2004年02月12日(木)  本のお値段

■本屋でめあての本を探すためにひたすらタイトルだけを見る、ということはよくやるけど、ひたすら値段を見るという経験はしたことがなかった。4月に刊行する『ブレーン・ストーミング・ティーン(Brain Storming Teens)』に値段をつけるにあたり、相場を調べに行ったのだが、「いやー、実にまちまちですね」というのが結論。著者の名前も本も売れていて装丁もリッパな本と、名前を知らない著者の薄っぺらい本が同じ値段だったり。「さて、これはいくらでしょう?」と一人クイズをして正解(値段)を見る遊びもなかなか面白い。わたしの本は230ページぐらいのソフトカバー。同じような体裁の本を探すと、1000円から1600円ぐらいの開きがあった。出版社の文芸社がページ数から割り出した価格は1400円だったけど、去年読んで感動した『対話篇』(金城一紀 講談社)と同じというのは申し訳ない。主人公と同世代の高校生や就職活動の大学生に読んでもらうには、1000円をあまり大きくはみ出さないほうがいい。じゃあ2月生まれということでラッキーナンバーの2をからめて1200円でどうだ!『蛇にピアス』(金原ひとみ 集英社)と同じなのはおこがましいけれど、ページ数は勝っている。しかし、『蹴りたい背中』(綿矢りさ 河出書房新社)は1000円。芥川賞作品より高くていいのだろうか。でも、青春小説と広告業界実用書を兼ねて二度おいしいってことで……と勝手に妥当性をつけ、出版社に打診すると、「ご意向を尊重させていただきます」と返事。こんな感じで、いまいまさこ(著名はひらがなで行きます)初小説の価格は1200円に決定。

2003年02月12日(水)  ミヤケマイ個展 MAI MIYAKE EXHIBITION2003


2004年02月11日(水)  口福の餃子

■去年SL旅行に行ったメンバーの年越し企画「餃子パーティー」がついに実現。K夫妻宅に昼過ぎ集合し、Mちゃんが粉をこねてきた生地をのばし、作った具を包み、ぐらぐらの湯でゆでる。皮から手作り、包んですぐにゆでて食べる水餃子がこれほどおいしいとは。皮はツルツル、具はプリプリ、中国で食べた絶品水餃子も吹っ飛ぶ。ひと呼吸置いて焼き餃子に突入。こちらは市販の皮だけど、これまた焼き加減が絶妙で、もう止まらない。「幸せはごはんの湯気の中にある」という台詞が映画『ぼくんち』にあったけど、幸せは餃子の湯気の中にあるのだった。料理上手なK夫人が腕をふるった牛すね肉のスープやサラダや赤飯もすばらしく、「こんな奥さんが欲しい!」と心から思う。女性は4人いたけれど、わたしは戦力外で、エプロンは着けているもののキッチンの外に常駐していた。食べて飲んでしゃべって、歌まで歌って、口は大忙し。このメンバーと過ごすと、あっという間に時間が過ぎてしまう。あ〜口福な午後。

2002年02月11日(月)  こどもの詩


2004年02月09日(月)  今年もハッピーバースデー

「誕生日なんか来なきゃいいのに」と年が増えるこの日を嘆く人もいるけれど、来てしまうのは止めようがないので、せっかくなら楽しんだほうがいい。去年、赤坂NINJAでお祝いしてくれた同僚デザイナーのE君とCMプランナーのT嬢に、営業のK君とデザインプロダクションのO嬢が加わり、表参道のTESOROというお店で祝宴。ガラス戸で区切られた個室でコース料理を堪能する。フレンチのアレンジを加えたスペイン料理がワインによく合い、パエリアはカンヌで食べた感動の味に匹敵するおいしさ。デザートタイムにはHAPPY BIRTHDAYの歌とともにケーキが運ばれ、「着ているもののイメージで選んだのよ」とカラフルな花束を贈られる。今年もハッピーバースデーを更新。

2003年2月9日(日) 何才になっても祝うのだ

2003年02月09日(日)  何才になっても祝うのだ
2002年02月09日(土)  シモキタ(下北沢)


2004年02月08日(日)  FRIDAYの亀ちゃん

■先日、『問題のない私たち』の試写会の後の飲み会で、面白い男の子に出会った。今度のストレイドッグ公演『悲しき天使』に出るモデルらしいが、とにかくトークが抜群。けっこう攻撃的なんだけど、彼にいじめられるのはなぜか楽しく、話の輪の中でいちばん年長だったわたしは何度も「(年食っても)がんばりましょうね」とお節介に励まされつつも笑いっぱなしだった。名前を聞いたら「フライデーの亀でーす」。「よっしゃ亀ちゃん、会社に遊びにおいでよ、うちのキャスティングに紹介するから」と言ったら、次の金曜日、ほんとに来た。キャスティングに顔を見せ、会社の近くでお茶。名古屋から競争の激しい東京に出てきた亀ちゃんは、本名・亀蔦健一。フライデーは、モデル事務所のFRIDAYのことだった。「こないだ今井さんに芸能向きって言われてショックでした」と亀ちゃん。褒めたつもりなんだけど、モデルは顔をほめられないと不安らしい。お調子者だけどしっかり者で、危険物取り扱いの資格を取っていたりする。「将来ガソリンスタンドやきるんですよ」とニカッと笑う。トークに合わせて表情が変わるから、見ていて飽きない。おしゃべりが乗っているとき、いちばんいい顔をする。やっぱりしゃべっていて欲しい。

2002年02月08日(金)  フライングワイン


2004年02月07日(土)  二人芝居『動物園物語』

■西武新宿線「野方」駅ではじめて下車。目的地は、駅から7分ほど歩いた住宅街の一角にある民家を改造した稽古場。そこで上演された大蔵省・瀬川亮の二人芝居『動物園物語』を前田哲監督と観る。公園のベンチで静かに本を読んでいる男(大蔵省)に見知らぬ若者(瀬川亮)が話しかけてきて、男の心穏やかな午後のひとときは思いがけない方向に。今の時代、ほんとにいきなりとんでもないことに巻き込まれるので、この設定にはリアリティがある。原作はイギリスの古い戯曲ということで、台詞回しにも時代を感じたけれど、舞台を現代の日本に変えたらもっと面白くなりそう。観客は役者仲間らしき人が多いと見えて、皆熱心に見入っていた。瀬川亮君は下北沢の小劇場で出演中に「超星神グランセイザー」の監督・スタッフの目に留まり、主演に抜擢されたのだそう。大蔵省君にもそんな出会いがありますように。


2004年02月06日(金)  ミニ同期会

■勤務先の会社の同い年の女性5人でミニ同期会を開く。中途入社が多い職場なので、同期入社のわたしとYちゃん以外の3人は入社時期がバラバラ。「実は同い年なのよ」ということで一緒に飲むことになった。千駄木の『三忠』という蛸料理専門店で、たこしゃぶをつつきながらしゃべりまくる。会社の人の噂、美容の話、グルメの話……。わたし以外は全員営業で、同じ会社なのに知らないこともあったりして面白かった。会社の中で部署を超えて飲み仲間を作るというのが流行っているという新聞記事を最近読んだけど、わかるなあと思った。情報交換ができて、共通の話題もいっぱいあって、うっぷん晴らしにもなって。、「嫌い野菜炒め(ゴーヤなど癖のある野菜を炒めたもの)」「タコのみ焼(タコいっぱいのお好み焼)」など出てくる料理がまたおいしく、おなかも大満足。あんまり楽しいので「またこの5人で飲もう」ということに。今回は5人の中でいちばん誕生日の早い「長女」が幹事をやったので、次回は「次女」が仕切ることに。四女のわたしの番が回ってきたら、何を食べようかなあ。

2002年02月06日(水)  電車にピップエレキバン


2004年02月03日(火)  東北東に向かって食らえ!

大阪・堺の今井家では節分の日に「その年の縁起のいい方角を向いて太巻きを丸かぶりする」のが毎年の恒例だった。一本食べ終わるまでは口をきいてはいけない。笑ってもいけないのだが、家族五人が一方向を見つめ、真顔で大口開けて寿司に食らいつく姿は笑けてしょうがなかった。子どもの口には太巻きは辛かった。おかげで口がデカくなってしまった。

ペンフレンドのサオリが受験のために大阪に来た日も節分で、「これ食べたら合格するから食べ!」と無理やり参加させられていた。親戚と連絡が取れなくてサオリと一緒に来たユキコも「はじめまして」と言った数分後には、その口に寿司が突き刺さっていた。二人は戸惑いながらも太巻きを平らげたけれど、受験ではご利益は発揮されなかった。大阪観光のついでに受験に来たノリだったので、さすがに太巻一本ではどうしようもなかったのかもしれない。節分がめぐってくるたび、そんなことを思い出し、イベント好きな家に育っておもろかったなあと思う。

「恵方巻」は全国にある風習だと思っていたら、全国的に市民権を得てきたのは最近のことらしい。今年はあちこちのコンビニで見かけたけれど、「何で節分に寿司なの?」と不思議がる人が多く、説明すると「知らなかった!」と感動された。東京育ちのダンナに教えると、行きつけの寿司屋から太巻きをお土産に持ち帰ってくれた。丸かぶりではないけれど、直径が大きいので食べごたえがあった。今年の恵方=東北東を向いて食べたけれど、黙るのを忘れてべらべらしゃべってしまった。ご利益は期待できないかなあ。

2003年02月03日(月)  納豆汁・檜風呂・山葡萄ジュース・きりたんぽ
2002年02月03日(日)  教科書


2004年02月01日(日)  東海テレビ『とうちゃんはエジソン』

■朝刊の番組欄の紹介記事を読んだときから見るぞと決めていたFNSドキュメンタリー大賞「とうちゃんはエジソン」。16時に目覚ましをかけておいて、見逃さなかったことを心から喜べるすばらしい番組だった。16年前、点検中の機械が突然動き出し、巻き込まれた右手の指をすべて失ってしまったとうちゃん。右手の機能を補ってくれる道具を探すが、作っているメーカーはなく、ならば自分がと補助具作りに乗り出す。試行錯誤の末、完成したのは2年後。補助具に箸を取りつけ、右手で食べたいという願いを実現した。箸をトンカチに替えれば釘を打て、シャベルに替えれば土を掘れる。失われた指を補うこの道具は、指を失ったことであきらめていた夢を叶えてくれる。噂を聞きつけて全国から補助具を必要とする人が訪ねてくる。一人ひとり不自由の形は違うから、オーダーメイド。とうちゃんは夜なべで世界でたったひとつの補助具を作り、材料費だけを受け取り、笑顔で見送る。できなかったことをできるようになったのがうれしいから、同じうれしさを他の人も味わってくれるのがうれしい。無邪気で無欲なとうちゃんを見ているだけで心が洗われた。どうやったら、とうちゃんのように無垢になれるのだろう。涙が少しは自分の醜い部分を洗い流してくれた気はする。奥さんのモノローグの形でとうちゃんのことを淡々と語る宮本信子さんのナレーションもまた良かった。年金とかあちゃんの工場勤めで暮らす夫婦の絆にも涙、涙。ラストは、補助具に引っ掛け爪のようなものをつけて逆上がりに挑戦するとうちゃん。見事くるりと回った後の笑顔がまた素晴らしく、テレビに向かって思わず拍手。こんな生き方をしている人がいるという事実、その生き方に光を当てた制作者のまなざし、驚きと感動に加えて、感謝のようなありがたい気持ちに包まれた。

2002年02月01日(金)  「なつかしの20世紀」タイムスリップグリコ


2004年01月28日(水)  舞台『クレオパトラの鼻』(作・演出:上杉祥三)

■俳優座にて、トレランス第3回公演『クレオパトラの鼻』を観る。FMシアター『夢の波間』で茂右衛門を演じた上杉祥三さんが作・演出・出演。太郎兵衛役の西凜太朗さんも出演。去年、若手公演の『BROKENロミオとジュリエット』を観たけれど、上杉さんが舞台に立つのを観るのは、はじめて。今回はクレオパトラと天照大神をつなげた発想から生まれたオリジナル。ストーリーはロミオとジュリエットに比べるとかなり難解だったけれど、日本神話やムー大陸伝説、1999年にあった富士山噴火説なども織り込み、学研の超常現象雑誌『ムー』にはまったことのあるわたしには興味深い世界だった。「平成」の「平」の中に「一と八と十」を見いだし、「イワト(岩戸)成る」と読んだり、神戸大震災を「神の戸を叩く」と表現したり、「涙は海に戻ると書く」と詩的な台詞があったり、言葉遊びも楽しい。娘は自分を恨んでいると思っている母親に「恨んでいない。あなたを選んで生まれてきた」と娘が言う。「うらんで」と「えらんで」は似ている。■上演後、西さんの案内で楽屋の上杉さんを訪ねる。「神様は本当にいると信じている」と言う上杉さんは、「何度も会う人っていうのは、そうなるように神様が仕向けているんや」とシンクロニシティについても熱く語っていた。それを見過ごすか大事にするかで運命は大きく変わる、と。上杉さんの書くものとわたしの書くものには重なる部分がある。前回のロミジュリでは「あいうえお あいうえお 愛に飢えたる男と女がおりて…」という台詞があったが、わたしのコンクール応募作に「あいうえお〜愛に飢えた男と女」という脚本がある。「涙は世界でいちばん小さな海」という話を書いたこともある。そんな話をしたら、「きっと前世でご近所やったんたろなあ」と笑っていた。また会うだろうし、また一緒に何かやりたいですねと話し、元気をいもらって俳優座を後にした。

2002年01月28日(月)  心意気


2004年01月27日(火)  映画『問題のない私たち』(脚本・監督:森岡利行)

新宿の安田生命ホール(明治安田生命ホール?)にて、「問題のない私たち」試写会。黒川芽以ちゃんの初出演映画で、脚本・監督は森岡利行さん。上映前に森岡さん、芽以ちゃん、出演の沢尻エリカさん、美波さん、森絵梨佳さん、小松愛さんが舞台に立ち、島田律子さんの司会進行で挨拶。高校生役の女の子たちのかわいさに、客席からはため息。「すごく頑張った作品」「大変だった」と言いながら強くうなずいていたので、体当たりの演技が期待できそう、と楽しみが膨らんだところで上映開始。

スクール水着にはじまり、制服、ビキニ、浴衣、寝巻き浴衣に寝顔、今や貴重なブルマー姿まで見せてしまうサービスっぷり。その一方で、伝えたいメッセージをしっかり盛り込み、問題を投げかけているのは、さすが森岡監督。水着に釣られて見に来た人が不覚にも涙ぐみ、イジメについて考えてしまう図式がしっかり出来上がっているのだった。生徒間のイジメにフォーカスした前半と、先生や学校という権力や圧力が絡むイジメに話が転がっていく後半の2部仕立てになっているのが面白く、主人公の立ち位置がめまぐるしく変化するので目が離せなかった。

作品の中ではいじめる人、いじめられる人が次々と変わる(まるで順番のように)のだけど、それは現実も同じで、いじめたこともいじめられたこともある人はかなりの数にのぼると思う。会場からは何度かすすり泣きが聞こえたけれど、かつていじめた人やいじめられた人、あるいは今いじめている人やいじめられている人がヒロイン達に自分を重ねたのだろう。原作は別冊マーガレットに連載されていた同名の漫画。その漫画の元になった小説の作者は執筆当時高校生だったとのこと。「考えさせる作品を作りたいんですよ」と森岡監督。志通りの見ごたえのある作品に仕上がっている。2月28日からポレポレ東中野にて。大阪、名古屋でも公開。

2002年01月27日(日)  詩人

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