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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
まったくもって海の男ってヤツは…「海猿」ねたばれ無し

まったくもって「海の男」って奴は、目の色が青かろうが黒かろうが、どうしてこう…(ため息)
外国の海の男ばかり追いかけているのも何かと思い「海猿」行ってきました。

それで上記のような感想を持ったわけで。
ったくコト酒と女と喧嘩に関する限り、海の男って奴は…、間にユーラシア大陸がはさまろうが、200年の歳月が流れようが、全くもって同じパターンにしかならないのね…とほほ。

でもどちらかというと、この「海猿」、アメリカン・テイストかもしれません。
ロイヤル・ネイビー(英国海軍)というよりUSネイビー(米海軍)、友人が「トップガン+ザ・ダイバー+愛と青春の旅立ち」と評していました。
伊藤英明が、「トップガン」で言えば、トム・クルーズで、海東健がバル・キルマー。
「クッサ〜い!」という今やちょっとレトロな形容詞がぴったりの、懐かしの80年代テイスト…と、もはや若くないオバサン(私)は思ってしまったのですが、今の20代の皆様はこの映画をどう感じるの?

今みてると、思わずこっちが恥ずかしくなっちゃうようなクサい友情…80年代のドラマや映画にはよくありましたけど(笑)。当時は大好きでしたけど。今は、うわ〜赤面してしまう〜。でもやっぱり…いい…かも、このクサさ。
考えてみればこの映画の監督やプロデューサーって、私はほぼ同世代なのですね。10代にクサい刑事ドラマ見て育って、青春時代に「トップガン」見た世代、だからこういう映画になるのでしょうか。

しかし真面目な話、海の男の絆というものが、どこの国の何時の時代だろうと、結局同じような形に落ち着くのは、やはり「板子一枚下は地獄」という厳しい海の自然の中で、助け合わなければ生き残れない…という環境からくるのでしょう。
ましてや「海猿」の場合は、酸素ボンベが無ければ絶対に人間が生きられない、海中という世界の物語なのですから。

人の命をいとも簡単に奪うことの出来る「海」の怖さ、という点で言えば、この映画はそれが良く描かれていると思います。
こちらに恐怖を感じされる描写のうまさ(「手」がとても効果的です)は、大味なアメリカン・テイストには無い、繊細な日本人の感性かもしれません。このような描写は英国の海洋小説にはよくあるのですが(ユリシーズ号のとろりとした水面とか、リーマンの描く隔壁を叩く音とか)、映画でお目にかかるのは初めてかと。
CGなど何も使わなくても、あのホーン岬の荒れる海より、心理的に怖い海を感じることができました。

そうそう、この映画も、音響の良い映画館で見てくださいね。
あなたも本当に、海の中にいるような気分になれます。そして、知らないうちにダイバーたちと同じペースで呼吸するようになり、最後には息苦しくなるのでした(苦笑)。


2004年07月03日(土)