2015年04月13日(月)  アマゾンの海を泳ぐ人たち

このかわいいバッグ、何だと思いますか?



答えは、「書道」の一式を納めた書道バッグ。

わたしが小学生の頃は素っ気ない手提げに無骨な箱が入っていたような……。
こういうところに時の流れを感じる母です。

金曜日、小学校からもらってきた書道バッグの申込書を見て、すでに「か、かわいい」とカルチャーショックを受けたのですが、「もっとかわいいのがあるはず」と娘はネット検索を要求。

学校購入よりかわいく、かつお値段もかわいいあかしや書道セット ラブリーリボンなる商品をアマゾンで見つけて購入したのが、金曜日の22時45分。

翌日土曜日の午後早く、書道セットが到着しました。

さて、ここからが本題。

「もう着いたよ。早いね」とダンナと話していて、「在庫がすぐに出せるアマゾンの倉庫ってどうなってるんだろ」とダンナ。まさにアマゾンのジャングル状態か。そこからどうやって注文商品を見つけ出すんだろうねとひとしきり話した後で仕事部屋の資料整理をしていたら、アンテナを張っていたからでしょう、2013年7月15日付け朝日新聞朝刊の記事が目に留まりました。

《日通管理職の「アマゾン行き」
 商品棚の海 探す「注文」》

という見出し。

日本通運の中間管理職からアマゾンの物流拠点に配属された40代男性を取材した記事でした。
与えられたのは、「ピッキング」と呼ばれる作業。

《通路をはさんで左右に並ぶ商品棚の海をかき分け、全国からネットで注文が入った商品を選び出す。書籍やDVDソフト、食品、お菓子、雑貨、衣類……》

バーコードを読み取る端末機を持たされ、そこに送られてくる棚の位置などを示すコードを元に商品を探し出し、端末機を当て、ピッと音が鳴ったら商品をカートに入れる。すかさず次の注文が送られて来る。ピッが鳴らなかったら、探し直し。

さらに、ピッキング実績が一目でわかるグラフを配られ、追いつめられるのだそうです。

《9日目で、平均は1時間に102個だったが、自分はそれを下回っていた》
一分あたり一商品を上回るペースで海から商品が選び出されていることに驚かされます。それだけのスピードがなければ、前夜に注文した商品が翌日に届くことはないのでしょう。

《朝8時半から夕方5時まで、これをひたすら繰り返す。サッカー場が2面取れる広さのフロアでは、数百人がカートを押しながら棚と棚を何度も行き来する》

のだそうで、大半は契約社員や派遣などの若者。そこに日通からの配属組が交じっているようです。なんとなくロボットが行き交っているさまをイメージしていたわたしでした。

《限界にっぽん 第4部「追い出し部屋」2》

というタイトルの横には、

《「自分が機械になった気分」》

という大きな見出しがありました。

日通からの「アマゾン行き」組は、ほとんどが40代で事務系の中間管理職だった人たち。この記事が出た後、勤務内容は改善されたかもしれません。ピッキング作業ができるロボットが生まれたかもしれません。でも、ひょっとしたら、書道バッグを海から探し当てたのは、これまでの会社員人生を否定され、雇用の不安を抱えながら働くわたしと同世代のお父さんかもしれません。その方には、うちの娘と同じくらいのお子さんがいるのかもしれません。

きっと、アマゾンだけでなく、わたしが受け取っているたくさんの便利には、それを支えてくれている人たちがいるのでしょう。せめてそのことに想いを馳せようと思います。娘にも、この書道バッグがアマゾンの海からわが家に来るまでのお話を聞かせようと思います。

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