政権は、オサマ・ビンラディンを保護している」

と決めつけ、復讐の為に開始したアフガニスタンに報復するために始めたのである。これが何故違法なのかは、8月8日の記事(ココログ版はこちら)に書いた。

小沢代表が「アフガニスタン戦争はアメリカが勝手に始めた戦争だ」といっているのはそういう言う意味だ。



1991年、湾岸戦争が起きた。イラクがクウェートに侵攻した。

当時の米国大統領は今のブッシュの親父さんだった。このときは完全にイラクが悪かった。

しかし、それでも「パパ・ブッシュ」は、いきなり武力攻撃を仕掛けたりしなかった。最後の最後まで話し合いで解決しようとした。

米国のベーカー国務長官を(国務長官ってのは、日本なら外務大臣のことだよ)を派遣して、イラクのアジズ外相と交渉させた。

なんとか、国連多国籍軍の武力行使なしで、問題を解決できないか。イラクは早くクウェートから撤退できないか、話し合った。

交渉は決裂した。ベーカー=アジズ会談直後の記者会見で、ベーカー国務長官は、開口一番、

"Unfortunately ・・・"(残念ながら・・・)

と言った。その一言で、世界中が全てを悟った。


これを受け、国連安全保障理事会で、国連憲章 第7章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動 の規定に則り、

第42条〔軍事的措置〕に踏み切ったのである。

つまり、今のブッシュの親父さんは「筋を通した」のである。



これに対して、出来の悪いバカ息子はそれをせず、


結果的に多くの自国兵士を死なせ、米軍はアフガニスタンの非戦闘員、つまり普通の人々、女子供までも殺している。

これを日本が支援することが、「国際貢献」なのか。

人殺しの手伝いをすることが、「国際貢献」なのか。


◆何でもハイハイとアメリカのいいなりになるからバカにされるんだよ。

世の人々の意見を読んだり聞いたりすると、

「テロ特措法延長を国際社会が期待している。期待に応えないとマズい」

というバカがいる。期待するに決まっているだろう。無料ガソリンスタンドがあった方に良いと決まっている。

それに、すぐ「ハイハイ」と応じるからバカにされる。
「日本は世界のキャッシュ・ディスペンサー(今でいう「ATM」)だ」

と揶揄される。



テロ特措法とは直接関係がないが、イラク戦争に関して。

イラク戦争は2003年3月20日に、やはり米国が国連決議の無いまま、勝手に始めた戦争だ。

米国は「イラクが大量破壊兵器を保有している証拠がある」(後にウソと分かる)ことを正当化事由として挙げた。

これは、正当化事由にならない。

その理由は、私がイラク戦争開戦前日に書いた、アメリカの行動は明らかに国際法違反である。その法的根拠。

をご覧頂きたい。



大量破壊兵器は正当化事由にならない。しかも、後にこれはウソだと分かった。

当時の内閣総理大臣、小泉純一郎は、誠に恥ずかしいことに世界で一番早くアメリカのイラクに対する武力行使を支持した。

そのこと自体、違法行為を支持したのであるから、間違っている。

とはいえ、ブッシュ政権は、まがりなりにも自国を支持した国に対してウソをついていたことを謝りもせず、

それどころか、ずうずうしいことに、国務副長官のアーミテージという、あの熊のようなスキンヘッドの大男がやってきて、
「自衛隊をイラクに派遣せよ」「(本当に米国の味方なのか)旗幟を鮮明にしろ」

と恫喝した上、国内が無茶苦茶になったイラクの復興資金を出せと要求した。

日本政府は何も抗議せず、ホイホイと50億ドル(6000億円)を拠出した。我々が納めた税金から、である。

こういうことをしているから、ナメられる。テロ特措法延長も同じ事だ。


◆アメリカはアラブ全体から恨まれている。「支援」していいのかね。

以下は、外交上の駆け引き。はっきり言えば打算的な論点である。

アメリカは911テロの後、アフガニスタン戦争を始め、その約一年半後にイラク戦争を始めた。

テロリストは減るどころか増えるばかり。

イラクはサダム・フセインの独裁政権時代より遙かに不安定。何が何だか分からない壊滅状態で、毎日自爆テロで人が死ぬ。

いずれの国でも、アメリカ軍は女性をレイプしたり、一般市民を虐殺している。

また、アメリカは次に、イランを攻撃しようとしている(尤も、イランはアラブではない。ペルシャである。イスラム教=アラブではない)。

さらに、いうまでもなく、パレスチナ紛争に関しては、つねにイスラエルの味方をする。

この結果、中東諸国全体がアメリカを憎んでいる。

日本は中東から大量の原油を輸入している。だから、以前は仲が良かった(今でも関係が崩壊したわけではない)。

しかし、アラブ中を敵に回し、敗退寸前のアメリカを日本が支援している、ということは、

彼ら(アラブ諸国)にとって愉快な事実ではない。

日本向けの原油割り当てを減らされたり、極端な場合禁輸されたら、どうするの?

今以上にガソリンが高騰しますよ。発電量が減るかも知れませんよ。下手をしたら凍え死にますよ。

日本は第二次大戦の時には、あのヒトラーが率いるドイツやムッソリーニのイタリアと三国同盟を結んでいた。

島国である上に、長い間鎖国していたので外交センスがない。

その時々の、最もヤバい国と同盟を結ぶ。今も同じではないか。

危ない国からは、距離を置く。「ベッタリ」にならない。

狡猾なようだが、それが外交だろう。

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