2005年01月03日(月)  英国旅行8日目 妻・母・長女の家と財布とシーザー

■5つあるShakespeare Houseのひとつ、シェイクスピアの妻、Ann Hathewayの家は宿泊先のHeron Lodgeから歩いて10分ほどの緑の中にある。木の上を走り回るリスを見上げながら10時の開館を待つ。「シェークスピアも興味ないのに、妻の家を見せられてもねえ」とダンナは渋々お付き合い。シェークスピアは結婚前、現在タウンセンターにある生家から徒歩でここまで通っていたそう。わたしたちは昨日Ann Hatheway Houseからタウンセンターへ抜けたのだが、もしかしたら同じ道を歩いたのだろうか。「シェイクスピアとアンが会うときは必ずアンの家族の目があったが、なぜか結婚したときアンはすでに身ごもっていた」らしい。ここは庭が素敵で、寄付した人のメッセージ("Eternity is in your lips and eyes""I loved nothing in the world so well as you"など詩のようなフレーズも)が刻まれたベンチや彫刻や植え込みでできた迷路などが上品に配置されている。これらは最近の試みのよう。■ギフトショップで買い物しようとして、トラブル発覚。財布がない!あわててHeron Lodgeに戻ると、部屋にもない。最後に使ったのは、昨日タクシーで宿に戻ったときだから、落としたとしたらタクシーの中。ベルを鳴らし、ChrisとBobに助けを求めると、ストラットフォード中のタクシー会社に電話してくれるが、答えはことごとくNO。ところが最後に警察に電話したBobが「Fantastic!」と叫んだ。なんとわたしたちの後に乗った乗客が車内で拾って届けてくれたらしい。警察署に現れたわたしを見るなり、窓口の女性が「あなたがラッキーレディーね」とにっこり。クレジットカードに顔写真が入っているおかげで本人確認もスムーズ。届けてくれた親切な人の住所と電話番号を聞き、電話でThank youと伝えると、良かったと喜んでくれる。お礼なんていりませんよと遠慮されたが、日本から何か送ろうと思う。ほっとしたらおなかがすいて、EDWARD MOONでスープとビーンライスをもりもり食べる。綾戸智絵風な元気笑顔のウェイトレスさんがとてもいい感じ。■バンクホリデーなので今日もパブリックバスは走っていない。シェイクスピアハウスを解説付きで巡回する観光バスを使うしかないが、£8もするくせに解説の日本語はコピー的にもナレーション的にも改善の余地大いにあり。「妻の家も興味ないけど、お母さんの家もねー」とぼやくダンナを引きつれ、郊外にあるMary Arden's Houseへ。タウンセンターに戻り、「今度は長女夫妻ですかい?」。長女の夫は外科医で、当時の医療器具やカルテも展示されている。このハウスに併設されたティールームはとてもいい雰囲気なのだが、4時でclosed。残念。■近くに教会があるので行ってみると、ここにシェイクスピアが眠っているという。妻のアンや母のメアリーの名前もある。高い天井、ステンドグラス、閉館前で他に訪問客はいない。あなたの今日のdonationもTSUNAMIで被害に遭った人に届けられますよと案内の男性。どこの教会へ行っても「TSUNAMI DISASTER」への募金と理解を呼びかけている。「正面は鍵閉めちゃったから、こっちから出て」とおばちゃんが先導してくれ、立派な教会とギャップの事務室のようなところを抜けて裏口に出る。「バックステージを見られてラッキー」と言うと、おばちゃんは笑っていた。
■昨日一昨日に比べると今日は人出が多く、Avon川のほとりを散歩する人の姿も目立つ。シェークスピア気分が高まり、「今夜はシェイクスピア劇に挑戦しよう」。「Caesar」のチケットを求めると、立見しか空いていないが£5だと言うので購入。劇場のSwan TheaterはRoyal Shakespeare Theaterの隣。ここには小さなミュージアムがあり、過去の公演で使われた衣装が展示されているが、点数は少ない。川の近くのダイナーで腹ごしらえ。カウンターでテーブル番号を伝えて注文するスタイルだが、チップの煩わしさもなく、長居出来た。ここも店員さんはウェルカムな感じ。さて、Caesarは予想を裏切り、ウエストサイド物語の決闘シーンのような衣装とライティングで幕開け。ダンスが始まるのではと期待させたが、ひたすら台詞、台詞。元ネタがよくわかっていない上に現代風にアレンジしているので、わけがわからない。聞き取れるのは「シーザー!」だけ、と思ったら、もうひとつ、「ブルータス!」も出てきた。この状況で、バーにつかまっての立ち見もキツイ。客席を見回すと、皆腕を組み、神妙な顔つき。退屈しているのか反芻しているのか。と、万雷の拍手。すばらしーというより、やっと終わったーと聞こえる。1時間半かけて第一部が終了したのだが、見続ける体力はなく劇場を出る。£5のチケットに未練なし。
■パスタが食べたくなり、CAFFE UNOというイタリアンへ。二人合わせて大人一人分の小柄なわたしたちはどの店に行っても「一皿をシェアします」と言うのだが、取り分け皿を出してくれるお店さえ稀なのに、この店は最初から二皿に盛ってきてくれた。「わたしもコレ、今日の夕食に食べたのよ」と言うウェイトレスにも好感。味も期待以上。

2004年01月03日(土)  庚申塚の猿田彦神社
2002年01月03日(木)  留守番


2005年01月02日(日)  英国旅行7日目 生家と古城とリモニー・スニケット

■「今日は日曜日なのでバスは走ってないよ」と言われ、電車でWarwick Castle(ウォーリック城)へ行くことに。Heron Lodgeからfootpath(小道のようなもの。あちこちに「footpath」の看板がある)を40分かけて散歩しながら10時前に駅に行くと、「次の電車は11時57分」と言う。待ち時間にShakespeare's Birth Place(シェークスピアの生家)を訪ねる。シェークスピア関連ミュージアム5館共通チケットは£13。別々に買うと£25.6。こっちのcombine ticketは割引率が大胆。ちなみにWarwickまでの往復切符と入場料のcombine ticketが£14で、入場料だけだと£13.5。■Shakespeare's Birth Placeではシェークスピアが暮らした時代をできるだけ再現。当初は手袋職人として生計を立てていたシェークスピアの工房も当時の風情を伝えている。「手袋職人は、いい仕事だったの?」「手に職があるというのはいつの時代もいいことですよ」といったやりとりがゲストと案内係の間で交わされている。とても小さなベッドに驚く。
■駅へ向かう途中でHathaway's Tea Room(Hathawayはシェイクスピアの妻の旧姓)でクロワッサンザマンドとティーをテイクアウト。あわせて£1.85とリーズナブル。イートインもできるお店だが、ショーウィンドウに並んだパンやスイーツがそそる。何より驚いたのが、店番していた女の子たちが恐ろしくかわいかったこと。美人遭遇率の低いこの国で一度に三人の美少女が出現。顔立ちからすると東欧系かもしれない。結局、この旅で出会った美女ベスト3は彼女たちが占めることに。■電車の切符はFrom:Stratford To:Warwick Castleとなっている。Warwick Castleという駅があるのではなく入場券込みの意味だが、Warwick駅の手前にWarwick Parkway駅があり紛らわしい。日本のような親切な路線図が車内にあるわけでもなく、電車乗るのもドキドキ。約25分で着き、駅から10分ほど歩く。ただの城跡かと思いきや、見所満載でテーマパーク化しているWarwick城。有名なマダム・タッソーが蝋人形で再現した当時の優雅な暮らしは、蔵書3000冊のライブラリー、客人のためのベッドルーム、マダムたちが集うオリエンタル長の部屋……と何部屋にもわたり、見ごたえ十分。外では530段の階段を上り下りして要塞に上ったり、水車小屋のある川べりを散歩したり、Peacock Gardenで目の前をうろうろする孔雀に驚いたり、地下牢跡をのぞいて身震いしたり、中世の拷問道具の展示にギョッとしたり。一時間ごとに人形劇や大道芸(派手にお皿を割るヘタクソな兄ちゃんが愛嬌で勝負)があり、さらにお金を出せば占いや輪投げ、お化け屋敷にスケートリンクまである。カフェテリア形式のレストランの食事も動物園とは大違い。なんたってお城だし。野菜コロッケ風メニューがおいしそうだったので注文すると、レシートにはkid's menuと印字されていた。日曜日で電車が2〜3時間に1本しかなかったのだが、遊びきれないので5時間滞在。
■今夜のストラットフォードは芝居もなく、昨日以上にひとけはない。そんな中、妙ににぎわっているレストランVintnerに入ると、大当たり。対応よし味よし、アスパラとルッコラのバルサミコ酢&パルミジャーノ、ケイジャンチキン&アボカド、ほうれん草とリコッタチーズのラビオリをぺロリ。親切なウェイターが「この街にはcinemaがある」と隣の客に話しているのを聞きつけ、場所を教えてもらったのも収穫。
■映画館は、何度も通っている時計台前から少し奥まったところにあった。8:30からMarchant of VeniceまたはLimony Snicket's a series of Unfortunate Eventsの上映。シェイクスピアの里でベニスの商人を観るのも粋だけど、ジム・キャリーが怪しいオッサンになって三人の子どもたちをびびらせているポスターに惹かれて後者を選ぶ。ここでも一人£5.5。このLimony Snicketが掘り出し物。「げ、スクリーン間違えた?」と焦るような明るいアニメではじまり、「これはこれから上映する作品とは別物。ハッピーエンドがお好みなら、今からでも遅くないから他のスクリーンへどうぞ」と人を食ったナレーションが入る。主人公はBeaudelaireの三きょうだい、inventer(発明家)の姉Violet(Emily Browning)、reader(読書)の弟Klaus(Lian Aiken)、biter(何でもかじる!)の赤ちゃんの妹Sunny(Kara and Sherby Hoffman なぜ二人?)。 両親を失い、孤児になった三人は莫大な遺産を相続するが、それを狙うのがジム・キャリー演じる初代後見人Count Olaf。本気で子どもたちを殺そうとするし、2代目3代目後見人guardianにも容赦なく手を出すし、長女との偽装結婚まで企てるし、子ども相手に本気で立ち向かってくるのだが、きょうだいは発明したり本の知識を応用したり噛んだりしてピンチを乗り切る。はちゃめちゃのまま突っ走るのかと思いきや、ラストには泣ける手紙。あなたたちにはお互いがいる。どんなに小さくてもサンクチュアリを作ることは出来る。どんなときにも何かできることがある……。"There is something"は何度も出てくるフレーズ。絶望的に見える状況でも何かある、何かできる、と希望を失わない三人のたくましさに拍手。演技もブラボー。語り部リモニー役はジュード・ロウ、文法命の後見人Josephine役はメリル・ストリープと贅沢なキャスティング。クレジットロールの屏風調アニメも凝っていて、ビジュアル的にも楽しみが尽きない。わたしは知らなかったけど、原作のリモニー・スニケットは全世界で1800万部売れている人気シリーズなのだそう。映画の邦題は『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』。

2004年01月02日(金)  金持ちよりも人持ち
2002年01月02日(水)  パワーの源


2005年01月01日(土)  英国旅行6日目 嵐とプリンと美女と野獣

■ロンドンからシェイクスピアの故郷Stratford upon Avonへ行くには「Paddington駅から」とガイドブックに書いてあったので、Paddington発Stratford upon Avon着で列車を検索し、プリントアウトを持ってきた。乗換えがいっぱいで厄介だなあと思っていたら、乗換え1回というルート見っけ。London Paddington駅から地下鉄で2駅のLondon Marylbone駅へ行けば、あとは一本。地図で調べると、Marylboneは「ロンドンにいくつもある鉄道始発駅のひとつ」だとわかる。二日酔いのC君に直接駅まで送ってもらい、乗換えなしで終着駅のStratford upon Avonまで約2時間半。今夜から4泊するB&B、Heron Lodgeは駅をはさんでタウンセンターと反対側へ約1マイル。ご主人のBobに駅でピックアップしてもらい、宿に到着すると、夫人のChrisが温かいお茶とクッキーで迎えてくれる。
■外は強い風雨だが、傘を借り、タウンセンターまで歩く。雨の元旦ということで人出は少なく、開いている店もまばら(商店は5時で閉まることを後で知る)。だが、ロイヤルシェイクスピア劇場では今夜上演があると言う。窓口で「なるべく舞台に近い席」をお願いすると、前から3列目が空いていた。芝居前に腹ごしらえする客目当てのレストランが集まるSheep StreetのOppoという店で海鮮サラダとラザニアの夕食。イギリス料理にしては繊細な味つけ。バースより食事のレベルは高いのかも。調子に乗ってデザートも注文したら、甘さに卒倒しそうになる。
■7:15Beauty and Beast開演。黒いスーツとドレスに白塗りの顔の男女が客席側から舞台に上がり、呼吸を合わせてサングラスをかけ、スポットライトがONになる。かっこいいオープニング。このお芝居では彼らが黒衣とダンサーを兼ねる。対照的な白い衣装の男女8人が登場。お金持ちの夫婦と6人の子どもたち。長男は天文家を夢見る勉強バカ。次男はオリンピックを目指すスポーツバカ。三男は嫌われ者のただのバカ。長女は高望みな生意気娘。次女は物欲狂いの病気ちゃん。今度こそ、の望みを託されて生まれた三女は生まれたときに"Qu'est bella la Monde(世界は何て美しいの!)"と言ったことからBeautyと名づけられ、姿も心も美しい子に育つ。■舞台装置は極めてシンプルだが、想像力をかきたてる計算が尽くされている。母が亡くなり、父が事業に失敗し、召使つきの生活から一家が没落するシーンでは、天井から吊るされた7本のハンガーに父子がそれぞれの上着をかける。天井に引き上げられる上着を見上げる7人は客席に背を向けているが、もう手が届かない優雅な暮らしを惜しみ、行く末を案じる気持ちは、表情を見せないことでかえって伝わる。そして、自らが耕すことになる荒野へ向かう7人は、天井から吊るされた大きなブランコに乗り込む。ステージ上をスイングするブランコの上で力強く歌う父子。その下では沼地を表す茶色い布が張られ、布の下を動き回る黒衣の動きがぬかるみを表現。左右からパペットのウサギが現れると、"What's that?""Dinner!"と笑いを取ることも忘れない。ロープ使いといえば、道に迷ってBeastの屋敷に迷い込んだ父がBeautyのために摘むバラの花は、左右からピンと張られたロープの真ん中に咲いていた。Beastが天井から壁を這って登場したり、Beastの屋敷のMirror Roomの「鏡」を枠と黒衣のパントマイムで表現したのも面白かった。役者もレベルが高く、Beauty一家とBeastはもちろん、三枚目役のロボット召使(三男、長女が二役)のコミカルな演技も爆笑を誘っていた。■ディズニー映画のBeauty and Beastは大家族の設定でなかった気がするが、この舞台は、バラを摘んだのを見つかった父がBeastに「生きたまま食うぞ」と脅され、「さもなくば、Beautyという愛娘を差し出せ」と持ちかけられる。父の苦悩を知ったBeautyが自ら宮殿に乗り込み、Beastと心を通わせ、呪いを解く。感動的なストーリーだが、呪いが解けて人間の姿になったPrinceが立ち上がったとき、観客の目に最初に飛び込んだのが淋しい頭髪で、ちょっと夢がさめてしまった。大団円のウェディングパーティーの後、冒頭と同じく黒衣たちが舞台中央に集まり、ポーズを決め、サングラスをかけ、指で「オフ」の合図をするとライトが落ちる。その瞬間沸き起こる拍手の嵐にゾクゾク。シェークスピア作品ではないけど、さすがシェークスピア劇場!

2003年01月01日(水)  2003年の初仕事
2002年01月01日(火)  幸先
1999年01月01日(金)  テスト


2004年12月31日(金)  英国旅行5日目 ロイズとパブと年越し

■体に良さそうなスープとおいしいフランスパンの朝食で目覚める。イングリッシュ・ブレックファースト続きだったので新鮮。「ロイズに入れるチケットがあるんですが、興味ありますか」とC君。「そうですね。ひょっとしたら、欲しいものが見つかるかもしれないし」とダンナが神妙に言うと、「え? ロイズって保険の取引所」ですよ」とC君。ダンナは宝石屋だと勘違いしていたが、わたしも「レストラン?なわけないか」と思っていた。ロイズでは市場のように各保険会社がブースを出していて、そこで日々保険が売り買いされているそう。損害保険会社に勤めるC君は入管許可証を持っていて、家族や友人を同伴することもできるのだとか。「関係者以外立ち入り禁止」の館内に足を踏み入れ、グランドフロアを見学。アンダーライターと呼ばれる「書類にサインをする人」が待ち受けるブースの間をブローカーが顎を上げ、颯爽と歩き回っている。脇に抱えているのはPCではなく分厚い書類。デジタルではなくアナログなのだ。建物中央のエスカレーターはスケルトンになっていて、黄色い車輪が回っているのが見える。上層階にもブースはあるが、グランドフロアに出店するのがステータスなのだとか。行きかう人々の顔からは誇らしさが感じられ、大晦日だというのに活気に満ちている。ひときわ目を引く祠のようなものには、難破船から引き上げられたという鐘と、それを鳴らすための赤いローブをまとった老番人が佇み、荘厳さと風格を醸し出している。わたしの仕事とは縁遠い空気に包まれたこの場所に招き入れてくれた友人に感謝。
■イギリス紳士たち(最近ではもちろん女性も)はパブで一杯引っ掛けながら仕事を話をする。というわけでロイズのすぐ脇にあるDavyというパブへ。昼休みの11時を過ぎると、たちまち人でいっぱいに。席に着かず、立ち飲みの人がほとんど。今年の仕事納めということで「お疲れ様」の雰囲気が感じられるが、書類を広げて商談を進める紳士の姿も。食事はなかなかおいしく、レバノン料理のhoumosa(?)というヒヨコ豆とにんにくのペーストが最高。タバコと年月でセピア色に染まった壁、積み上げられた樽、ブーブクリコの空き瓶のロウソク立てもいい味を出していて、ノンアルコールでもいい気分。
■スーパーマーケットに立ち寄り、King's Roadを冷やかし、6時頃からY邸で夕食。夫婦二組で年越しするはずだったが、今朝、わたしの留学時代の同期だったN君から「ロンドンで働くことになり、一昨日からこっちで家探ししている」と電話があり、大晦日は一人きりだと言うので、C君I嬢に相談したところ、N君も混ぜてもらえることになった。I嬢の手料理に歓声を上げながら、よく食べ、よく飲み、よくしゃべる。N君は初対面のC君をいきなり指差し、「下唇が大きいから、あなたはグルメですね」と断言。N君とは高校時代からのつきあいだが、あんなに話す姿を見たのは初めて。とても楽しかったよう。ビッグベン時計大晦日ディナーテレビに映し出されたビッグベンが12時を指し、一同で「あけましておめでとう」。ロンドンの新名所となっている巨大観覧車ロンドン・アイ周辺で繰り広げられる花火が10分にわたって中継される。観覧車の周りを火が走ったりして大掛かり。■こちらのテレビは始終スマトラ沖地震の津波のその後を報道しているが、大晦日のニュースでも「皆さんが新年を祝っているこの瞬間も救いを求めている人々がいます」と時間を割く。新聞の一面も、連日、食料を求める家族連れや親を亡くした少女の写真が飾る。自分だけ幸せになれない、ならない、ということを強く意識させられるようになっている。日本でも同じような報道がされているのだろうか。悲劇は時間とともに忘れられるが、復興は根気と時間が要る、とレポーターは訴える。地震に遭った新潟の人々は、希望を持って年を越せただろうか。

2003年12月31日(水)  年賀状でペンだこ
2002年12月31日(火)  大掃除に救世主あらわる
2001年12月31日(月)  祈り
2000年12月31日(日)  2000年12月のおきらくレシピ


2004年12月30日(木)  英国旅行4日目 動物園と再会と中華

■朝食とホスピタリティが自慢のMarlborough Houseに別れを告げ、今日はロンドンへの移動日。だが、バースからロンドンとは逆方向行きの電車に乗り込む。ブリットレイルフレキシーパスは指定日中は乗り放題。いっぱい乗らなソン、と浪速のおばちゃん根性で、バースの隣の終着駅Bristol Muse駅で降り、Bristol見物することに。ところが駅に着いて「スーツケース預かってくれる場所は?」と尋ねると、「ない」と駅員さん。冗談かと思ったら「We can't trust tourists anymore」とマジな返事。荷物に爆発物が入っているかもしれぬ、というテロへの警戒心なのか。さて困った。美しい港やつり橋があるらしいが、でかいスーツケース転がして行くわけにもいかない。仕方なく、2004年のzoo of the yearに選ばれたBristol Garden Zooだけ見ることに。バス(一律£1.1 一日券£2.9)
■入場券(£9.5)を買って「スーツケース預かって」と言うと、窓口のおじさんは呆れ顔で首を振る。「じゃあこれ転がして檻の間歩くしかないの?」と言うと、事務室で預かってくれることに。ドイツの動物園と似た印象で、日本のものに比べて檻が開放的。鳥などは檻の外を歩き回っていたりする。便器の中に蜘蛛を展示していたり、見せ方も面白い。ところどころに「フラミンゴみたいに片足で何秒立てるかな」といったzoolympicの立て札があり、楽しませてくれる。大人が子どもたちに動物の説明をしている姿がほほえましい。Aye-Ayeという種類のおサルさんがいて、みんなが「アイアイだー」とはしゃいでいた。「アイアイ アイアイ おサルさんだよー♪」のアイアイはこいつだったのか、と感激。ゴキブリの展示もあって「この大きな種類のゴキブリは迫力があるので映画やテレビの撮影に引っ張りだこ」なんてマジメな解説がついている。
■Paddington駅に5時過ぎに着き、構内で軽くお茶。カプチーノはSmallなのにボリュームたっぷり。10年前に来たときより、イギリスでおいしいコーヒーが飲めるようになっている気がする。■6時、circle lineに乗ってSlone Square着。初乗りが£2.1。400円以上と換算すると高い。今年春からロンドンに住んでいるI嬢と待ち合わせ。I嬢とC君の暮らすY邸に今夜から2泊お世話になる。夕食はチェルシー地区にあるHUNANというチャイニーズ。繊細なだしや醤油の味に体が喜ぶ。豚の腸、カエルなど面白い食材も。デザートの杏仁豆腐と小豆クレープまでおいしくいただく。

2001年12月30日(日)  アナログ


2004年12月29日(水)  英国旅行3日目 巨岩と村と怪人

■今日はMarlborough HouseのLauraおすすめのバスツアーに参加。ストーンヘンジやコッツウォルズの村を7時間かけて案内つきで回る。madmaxという家族経営の会社がやっていて、移動は乗客最大16人のミニバン、お値段もひとり£22.5とリーズナブル。Elgin Villaで早めの朝食を済ませ、abbey横のピックアップポイントに8:45集合。日本人はうちの夫婦と留学生らしい若い女の子二人。あとはアジア系、アラブ系、地元系など様々。ドライバー兼案内係のIanが慣れた口調でイギリスの6000年の歴史を20分で駆け抜ける。ところどころで乗客が質問を投げ込み、歴史の授業風。約1時間でストーンヘンジに到着。
■遺跡の岩のまわりはだだっ広い緑。教科書などで写真は見ていたものの実物の迫力は桁違い。地面に根を張って立つ巨岩の列は、低く垂れ込めた雲ともあいまって、神々しさが漂う。何のために建てられたかはミステリーだが、何か説明のつかないパワーを感じる。古代の人々もこの建造物に常識を超えた何かを求めたのかもしれない。おなじみオーディオガイドはここでも興味深い説明をしてくれるが、懇切丁寧すぎて、最後まで聞いているとなかなか前へ進めない。■土産屋が軒を連ねるということはなく、小さなギフトショップとテイクアウトのSTONEHENGE KITCHENが並んでいるのみ。このキッチンのメニューが妙にそそる。アップルスコーン(£1.95)とお茶(£0.65)を買い、バスに戻って味わっていると、集合時間を過ぎても日本人留学生二人組が戻ってこない。15分が過ぎ、Ianがイライラして探しに行った。車内では「おいおい」という冷たい空気が流れ、わたしも肩身の狭い思いをする。だが、戻ってきた二人はIanが何に苛立っているかわかっていない様子。「集合時間とっくに過ぎていて、皆さんを待たせていたんですよ」とわたしが耳打ちすると、ようやく「マズイ」という顔に。「集合時間聞いとけばよかったね」「だねー」と二人なりに反省していたが、英語力ではなく団体行動力の問題だった。謝るタイミングも逃してしまい、他の乗客には「待たせて平気な日本人」の印象を残すことになった。
■観光名所のストーンヘンジ以外にもこの辺りにはストーンヘンジが点在する、ということで、車で10分ほど行った先にある「石に触れる身近なストーンヘンジ」へ。古代の生命力を秘めた石からパワーがもらえるとか。ご利益ありますように。さて、ここで聞いた興味深い話。この一帯を保存するために買い取った人物が巨岩のひとつをどけたところ、白骨化した男性の死体を発見。石に押し潰されての圧死ではと死因鑑定のため遺骨をロンドンの研究機関に送ったが、第二次世界大戦の最中で、1940年、研究機関の建物が爆撃に遭ってしまう。ところが二年前にひょんなことから大英博物館が遺骨を発見、半世紀以上遅れて鑑定が実現した。その結果、あわれな男性の死因は圧死ではなくblack deathだとわかったという。black deathとは中世の頃に流行った疫病で、当時は人口の25%がこれで命を落としたとか。恐らくペストのことだろう。何百年も前の死体の死因を骨だけで判定できるってすごい。
■昼食はLacockという古い村にあるGeorge Innというレストランで。Lacockは村ごとnational trustに保存されており、村にゆかりのある家族しか住むことができないそう。古い家は13世紀から家系図をたどれるとのこと。ここの寺院はハリーポッターのホグワーツ魔法学校のロケ地として使われているそうだが、冬の間は中に入れない。1時間半のランチタイムの間に食事と村観光をするはずだったが、同じテーブルになったアフガン人夫妻とタイ人姉妹との会話が弾み、気がついたら集合時間10分前になっていた。国費留学中の夫・アズィール(be lovedという意味だそう)に妻がくっついてきているアフガン人夫妻は、わたしたち夫妻と結婚年月日が2週間違いということもあり、意気投合。アズィールの専攻は政治だそうだが、非常にスマートでユーモアもあり、こんな人物がいればアフガニスタンも心強い、と思わせた。留学中の姉のところに妹が遊びに来ているタイ人姉妹は育ちが良さそうで、頭のいい受け答えをしていた。
■最後の目的地はコッツウォルズの小さな村、Castle Combe(カッスル・クーム)。全英一美しい村に選ばれたこともあるとかで、時間が止まったように佇む風景は、どこを切り取っても絵になる。お墓も橋も何もかもが静謐で美しい。Manor Houseという名の格調高いマナーハウスがあり、窓から赤絨毯とアンティーク調の家具が見える。この静かな村で約1時間、思い思いの散歩を楽しむ。各自が自由に見て回れる時間をなるべく取るのがmadmax tourの方針のようで、「we do things different」が宣伝文句。カッスル・クームからバースへ戻る道は、疲れて眠る乗客のためにIanは黙って運転する。バースへ行く人にはおすすめのツアー。
■4:30にBathに戻り、「今行けば間に合う!」と昨日偶然見つけた映画館へ走る。4:40からThe Phantom of the Operaの上演。座席はfront middle backから選べ、frontにする。ひとり£5.5。20分ほどのCMタイム(イギリスのCMトレンドもわかってなかなか面白い)に続いてトレイラー(予告編)上映。アメリの監督と女優が再び組んだThe longtime Engagementなど。期待の本編は、オークションにかけられた「オペラ座の怪人事件のシャンデリア」があのテーマ音楽とともに吊り上げられ、場面がモノクロからカラーに変わっていく冒頭(日本で観た予告編でもこのシーンが使われていて鳥肌が立った)から鷲づかみ。設定も時代も近い数年前のFOX映画、『MOULIN ROUGE(ムーランルージュ)』を彷彿とさせるが、それ以上に音楽と美術がとにかく圧倒的。■ムーランルージュの二コール・キッドマンのほうがヒロインの華はあったけれど、「その他大勢から歌姫に抜擢される」設定のクリスティン役には、愛らしいエミー・ロッサムがふさわしいのだろう。屈折した過去と類まれな才能を持つファントム(ジェラード・バトラー)がクリスティン(エミー・ロッサム)の歌声を目覚めさせるが、ファントムの正体を知ったクリスティンは苦悩する。ファントムとクリスティンの葛藤も切ない歌になっている。自分の才能を引き出してくれた恩人を裏切れないと揺れる気持ちには共感を覚える。台詞の合間に歌うというよりは大半の台詞が歌。クリスティンを想う御曹司ラウル(パトリック・ウィルソン)とのラブソングの歌詞も素敵。僕が君を守る、君がどこに行こうと〜♪ うっとりしているいい場面で、横からダンナが「わけわかんないよ」と話しかけてくる。どう見てもラブシーンでしょうが!■2時間を超える長編だが、もっと見せて、まだまだ聞かせて、という感じで最後まで引きつけられる。地下の秘密部屋、華やかな舞台、雪の積もった霊園……妖しくも美しい絵が連なり、心を揺さぶる旋律で彩られ、すっかり魅了される。途中で迷子になっていたダンナも「すごいものを観た」と最後は喜んでいた。日本で字幕つきでもう一度観たい。映画館入口にはティム・バートン監督のCharlie and the Chocolate Factoryの告知が。こちらも楽しみ。■夕食は地元で人気のレストランという噂のWalnusにて。何を注文しても「Good」と親指を立ててくれる店員の兄ちゃんの感じがよく、おいしく食事できる。こういうお店にはチップも気持ちよく弾める。

2003年12月29日(月)  そんなのあり!? クイズの答え


2004年12月28日(火)  英国旅行2日目 風呂と衣装と作家と演劇

■イギリスの冬は日の暮れるのが早い。昨日は4時を過ぎるともう暗かった。ならば朝が早いのだろうと思ったら、8時を過ぎてようやく空が明るみだす。急げ、昼は短いぞ。Marlborough Houseは「オーガニックな朝食が自慢」と豪語しているだけあって、ヨーグルトから卵から全粒粉の小麦粉から素材にこだわりが感じられる。ソーセージも大豆製品。
■今日はBathの観光名所を見て回ることに。ロイヤルクレッセントというゴージャスな三日月形のお屋敷を横目に見ながらタウンセンターまでぷらぷら歩き、まずはBathの語源となったローマ風呂を見物。コスチューム博物館とのcombine ticketで£13。日本語のオーディオツアーガイドを無料で貸し出してくれるが、これがなかなかよくできていて、解説の日本語もわかりやすいし、ナレーションも聞きやすい。イングランドに攻め込んだローマ人が作ったという風呂は今も約46度の湯が湧き続けているらしいが、見物人は見るのみ。この湯を見て「つかりたい」と思うのは温泉の国の民の性なのか。ローマ人にとって、風呂は湯治の場であり社交場であり商談の場でもあったとのこと。
■祭壇(だったと思う)へ続く階段が大きく磨り減っていた。「これだけ磨り減るのに、どれだけたくさんの人々がここに足を運んだことでしょう」というオーディオガイドの解説に、何千年か前、この遺跡と人々の営みが確かに関わっていたのだと感じた。目の前の石段に流れる時間に思いをはせ、歴史は人なんだなあなどと思う。
■Avon川のほとりにあるかわいいカフェ、riverside cafeで昼食。各国からの観光客でにぎわっている。小さな入口に切り取られて半円形に見える川辺の景色が面白い。若くて愛想のいい兄ちゃんたちがきびきびと働いている。味はけっこう大味だけど、イギリスらしい味とも言える。■楽しみにしていたコスチューム博物館は、中世から現代までの衣装が充実。オーディオガイドとともにじっくり楽しむ。ドレスを実制作する前にサンプルとして作られたミニチュアと実物が並べられていたり、約1世紀の間の衣装の移り変わりが見られたり。貴族の貴婦人のドレスのおさがりを譲られそうになった使用人の女性が「お古をもらったら自分まで古びてしまいそう」と葛藤する話など、興味深いエピソードも紹介されている。特別展示で、映像化されたJane Austen(ジェーン・オースティン)作品の衣装が勢ぞろい。作品の紹介とともに衣装の製作意図が紹介され、興味をそそられる。と同時にJane Austenへの興味もかき立てられ、Jane Austenセンターへ足を運ぶ。司書風のおばさんが上品なクイーンズイングリッシュでJane Austenの生涯を解説。1811年から17年の間に6本の小説(Northanger Abbey 、Sense and Sensibility 、Pride and Prejudice、Mansfield Park、Emma、Persuasion)を出版した寡作の作家だが、どの作品も高く評価され、ドラマや映画になり、幅広いファンに愛されているという。作品は最初から評価されたわけではなく、出版してくれる会社を探すことに苦労したこと、女性ということで低く見られた部分もあったが父や兄の理解と協力を得たことなどを興味深く聞く。
■4時半頃、Theater Royalという劇場の前を通りがかると、「よかったー」と満足げなお客さんがぞろぞろ出てくる。公演中のDick Wittingtonというお芝居の昼の部が終わったところらしい。窓口に行って夜の部のチケットがまだあるか聞いてみると、前から2列目のかぶりつき席またはバルコニー席または後方の席を選ばせてくれる。せっかくなのでかぶりつき席を希望。子どもにもわかる内容ですよとのこと。上演時間が近づくと、かわいらしいドレスで着飾った女の子やよちよち歩きの男の子が続々やってくる。手に手に持っている光り物は上演中に振るものらしい。幕が開くと、「いい者」役には拍手喝采、「悪者」役にはブーイング。大人が率先して声を出し、子どもたちに楽しみ方を教えている雰囲気がいい。一旗揚げたいDick Wittingtonが旅の途中で出会ったおともの猫のTommyとともに着いた先は、大量のねずみに手を焼いている街。DickはTommyとともにネズミ退治に活躍するが、泥棒の疑いをかけられ、街を出る……という物語。ダンスあり、コントあり(オナラ連発のようなわかりやすいもの)、客席にキャンディーを投げたり、観客の子どもを舞台に上げて自己紹介させたり、一緒に歌ったり、バラエティ型演劇という感じで飽きさせない。オカマキャラのおばちゃんがいい味出していた。Chris Harrisという役者さん。
■今夜の宿はMarlborough Houseの隣のB&B,Elgin Villa。27日から3連泊したかったのだが「27と29しか空いてない」と言われ、「間の28日に泊まれる近くの宿を紹介して」とお願いすると、お隣さんを紹介してくれた。スーツケースは置いたまま一日分の着替えを持ってプチお引越し。Elgin Villaのほうがfurnishingに凝っていない分、宿泊費は1泊£20安い(ツインで£65)が、お部屋は広々で快適。

2001年12月28日(金)  捨て身


2004年12月27日(月)  英国旅行1日目 VirginとBathと厚揚げ

夫婦そろって年末年始にまとまった休みが取れることになり、どこに行こうかと思ったとき、いくつかの候補が浮かんだ。イギリスを選んだのは、友人夫妻が住んでいて歓迎モードを示してくれたこと、10年前のコッツウォルズ旅行が印象的だったことが理由。行くと決めてから一週間で航空券と宿を手配できたのは、インターネット時代のおかげ。10年前はイギリス政府観光庁でパンフレットをもらってきて、電話したりFAXしたり大変だった。

ヴァージン・アトランティックの航空券はH.I.Sで入手。引換証はメールで送られてきたものをプリントアウトする形。宿はsuperbreak.comExpedia Travelといったサイトで探す。宿泊を希望する街と日付を入力すると、空いている宿を検索でき、ディスカウント料金で予約もできる。B&B情報充実のcomestaywithus.com、宿泊日が近くなった部屋を格安で予約できるlaterooms.comも利用価値大。宿探しをしながら旅程を固めていき、ロンドンを拠点にBath(バース)とStratford upon Avon(ストラットフォード アポン エイヴォン)を訪ねることに。鉄道の時刻表検索はnational railサイトのPlanning your journeyで。出発前に街の下見もできて、なんとも便利な時代。

あっという間に出発当日、荷造りそっちのけで朝まで年賀状のラベル印刷。今年こそ手書き脱出、は実現したが、入力は予想以上に重労働。ラベル貼ってから誤植に気づいたり、貼り直しができない強力な吸着力に閉口したり。コメントは京成スカイライナー車内で一気に書く。字が汚いのは寝不足と揺れのせい。

ユニークな広告で気になっていたヴァージンだが、乗ってみた感想は、やや期待負け。パーソナルスクリーンはついているもののとても小さく、食事は4種類から選べる(写真は松花堂弁当)ものの味は感心できない。エコノミークラスで感動を求めるのはゼイタク? 食事の間に出されたミルクアイスキャンデーには感激。映画はElf、Supersize Meを観る。


ロンドン・ヒースロー空港からはヒースロー・エクスプレスでPaddington(パディントン)駅へ。約20分で到着、ラクチン。片道なんと£13(成田空港での両替レートは£1=216円)もするが、ブリットレイルパス(外国人旅行者だけが買えるイギリス国内鉄道乗り放題チケット)でカバーしている。イギリス国内の鉄道料金を事前に調べてみたけど、ブリットレイルパスを買っていったほうが断然おトクと判断、ブリットレイルイングランドパス(北アイルランド・ウェールズ・スコットランドは除く)のフレキシー4日(連続ではなく好きな4日を選べる)の2等車用を購入。ウィンターシーズンだからか、2月15日まで25%引きになっていて、さらにおトク。PaddingtonからはBristol行きに乗ってBathまで約1時間半。乗換えがないので安心。鉄道のエコノミークラス(スタンダード)はもったいないぐらい広々。

Bath Spa駅からタクシーでオーガニックな朝食が自慢のB&B、Marlborough Houseへ。ホリデーシーズン料金ということでタクシー料金は通常の50%増しの£5.25。Marlborough Houseを切り盛りするLauraは、人間大好きオーラを発している元気でチャーミングな女性。イングリッシュティーとクッキーで温かく迎え、近所のお散歩マップを広げながら、Bathの見どころを素早く紹介してくれる。

夜出歩いても危険はないというので、夕食がてら外出。街の中心には小さなスケートリンクがあり、楽しそうにすべる人々を楽しそうに眺める人の輪がある。Lauraが薦めてくれたインドネシア料理レストランJAVAへ。味は日本で食べるもののほうがおいしいが、にぎわっている。「揚げた豆腐に野菜をはさんだもの」を注文したら、厚揚げにキュウリが突き刺さったのが出てきた。なんでイギリスのインドネシア料理屋で厚揚げ食べているんだろ。

今回の旅行の目当てのひとつは、イギリス英語。やっぱり聞き取りにくい。BBCの放送を聞いていたら、ダンナが「TSUNAMIって英語になっているんだね」。それが唯一聞き取れた単語だったらしい。チュナミと聞こえるが、確かに英語になっている。ニュースではこれでもかというぐらい津波の報道が繰り返されているが、現地の映像はあまりなく、リポーターがアップで映り、しゃべり、次のリポーターにつなげていく。原稿があるというより即興でしゃべっている印象。インタビューされる人も理路整然とした話し方。英語という言語の特長なのかもしれないが、皆、自分の言葉で自分の意見をはっきり言う術を持っていることに感心。

2003年12月27日(土)  腐ったブドウ・熟成したワイン・腐ったワイン
2001年12月27日(木)  今がいちばん若い


2004年12月18日(土)  クリスマス映画『ポーラーエクスプレス』

■大学の卒業式でクリスマスツリーに仮装したぐらい、一年のうちでクリスマスがいちばん好き。『ポーラー・エクスプレス』のメイキングをテレビで観たときから、これは絶対に観る、と決めていた。原作はクリス・ヴァン・オールズバーグの人気絵本『THE POLAR EXPRESS』。蒸気機関車に乗って、サンタが出発する北極点をめざすというわたし好みのファンタジー。去年、村上春樹の訳で『急行「北極号」』として出版されたときに、ラジオでやれたらいいなと書評を切り抜いていた。映像だと途方もないコストがかかると思っていたが、フルCGで映画化とは! 原作に惚れ込んだトム・ハンクスの力なのか。一緒にメイキングを観ていたダンナも「行こう」と乗り気に。映画と鉄道を愛するご近所仲間T氏の影響で、以前なら見向きもしなかった作品がアンテナに引っかかりだした様子。■ちょうど今日都合が合ったので、有楽町マリオンの丸の内ルーブルへ。あらすじ、ハイライトはもちろん、トム・ハンクスが5役の吹き替えに挑戦していることもメイキングで観てしまっていたものの、期待以上に楽しめた。鉄道、クリスマス、雪、ホット・ショコラ、わたしの好きなものがどんどん出てくるので、観ているだけでうれしい。機関車が走っている間にアクシデントが次々と起こりるので、目を離すすきもない。「サンタの存在を信じたいけど信じられない」という主人公の男の子の微妙な心境にはあまり寄り添えなかったけれど、「サンタは忙しくて僕の家には来られないんだ」という貧しい男の子と、「クリスマスは素晴らしい日よ」と目を輝かせる心優しい黒人の女の子の気持ちには入り込めた。この二人のデュエットはメロディーも歌詞もきれいで、本編はもちろんエンディングのタイトルロールで流れたときにも涙を誘われた。子どもたちが車内で「どこ行くんだろう」と元気に合唱する歌もよかったし、ディズニーを思わせるトーンの音楽は、どれも印象的だった。見ることは信じること、サンタクロースは信じる人だけに訪れる、というメッセージが繰り返し形を変えて提示されるが、劇場を出たわたしとダンナが「いい台詞があった」と口をそろえたのは、「大切なのは行き先ではなく、乗ると決めること」と車掌が主人公の少年との別れ際に言った一言。まさにT氏に捧げる台詞。機関車のスペックを一気にまくしたてる知ったかぶり(役名はknow it all)君、北極点のターンテーブルなどにも心が躍った。鉄道とクリスマスが好きな人はぜひ。

2001年12月18日(火)  シンクロニシティ〜天使からの小さな贈り物


2004年12月13日(月)  待ち合わせできない女

■先週土曜日の『猫又祭』会場の宮崎美保子さんちへ行くまでのこぼれ話。宮崎あおいちゃんのマネージャーの小山理子さんと3時50分に荻窪駅で待ち合わせていたのだが、わたしは3時半過ぎに四谷を出る中央線に乗り込み、「ぎりぎり間に合うかな」と思っていた。ところが電車は3時45分に荻窪駅を通過。止まらない特快に乗ってしまっていた。「次は三鷹〜」のアナウンスを聞きながら「今通過中」と携帯メールを打っていると、タイミングよく「今新宿です。10分ほど遅れます」と小山さんよりメールが入る。「じゃあ同じぐらいに着きますね」と返信し、4時過ぎに荻窪に着くと、「今中野です。電車がずっと止まっています。何かあったんでしょうか」と不安そうな小山さんの顔が目に浮かぶメール。数分後、「事故」というタイトルの別メールが届く。「大変です。電車が新宿に向かって逆走をはじめました」。どうやら小山さんは中野止まりの電車に乗ってしまったのだが、メールを打つのに夢中で、乗客が入れかわっていたことにも気づかなかった様子。それは「事故」じゃなくて、正常ですよー。結局、予定より30分ほど遅れて待ち合わせに成功。お互いの顔を見るなり爆笑してしまった。

2004年12月11日 『猫又祭』に初参加

2003年12月13日(土)  加藤大治郎ジャズライブwith魔女田さん

<<<前の日記  次の日記>>>