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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
ロンドンヴィジナリーズ:コランタン号の航海

あの時代のロンドンを舞台とし、H.M.S.コランタンとマードック海尉を主人公とした、新書館Wingsコミックス「コランタン号の航海・ロンドンヴィジョナリーズ」が9月25日発売、店頭に並んでおります。
この表紙が目印です。
ロンドン・ヴィジョナリーズ1(コランタン号の航海)

コランタン号の航海4巻ではないので、ご注意ください。お探しの方は店員さんに「ロンドン・ヴィジョナリーズ」とおたずねくださいませ。
全3巻構成で、1巻が9月、2巻が11月、3巻が来年1月の刊行です。1ヶ月おきですので、こちらもご注意。

詳細は著者の山田睦月さんのHPにも
http://largo.oops.jp/adtindex.html
から、いちばん上の 「はみだしコランタンDigital、開設しました」 をクリックいただけると辿りつけます。

海洋小説ファン的にはしっかり考証された海洋歴史漫画ですし、
今回はロンドン橋の伝説が絡みますので、マザーグースなどに興味をお持ちの方にも楽しんでいただけるのではと思います。

私としては、魚市場の仲買人をしている祖父を助けて働き、艀でテムズ川を自分の庭のように航走り回るロンドンっ子、アルジェンとベッツィがお気に入りで、
この子たちは、前巻から引続き登場のアンリ(カンペール伯爵)、ひいてはマードック海尉とかかわることになるのですが、元気の良い少年少女が活躍する児童文学のあじわいがあって…なかなか楽しいです。


2009年09月27日(日)
Creation:P.ベタニーのダーウィン

ポール・ベタニーがチャールズ・ダーウィンを演じた映画「Creation」が、トロント映画祭にオープニング上映されました。

映画のスチールはいろいろなサイトで見ることができます。

Times Online
http://entertainment.timesonline.co.uk/tol/arts_and_entertainment/film/article6838571.ece

The Guardian
http://www.guardian.co.uk/science/2009/feb/12/charles-darwin-rutherford

Cinemablend
http://www.cinemablend.com/new.php?id=12199

そこはかとなく、なつかしいですよね。
…私ははTimesonlineの写真がお気に入りです(ナマケモノだったらもっと良かったのにねぇ)。
海岸に海兵隊が整列している写真(Cinemablend)は、ビーグル号航海時のものでしょうか?
この航海は1831-36年、M&Cの時代から30年経って、軍服も多少変化しているように思います。
ダーウィンの妻エマを演じるのは、実生活でもベタニーの伴侶であるジェニファー・コネリー、
この二人の絶妙な呼吸も楽しみです。

ところで、この映画は今、思わぬことで注目を集めています。
実は、アメリカでの公開のめどがたたないのです。
米国内キリスト教保守派の抵抗が根強く、興行として成り立たない可能性が高いため、米国での配給会社がつかないのだとか。
何故なら米国でダーウィンの進化論を信じている人は未だ39%、人類は猿から進化したというダーウィンの理論は神による天地創造を否定するものだとして、学校でも教えられていないのだとか。
世界の最先端技術を持ち、自由の国といわれるアメリカで起きた問題であるため、海外むけニュースで大きくとりあげられ、各国で話題を呼んでいるのでした。

アメリカのキリスト教徒の一部に保守派がいるという話は聞いていましたが、カトリックの総本山バチカンが昨年、大司教声明で「進化論と聖書のメッセージの間に相反するところはまったくない」との見解を示しているのに、ここまでかたくなに聴く耳を持たないというのはどういうものなのでしょうか?

米ノートン社のパトリック・オブライアン・フォーラム(掲示板)参加者は、この作品を見てみたいという人が多く、あまりにも宗教的すぎるアメリカ社会を嘆く声も聞かれます。
ヨーロッパでは、この映画を製作したイギリスはもちろん、カトリック国イタリアでも何の抵抗なく映画は公開されるそうです。
この問題に関する限り、旧大陸(ヨーロッパ)の方がリベラルで、自由の新天地新大陸(アメリカ)の方が保守的というのは、極東に住む不まじめ仏教徒の私には何とも不思議なことに見えます。


2009年09月20日(日)
Bay of Edo:150年前の海図

この連休、横浜開港150周年記念イベントの一つとして、横濱地図博覧会が、横浜港の赤レンガ倉庫で開催されます。

この博覧会に、1858年にアメリカより来航したペリー艦隊が作成した江戸湾の海図「Bay of Edo」が展示されます。
150年前にどのような海図が描かれたのか、興味津々。

「横濱地図博覧会 2009」
日時:2009年9月22日(火)-25日(金) 11:00-20:00
    【最終日(9月25日(金))は17:00まで、最終入場は16:30まで】

場所:赤レンガ倉庫1号館2F
    JR・市営地下鉄「桜木町駅」より汽車道経由で徒歩約15分
    JR・市営地下鉄「関内駅」より徒歩約15分
    みなとみらい線「馬車道駅」または「日本大通り駅」より徒歩約6分

詳細は下記
横濱地図博覧会 2009 http://chizuhaku.com/


2009年09月13日(日)
新宿小田急帆船模型展、いってきました!

新宿小田急、ザ・ロープ帆船模型展、仕事帰りに寄ってきました。

ボライソー・ファンのみなさま>ファラロープ号が待ってます!
模型ではなくて、レリーフですけれど、

リチャード・ボライソーにとってのファラロープ号とハイペリオン号は、ジャックにとってのサプライズ号のような存在ですが、サプライズ号と異なりファラロープ号は実在艦ではないので、よもやまさか展示リストにその名があるとは…。
リストに名前を見て、ドキン!と心臓はねあがって、会場内を一生懸命探してしまったという…この年齢になって、私もまだまだみぃはぁ(いやまぁ最初にファラロープ号の物語を読んだ時には私だって女子大生だったのだけれども)。

デパートの画廊での展示会ということで、ジオラマや洋上模型、カットモデルなどの展示が多いのも特徴。
でも画廊なので、写真を撮ることができません(泣)。
1792年建造の仏艦ル・フルローンのシアが綺麗なんですよね〜、これを艦尾から写真に撮りたかったです。

友情出演なのでしょうか? 勢古宗昭先生の海洋画も展示されています。
展示作品と歩をそろえるように、日本丸、大成丸…、それから英国戦列艦隊を描いた作品群、スタンスルを張り増したカティ・サーク号。
これを一同に見ることができるなんて!

18-19世紀のあの時代の英国艦は、小型艦が数多く展示されています。お正月の伊東屋の展示会ではフリゲートが多いのですが、今回は多種多様なスループ艦やカッター艦が。

正面奥には、これは伊東屋の展示会でもおなじみの白井氏の1/48ビクトリー号。

東インド会社船ファルモスや、ゴールデン・ハインド号のカットモデルなどもあり、
私のように、船というよりは物語を通して船を見る者には、いろいろと参考になる展示会でした。

この週末、または月曜火曜の仕事帰りに皆様もぜひぜひ!。


2009年09月11日(金)
【至急報】帆船模型展in新宿&お台場

お知らせが遅くなって申し訳ありません。

木製帆船模型同好会ザ・ロープの帆船模型展が、明日から新宿の小田急百貨店で、20日からは船の科学館で開催されるとのことです。
新宿の小田急百貨店はアクセスも容易ですし、夜20時まで開いていますから、お仕事帰りにちょっと立ち寄られてはいかがでしょう。

木製帆船模型同好会 ザ・ロープのHP
http://www.geocities.jp/therope1204/

9月9日(水)〜9月15日(火)。
小田急百貨店 新宿店 本館10階 美術画廊・アートサロン 10:00〜20:00(最終日は13:00まで)
小田急百貨店催物案内 http://www.odakyu-dept.co.jp/shinjuku/event/index.html

9月20日(日)〜9月27日(日)
船の科学館 3階マリタイムサルーン 10:00〜17:00(最終日は14:00まで)
船の科学館ニュース http://www.funenokagakukan.or.jp/news/?p=330


2009年09月08日(火)
13才の少女の単独航海

米国のパトリック・オブライアン・フォーラム(掲示板)で先週末に話題になっていた記事です。
ヨットで単独航海に出る予定の13才の少女をめぐって、オランダではちょっとした騒動が、

Girl, 13, put into care for wanting to sail solo around the world
http://www.guardian.co.uk/world/2009/aug/28/laura-dekker-solo-sail-court
英ガーディアン紙2009.08.28

オランダの児童保護局は裁判所の判断を受け、13才の少女ローラ・デッカーを2ヶ月間留め置くことにした。
彼女はヨットで単独世界一周航海に出ようとしていたが、ソーシャル・ワーカーは、「彼女は若すぎて世界一周の旅の危険性を正しく把握していない。13才の少女を長期間一人にすべきではない」と判断して裁判所に引き留めの判断を求めたものである。

ローラはヨットで世界一周中の両親の間に生まれ、4才まで海の上で育った。6才からヨットに乗り始め、10才で単独航海していた。
今年の5月、英国ローストフト港の警察は一人でオランダから航海してきた彼女を発見・保護し、父親に迎えに来るように言った。父親は「彼女は一人でオランダに帰れる」と答えたが、警察は認めず、結局、父は飛行機に乗って英国にローラを迎えに来ることになった。

英国では先月17才の少年マイク・パーファムがヨット単独世界一周を達成したばかり、パーファムは14才で大西洋を単独横断している。
コメントを求められたパーファムは、「13、14という年齢は数字に過ぎない。彼女のそれだけの実力があれば大丈夫だと思うけれども、大丈夫だろうか?」と答えている。


まぁ200年前なら、13才の候補生は一人前なのですが、今は成人年齢が上がっていますから。
裁判所の判断には、ローティーンが長期間一人で航海することの、心理学的影響を案じた心理学者のコメントもついています。
いろいろとおおごとになっているようです。
日本ではもちろん、こんなこと言語道断なのでしょうけれども、
ヨーロッパでも意外と厳しいんですね。

海洋小説を読み慣れていると、北海横断に親の付き添いが必要というのは、ちょっと騒ぎすぎではないかと思わないでもありません。
アーサー・ランサムに、子供たちだけで北海横断をしてしまう話があるでしょう? 今回のローラとは逆コースで。
あれはアクシデントで、本来は北海を渡るつもりではなかったのですが、でも結果としての評価は「よくやった」という好ましいもので、なにより、本として出版されて世界の人に読みつがれていますものね。
あれは1930年代の話ですが、当時の価値観はここまで神経質ではなかったということなのでしょう。

オブライアン・フォーラムには「本人が望んでいるのだから、とりあえず、アイルランドまで一人で航海させてみたら」という意見がのっていました。
いきなり世界一周というのはあまりに乱暴だし、世界一周だと考えるからおおごとになるのでしょうけれど、
少しずつ行けるところまで様子を見ながら進んでいくというのもひとつの手なのかもしれません。


明日6日は遠出をするため、更新はありません。


2009年09月05日(土)