2007年04月07日(土)  G-up Presents vol.5『アリスの愛はどこにある』

G-upの第5回プロデュース公演『アリスの愛はどこにある』を観る。脚本は、ほさかようさん。第1回のプロデュース公演『金魚鉢の中で』をはじめ、これまでに観た3本のほさかよう脚本作品に毎回うならされている。わたしが苦手とする「毒」を描くのがとてもうまい。人間のドロドロした部分を描くというのとは違い、登場人物を襲う残酷な運命を実に痛々しく描き出す。息苦しくなるような胸の痛みを観客に与えた後に一条の光のような救いを投げかける、そんな感じだ。

『ヘンデルとグレーテル』を下敷きにした『Deep Forest』はとりわけ印象に残っている作品だが、今回の『アリス〜』は『Deep Forest』に次ぐ童話ファンタジー第二弾ということで、チラシを観たときから期待が膨らんだ。主人公はメルヘンが大嫌いな女の子、アリス。だが、皮肉にも、絵本作家の恋人が手がける作品はメルヘン。彼女の誕生日も仕事で忙しい彼からの贈りものは、手づくりの絵本。その世界に迷い込んだアリスは、物語の中で役割を果たせば元の人間の世界に戻してやると言われる。ハッピーエンドくそくらえなアリスが招いた結末とは……というストーリー。異世界に迷い込む設定は『不思議の国のアリス』をなぞっているけれど、ほさか流の毒をまぶされ、すっかりダークな味わいのファンタジーに。笑いをふんだんにちりばめながら伏線を張り巡らせた前半から一転、後半はハッピーエンドを期待する観客の楽観をあざ笑うがごとく、これでもかこれでもかとたたみかけるように登場人物が不幸に見舞われる。すっかりたたきのめしたところで今回も救いのラストが用意され、計算された構成に感心したが、いきなりすべてがきれいに納まってしまったので、激辛攻撃で麻痺した舌に甘ったるいデザートをのっけられたような唐突さは否めなかった。出来すぎていた『Deep Forest』と比較して、まだまだ面白くなるのでは、と欲張ってしまう。わがままな観客。

歯車を倒したようなギザギザの台座を三つ並べたシンプルな舞台美術とキルティング地の衣装は、色使いがとてもメルヘンチックで、わたし好み。ステージを客席が三方から囲む形で、暗転はなし。台座をぐるぐる回しながら位置を替えて場面転換をするアイデアは面白い。『Deep Forest』でも共演したアリス役の新谷真弓さん、女王役の楠見薫さんが光っていた。愛らしさと不思議さをあわせもつ新谷さんのアリスは見事にはまっていて、そこに存在するだけで空気中のメルヘン度数が上がる。この女優さんは観ていて本当に楽しくて、目が離せない。誰かにすごく似ているんだけど誰だっけ、と思いめぐらし、高校のときに同じクラスだったヤヨイちゃんだと思い出した。文化祭でやった『オズの魔法使い』でドロシーを演じたヤヨイちゃんは、役になりきっていた。新谷さんのドロシーもきっとすごく似合うだろうな。

アリスの愛はどこにある
新宿FACE
2007年4月4日(水)〜8日(日)

【cast】

楠見薫
新谷真弓(NYLON100℃)

高木稟
小林健一(動物電気)
桑原裕子(KAKUTA)
森岡弘一郎
辰巳智秋(ブラジル)
瀧川英次(七里ガ浜オールスターズ)
多根周作(ハイリンド)
中谷千絵(天然工房)
桜子
小宮山実花
田中あつこ(バジリコ・F・バジオ)

櫻井麻樹
山村秀勝
熊野善啓(チャリT企画)
竹岡常吉(PMC野郎)
矢田一路
弓削智久

脚本 ほさかよう 
演出 板垣恭一 
舞台美術 松本わかこ 
音響効果 末谷あずさ(OFFICEmyon) 
音響オペレート 天野高志(OFFICEmyon) 
照明 正村さなみ(RISE) 
舞台監督 金安凌平 
衣裳 名村多美子 
衣裳協力 渡辺まり 
音楽 佐藤こうじ(SugarSound) 
小道具協力 櫻井徹 
演出助手 井村容子 
演出部 田村友佳(KAKUTA) 
宣伝美術 岩根ナイル(mixed) 
チラシ写真 Tomo.Yun
撮影 田中亜紀 
制作助手 松井見依子/田辺恵瑠 
プロデューサー 赤沼かがみ 
企画製作=G-up


2006年01月29日(日)  空想組曲『白い部屋の嘘つきチェリー』
2005年05月31日(火)  G-up presents vol.3『Deep Forest』
2004年10月09日(土)  G-up第1回公演『金魚鉢の中で』

2004年04月07日(水)  2人で150才の出版祝賀会
2002年04月07日(日)  イタリア語

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