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JIROの独断的日記
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2005年09月28日(水) 選挙戦で埋もれたニュース「安保理改革 G4案、採決断念」なんとアメリカが中国と協力して反対しているのです。

◆記事1:安保理改革 G4案、採決断念 常任理入り戦略見直しへ

 

 政府は二十日、日本、ドイツ、インド、ブラジルの四カ国(G4)が国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指して共同提出した「枠組み決議案」の採決を断念する方針を固めた。

 これで日本の常任理事国入りは絶望的となった。

 大票田であるアフリカ連合(AU)との決議案一本化が不可能になったことを受け、枠組み決議案採択に必要な加盟国の三分の二以上の確保は不可能だと判断したためだ。

 政府は今後も外交の主要課題に常任理事国入りの実現をすえる方針だが、米国や中国などの強い反対を踏まえ戦略の抜本的見直しを迫られるとともに、

 日本の常任理事国入り支持を取り付けるため巨額の政府開発援助(ODA)をばらまいたとされる外務省の責任論も浮上しそうだ。(産経新聞) - 8月21日2時47分更新


◆記事2:米首都に10万人超 イラク駐留反対訴え

 

 【ワシントン=有元隆志】米軍のイラク駐留に反対する十万人規模のデモと集会が二十四日、ワシントンで行われた。

 二〇〇三年三月のイラク戦争開戦後、首都での反戦デモとしては最大規模だ。

 ただ、イラクでは新憲法承認のための国民投票など重要な政治日程を控えており、ブッシュ大統領は米軍の即時撤兵論に強く反論している。

 警察当局は正確なデモ参加者数を確認していないが、米ワシントン・ポスト紙(電子版)は参加者を「十五万人以上」と伝えた。

 デモ主催者が当初予想された十万人を超えたことで、米国内で反戦機運が高まっていることを示すものとしている。ロンドンでも同日、一万人が参加して、イラクからの英軍撤退を求めた。

 米国でのデモには、イラクで息子が戦死し、八月にブッシュ大統領が休暇を過ごすテキサス州クロフォードで抗議活動を展開したシンディ・シーハンさんも参加。

 シーハンさんはホワイトハウス南側の広場で開かれた集会で、「この戦争を終わらせるためには人々の行動が必要」と訴えた。

 イラクでの米兵の死者はこれまで千九百人を超えている。現在約十四万七千人が駐留しているが、十月に行われる新憲法承認のための国民投票、十二月の総選挙に向けて、武装勢力の攻撃は激しさを増している。
 今回のようなデモが行われる要因のひとつとして、いつまで駐留を続けるのか期限が明確でないなか、米軍の戦死者が増え続けていることがあり、

 大統領の支持率も低下している。(産経新聞) - 9月26日2時36分更新


◆コメント:G4(日本、ドイツ、インド、ブラジル)の常任理事国には米中が共闘を組んで反対していた。

 

 記事1のニュースが流れたのは、もう一ヶ月以上前なので、今更の感はあるけれども、

 何せ、衆議院が解散されて13日後、マスコミ報道は選挙一色で、このニュースは埋没してしまった感があるので、取り上げる。

 よく読んで下さい。

 日本は、安保理改革と称して、ドイツ、インド、ブラジルと協力して国連安全保障理事会入りを目指していたが、反対が強く、

 採決に持ち込んでも無駄だろうということで断念した。反対したのは中国と米国である。

 中国は腹立たしいが、意外ではない。

 発展途上国の中国は常任理事国ぐらいしか、日本に優越感をかろうじて覚えることが出来る要素がない。

 日本に入られたら、アジア唯一の常任理事国だ、と威張れなくなる。このため、中国はムキになってアフリカ諸国に対してまで反日キャンペーンを繰り広げた。

 しかし、問題は、米国である。「この裏切り者」と言いたい。

 反対の理由は色々と述べているが要するに後付け理由である。

 米国の本音は、日本が常任理事国という国連の最高機関に入り、対等の立場になることは面白くないということである。はっきり言えばレイシズム。

 彼らにとって、日本はあくまで「子分」である。外交儀礼上は対等のようなフリをしているが、彼らの意識においては違うのである。



 日本は国連分担金の世界最大の拠出国であるばかりでなく、私はいまだに反対だが、アメリカの要求に応じて、イラクに自衛隊を派遣し、

 アメリカの要求に応じてイラク復興資金を50億ドル拠出すると約束した。

 当時の川口外相は役目が果たせたとか何とかバカなことをいっていた。


◆小泉首相は米国に見捨てられつつあるのかも知れぬ。

 

 小泉首相は衆議院の3分の2を獲得して、「権力という麻薬にとりつかれている」(中曽根元首相)ようだが、それも、アメリカのバックアップがあってこそ、なのだ。

 ブッシュ自身は、はじめから、ホワイトハウスで小泉首相を「小泉軍曹」と呼んで、バカにしている。

 まさか、と思われる方は、第38回 海外メディアが伝えた小泉・郵政解散劇の評判 - nikkeibp.jp - 立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」の3ページ目を読んでご覧なさい。

 少々、引用させていただくと、
 


 もう30年ほど前になるが(大平内閣の頃だったと記憶する)、あるとき、日本のトップ官僚の最右翼的立場にある人と、くだけた懇談をする場に居合わせたことがある。

 はじめその人は、私が「角栄研究」の筆者と知って警戒心をもって私に接していたが、座がかなりくだけてきたところで、いきなり、私に向き直って、

 「立花さん、あなたは、日本の政治(政策)を動かしているパワーの中で最大のものは何だと思いますか?」と正面きった質問をぶつけてきた。

 私は自民党の大派閥のボスたち、財界、圧力団体、イデオロギー的指導者、大マスコミなど、一般にその問いに対する答えと考えられているものをいろいろならべたが、

 彼はニコニコしながら、その答えのすべてに頭をふり、その後で、スパッと、

「アメリカの意志ですよ」といった。

 残念ながら、わが国はこういう国なのである。

 話が逸れるが、だからこそ、9月23日に書いたが、後藤田さんが中曽根内閣の官房長官だったときに、

 アメリカが要求してきた、ペルシャ湾への掃海艇派遣を「絶対だめだ」といって、中曽根首相を説得したのは立派なのだ。下手をすれば命の危険があったからである。



 話を戻す。小泉はブッシュに支えられている。

 ブッシュと小泉が友好関係にあるなどというのは、戯言である。

 アメリカの報道官は「小泉首相はアメリカにとって折り紙付きの友人である」と美辞麗句を並べているが、

 それなら、何故、G4のうち、せめて日本は常任理事国入りさせろ、と中国に言わなかったか?

 繰り返すが、アメリカは中国と協力して、日本の常任理事国入りに反対したのだ。

 ところが、ざまあみろ。当の「親分」はアメリカ国内での支持率を急速に失いつつある。

、最近ハリケーンの対応が遅かったことで、国内から猛烈な非難を受けている上に、

 記事2にあるとおり、イラク戦争の遷延化に伴い、つい、2日前、ワシントンに何と10万人を超える米国市民が結集して、

 「イラク駐留反対デモ」が行われた(先日、イラク戦争開始以来米国兵士の死者数が1,900人を超えた、というニュースも引き金になったのであろう)。

 近年にない、大規模デモである。

 ブッシュは相当やばい。ということは・・・。


◆ブッシュが「日本どころじゃない」、と見限ったら、小泉政権は意外と脆いだろう。

 

 小泉首相は、衆院選で盤石の基盤を築いた、と大いばりだが、忘れてはいけない。政界は一寸先は闇である。

 国政選挙は当分無いけれども、今回の選挙で、小泉首相はもの凄い恨みを買っている事を忘れてはならない。

 いつ、マグマのように地中で渦巻いている怨念が結束して反撃に出るか分からぬ。

 そのとき、ブッシュの援護射撃を得られなかったら、小泉純一郎氏はどうなるか、分かったものではない。


◆憲法改正に関して:これだけ、便宜を図った日本の常任理事国入りを、米国は反対した。それでも信用するのか。

 

 なにやら憲法第9条を改悪して、集団的自衛権の行使を可能にするべきだという御仁が多いが、

 この場合の集団的自衛権は、言うまでもなく、米国を同盟国として認識している。

 一体どこまで人がいいのか。

 三たび繰り返すが、これほどアメリカに便宜を図った日本の常任理事国入りをアメリカは反対したのですよ?
 その程度にしか我々を見なしていない国なのだ。

 それでも、集団的自衛権の行使可能にして、アメリカに滅私奉公していれば、有事の際に米国が本気で日本を守ると思っているのか。

 第一、米国は、年がら年中戦争している。

 日本の集団的自衛権行使を認めたら、日本は極端な話、世界中へ飛んでいって、米国の「お手伝い」をして武力を行使することになる。

 憲法改正はアメリカの圧力によるものだ。これでも、憲法第9条を改正するのか。


【追記】

  この種のテーマを取り上げると、メールやブログのコメント欄にしばしば反論があるが、

  その殆どの場合、「個別的自衛権」と「集団的自衛権」の区別すら分かっていない。

  ENPITUのindexでは、全文検索があるから、そこで、「集団的自衛権」(ついでに個別的自衛権)と入力して

  検索してください。両者の違いは過去、何度も説明している。

  私は、日本国民の「平和的生存権」を確保するための個別的自衛権を否定したことはない。ところが大抵のひとは集団的自衛権との差異を認識していない。


2004年09月28日(火) ファルージャで連夜の空爆。毎日、女性や子供が死んでいる。
2003年09月28日(日) 「イラク大量破壊兵器の証拠発見できず」米調査団報告へ ←アメリカ合衆国大統領は全世界へ謝罪せよ

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