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JIROの独断的日記
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2012年05月09日(水) 大阪市音楽団は条例で収益を上げることが制限されているのに、「儲かってないから潰す」のは明らかな矛盾だろう。

◆記事:橋下市長殿、いきなり市音楽団「ジ・エンド」?(読売新聞 5月7日(月)14時46分配信)

全国で唯一、自治体が直営する吹奏楽団「大阪市音楽団」が、橋下徹市長が発足させた改革プロジェクトチームから2012年度限りの廃止を迫られている。

橋下市長は「行政が楽団を抱える必要はない。(廃止後は)分限免職だ」と、音楽士(楽団員)36人の整理解雇まで言及する。

楽団員は7日午後、橋下市長に「性急な廃止はやめてほしい」と直談判する。


「1小節ごとの最初の音をしっかり出して」

管楽器ユーフォニアムを担当する三宅孝典さん(54)は4月25日、市立高津中(天王寺区)で約2時間

吹奏楽部の生徒18人を指導した。楽団が市立中、高校での音楽教育に楽団員を無償派遣する事業だ。

顧問の田中雅朗教諭(37)は「音楽団は市内の学校吹奏楽部を底上げしてくれている」と話す。

楽団は幼稚園や小学校対象の鑑賞会なども開催しており、所管する市教委幹部は「教育に軸足を置いている」と強調する。

しかし、橋下市長は「子どもたちに指導するために、税金でサッカーやラグビーのプロチームを抱えるのか」と主張。

楽団に市から独立した自主運営を求める。

楽団の維持経費は10年度、人件費を中心に約4億7800万円。

収入は10分の1しかなく、差額の4億3000万円を市が負担する。

学校や音楽ホールなどからの演奏依頼を受けて計94回公演し、入場者約7万2000人を集めたが、

うち8割超の79回は観客から料金を徴収していない。音楽鑑賞の機会を市民に安く提供するため、

条例で出演料を「1回6万3000円以内」と制限していることも収益が伸びない一因だ。

市音楽団と共演してきた作曲家の宮川彬良(あきら)さん(51)は

「どの楽団も国や自治体から補助を受けており、演奏収入だけでは運営できない」と言う。

市教委幹部は「2012年度限りの廃止はあまりに早すぎる」としており、市音楽団の辻浩二団長(59)は

「いきなり自立と言われても、そのための検討期間が必要だ。がけっぷちから落とすようなことはしないでほしい」と話している。

◆大阪市音楽団=1923年に元陸軍軍楽隊の有志が結成した「市音楽隊」が前身で、自力での運営が困難になったことから、

34年に市に編入された。70年の大阪万博に出演。大相撲春場所での国歌演奏も担当している。

楽団員は市職員で、現在33〜59歳の男女36人。


◆コメント:条例で「儲けるな」と定めておいて、市長が「儲からないから潰す」とは何だ?

一応理屈を書くが、橋下市長を見ていると、凡そ、「文化的」とか「教養」とか

そのたぐいの「臭い」を漂わせる存在全般に対して、異常なまでの敵愾心を抱いていることが分かる。

だから、いくら正論を吐いても奴の言うことは変わらない。「文化を大切にしないのか?」という類の

言葉こそ、彼が反発心を刺激するのである。


しかしながら、上の記事。太文字で強調した部分は見逃せない。

条例とは、大阪市文化振興条例である。

出演料云々の細目まではここには定められていないので、さきほど、Twitterで、

大阪市音楽団に「その条例で定められた細目」を教えて欲しい、と依頼したが、

そう、瞬間的には入手出来ぬ。


但し、大阪市文化条例には、次の文言がある。

大阪市芸術文化振興条例 平成16年3月29日


第2条(定義) この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 芸術文化 音楽、演劇、舞踊、美術、写真、映像、文学、文楽、能楽、歌舞伎、茶道、華道、書道その他の芸術に関する文化をいう。

(2) 芸術活動 芸術作品を創作し、又は発表すること(専ら趣味として行うものを除く。)をいう。

(3) 芸術家 芸術活動を行う者及び芸術活動を行う団体をいう。


第3条 (基本理念)本市における芸術文化の振興は、次に掲げる理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、推進されなければならない。

(1) 芸術文化の振興に当たっては、市民及び芸術家の自主性が十分に尊重されるべきものであること

(2) 芸術文化は、市民及び芸術家の双方が支えるべきものであること

(3) 芸術文化は、市民が芸術家の活力及び創意を尊重するとともに、自らこれに親しむことにより、その振興が図られるものであること

(4) 芸術家は、その活力及び創意を生かした自主的かつ創造的な芸術活動を行うことにより、芸術文化の振興に主体的かつ積極的な役割を果たすべきものであること

(5) 芸術文化の振興に当たっては、多種多様な芸術文化の保護及び発展が図られるべきものであること



第4条(本市の責務)本市は、基本理念にのっとり、市民及び芸術家との連携を図りながら、芸術文化振興施策を総合的に策定し、及び実施するものとする。



第5条(市民が芸術文化に親しむ環境の整備)本市は、市民が優れた芸術文化に身近に親しむとともに、高齢者、障害者、子育て層をはじめ

広く市民が容易に芸術文化に親しむことができるよう、環境の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。


第6条(地域における活動の活性化)本市は、地域において市民が積極的に芸術文化に親しむことが芸術文化の振興に資することにかんがみ、

市民が地域において芸術文化に親しむことができるよう、芸術作品を鑑賞する機会の提供、公演等への支援、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

金額など細かいことは、他に文書があるのだろうが、大阪市のウェブサイトで読める文書である。

読めば明らかなとおり、大阪市音楽団のコンサートで、無料演奏が多かったり、有料でもチケットが安いのは、

つまり、収益が上がらないのは、

大阪市それ自体がが「文化振興」の為に、施策として定めた条例によるものである。

これほど、文化に対して、理解のある、本来誇るべき「文化振興条例」で、
「本市は(注:大阪市)、(中略)広く市民が容易に芸術文化に親しむことができるよう、環境の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。

と定めたものを、要するに「自分が気にくわないから」無視するという。これは専制政治であり、

国政で与野党が揉めてばかりいて、何も決められないからと言って、

何でも容易に切り捨てる大阪市長の行為を正当化するものではない。

それとこれとは、別の話だ。これでは、北朝鮮と大差ない。

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