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2016年07月25日(月)
『FUJI ROCK FESTIVAL '16』3日目 その2

■RED HOT CHILI PEPPERS(GREEN STAGE)

思い返せばフジのRHCPは皆勤している。思い入れがありすぎて話し始めると気持ち悪いことになるのでそっとしておいてください。

ライヴの出来自体はなかなか微妙でした。んがーいろいろな要因があるなあとも思うわけです。音量がちいさく、音圧も低かった。これはバンドの、あるいはPAスタッフの意向でもあるのかもしれない。新譜『The Getaway』に、音圧が必要とされる曲はあまりない。ジャムによって音の位置取りを探りあうプロセスが日常の彼ら、間合いが魅力の曲も多い。もともと音の物量で空間を埋め尽くすタイプのバンドではない。ナヴァロ在籍時はその傾向があった。それはそれで好きなんですよ〜てか自分ナヴァロ期すっっっごい好きなんですよ〜。マッチョやジョークでかためた鎧を脱ぐきっかけを与えたのはアンソニーの個人的な作品だった「Under The Bridge」をバンドの曲として採用したリック・ルービン、その後シリアスな面を前面に出すようになったのはナヴァロの存在が大きいと思う。あの時期バンドもたいへんだったしね……。

閑話休題。なんていえばいいか……『Californication』以降の彼らは音の隙間に哀愁を感じさせる、ウェットとは程遠い乾いた空気が魅力だ。それが極まっているのが今回の新譜で、個人的にはドハマりだった。リリースされてからライヴ当日迄何度リピートしたかしれない。これからも長く聴いていく予感がしている。歌詞も訳詞も繰り返し読んだ(アンソニーの詞、読むのも好き〜)。で、読んでみると、内容が相当暗い(と感じる)。メロウだけどウェットじゃない、カラッカラの心象風景。この「誰にも理解されない」孤独感、アンソニーの気難しさがますます増しているようにすら思う。それが魅力になっている(と感じるファン)。そしてアンソニーは歌を手に入れた。もともとの美声に喉の強さ、ピッチの安定感が加わり、しかもそれが年々円熟味を増している。いくつになっても成長するものなのだなあと思う。

で、新譜の曲のよさは爆音で伝わるものかというと、そうではないなあと。過去曲とのバランスが難しい。

ジャム〜新譜の曲からスタート、この愛想のなさとは裏腹に、演奏の安定感は鉄壁。セットリストは今回のツアーからするとレアだったようだ。一曲目が「Goodbye Angels」というのも珍しいというか初めてじゃないか? なんとなく歌詞に「カミカゼ」と入ってるからかなあなんて思う。アンソニーそういうとここだわりそうじゃないの……ちなみにフジの前、韓国のフェスに出ているんですがそこでは「Soul to Squeeze」やってるんですよ(余談ですがウチの日記のタイトルはこれの歌詞から拝借してます)。Shuichiさんにソウルとかけてんですかね〜と言われて笑ったが、あながち間違いでもないような気がする。ちなみにアンコールの「Dreams of a Samurai」はフジがライヴデビュー、これもタイトルからして初演を日本にとっといてくれたんじゃないかなといいように考える。が、その「〜Samurai」でマイクトラブル。そこから悪循環、アンソニーがキレてマイクを捨て(でも最後迄唄いきったところは真面目ねと思った)チャドの機材迄壊す(笑)。苦笑、どよめき、ど、どうなる。このひとほんとこわいわ〜。そこが好きだわ〜。その後マイクを交換しての第一声、「check!」。ギャー格好いい! 怖いけど素敵! ちゃんと最後迄やってくれてよかったですよ……。

極端にジョシュの音がちいさかったり、途中から大きくなったり、というPAのまずさは確かにあった。「Go Robot」ではサポートを加えてツインベース(! ギターじゃなくてよ! フリーがいるバンドでよ!)といった編成もあり、可能性を探っている様子も窺えた。そしてフェスのヘッドライナーという立場上、観客の期待しているものは圧倒的な音量と熱量、そして鉄板のセットリストなのだろう。この相容れなさが微妙な空気を生んでいたように思う。ちょっと距離のあるところから観ていたので、それがより感じられたというだけで、モッシュピット周辺では問題なかったんじゃないでしょうか。そして個人的にはいろいろと感極まって楽しんでいたので、なんだかんだでいい思い出です。

途中アンソニーが「君たちの後ろにはビューティフルな山々が〜」とジェーンズアディクションがフジに出たとき(2002年)ペリー・ファレルが言ったようなことを言い出してにっこり。フリーもビューティフルって言ってたな、うれしかった。ジョシュもサマソニで観たときよりグンとバンドになじんでいたし、要所要所で場を盛り上げようとするフリーとチャドのふるまいにもジーンときた。「Parallel Universe」のときだけリストバンドをするフリー、ジャムで向き合うフリーとジョシュ。天衣無縫にふるまうアンソニー。彼らは現状に留まらない、チャレンジし続けている。それを観られたことがうれしかった。

PAの話といえば、帰り道近くを歩いていたひとが「アンソニーはあんなにいい声なんだから、もっと大きな声で唄えばいいのに!」と言っていてブハッと吹きそうになった……いやそれ声量というより音量の問題だからとか、おかあさんか! とか。そういえばアンソニーは夏休みの小学生みたいな格好でしたね、Tシャツにハーフパンツにキャップ。Tシャツの肩口にはクッキリアイロンの線がついており、おろしたて? みたいな。特別の日には新品をおろすんだ〜みたいなところがまたかわいいねと思ってしまうつくづくバカなファンです。

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セットリスト(instagramsetlist.fm

01. Intro Jam
02. Goodbye Angels
03. Dani California
04. Scar Tissue
05. Dark Necessities
06. Parallel Universe
07. Otherside
08. Look Around
09. The Getaway
10. Californication
11. Go Robot
12. Under the Bridge
13. Detroit
14. By the Way
Encore
15. Dreams of a Samurai(Live debut)
16. Give It Away

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・Red Hot Chili Peppers - Pinkpop 2016

おまけ。今回のフェスツアーのなかでもかなりよい出来と思われるPINK POPの映像がフルであがっているので張っておく〜、おすすめ〜。RHCPてむか〜しからPINK POPと相性いい印象。これソフト発売してほしいな〜。アンソニーがベース弾いたりてへぺろしたりという意味でもおいしい。

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その他。

・なんとシャトルバスの最終が一時間早まっていた。昨年迄ずっと26時だったのに25時に! 宿が越後湯沢なので乗り遅れたらかなわんと急いで乗り場へ行くと、何故か全然混んでない。待ち時間もほぼない状態で越後湯沢に着いたのは23時台。なんでや……例年はグリーンのヘッドライナー終了後すぐバス乗り場に向かっても長蛇の列で、宿に辿り着くの27時前とかなのに! あああこれならBATTLESも電気も観られたかもおおお

・てな感じで今年は待ち時間が全く読めなかった。会場自体はどこも混んでたんだけどどういうこと……自家用車で来てるひとが多かったのか早めに帰るひとが多かったのか。しかし毎年バス待ちの消耗が大きいので(特に往路。炎天下のなかずーーーと並ぶから)随分助かったなあ

・消耗といえば、オレンジカフェ跡地のテント+椅子にはほんと助けられた。遮熱テントだったので入るとかなり涼しい。すごい助かった! オアシス! 無謀な場所取りもなく、皆しばらく休憩したら譲り合って場を離れるしよかったなあ。オレンジコートがなくなったのはさびしいけどね……

・アーティストグッズショップが場外になっていたのはちょっと不便。目当てのステージの合間にちょろっと寄ることが出来なくなってしまったのでなあ。到着したてのときは観たいステージのために急いでいるし、合間にわざわざ場外に出て体力消耗したくないし(これ結構重要)、帰るときは閉まっているし。ジョシュがステージで着てたRHCPロゴ入りパーカーとかあったのかなあ

・OASISへの橋が復活してた! やっぱここあるとないとでは大違い、助かる〜

・お昼ごはんはルヴァンのカットチーズ(これ大好きー)、おやつに今年もいた! Ben & Jerry'sのチョコファッジブラウニーアイス(お店のひとも感じよくて好きー)、夜ごはんはOASISのつけパンのお店(ベーコンクリームシチュー+ふわふわ白パン)。ここ初めて食べた、おいしかった〜
・OASISのおにぎりやさん、クロワッサンソフトのお店は今年もおらず。出店やめちゃったのね(泣)。アヴァロン、FOHの辺りはほぼ変わらず。暑いと食欲がなくなるので飲んでばかり、一日参加だと食事の回数も少ないので行けなかったお店も多いな。朝霧シチュー食べ損ねたの何年振りだろう(泣)

・雨が殆ど振らなかったので砂埃がすごかった、鼻の中真っ黒
・暑いのにタイツなんか履いてられるかと思っていたとしよりですが、今回初めて涼感レギンス履いてみたらすごい快適だった。脚の疲れもとれやすかった気が。ぶ、文明!
・一日参加だったからってのもあるかもしれないけど、前述のバス行列の短さ、オレンジカフェ、レギンスと、いろいろな要素が重なって例年よりボロボロにならなかった。毎年こうでありたい……

・帰りの越後湯沢駅でお土産を物色していると、柿の種のお店に「RED CHILI使用! HOTでPEPPERな味わい!」てなPOPが。ちゃんと出演者把握されてるんですね(微笑)

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ブンブンのライヴを最後に観たのが昨年のフジ。あれからもう一年経ったなんて信じられないなと何度も思った。帰りの新幹線では熟睡、地元への電車に乗り換えて、iPadで孫にポケモンをとってあげてるかわいいおばあちゃんの隣に座ってまったり帰ってきました。楽しかった、また行けるといいな!