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2016年07月30日(土)
『ヒマラヤ 地上8,000メートルの絆』

『ヒマラヤ 地上8,000メートルの絆』@シネマート新宿 スクリーン1

ファン・ジョンミン出演作。原題は『히말라야(ヒマラヤ)』、英題は『The Himalayas』。監督はイ・ソクフン。ジョンミンさんとは『ダンシング・クィーン』以来の顔合わせ。以下ネタバレあります。

もう沖田くんみたいなひとが沢山出てくる……(特定の世代にしか通じない感想)。「こんなとこにはいられない、俺は山に登りにきたんだ」的なこと言うんだもんよ〜!!! はい、『生徒諸君!』は沖田くんがいちばん好きでした。沖田くんの後輩野々宮くんのことも思い出したよね…いやもう十九やハタチであんな…もう……。家に帰る迄が登山です! でも帰らせない自然の恐ろしさというものがあるのです! 

はあはあはあ、取り乱した。実話を基にした作品ですが、登山家たちの絆を甘くも苦くも描いたものでした。見返りも名誉も求めない、純粋な仲間への思いから発した計画は完遂されない。フィクションならば、きっと遺体は下山させることが出来ただろう。実際映画なのだから、そうしてもよかったかもしれない。しかしそうはしなかった。

序盤はまだ甘いのです。遺体を置いて帰るのはいやだと駄々をこねる大学生、それをつい助けてしまう登山家。ひとならば、情があるならば。といった部分が見える。しかしやがてそうも言っていられない事態に、登場人物は直面していく。ザイルを切ればひとりが助かる場合、切るか。大荒れの天候の中、道を見失った仲間を救助に行くか。遺体を下山させるか。彼らは決断を迫られる、常に命懸けの決断を。自然は厳しい。人間の祈りなど、全く意に介さない。誰も責めることは出来ない。無傷で帰れることは少ない。仲間は何人も死んでいく。見送る家族の心情たるや。それでも山に挑んでしまう。山に魅入られるということは本当に恐ろしい。

「山は征服するものではない。登山家は征服するなんて言わない」。山への畏怖と魔力が描かれた映画でもあった。

撮影も困難を極めただろうなと容易に想像がつく迫力。凍傷で赤黒く腫れ上がった鼻などはメイクだろうが、雪焼けやさかむけ、切れて血の滲んだ唇などはそのままだったのではないだろうか。演技の域を超えた疲弊が伝わってくるよう。途中ジョンミンさんの声がガッラガラになっている場面があって、もはや演技でどうこう出来る範囲じゃないだろうから、ホントに風邪ひいたりしてたいへんだったんだろうなと思いました。回復を待っていられないスケジュールだったのだろうなあ…いやもうおつかれさまでした……。スクリーンに映っている人物を見ているだけでもそうなのだから、カメラの後ろにいたスタッフの苦労もついつい考えてしまう。映画を撮るって本当に大変……という思いが先にたち、ストーリーにのめりこめなかった部分も正直ある。ストーリーを吹き飛ばす程の、自然の脅威が捉えられているともいえる。もうね、これを撮ろうと挑んだスタッフとキャストにただただ拍手です。

真夏に観るとある意味納涼です。本国では真冬に公開されてたなー。た、たまらん。

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・輝国山人の韓国映画『ヒマラヤ 地上8,000メートルの絆』
作品紹介、データベース。いつもお世話になっております!

・tumblr(20160110)
4〜8枚目、一月の韓国旅行で偶然通りかかった東大門のタッカンマリ屋さん。『ヒマラヤ』のポスターやらなんやらが貼ってあって、公開前の番宣とかで来た店なのかな〜と思っていたらロケ地だった。だいじな場面で何度も出てきたとこだった。
ちなみに1〜3枚目は街中で流れていた『검사외전(検事外伝)』の予告CMなんですが、本日映画館で観た予告編では『華麗なるリベンジ』という邦題になっておりました。ず、随分……。ちなみに英題は『A Violent Prosecutor』