浅間日記

2010年06月24日(木) 月の光

19時の列車に乗る。
車窓からは、この時間でもきれいな夕焼け空を見ることができる。

今は、一年で最も日の長い時期であることを実感しながら帰途に就く。




夕焼けの片隅に、月が出ている。
週末の満月に向かって、膨らみつづけている。
まるで発酵途中のパン生地みたいに。



月が様々なイマジネーションをかきたてるのは、それを直視できるからだ。

私達は、月が形を変え、夜空を動く軌道を変え、時には雲に隠れたり、
隙間から半分だけ姿をあらわしたりする様子を、大昔からずっと眺め、
祈りをささげたり、どこか人間らしいその変化に心象を重ねたりしてきた。



それに比べて、太陽はまるで直視できない。
我々人間の目には、それを正視する能力がない。

太陽そのものの存在を認識するのは、ようやく直視可能になる朝陽や夕陽か、
あるいは、逆にその存在が隠れてしまう日蝕の時ぐらいだ。



太陽は直視できない。
人間が讃頌するのは、太陽の使いである光と熱なのである。

だが、全く直視できないものが圧倒的な存在感を示すというのも、
思えば不思議であり、月とはまた違うイマジネーションをかきたてられる。

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