2011年06月27日(月) |
東日本大震災 柔らかな強制帰宅 |
東京電力福島第一原発事故で政府は24日までに、原子炉の安定的な冷却を目標にした事故収束工程表の「ステップ1」を7月中旬までに達成した場合、住民避難が続く「警戒区域」の縮小を検討する方針を固めた。放射線量が避難基準を下回るエリアがあるためで、早ければお盆ごろにも一部住民の帰宅を実現させたい考えだ。しかし、縮小する際の線引きや警備体制の強化など課題は山積している。「緊急時避難準備区域」については撤廃を検討する。というニュース。
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放射線量が避難基準を下回るエリアがあるとうい解除理由と、 そこに生活して大丈夫、ということには関連がない。
年間20ミリシーベルトと同じ論理で、この値で生きられるだけ生きてくれ、 というお達しに過ぎない。
つまりは「住民が帰宅できた」という事実を作りたいだけだ。
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地域共同体の中で暮らす地方の人々は、単独行動がとりにくい。 皆が帰ると言っているなら、帰らざるを得ない場面もある。
基準や線引きに、再び小さな子どもが巻き込まれるのかと思うと胸が痛む。
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チェルノブイリでは、避難を拒み土地から離れなかった人へ「わがまま者」という呼称が与えられているが、 フクシマでは、土地を捨てて戻らなかった人が、そう呼ばれるのだろうか。
2010年06月27日(日) 2008年06月27日(金) 裁かれざるを得ない状況の重さ 2007年06月27日(水) 兎を追う男 2006年06月27日(火) 2005年06月27日(月) 睡眠の話 2004年06月27日(日) berry berry and berry
新幹線で上京し、東京駅の雑踏をいく。
電力供給が○%と表示されている傍らで、 10分間隔で新幹線が発着し、人々が輸送されていく。
そして、新幹線の中は、寒いほど空調がきいている。
多分、JRは「電力は不足しない」という確信があるのだろう。きっと。
震災のどさくさに紛れて、新幹線よりもはるかに電力使用量の高い リニアモーターカーの計画も決定した。 地質の専門家ならば誰でもしっている南アルプスの脆い地質のところへ、 通常の何倍もの金をかけて長大なトンネルを掘るのである。
国策事業というのは、なくならないのである。
2010年06月24日(木) 月の光 2008年06月24日(火) その他のメニュー 2004年06月24日(木) お世継ぎを!その2
2011年06月23日(木) |
東日本大震災 自民党の資金問題 |
自民党の「金欠」が深刻だ。衆院選敗北に伴い平成23年分の政党交付金は約40億円の減。下野で政治資金も大幅に低下、東日本大震災もパーティー開催などに追い打ちをかけた。 今年4月から選挙区支部への分配も10年に比べ最大300万円減額に追い込まれた。民主党との大連立構想が浮上したり、早期の衆院解散・総選挙を志向するのも「野党暮らしが続けば干上がってしまう」(中堅議員)事情がある。 政党交付金は23年分が101億1468万円。9月まで与党だった21年の139億8032万円に比べ38億円少ない。 大連立構想の背景には与党として業界団体ににらみを利かせ、集金したいという派閥領袖クラスの思惑がある。
というニュース。
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そもそも自民党は、野党に転じた時点で、119億円の借金があったのである。
自民党の退陣要求への圧力は尋常ではないと思っていたが、 つまりは自分の尻に火がついている、ということだった。
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干上がってもいいではないか。ちょうどいいと思う。
国民を金で何とかしようとする政治のスタイルを変えられるか、 自民党は政治の原点にもどって、野党として挑戦したらいい。
金で身を滅ぼした原発城下町の栄枯盛衰を、国民は共有した。 大切なものは何か、誰もが真剣に考えている。
だから、これまでは言うことを聞いていた人の言うことに、 もう従わないかもしれない。たとえ痛みを伴ったとしても。
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昨日と同じ政治手法は、もう使えない。
そうだから、今回の災害を「時代の境目」として自覚し、 痛みをもって体質改善の腹をくくらねばならないのは、
新参者の民主党よりも、むしろ過去に因縁の深い自民党なのではないか、と思う。
2007年06月23日(土) 2006年06月23日(金) ラッキーのめぐらせ方 2005年06月23日(木) 分水嶺 2004年06月23日(水) 疲弊
2011年06月22日(水) |
東日本大震災 調査測定・分析・規制 |
梅雨の晴れ間に、布団を陽に当てる。
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我が市長は、チェルノブイリ被災地で医師として子どもの甲状腺がん治療に携わった人物であるが、 この夏、サマーキャンプと称して、フクシマの子ども達を招くことを決めた。
2週間ほどの夏の間、子ども達を放射線のストレスから解放するのである。 マスクを外し、川やプールで泳いで、泥遊びをし、日のある間は気兼ねなく屋外で遊んでほしいと思う。
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専門紙で、土壌表面の放射能現場測定の重要性を問う、という特集記事。 水田の土壌中のセシウム137の量は、米ソの核実験によって急増し、 1967年にピークとなった。実験前の59年のレベルに戻ったのは84年である。
ところが、「農用地の土壌の汚染防止に関する法律」という法律があるが、 ここで測定・規制の対象となっているのはカドミウム、銅、ひ素で、 放射性物質は含まれていない。
排水について規制する「水質汚濁防止法」の排出基準でも、放射性物質は含まれていない。 そうだから、例えば被災地で車の洗車をしたとして、その水を無処理のまま下水に流したとしても、違法にはならない。
廃棄物処理法にもひっかからない。
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このように、放射性物質は、世間一般に拡散した場合の、法律上の規制がほとんどないのである。 あるのは「労働安全衛生法の電離放射線障害防止規則」とか、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」とか、要するに専門職用の決まりしかない。
それは、先にも述べたように、既に核実験によって大気中、水質中、土壌中に広く拡散していたにもかかわらず、である。
つまり無管理の状態で放置されていた。 放射性物質というのは、治外法権を得た、 国民にとってアンタッチャブルなものであったのだ。
今回の事故は、そうした「国家が最も見せたくない部分」の一つが、 否応なしに日の元にさらされてしまったのだろう。
2010年06月22日(火) 2008年06月22日(日) 人生の長さ 2006年06月22日(木) 2005年06月22日(水) 表敬訪問
2011年06月16日(木) |
東日本大震災 面子とプライド |
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、市民や自治体の間で独自に放射線量を測る動きが広がるなか、東京都は現状を詳しく把握するため、15日から都内100か所を対象に放射線量の計測を始めた。これまで新宿区にあるモニタリングポストで放射線量を計測し、公表してきたが、市民などが各地で独自に測ったところ、都が公表した値を上回る結果が出たことから、現状を詳しく把握しようと15日から合わせて100か所を対象に計測を始めた、というニュース。
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千葉県境から奥多摩まで東西に長い東京都内で、 計測ヶ所がたったの一ヶ所とは、そもそもお粗末である。
東京都民は馬鹿ではない。 身を守るために必要ならば、ガイガーカウンターの1台ぐらい買うのである。
都が慌てて対応したのがよくわかる。
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けれども、不思議に思う。 東京都は環境先進自治体で、環境確保条例というとても厳しい条例がある。 市民の動きに後押しされる前に、どうしてもっと積極的にやらなかったのだろう。
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そう自問し、また思った。
行政は監督省庁だから、人を監視したり指導するのは得意だが、 前例のない課題に対して、自発的に動く習慣がないのだろう。 その行動原理は「面子」なのである。
面子がつぶれることはやらない、面子が立たないからやる、 それで組織の秩序は保たれる。今まではそうだった。
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自分で線量計を買う、放射性物質について勉強する、 そうした市民の行動原理は、様々な立場があるだろうが、 共通するのは、個人に立脚した「プライド」だと思う。
親として、地域住民として、「健康で文化的な生活」を保障された一個人として。 もちろん、東北の人々の行動原理も同じだ。
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都の職員の中にも、個人的に線量計を買った人がいるかもしれない。 あるいは職場へ問題提起した人もあるだろう。
いち公務員としてのプライドをかけるような人がいたらよいと思う。 この非常時に、面子は下手な化粧のように何の役にも立たない。
2010年06月16日(水) 実家という名の魔境 2006年06月16日(金)
2011年06月15日(水) |
東日本大震災 菅首相退陣を迫る政治家達 |
菅総理退陣を、鼻息荒く叫んだ谷垣総裁その他は、まるで 「そのカラオケマイクを次は俺によこせ」と息巻く人のようだと思っていた。
そうしたら、放送作家の町山広美さんが新聞でもっと的確に言い当てていた。
彼女は、はしゃいで見える政治家達の気分は「戦後」なのだ、と言う。
終戦から66年経ち、日本は戦時のような混乱から脱却した。 何もない訳ではないが、大きな混乱もない。 先輩からはたっぷりと「混乱の中で成功した男達の自慢話」を聞かされる。
そこに今回の地震が起きた。 膨大な被害、全てを一から立て直さなければならない状況。
今ここで、戦後の日本を立ち上げてきた政治家達のように自分も立ち回りたい。 そんなナルシシズムが今、政治家を色めき立たせている、と彼女は言う。
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この大混乱の長い道のりにあって、復興の実績をあげているのは、 どうも政治家、特に国会議員とよばれる集団ではないような気がする。
瓦礫のアスベスト対策も然り、放射線量の測定も然り、 避難所の運営や災害弱者の保護など、震災直後から待ったなしの対応は、言わずもがなである。
こうした取組みの実績を上げているのは、一般の、柳田國男的に言えば 特別に悪いこともせず、かといって良いこともせず、世間に名を成さず、隣人と同じような人生を送り、一生を終わる、そんな市井の人々の、小さな力に他ならない。
町山さんは最後にこう書いている。 「これからが厳しい。戦後ではなくむしろ戦前。長く苦しい戦いが始まったのだと、しっかり感じている多くの人たちと、はしゃぐ政治家。そこには目のくらむような落差が。」
2010年06月15日(火) 2005年06月15日(水) 夢をかなえる人をみる 2004年06月15日(火) 夢を見ない不安
2011年06月14日(火) |
東日本大震災 揺れ続ける日本列島 |
イタリアが国民投票の結果を受けて、脱原発を決めた。 EU諸国では初めてなのだそうである。
このように世界に影響を与えた「フクシマ」であるが、 当事者の日本は、この件について沈黙を通している。
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3月11日の震災で、日本は大規模な地殻変動が起きた。 その影響は、まだ全然収束していない。
そのことが、つくばにある防災科学研究所の高感度地震観測網(防災科学研究所Hi-Net)のサイトでよくわかる。
このサイトは、マグニチュード2.5以上の地震について、全国の784ヶ所の観測点で確認された振動の大きさや深さが地図上にマッピングされるシステムなのである。
細かいことはよく解らないが、素人でも、地震の規模と広がり、 そして頻度を視覚的に捉えることができるものになっているので、3.11以後、ちょくちょくのぞいて見ている。
このサイトの過去の地震における最大振幅分布図というところで2011年3月11日のアニメーションを見たならば、単純な動画であるにもかかわらず、北海道から九州まで、くまなく日本中に揺れが広がっていることがわかり、1000年に一度の大地殻変動が起きたことが、怖いほど実感できる。
さらに各月ごとの回数をみると、3.11以後、 日本列島で生じている地震の回数は飛躍的に増加していることがわかる。
例えば、2011年6月はまだ半ばであるが既に58回の観測データがある。 ところが昨年同月のデータを見ると、月全体で13回、という具合だ。
地震はもう終わった、と思うのは早計だ。
地球の大異変は、続いている。
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Hi-Netのような素晴らしいシステムがあったとしても、 私達は地震を阻止することができない。 それどころか、予知ですらできていない。
地震、津波、台風など、巨大な自然のエネルギーを前にして、 人間はラッシュを浴びるボクサーのようにただ丸くなり、 それが収束するのを待つしかない。
私達が「対策」として打っている手はすべからく小手先であり、 本質的にはまったく無力な存在なのだ。
我々はそのことを、この度1000年ぶりに、恐怖とともに再確認した。 思い出すのはつらいが、かといって「その事実」を無いことにしてはいけない。
2010年06月14日(月) 意味を伝える 2008年06月14日(土) 生きるのは僕だ 2007年06月14日(木) 君臨すれども統治せず 日本版 2005年06月14日(火) 玉石NPO 2004年06月14日(月) 三菱ブランドの夏大根
地震や津波が起きてこの三ヶ月の間、 大量の死者や死者を身近にもつ者のことばかり考えていたのに、
あろうことか、身籠っていた。 情けないが、完全に想定外の出来事である。
これはこれで、うろたえるに相当する事態なのだ。 我が家では、緊急対策本部が設置され、会議が重ねられた。
こんな高齢で、ちゃんとお産ができるのだろうか。 新しく着手した仕事は、きっと失うことになるだろう。 継続していた仕事が継続できるか、まったくわからない。
*
出産育児というのは、そもそも社会経済活動に馴染まない。 仕事の関係はご破算にされ、計画変更を余儀なくされ、効率も落ちる。
周りの者は、まったく仕事と関係のないことで、余計な手間隙を押し付けられる。
こんな迷惑を繰り返す輩は、できれば組織に居てくれない方が良いし、 重要な仕事をまかせるわけにはいかない。
スポイルされても、仕方ないのだ。
*
あらゆる心配事を書き連ねて、もう心配するのをやめることにした。
命は、命からしか生まれない。 運命だと思って、この身体をもう一度、命を育むことに使おう。
そのことに集中しなければ、 出産という「反社会的行動」は成し遂げられない。
2010年06月13日(日) イトカワ 2009年06月13日(土) 2008年06月13日(金) NOBODY KNOWS 2007年06月13日(水) 29 39 ver.1.2 2006年06月13日(火) 人生最後のアジテーション 2004年06月13日(日) テレビ市場開放
2011年06月08日(水) |
東日本大震災 古い都の国策事業 |
仕事を終え、鹿に囲まれてぶらぶらと観光などする。
東大寺は修学旅行生で賑わっている。 民間のガイドがグループに張り付いているのは、最近の傾向か。
土産店も軒を連ねる。
*
東大寺の大仏は、日本の鋳造技術を中国はじめアジアに知らしめるために建造されたものである。
つまり国策である。
原発事故以来、古今東西問わず、巨大なシステムというものが、 私にはもうすっかり嫌になってしまっている。
だから申し訳ないが、ありがたい大仏も、 せいぜい昔のスカイツリーぐらいにしか思えない。
どれだけの人が労働に駆り出され、生活を失ったのだろう。 銅の鋳造による環境汚染や健康被害は、いかばかりのものであったか。
そんなへそ曲がりなことばかり思ってしまう。
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1266年前に作られた、この古都の大仏は、 今でもこうして、巨大な観光システムとして修学旅行生を集め、 ガイド業や土産店、飲食店を成り立たせ、経済を動かしている。
衆生を救済しているかどうかは、それは私にはわからない。 歴史の中の一時は、人々に忘れ去られ、野ざらしにされていたそうである。
2005年06月08日(水) 人類最高のアミューズメント 2004年06月08日(火) 星の牧場
2011年06月07日(火) |
東日本大震災 教育現場 |
遷都1301年の街で仕事。 深夜、其処此処から過去の亡霊の気配を感じる。
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朝のTVで、「被災地の小学生に放射性物質についての授業を実施」というニュースをみて愕然とした。
どうしても番組を特定したいが今はその時間がない。
おそらく、福島県内の小学校だと思う。
つまり、ニュースになっていたのは、日々放射性物質の影響におびえる子どもたちへ、 放射性物質の知識を持ってもらおうという文部科学省と教育委員会の取組み、である。
本来の指導対象学年を前倒ししました、とコメントしている。
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自分の身は自分で守るしかないことがわかりました、と子どものコメント。
教員同士で「やっぱりセシウムとかも教えたいよね」などと相談しあう様子。
森達也風に言うと、何かが決定的に間違っている。
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例えて言うならばそれは、3日後に死ぬような毒を盛られつつある状態で、 その毒についての講釈を聞かされるようなものだ。
これまで当たり前のように考えていた自分の健康はもう保証されないかもしれないという、子どもたちが目の当たりにしている現実を無視して、 知見を与えればよいと考える浅はかさ。
自分の身は自分で守るしかないことがわかりました、と子どもに言わせることに、私は大人として最高の恥を感じ、申し訳なく思う。
本当に申し訳ないと思うのだ。
2010年06月07日(月) 2008年06月07日(土) 弱肉強食か共生か 2007年06月07日(木) 曼荼羅と混沌 2004年06月07日(月) 生きていくことを妨げるメディアというもの
2011年06月02日(木) |
東関東大震災 菅内閣不信任決議が否決 |
菅内閣不信任決議案は否決。
「復興を菅総理大臣にまかせておけない」と言っていたのに、 「復興に目処が立ったらやめる」という言質をとって矛先を納める、 小沢一郎の訳のわからなさ。
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でもひとつ、わかったことがある。
小沢一郎は、得意のドブ板選挙の手法を、 若手議員を引き付けることに流用している。
選挙であれ、議決であれ、票は票だ。
小沢一郎先生に頼まれたら、誰も断れない。 いつのまにか、そうした関わりをもたされている。
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もう嫌だ。こんな姑息なパワーゲームに翻弄されるのは。
自民党は言わずもがなであるが、 民主党という政党にも、愛想がつきた。
この国は、政治不信ではなく、政治不在なのだ。
2006年06月02日(金) 棄権せよ その2 2005年06月02日(木) 2004年06月02日(水) 罪
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