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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
王立地理協会の若者向けキャンプでの事故

パトリック・オブライアン・フォーラムで、話題になっていた英国のニュースです。

英国王立地理協会の基金でノルウェーのスピッツベルゲン島で行われている「若者のための夏の北極探検キャンプ」に参加した17才の少年が、シロクマに襲われて命を落としたということです。

Polar bear kills young British adventurer in Norway
http://www.guardian.co.uk/world/2011/aug/05/polar-bear-mauls-british-death?INTCMP=ILCNETTXT3487

この記事がオブライアン・フォーラムで話題になるのは、かつてネルソン提督が士官候補生時代にシロクマに遭遇したエピソードに由来するものと思われますが、

私がこの記事を読んで思ったことは、これは他人ごとではないな、でした。
シロクマは突如、キャンプに乱入して来たようですが、スピッツベルゲン島では最近、住民の居住エリアに出没するクマが増えたというのです。気候変動で十分に餌を得られないクマが、人里に食べものを求めてやってくる…シロクマをツキノワグマやヒグマに入れ替えたら日本でも毎年のように起きている事件でしょう。

今回、シロクマはいきなりキャンプに入ってきてテントを襲ったということです。
そこには食べ物があるとわかっていたのだと思います。

王立地理協会が英国の若者たちのために行うキャンプの目的は「人里離れた手つかずの自然環境の中で、自立心を養う」ことだったそうです。
英国のアドベンチャー精神は今でも健在なのだな、と感心するとともに、王立地理協会がこのようなキャンプを行っていることを好ましく思いますが、今回は気候変動が予想外の事故を呼んでしまったということなのでしょう。
もっとも先ほども書いたように、このような事故は、日本でも容易に起こることなので、事故そのものにはあまり驚きませんが、狭い日本ではクマの出る可能性のあるところには警告の看板があらかじめ出ているものの、人里離れた手つかずのスピッツベルゲンの自然環境ではそれは無理だろうな…と。

ともあれいろいろなところで、自然と人間のバランスが崩れてきているのは確かなようです。


2011年08月14日(日)