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2016年07月31日(日)
『シン・ゴジラ』(TCX)

『シン・ゴジラ』(TCX)@TOHOシネマズ新宿 スクリーン9

ウアアアアア〜一刻もはやくリピートしたいのに今月前半は一年でいちばんの繁忙期なのでした。ロングランは間違いないと思うのだけど期間限定のIMAXに間に合うか〜。てか大きなスクリーンのうちに何度でも観たいヨー!

以下ネタバレありありなので、これから観ようと思っているひとは読まない方がいいです。webやらなんやらのテキストであらすじやみどころを知るより、スクリーンの前で初めてそれを前にして「えええ!」とか「ぐああああ!」となる貴重な体験を逃すのはもったいないですよ! 観るといいよ〜ホントに〜としか言えない。

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ゴジラ知ってるよね〜、あのゴジラがまた来襲したぞー! というシリーズ概念ではありません。巨大不明生物が東京に現れたら? 初めて体験する未曾有の危機に、ひとびとはどう対応するか。対応に追われる政治家たち、現場に赴く自衛隊員、打開策を模索する研究者たちに焦点が絞られていて、極めて機能的にストーリーが進む。まさに「現実(ニッポン)対 虚構(ゴジラ)」。被災者の描写は最小限に留められ、感情がそちらに揺れるのを抑えている。

震災以降でなくては生み出せなかった作品。ある意味「3.11」のシミュレーションでもあり、ゴジラは原発を象徴するものとなっている。あのときああだったら、こうすることが出来たら。という願いのようなものであり、同時にそうしたひとたちは少なからずいたのだ、というしらせにもなっている。皮肉は利いているが過剰な揶揄はない。幼生のゴジラ(てか成長するって考えてなかったんですごいビックリしたよ! キモいよ、でも途中からかわいく見えてくるよ! よだかみたいな顔だよ!)が上陸する描写は、当時何度も目にした津波で押し流される船の映像が明らかに参考になっているし、瓦礫化した都市の様子も同様だ。転んでもただでは起きない、クリエイターのタフネス。非常時(を経た)エンタメに何が出来るだろう? の答えだ。あれから五年、こういう形で還元されたことに胸が熱くなる。スクラップアンドビルドだ。「その後」がこう描かれた。

技術力、解析力、交渉術。軍事力、核使用に対してどういった態度をとるか。あと何日、あと何時間。カウントダウンが迫るなか、極限の状況に立たされたプロフェッショナルたちの奮闘に心が沸き立つ。そして信じる力。終盤、自分たちの研究や技術ソースを盗まれてしまうと危惧する部下に対して上司が穏やかに放つひとこと、「ひとを信じましょう」が胸に迫る。

オールスターキャストもいいとこで、あのひとがこんなところに! あのひとがあの役を! といちいち驚くだけでもお腹いっぱいになるんですけど、思わぬところに舞台人が配されていて、それに気付く楽しみもありました。河野洋一郎が(結構偉いひと)! 小林隆が(あの落ち着いた声の説得力)! と中盤迄はアワワアワワとなりっぱなし。あのー元ネクストの小久保寿人がどこに出てたか判ったひとは教えてください……。ANIもどこに出てたか判らんかった。そして野村萬斎、知ってから観たけど初日に情報なしで観たひとは「ど、どこよ?!」て思っただろうなあ(笑)。ひいきとしては、塚本晋也(の役)がちょーアナログな解析をするところにグッときた。あの図面、自分で描いたんじゃないかなーと思わせられちゃう、塚本さんの描く絵コンテそっくり。そして鋼の無表情を貫き通していた市川実日子が最後の最後に見せる表情がとても効いてる。高橋一生の「ごめんなさい」もよかったです!

ストーリー展開にも出演者にもほわああああ! ほわああああ! となりっぱなしなんですが(あんまりすごい展開になると笑うよね…クライマックスの在来線のあれとか……)、何がすごいってゴジラの迫力ですよ。デカい! 怖い! 絶対かなわねえ! 序盤の幼生はとにかく気持ちわるいやら怖いやらで最初ゴジラってわからんかったもんね…え、これゴジラ? てなもんで。駆除段階になってくると、たまたま来ちゃったのに可哀相……と思えてくる。見慣れた東京の風景にゴジラがいる、という画ヅラにとにかく興奮します。ウチの街にもくる〜と思って楽しみにしてたんだが来なかった。ちょっとさびしかった。正直蒲田のひとがうらやましかった。来られた方はたまったもんじゃなかろうが。

ちなみにマイファーストゴジラでございました。人形やおもちゃは持ってて音楽集も愛聴しているのに(てか今回の鷺巣詩郎/伊福部昭のOSTも素晴らしくてなあ、CD買おうとしたら軒並み売り切れで配信もないので今のたうちまわっています。はよ再入荷してくれえええ)映画本編を観るのは初めてというね……そして『エヴァンゲリオン』シリーズも観ておりません。庵野秀明監督作品は何故か『ラブ&ポップ』だけを観ている。庵野さん、どっちかというと役者として観ているものの方が多いわ…『監督不行届』も愛読しているし……。試しに調べてみたら『茶の味』『恋の門』『さくらん』『クワイエットルームにようこそ』……あとなんたって『キャッチボール屋』に出てましたし! 映画人に信頼され、愛されている人物なのだなあというイメージでした。やっと監督作品を観ることが出来た。何故映画人に愛されているか、観客に熱狂的に支持されているかを垣間見られたような気がしました。そしてこのホンに変な気を遣って自粛を求めたり口を出したりしなかったスポンサーにも拍手を贈りたい。マイファーストゴジラがこの作品でよかった!!! ゴジラのお膝元? 歌舞伎町TOHOシネマズで観たのもイヴェント感あって楽しかった!!!!!

はあはあはあ、細かいところの好きがあってあってありすぎるがキリがないのでとりあえずはこれにて。はやくリピートしたいよー!!!!!

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読んでわあわあ頷きまくるレヴューをいくつか紹介。

・『シン・ゴジラ』、現実対虚構、そして泉修一保守第一党政調副会長の良さについて - From The Inside

・『シン・ゴジラ』レビュー 〜 『シン・ゴジラ』を劇場で観るべき、たった1つの理由 〜 | 瞬きて、視覚

・『シン・ゴジラ』は日本の何を破壊する? 庵野秀明監督が復活させた“おそろしい”ゴジラ像|Real Sound

・虚構と現実は逆転する――『シン・ゴジラ』感想 - 日々の音色とことば