2005年05月31日(火)  G-up presents vol.3『Deep Forest』

川上徹也さんに紹介された赤沼かがみさんの演劇プロデュース会社G-upのプロデュース公演vol.3『Deep Forest』を観る。

『金魚鉢の中で』(2004年10月9日)のほさかよう脚本、『お父さんの恋』(2005年3月26日)の板垣恭一演出の顔合わせ。童話『ヘンデルとグレーテル』を下敷きにした物語がどこへ向かっていくのか、観客も深い森に投げ込まれ、結末という出口を探っていく。

お菓子の家。魔女。迷子の兄妹。出てくるモチーフは覚えのあるものなのに、登場人物に背負わせるものを加えたら、まったく新たな物語が生まれる。「キャラクターづけが脚本の命」のお手本のよう。27才のほさか氏、前作よりさらに力をつけているようで、ますます楽しみ。

役者さんは女性の三人がとくに光っていた。魔女役の楠見薫さん、抜群にうまい。見得を切ったりすごみをきかせたりのメリハリ芝居の末に見せたラストでの微笑みは本当に美しく神々しかった。川上さん脚本の『隣のベッド』(2002年10月12日)で外国語ペラペーラの一発芸演技が強烈だった人だ、と途中で気づく。グレーテルとエデンの2役はナイロン100℃の新谷真弓さん。とにかくキュートでずっと見ていたいキャラクター。一緒に観た女優・鈴木薫いわく「あの役は一歩間違えたらイヤミになるから、相当の力ですよー」。ナイロン、ますます観たくなる。チラシの束の中にあった劇団健康(ナイロンの前身)の12年ぶりにして第15回公演『トーキョーあたり』も気になる。魔女の友人役・劇団扉座の伴美奈子さんも、いい人と悪い人のぎりぎりのところをうまく演じていて、目が離せなかった。

謎の男に演劇集団キャラメルボックスの細見大輔さん。この顔には見覚えが……テレビかな。上杉祥三さんプロデュースの『BROKEN ロミオとジュリエット』で露見央、『クレオパトラの鼻』(2004年1月28日)で大黒天だった井之上チャルさんは、エデンのやんちゃな友人役。最初は少年に見えなかったのに、だんだん少年にしか見えなくなってきたヘンデルはChintao Record山中崇さん。山中さんと村人の小橋川健治さん(絶対王様)は『やわらかい脚立』(2005年3月11日)で拝見。

村人の松嶋亮太(tsumazuki no ishi)、川渕良和さんのお芝居は多分初めて。差別化が難しい村人役だけれど、三人の台詞のたたみかけで村の世論が暴走していく怖さを表現していた。全員がはまり役。

上演は新宿スペース107にて6月5日まで。チケットまだ余裕あるようなので、ぜひ。

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