un capodoglio d'avorio
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2002年12月26日(木) 2002年極私的芝居ランキング(前半)

きょうは今年最後の芸能研で「舞納め」。耕ちゃんが来られへんくてそれが残念。身体は少しずつ整えていくしかない。気の遠くなるような「単純」作業だけれど、たゆまずやろう。

さて年の暮れも差し迫ってきたし、まずはどか的「総括シリーズ」第1弾、今年観たお芝居のベスト10を考えてみたい。ということで数えてみたら、2002年にどかが観た芝居は全部で15本(除く「舞踏」「ライブ」)。思ったより少なかったな、去年とかは軽く20本は越えてたもんな。それだけ激動の一年やったということなんだろうなー、ごくろう、ワタシ。

第10位 いのうえひでのり「天保十二年のシェークスピア」@赤坂ACTシアター:☆
2002年度前半の小劇場界を激震させたプロデュース公演。かろうじてランキング圏内だが「ガッカリさせられたランキング」であればダントツの首位。幻の井上ひさし脚本はまさに珠玉、キャスティングはここ10年間でも最高のクオリティ(誇張ではなくヤンキースかレアルマドリード並)、しかし・・・。芝居は脚本・役者・演出の三拍子が揃わなくては始まらない総合芸術であるという事実を、図らずも浮き彫りにしてしまった問題作(参考→DOKA'S DIARY 3/22)。

第9位 遊◎機械/全自動シアター「THE CLUB OF ALICE」@青山円形劇場:☆☆
浮沈の激しい小劇場界にあって20年近く「劇団」という不可能に挑戦し続けた希有な集団の、最終公演。その途方もない時間を支えていたのは、たった二人の演劇人であった。しかしその二人の才能は未だ枯渇していないことを世にしらしめた佳作。でももすこしイメージの広がりが欲しかったな、あの遊◎機械独特な(参考→DOKA'S DIARY 10/19)。

第8位 つかこうへい「長嶋茂雄殺人事件」@シアターΧ:☆☆
甘いね、どかは、つかに。甘過ぎだなあ。んんん、苦しい。脚本と演出は良かったんだと思う。でもこれも第10位の芝居と同様、三つのピースの最後の一つが揃わなかったんね。予想はついたんやけどな。役者に華が無いから、台詞で何とか色をつけてやろうと過激な長ゼリが口立てでついていくのは、演出家の限りない優しさだ。でもほとんど全ての役者にその優しさを発揮しなくてはならないので、舞台は荒唐無稽になっていく悪循環。つかはもう卒業しよかな、とさえ思った辛い思い出(参考→DOKA'S DIARY 5/16)。

第7位 日本総合悲劇協会「業音」@草月ホール:☆☆☆
メディアの寵児を輩出し続ける才能集団、劇団大人計画の主宰松尾スズキのプロデュース公演。松尾的美学とは歪んだ笑いと緩んだ毒のグレコローマンスタイル。キャラメルボックスが好きー♪とか言ってる「よい子ちゃん」には決して受け入れられないだろう反社会的なモチーフ。差別的言辞の向こうに見えるまっとうなメッセージにたどり着けて嬉しかったどか。クドカンと阿部サダヲがおらんのでこの順位(参考→DOKA'S DIARY 10/11)。

第6位 RUP「透明人間の蒸気」@青山劇場:☆☆☆
筧利夫はどかの中で長らく<東の正横綱>の地位にあったが昨年、銀之丞にその地位を譲った。そしてこの舞台が無ければ、一気に幕下まで陥落するところだった。かつての小劇場ブームを背負って一世を風靡した稀代の役者、久々のカムバック。テレビのバラエティがいかに役者の華を散らしてしまうのかという標本。つまり、いまでも充分過ぎるくらい凄いこのヒトの、かつてのスケールがいかほどであったかということだ。小西真奈美好演。野田節が冴え渡る脚本。でも三拍子には一つ足りず(参考→DOKA'S DIARY 11/17)。

第5位 青年団「S高原から」@駒場アゴラ劇場:☆☆☆
青年団若手公演。サナトリウムのホールに展開される会話劇。同時多発会話の冴えを見せつつ、かつ沈黙の「音」を朗々と響かせる卓越した作劇。オリザ脚本の中でも、屈指のロマンティシズムが香ってくるところが、たまらないどか。これを若手だけではなく山内健司さんやひらたよーこさんのベストな役者で観てみたかったな、したら今年のランキングは違うものだったな。かと言って某北区の某劇団と比べると若手の役者の質は段違い(参考→DOKA'S DIARY 3/14)。

第4位 扉座「いちご畑よ永遠に」@紀伊国屋サザンシアター:☆☆☆☆
流した涙の量はもしかしたら第1位の芝居よりも多かったかも。号泣。去年の9/11以来、ジョンレノンの存在が妙にクローズアップされることが増えた。例えば「イマジン」という曲に顕著なスマートでカリスマっぽいそのレノン'S イメージを肉付けしていく芝居かと思いきや反対だったのがすごい。レノンというカリスマを裸にしていき、清濁併せ持つ一人の青年のリアリティを描き出す。ラストの演奏&合唱は圧巻。確かに恥ずかしいしクサいのだけれど、キャラメルボックスとは一線を画する。そのラインをもっと明確に見極めたいと願うどか。扉座の株は、またしても上昇する(参考→DOKA'S DIARY 11/23)。

後半へと続く・・・


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