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JIROの独断的日記
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2012年05月23日(水) 「全身被ばく、最大50ミリシーベルト=福島原発事故でWHOが推計」←原文の所在を明らかにした方が良いと思います。

◆記事:全身被ばく、最大50ミリシーベルト=福島原発事故でWHOが推計(時事通信 5月23日(水)20時52分配信)

世界保健機関(WHO)は23日までに、東京電力福島第1原発事故による日本国内外の住民の推計被ばく線量をまとめた報告書を公表した。

全身の被ばく線量が最も高かったのは福島県浪江町と飯舘村で事故後4カ月間で10〜50ミリシーベルト、

福島県のその他の地域は年間1〜10ミリシーベルト、宮城など近隣県が同0.1〜10ミリシーベルト、

その他の国内は0.1〜1ミリシーベルトだった。

同事故に伴う被ばく線量を評価する国際的な調査は初めて。

平常時の一般人の年間被ばく線量限度は1ミリシーベルトとされ、

年間線量が100ミリシーベルトを超えると発がんリスクが高まるといわれる。


◆コメント:ソースを明らかにした方が良い、と思います。

記事に書いてあるのは「WHOの推計」だということだけです。

しかし、現在、2012年05月24日(木)00時49分ですが、

1時間前まで、WHOのトップページを見ても分からなかったのです。

さきほどアップデートされ、

May 2012 Fukushima nuclear accident: preliminary estimate of radiation doses

まず、間違いなくこれだろう、と見当が付きますけど。

くどいですけど、ちょっと前までトップページには表示されてなかったので検索するのに

結構苦労しました。皆が皆、英語が得意な訳でも好きな訳でもないでしょうし、

私だって、得意じゃないですけど、まあ、何とか四苦八苦して原文を確かめようとするのです。

時事通信や共同通信が、故意に原文をねじ曲げて、ウソの報道をするとは思いませんが、

確かめられるものは確かめたい、と思う人間もいるのですから、アドレス(URL)を併記してくれると

助かります。

さらに、このレポートはPDFファイルで124ページの膨大なものです。↓
Preliminary Dose Estimation from the nuclear accident after the 2011 Great East Japan Earthquake and Tsunami

この中に時事通信が抜萃した部分があるはずですが、それを探すのにまた一苦労します。

なんとか見つけました。PDFの43ページ目。
3.3.1 Estimated effective doses

■Of the example locations considered in Fukushima prefecture, several are in the area20-30 km from the site where characteristic effective doses in the first year, to all agegroups, are estimated to be in the dose band of 10-50 mSv. The dominant pathwayin these locations is estimated to be external dose from ground deposits but there are also contributions from the other exposure pathways. In these locations, only the first four months of exposure from external dose have been included as it has been assumed that relocation would have occurred at that time.

■At other locations considered as examples in Fukushima prefecture, the characteristic effective doses in the first year, to all age groups, are estimated to be in the range 1-10 mSv. In these locations the major exposure pathways are external dose from ground deposition and ingestion doses.

■In prefectures neighbouring Fukushima, characteristic effective doses in the first year,to all age groups, are estimated to be in the dose band of 0.1-10 mSv. This wider range of dose band for these neighbouring prefectures reflects the wide variation in deposition levels across these areas. The dominant pathway here is estimated to be external dose from ground deposits.

■In other Japanese prefectures, characteristic effective doses in the first year, to all age groups, are estimated to be in the dose band of 0.1-1 mSv, with the dominant pathway being food ingestion.

全部読んで無いからわからないですけど、この部分だけだと、まあ、時事通信はデタラメは書いてないです。

本当は専門家の訳を待つべきでしょうが、私が何とか日本語にしてみると、
■原発から20キロから30キロの範囲内のいくつかの計測地点では、全ての年齢層にわたって、被曝線量は、1年間で10〜50ミリシーベルトと推定される。

主な被曝経路は地面に堆積した放射線物質による外部被曝だが、他の経路も考えられる。被曝の大部分は、最初の4ヶ月に起きたと考えられる。


■他の福島県の諸地域では、全ての年齢層にわたって、被曝線量は、1年間で1〜10ミリシーベルトと推定される。主な被曝経路は地面に堆積した放射性物質からの外部被曝と経口被曝である。


■福島の近隣県では、全ての年齢層にわたって、被曝線量は、1年間で0.1〜10ミリシーベルトと推定される。この被曝線量の幅の広さは、場所によって、放射線物質の堆積量に大きな差があることに起因する。


■日本の他の都道府県では、全ての年齢層にわたって、被曝線量は、1年間で0.1〜1ミリシーベルトと推定される。主な感染経路は、経口被曝と考えられる。

厳密にいうと、時事通信は外部被曝と内部被曝(経口被曝は内部被曝の一種です)のことを書いていないですが、

両者の人体に与える影響は、差があるはずです。しかし、それは、WHOレポートの少なくとも抜萃した部分には書いてありません。

そして、
「年間線量が100ミリシーベルトを超えると発がんリスクが高まるといわれる」

は、時事通信のコメントであって、WHOは何も書いていません。

ただ、私の知る限り小出裕章京都大学原子炉実験所助教は、日本の法律では、

原子力に関係の無い一般人の年間線量限度は1ミリシーベルトで、小出さんのような特殊な

立場の人で、年間20ミリシーベルトとされていること。

そして、被曝線量には「しきい値」が無い。つまり、「これ以下なら安全」という値ではなく、

少しでも被曝したら、しないよりも良くないということ。これはいつも書いておられますね。

時事通信の記事だと100ミリシーベルトまでは大丈夫そうに読めますが、

100ミリシーベルトなんてのは、本来、一般人の100年分。大抵の人は底まで長生きしませんから、

100ミリシーベルトは、一生分の線量を超えている、とんでもない値なので、

ミス・リーディングなことは、書かない方が良いのではないか、と思います。

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