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JIROの独断的日記
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2003年05月09日(金) 巷にあふれる「プラス思考のすすめ」への反論

 本屋へ行くと必ず、「プラス思考で万事うまくいく」とか、「楽観主義のすすめ」とか、「ポジティブ・シンキング」(Positive thinking)いう類の本を見かける。こういう本を見るたびに、この著者はアホではないか、と思う。

 人間には性格というものがあるし、また、人間の情緒はうつろいやすいものである。いままで、何事に対しても悲観的にしか物を考えられなかった人が、「プラス思考をしよう!」と決心することによって、以後、死ぬまで楽観的になるということはあり得ない。

 そもそも、人生において物事が順調に運んでいるときには、自然とプラス思考になっているから、こんな本を買う人はいない。「プラス思考のすすめ」の類を読もうという人は何か人生で問題、悩みを抱えているはずである。

 まず、試験に落ちた。商売に失敗した。詐欺に会って大きな借金を抱えてしまった。というような現実に厳しい状況にあるときに、物事を明るく考える、ということには無理がある。それは自己欺瞞の一種である。無理に明るく考えて、なおかつ問題が解決しないときには、反動で余計に大きく落ち込む事になりかねない。

 また、大した問題に直面していなくても、すぐにクヨクヨしたり、起きるかどうかわからない、未来の出来事を想像して勝手に心配する、というタイプの人がいる。こういうのを「自動的否定思考」というのだが、要するにそういう「考え方のくせ」が身についてしまっているのである。言い方を変えると、事実を正しく認知していない。「認知の歪み」があるのだ。こういう人には、ただ、「物事をプラスに考えろ」といっても、それは、無理な注文である。大切な事は自分の認知の歪みのパターンを認識する事である。

 人間が感じている事が、事実を正しく反映しているとは限らない。例えば、一回何かに失敗しただけなのに、「私は、いつも失敗ばかりしている」と言う人がいる。こういう考え方のパターンを「過剰な一般化」という。よく思い出してみれば、だれでも生まれてこの方、失敗ばかりしているということは、あり得ない。必ず何かに成功した経験があるはずだ。しかし、悲観的な人の頭の中ではそういうことは消えてしまっている。これが「認知の歪み」である。

 「過剰な一般化」以外にも、認知のゆがみのパターンは「全か無か思考」「拡大解釈と過小評価」「独断的推論」など10種類に大まかに分類できる。クヨクヨが始まったときに、自分がどのパターンに陥っていて、それは合理性に欠けたものである、という自覚が生じると、無理にプラス思考をしなくても、苦労が減る。詳しくは認知療法のところで述べたので、読んでみていただきたい。


2002年05月09日(木) 北朝鮮からの亡命者

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