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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
今年もお世話になりました

今年も一年間、お世話になりました。
細々ながらもサイトの運営を続けてこれたのは、皆様のおかげと感謝しています。

今年いちばん嬉しかったのは、海事・歴史考証でちょろっとお手伝いをさせていただいた新書館WINGコミックスの「コランタン号の航海」の連載続行を教えていただいた時でした。
来年春頃から第二話の連載が始まるそうです。
2008年も新たな楽しみが続きますね。

ボライソーの最新29巻も2008年うちには刊行になるでしょうか?
従来よりちょっと薄目ですが、27巻でお馴染みのメンバーが活躍します。
個人的に嬉しいのは、ミスタ・トルーブリッジ(なかなか気がきくビートンの副官)が続投になることでしょうか?
その他にもいろいろ、語りたいことはあるのですが、未刊本のねたばれは出来ませんので、今は翻訳を楽しみにお待ちください!とのみ。

新年のお知らせは、恒例の伊東屋帆船模型展になるのではと思います。
新しい年もまたよろしくお願い申し上げます。


2007年12月31日(月)
「ギャラクティカ」放映23日

スーパードラマTVがご覧になれる方>
明日23日午後9時から、「バトルスター・ギャラクティカ」の放映が開始になります。

「ホーンブロワー」(TV版)でホレイショの親友アーチー・ケネディを演じたジェイミー・バンバーが主要キャストで出演…ということで、
以前WOWOWでスペシャル版が放映された時に友人に録画してもらって見たのですが、
ジェイミーに限らず、実力派揃いのキャストと、緊迫したストーリー展開に、すっかり引き込まれてしまいました。

放映スケジュール
「バトルスター・ギャラクティカ 序章」(ドラマスペシャル)
12月23日(日)19:00〜22:30

「バトルスター・ギャラクティカ」(シリーズ・ドラマ)
2008年1月9日(水)スタート
毎週水曜22:00、土曜14:00、日曜22:00、月曜12:00&24:00

いずれもスーパー・ドラマTV

タイトルを見て「おや?」とお思いになった方もあるかと思いますが、これは1981年に日本テレビ・読売系で放映されていたアメリカのSFテレビドラマ・シリーズ「宇宙空母ギャラクチカ」のリメイクです。
その昔81年の関東圏での放映は日曜夜20:00〜だったようですが(NHK大河ドラマの裏番組だったので、私は見ておりませんわ)
もっとも81年と言えば私もまだ海洋小説の魅力を知る前でしたから、今ほど引き込まれたかどうかはわかりませんが。

海洋小説の魅力というのは人それぞれですから、読み方も異なると思いますが、
船という逃げ場のない閉鎖空間での、危機下の濃密な人間ドラマ…という点で、海洋小説の魅力とギャラクティカの魅力は、私の中では共通のものです。ついでに言えば、ファースト・ガンダムとガンダムSEEDの魅力とも。

宇宙に散在する移民惑星に人類が暮らす遠い未来、元は人間に開発された人工知能サイロンが反乱を起こし、惑星カプリカに暮らす人類に総攻撃を加える。
ネットワークにリンクしていた軍の各宇宙戦艦が、侵入したウィルスに制御を乗っ取られ壊滅する中、旧型ゆえにネットワーク・リンク不可能だった宇宙空母ギャラクティカだけが唯一の残存艦となり、核攻撃を受けた地上から脱出してきた難民船を護衛して、さらなる攻撃をかわしながら、はるか故郷の地球をめざして逃げていく…というのが、ストーリーの大筋ですが、

ギャラクティアは老朽艦で、艦長ともども退役が決まっていた。
サイロンの総攻撃は退役記念式典の日で、総司令部と首都の中央政府が真っ先に壊滅したので、本来は退役する筈の老艦長が残された軍の総司令官とならざるをえず、病から辞任を考えていた教育庁長官が大統領に就任せざるをえず、
ジェイミー・バンバー演じる飛行隊長リー・アダマは、弟の事故死以来対立していた父ウィリアム・アダマ老艦長の指揮下に入らざるをえず(本来は別の指揮系統下にあるのだけれど、非常事態で父が総司令官になってしまったので)、さらに着艦したギャラクティカには弟の婚約者だったパイロットのカーラはいるわ…、そのカーラは副艦長のソウル・タイと対立していて、タイ副艦長はアルコールに耽溺するきらいがあって…、
…などなど、とにかく個人的にも問題山積の中、無いものづくしの老朽艦で、逃げ延びた人類を護衛して何とか地球までたどりつかなければならない…という極限状態の人間ドラマが、私には魅力的なのですが。

…と言いつつ、私の家ではスーパードラマTVは受信できないので。
まぁTV放映になれば、いずれ日本版DVDは発売になるものと、期待しています。

ストーリーや登場人物の詳細は下記をご参照ください。
スーパードラマTVを受信できる方は是非、おすすめです。

ギャラクティカ・ストーリーについて
http://www.superdramatv.com/line/galactica/story/index.html

ギャラクティカ。登場人物について
http://www.superdramatv.com/line/galactica/cast/index.html


2007年12月22日(土)
レパード号と同じ目に遭った客船の話

南極海で、氷山クルーズの客船が氷山に衝突して沈没…というニュース、私は米国のパトリック・オブライアン・フォーラム(掲示板)で知りました。

南極海で客船浸水事故、別の客船が現場で救助開始(日本語)
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/accidents/2316143/2386954
南極海の客船浸水事故、乗員乗客全員を救助(日本語)
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/accidents/2316266/2388124

日本では全く報道されていませんし、私も最初は事情が事情(5巻のレパード号と同じ)だからオブライアン・フォーラムで話題になっているかと思ったら、英米ではけっこうなニュースで、新聞の一面にも出たりしているんですね。
乗っていた乗客の多くがアメリカ人だったという事情もあるのかもしれませんが、

…と思っていたら、土曜日にアメリカの知人から届いたクリマスマスカードに、「沈んだ船は私たち家族がガラパゴスと北極のツァーで乗った思い出の船だった。私たちにも残念だ」と書いてあって、あらまぁと思いました。
そのご一家は、つい2〜3年前もカムチャツカ夏の船旅ツァー(小樽発着)のために東京トランジットで札幌に行くというので、ちらっと東京でお会いしたのですが、アメリカには結構、アドベンチャー船旅ツァーというのがあって、いろいろと面白い企画があるらしいんです。

ベーリング海とかカムチャツカ半島とかはきっと手つかずの雄大な自然が残っている筈で、日本はこんなに近いのに、そういう船旅企画は全くなくて、アメリカにはある、というのが何だかなぁと思って(それも小樽発着なんて!)
イギリスにはもっといろいろあるんでしょうけど、やっぱりアングロ・サクソンには海の冒険の伝統があるというか。
彼らがガラパゴスで利用した船旅ツァーはこちら(今回沈んだ船は、既に他の会社に所有が移っていたそうですが)
Lindblad Expeditions(英語)
http://www.expeditions.com/index.asp

この会社、ナショナル・ジオグラフィックと提携しているようですし、野生生物見学のオプショナル・ツァーなどもきっとしっかりしているんでしょうね。こういう博物学的なところも、アングロサクソン的伝統だったりしますから。
私がオーストラリアのグレートバリアリーフで利用した日帰りクルーズにバード・ウォッチング・ツァーというオプショナルがついてたんですが、これで、わずかな時間でしたけど素敵なマチュリン先生体験をさせていただいた経験があって。

先日のSalty Friends講演会で、地中海のセイル・トレーニングを体験してらしたQさんが、外国企画のセイル・トレーニング・ツァーに参加してみる面白さを語っていらっしゃいましたが、この手の博物学的アドベンチャー船旅ツァーも、哀しいかな日本には企画がありませんので、外国企画に乗るしかないのかもしれません。

…と言っても、こういう船旅は、長期バカンスが確保できる欧米人向けなので2週間とか長期のものが多く、夏休みをとるのにも苦労する日本の勤務態勢では、勤めている限りは実質不可能…だからきっと日本人向けのこういう企画は無いんでしょうね、きっと。
私にもこれは夢でしかありませんが、でも上のLindbladのHP,ガラパゴスとかの写真が綺麗で、参考書籍の紹介などもあるので、見るだけでも楽しめます。
世の中にはこういう世界もあるんですよ…ってことで。
ここの地中海クルーズは帆船ですって…いぃなぁぁ。


2007年12月16日(日)
12日はサン・ファン・バウティスタ

宮城県石巻市に、サン・ファン・バウティスタという17世紀の復元帆船が係留されています。
伊達政宗が17世紀に建造し、支倉常長をローマに派遣した木造洋式帆船を復元したものですが、
今度の水曜日のNHK「その時、歴史が動いた」は、この慶長遣欧使節団の話のようですよ。

伊達政宗、ヨーロッパに賭けた夢
平成19年12月12日 (水) 22:00〜22:43 NHK地上波総合
http://www.nhk.or.jp/sonotoki/sonotoki_yotei.html

サン・ファン・バウティスタ・ミュージアム
http://light.wing2.jp/senbonzakura/01sendai/kennai/sanfan/sanfan.htm

楽しみですね。
Tさま>情報ありがとうございました。


2007年12月09日(日)
カティーサーク、復活へ

今年5月21日の炎上から半年。11月22日の英国BBCニュースで、カティーサーク号復元のその後が紹介されました。
…というニュースが、米国パトリック・オブライアン・フォーラム(掲示板)で紹介されていました。
2週間遅れとなってしまいましたが、この記事をご紹介します。
記事のタイトルは「Cutty Sark rises from the ashes」…日本語訳だと「焼け跡から蘇るカティーサーク」?
原文URL http://newsvote.bbc.co.uk/1/hi/uk/7105813.stm

カティーサーク号は現在、復元作業中です。
9月頃に、復元可能かどうか調査中という記事をご紹介したあと、調査結果発表記事の発見を私はミスってしまったようですが(すみません)、結論から言うと、「異なる部材から構成された複合構造が幸いして、カティーサークの復元は可能」との結論が出たとのこと。

火災時の熱は1,000度に達したものの、鋼鉄製のフレームにチーク材の外板という複合構造がカティーサークを救ったようです。
専門家いわく、完全な鋼鉄船であれば火災時の熱で部材が変形し、復元は不可能だっただろう。木造船であれば、フレームまで完全に焼け落ち、全てが失われてしまっただろう、外板が木製であったおかげで、鋼鉄製フレームの変形はミリ単位の修正で済んだ、とのこと。
木造甲板の一部は焼け落ちてしまいましたが、この部分は腐食がひどく、元から張り替える予定だったところ。
外板、甲板の50%と様々な艤装は火災前に取り外されチャタムの工廠に保管されていたことから、建造当初の部材のうちこの火災で失われたのはわずか5%で済んだのだそうです。

現在の問題は復元費用。
この火災事故のために、900万ポンド(20億7000万円)の追加補修費用が発生、火災の直後に全世界から120万ポンド(2億7600万円)の寄付金が寄せられたものの、現在まだ500万ポンド(11億5000万円)が不足しているとのことです。
このため映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」のスタッフが、11月23日にグリニッジのカティーサーク号復元現場前でチャリティ・イベントを企画、様々な品がチャリティ・オークションに出品されたとのこと。
この映画を作成したディズニーの担当者いわく、カティーサークはロンドンのみならず、英国と世界の海の歴史に大切な船、過去の栄光を取り戻す、という点でカティサークとブラック・パールは共通点がある、のだとか。
このニュースは、やはりBBC、
http://www.bbc.co.uk/london/content/articles/2007/11/27/greenwich_pirates_feature.shtml
と、ザ・ガーディアン紙
http://arts.guardian.co.uk/art/heritage/story/0,,2215013,00.html#article_continue
から。


2007年12月08日(土)
海と空のビール

先週は失礼いたしました。
例のスコティッシュ・パブには、スコットランド以外にもいろいろ面白い瓶ビールがあって、



「サグレス」もちろん、ポルトガルのビール。
軽い味のピルスナーです。
でもお店のお勘定のレシートに、これが「ザクレス」って印刷されていた。
いや、あの帆船が地元でもサグレスなんだから、サがザになることはないと思うけど、これどうなんでしょうか?



「スピットファイア」もちろん、イギリスのビールです。
私がたのんだのではないので、味はわかりません。
ヒコーキお好きな方は是非。


2007年12月07日(金)
酔いどれ水夫の報告とお詫び

本日は、船の科学館でのSalty Friends講演会を聴講に行ってまいりました。
大河原氏の航海術の講演は、天測にテーマを絞ったもので
空(星と太陽)と海と船のお話でした。
大洋上の自船の位置(緯度経度)を知るための古代からの智恵について、

太陽高度を測定する方法は、M&Cの映画にもでてきましたし有名ですが、オリオン座の三つ星を使って真東や真西を知る方法や、北斗七星を使って現在時間を知る方法などは、なるほどと思いました。
あれだけ星と太陽を身近に日々を暮らしていたら、世界とのつきあい方が変わるのかもしれない…とも思ったり、

Salty Friendsスタッフの方の地中海ヨットレース紀行は、世界各国からのトレイニーが集まる船での生活のお話が面白かったですが、むかしの海洋小説ファンとしては、帆船の集結するバルセロナ港だとか、ツーロン港の昔の砲台とかの写真を見せていただくと、思わず「うわぁ〜」と想像が広がってしまったり、
楽しい講演会でした。Salty Friendsのスタッフの皆様、本当にありがとうございました。

…今週のニュースはあまり急ぎのものでもありませんので、来週まわしということでご堪忍ください。
ぢつは講演会のあと、銀座のスコティッシュ・パブで飲み会に流れ込み、酔いどれ水夫となって先ほど帰宅いたしました。
ちょっとこれから英語を訳すのはムリですので、お許しくださいませ。


2007年12月02日(日)