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2014年01月12日(日)
『ゼロ・グラビティ』二回目、『お正月だよ!元気?パール兄弟』

『ゼロ・グラビティ』@TOHOシネマズ六本木 スクリーン2

二回目、3D。前回観たときよりちょっと前、センターの席。そしたらまー3Dっぷりがすごかった。デブリがビュンビュン飛んでくる…映画黎明期、向かってくる機関車に驚愕して映画館から逃げ出した観客がいたって話を思い出しましたね。席の位置でこんなに違うとは。3Dに限らず画面酔いしやすいので基本後方下手側(字幕は下か上手側に入るのが常なので、視線を固定しやすい)の席をとることが多いのですが、これはセンターで観た方がいいわと思った……。リピートだった今回は字幕を見ないようにして、画面と音声に集中しました。何せあの映像、音響ですので没入も比較的容易です。初見じゃないのになんでこんなにドキドキハラハラするのー!ここでこうなるって判っててもヒー!てなるよ!

まずオープニングの音響が素晴らしいよね…あの大音量のサウンドを断ち切る静寂。あっと言う間に宇宙空間へつれていかれる。前回聴き逃していたコワルスキーの「アイガッチュ」もキャッチ出来て満足。ああ言われたときの安堵感…コワルスキー最高!彼のような人間になりたいものです。理想です。一緒にいた時間はとても短かったであろう(何せお互いの瞳の色も憶えていないのだ)のに、あのときストーンがコワルスキーの幻影(と言っておく)を見たのも納得。いやもうこの作品、ホンも素晴らしい。

このシーン、後ろの席のふたりづれがちいさく「生きてた!」「帰ってきたよ!」と囁き合ってるのが聴こえました。わかる!わかるぞ!これには「ここはお茶の間じゃありません、私語を慎んで!」とか言えないしイラッともこない!それくらいわあっとなるよ…それだけの力があるシーンだよ。心情的には隣のひとと手を取り合って喜びたいくらいだよね。しかしその「帰ってきたあああ!」と言う歓喜と「いや、これは…」と冷静になったときの絶望の落差半端ないです。ああ、コワルスキー……安らかでありますようにと祈るばかり。

彼がしょっちゅう聴いていた曲は何だろうと気になっていた。コワルスキーと言う苗字からしてポーランド系であろう彼が、アメリカから生まれた音楽であるカントリーを聴く…『欲望という名の電車』で「俺はアメリカ人だ」と叫ぶスタンリー・コワルスキーが思い出される。エンドロールを探す。「Angels Are Hard To Find」と言うタイトル。これは意味深…歌詞を検索したらこちらが出てきました。

・Hank Williams, Jr.「Angels Are Hard To Find」

ライアンの娘のことを思うとこれまたグッとくる。

そうそう、ライアンとその娘について。回想シーンが全くなかったのも素晴らしかったな。スピンオフとしてweb上に公開されている(前回の感想参照)アニンガのシーンも、本編に加えなかったのは賢明な選択。映像を体感し、ストーリーを噛み締める。行ったことのない宇宙空間を体験し、見えない筈の登場人物たちの心情を探る。

あと気になっていること。あと何度か観て、その辺りもじわりと考えたい。

・コワルスキーのあの行動を自殺と解釈するかどうか
・ストーンを助けるための自己犠牲ととるか、宇宙遊泳最長記録へのチャレンジととるか
・『生徒諸君!』の沖田くんを思い出すのは世代ですか(…)

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『お正月だよ!元気?パール兄弟』@高円寺ShowBoat

客入れ、休憩時のBGMがかしぶちさん(ライダーズ)と大瀧さん。渡辺有三さんの話も出た。窪田さんはFBで青山純さんのことを書いていた。ほんの一ヶ月の間に、どうしてこんなことがと思うような出来事が続いた。バンドとも縁が深いひとたちのことを、観客の殆どが知っているだろう。フロアを流れるそれらの音楽に聴き入る。

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Vo:サエキけんぞう、G:窪田晴男、B:バカボン鈴木、Drs:松永俊弥、Key:矢代恒彦
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前回から結構セットリスト変えてきた!矢代さんも改めて正式加入したとのこと。これは確実に再始動ととっていいかな。“盆暮れのパール”だし、活動ペースももはや通常。今後も楽しみ。だからこそ、皆元気でと思う。

それにしても終演後話してたんだが、もうグレードが違うよね…特にリズム隊。バカボン当時から巧いひとだったけど、やっぱり毎日のようにライヴ、本番やってるひとの地力…積んでるエンジンが違うとはこのことだ。「一曲毎に全く世界感が違うものをやるのでその都度セッティングを変えねばならず、つなぎのため曲間に必ずMCが入る」とサエキさん自ら茶化してたけど、終盤のロックナンバー三曲は曲間空けず矢継ぎ早、間合いが見事。ニコニコ笑って演奏してた窪田さんがちょう真顔、あまりの演奏の凄まじさにニコニコ聴いてたこちらも真顔。目が、耳が離せない!悠長に聴いてられるか!「ヨーコ分解」「プルプル通り」辺りはバカボンマジすげえ、窪田さん押されてる?がんばれ!なんて失礼乍ら思ってしまう程の緊迫感。探究心と鍛錬旺盛な窪田さんですからやはり自己評価も厳しく、サエキさん曰く「マイク通ってないところで『はあ〜』『ヒー!』て言ってる」「袖入って来て『ダメだあ〜っ!』って叫んでた」。いろいろと納得いかない部分もあったようで「もう今度やるときは楽器買ってきます!」だって。そこからか。

それにしてもこのグルーヴにはそうそうお目にかかれない。道楽でやってられるかとでも言いたげな、勢いに軽々と追いつく技量を持ち得る、知命を過ぎた大人の本気。この演奏が聴けることの至福といったらない!

セットリスト(暫定。やった曲は全部出てると思うんだけど、順番忘れた)
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1st set
洪水デート(バカボンvo)、世界はGO NEXT、ゴム男、記憶のドアー、風にさようなら、TRON岬、アニマル銀行、ライ・ライ・ライ、快楽の季節
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2nd set
焼ソバ老人、タンポポの微笑み、まちがいだらけのラブソング(新曲)、○。○○○娘、鉄カブトの女、ヨーコ分解、プルプル通り、ハレ・はれ、ZOO・ZOO・ZOO
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encore
バカヤロウは愛の言葉
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以下おぼえがき。

・「大げさな言い方ではなく命の恩人。パール兄弟とメトロファルスやり乍らGSでバイトしてたとき、かしぶちさんが梓みちよさんの仕事を紹介してくれた。音楽で食べて行ける道を開いてくれた」(バカボン)
・「大瀧さん本人がいちばんビックリしてると思う。思い出すのがいちばんいいと思いますね。そして対話をする。道をきくとかそんなんじゃないですよ、作品を通して。そういうのが、亡くなったひとはいちばん喜んでくれるんじゃないかな」「大瀧さんはエルヴィス・プレスリーともロイ・オービソンとも対話してるって言ってた、多くのことを教えてもらったって」(サエキ)
・真言宗僧侶とクリスチャンがいるパール兄弟ですが、悼む心は同じだね
・そして黙祷
・大瀧さんとかしぶちさんに「記憶のドアー」「風にさようなら」。「風に〜」は岡田有希子への歌と言うのはファンの間では有名な話
・その流れで「花のイマージュ」の話に。かしぶちさんの作詞・曲・編曲。お蔵入りになったのは本当に残念だったと言う話(最近になってボックスに収録、発表された)

・「洪水デート」の歌詞は一番しかなかったんだけど、最近バカボンが自分のライヴで唄ってて、「二番ないの?」と言われたので今回作った(サエキ)

・千葉在住vs東京在住
・千葉出身のひとの話。ジャガーさんの名は出ますよね当然!
・西荻から千葉へ電車で帰るとき、東京の夕焼けがすごく綺麗に見えるって話。千葉の夕焼けは汚い。こういうと詩的だけど、理由に気付いたらああって感じ、言わなきゃいいんだけどね。つまり、千葉の夕焼けは東京の汚い空気を通して見るから汚く見えるんだよ。逆に千葉から見る朝焼けは綺麗なんだとサエキさん
・いい話

・炎上マーケティングをサエキさんにけしかける松永さん
・以下それこそ炎上するから詳しくは書けない。クローズドの話こそ面白い
・密造酒
・「変態」とか「頭おかしい」がほめ言葉
・某アーティストのサポートは白玉しか弾けない話
・キース・エマーソンの奥さまの話からイギー・ポップ、ジョン・レノンの奥さまの話
・空海かっけー!苗字はサエキ(なんですって)
・前回からの空海ブームは継続中のようです

・1st Setは白いシャツ、2nd Setは各自午を描いた白Tシャツで統一
・干支Tシャツを提案したのは松永さん。いいだしっぺだけに絵が上手い

次回は夏頃とのこと。待ってます。