2007年04月09日(月)  人形町の『小春軒』と『快生軒』と『玉英堂彦九郎』

6月に出産を控えた元同僚のG嬢と人形町で会う。路地を入ると、趣のある洋食屋や和菓子屋がそこかしこにあり、探険しがいのある町。地元に住むG嬢の案内で、明治45年開業という洋食屋『小春軒』で昼食。店の名前は山県有朋のおかかえ料理人だった初代の小島種三郎氏とその妻・春さんの名前を一文字ずつ取ってつなげたものだとか。「小春」という字面も「こはる」という響きもとても好もしい。お店が続く限り、この二文字の中に夫婦は寄り添い続ける。現在は四代目の店主が味とのれんを守っている。注文したのはコロッケ定食。できたてほくほく、皮さくさくのポテトコロッケを頬張る。

小春軒の二軒隣には、これまた趣のある喫茶店。大正8年創業の喫茶去(きっさこ)快生軒。店構えもさることながら、店内は時間が止まったようなレトロな空間。テーブルも椅子もカウンターに鎮座する年代物の器具も、いい味を出している。こういう雰囲気の中で落ち着いて味わうコーヒーはしみじみとおいしく、場所代に空気代まで上乗せしたくなるが、カフェオレ500円と良心的。向田邦子さんも通われたお店なのだそう。

G嬢おすすめの和菓子屋・玉英堂彦九郎(ぎょくえいどうひこくろう)で「とら焼き」を買って帰る。焼いたときに虎のような模様がつくことから、どら焼きではなく、とら焼き。したたるようなみずみずしい餡とふわふわの皮が絶品。次回は一つ550円也という玉饅(ぎょくまん)を試してみたい。断面を見ると、一個のおまんじゅうの中に五色の餡がマグマを囲む地層のように納められ、小さな餡地球のよう。このお店、創業は天正4(1576)年とか。本能寺の変(天正10年)より6年早い。こうなると、明治や大正が最近のことのように思えてしまう。片や、人形町は子宝にご利益があるという水天宮のお膝元で、マタニティ服やグッズの店が軒を連ねている。伝統と未来が共存する、なんとも懐が広くて面白い町。

2004年04月09日(金)  五人姉妹の会@タンタローバ
2002年04月09日(火)  東京コピーライターズクラブ

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