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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
まだらのディック

今週はニュースがありませんので、不本意ながら(笑)ひじょーにくだらないネタをお蔵出しいたします。

これをオブライアンフォーラム(掲示板)で読んだ時には笑ったのですが、あまりにアホかしらんと思って、ご紹介せずじまいになっていたもの…と言ってもネタ元は天下のBBCニュースなのですが、

Spotted Dick back to council menu(斑点のあるディック、メニューに戻る)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/wales/north_east/8270460.stm

英国ウェールズのFlintshire郡役所の食堂では、メニューから消えた「斑点のあるディック」が、再びメニューに戻ることとなった。
市民からの投書により、2週間前、郡はメニューに載せられた「斑点のあるディック」という名のプディングを、「サルタナ・プディング」または「斑点のあるリチャード」と改名したのである。

spotted dickというのは、ジャックの好物としてM&Cにも登場するスエット・プディング。
M&Cにはspotted dog(斑のある犬)という名前で、艦での晩餐シーンなどに登場します。dick も dog も異名のようで、いずれもspotted dough(斑点のある練り粉)が訛ったものようです。
小麦粉に砂糖とナツメグ、シナモン、干し葡萄を加え、これをスエット(牛脂…すき焼きの時についてくる白いあぶらの固まり)で練り、茶巾のようにふきんに包んでゆでたものですが、干しぶどうが斑点のように見えることから、「斑点のある練り粉 spotted dough」と呼ばれます。
ウェールズのこの地方では「ドッグ」ではなく、伝統的に「ディック」と訛っているようです。

「斑点のあるディック→あばたのディック」というのは失礼な名前ではないか!これを郡役所の食堂に置くのはどうか?という投書が郡役所に寄せられ、郡はこれに対処し、役所内の食堂のメニューを改名しました。
ところが、「伝統的にディックなのだから、ディックで良いではないか」という苦情が殺到し、郡は2週間後にメニュー名をもとにもどした…というのですが、

これがオブライアン・フォーラムで話題になったのは、もちろん、このプディングがジャックの好物だからなのですが、
日本人的にはピンと来るような来ないような。

わからないのは、「サルタナ(葡萄の一種)・プディング」はともかく「あばたのリチャードSpotted Richard」は問題ないと考えられているところなんですが。
確かにディックはリチャードの愛称ですが、だったら「あばたのリチャード」ってもっと失礼だと思いませんか?
このあたりが今ひとつピンとこないんですよね。

でも改名したら苦情が殺到というのは、わかるような気がします。
以前に、関西の公的機関で職員が「おおきに」と言っていた挨拶を「ありがとうございます」と標準語に直す指導をしたところ、市民には大変不評で、「おおきに」に戻った…という話を聞いたことがあるのですが、それと同じような感じでしょうか?

最近、テレビドラマは放送禁止用語に苦労しているようですが、時代劇などは言葉がその時代に密接に結びついているものもあり、なかなか難しいもののようです。


2009年10月12日(月)