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JIROの独断的日記
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2009年12月22日(火) 「10年度税制改正大綱」←これも大事ですけど、景気指標をみてますか? 鳩山さん。

◆記事:税制改正で約1兆円増税に(NHK:12月23日 4時45分)

政府は22日、扶養控除の一部廃止やたばこ税の引き上げなどを盛り込んだ来年度の税制改正大綱を決定し、

これらの改正がすべて実施された場合、国と地方であわせておよそ1兆円増税となる見通しです。

22日に閣議で決定された来年度の税制改正大綱では、所得税と住民税の扶養控除について、

子ども手当の創設にあわせて16歳未満の子どもがいる人を対象とする「年少扶養控除」を廃止する一方、

23歳から69歳までを扶養する際の「成年扶養控除」は現状のまま存続させます。

さらに、16歳から22歳までの家族を扶養する人に多くの控除を認めている「特定扶養控除」は、

高校の無償化にあわせて16歳から18歳の部分について控除を縮小します。たばこ税については、

国民の健康の観点から来年10月から1本当たり3.5円増税し、

小売価格で1本5円程度値上げされる見通しになりました。20本入りのたばこ1箱では、

100円程度の値上げです。さらに、ガソリン税などの暫定税率の制度は廃止するものの、

税率水準を維持するための特別措置を設けることになり、

暫定税率の廃止で2兆5000億円を減税するという民主党の政権公約は実現できませんでした。

扶養控除の一部廃止などは平成23年以降に実施されますが、今回の税制改正がすべて実施された場合、

国税と地方税あわせておよそ1兆円増税となる見通しです。


◆コメント:子ども手当ての財源を捻出した結果増税になり、総需要をこれ以上抑えては困る。

税制改正というのは、毎年やるのですよ。

教科書風に最も簡単に書くと、

税体系を経済や社会の変化に合わせて改正する作業。毎年度実施される。

ということになります。自民党政権のときは、首相の諮問機関で、財政学者などにより構成される

「税制調査会」が答申をまとめて、12月半ばに政府が「税制改正大綱」を発表して、

税制改正法案を作って、1月の通常国会に提出して、可決される、ということでした。


鳩山政権は、学者じゃなくて財務大臣や各省の副大臣による「政府税調」が改正作業をやることにしたわけです。

問題は、理想は、最初、「清く、正しく、美しく」だったのだけど、何せ具体的に数字をまとめることになれてないから

実務上、ヘマが目立つんですな。


メディアが批判しているのは(批判するだけなら簡単なんですけどね)、マニフェストの目玉商品だった

「子ども手当て」の支給を守るために、他の公約だった、ガソリン税の暫定税率(今は本来の倍、ガソリン税が

かかっているのです)を、本来の税額に戻すと言っていたのを反故にしちゃったじゃないか、ということですね。

マニフェストで色々調子の良いことぶち上げておいて、子ども手当てを何としても実現しようとしたら、他の公約を

反故にして、いいのかい?と言うわけです。


おまけに無駄をなくすといって、事業仕分けで、先日書きましたけど、例えば芸術関係の補助金を

「圧倒的」に縮減とかいうので、小澤征爾さんまで、減らさないでくれと直訴したけど無駄だったようで、

しかもそれで子供手当の財源を確保出来たかと言ったら、7000億円程度で予想より全然足りない。

色々な人が減らされたら困るという予算を削ってなおかつ、子ども手当の財源確保には足りないのです。


◆子ども手当

子ども手当てとは、中学生以下の子供1人に対して2010年度は毎月1万3000円、2011年度からは2万6000円を

支給する、というのだけど、それでどうなるのですかね。

東京なら、塾代には足りないし、塾になど通わせていないという

家庭では、それが本当に子供のために使われるのかと。家計の足しになるだけで、子供が多い方が得で、

可処分所得が増えるけど、子供がいない世帯では、所得の補助にもならない。何か不公平な気がする。

しかも、その為に、なんでガソリン税の暫定税率維持を決めたのか、という論理が分かんないですね。

要するに、民主党は、まあ、初めて政権を取ってしかもいきなり新しいやり方で税制改正を試みたけど、

結果敵には全体として増税になるんですね。何しろ子ども手当のために初年度だけで、総額2兆3千億円も要るのですよ?

2011年度からはその倍もいるのですよ。

どうすんの?ってことですね。消費税を上げるって言うけど、景気が回復してりゃまだしも、

全然回復していないのです。


◆税制改正に隠れてしまって、大きく報じられない、日銀金融経済月報と内閣府の月例経済報告

日銀は先週の木曜と金曜に金融政策決定会合を開催して、金融政策の現状維持を決めました。

それは、予想どおりです。今、利上げするわけないし。完全なゼロ金利に引き下げたり、量的緩和策を

決めてしまったら、もうそれ以上何も出来ませんからね。

金融政策決定会合の翌営業日に日銀は金融経済月報を発表します。

そこでの基本的見解は

わが国の景気は、国内民間需要の自律的回復力はなお弱いものの、内外における各種対策の効果などから持ち直している。

でした。「持ち直しているならいいじゃないか」ではなくて、日銀の基本的見解は前月から

どのように、景気にたいする基本的見解が変化しているか、が重要なんです。

9月から11月までは、相対的にかつ、わずかながらですが、表現がプラス方向に変化していた。

12月は4ヶ月ぶりに11月と変わりありません。

景気は持ち直しつつあるといっても停滞していると言うことです。



同じ日に、これも毎月、政府が景気をどのように認識しているかを示す、内閣府が作成する、

月例経済報告というレポートがありますが、これも最初に結論が書いてある。

「基調判断」いいますが、11月に関しては、
−景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。−

です。これも前月まで、プラス方向に変化していたのに、今月の発表は11月と変わりません。


◆「はじめに子ども手当ありき」でやるからおかしな事になるんです。

甘いことを言えば、民主党は初めて政権政党になり、しかも、なった途端、今までの「しきたり」も

よく分からないうちにいきなり「脱官僚」とかいうから、役人の強力も得られずに大変なのはわかりますが、

このまま景気がまた下向きになって、年末ともなれば、必ず自殺者が増えますよ。

だから厳しいことを言わざるを得ない。

マニフェストはどうせ全部守れない、ということになりました。暫定税率維持とか。

しかし、子ども手当に専心するあまり全体として増税になったら、経済はますます萎縮し、

デフレスパイラルが止まりません。民間で総需要を増やせないのなら、

国が財政支出により、需要を喚起するのです。

ケインズという経済学者が何十年も前から言ってます。

だから、どうせ公約破るなら、「国債新規発行額を44兆円以下に抑える」の方を破るのです。

藤井財務相は景気対策は日銀の仕事とかいっていますが、いくら日銀が市場に資金を供給しても、

モノの製造増えたり、そのために設備投資投資をしよう、という気が無ければどうしようもない。


たとえが不謹慎なのですけど、床にガソリン撒いただけでは、何もおきませんよね?

火を点けて初めて、爆発的に炎上するわけです。

景気を火事にたとえてはいけないけど、今の政府は、その火付け役にならなければ、

と言う自覚がないのです。

マスコミも、「税制改正大綱」の矛盾点を指摘・批判してばかりいないで、

民需が弱いのだから国が何とかしろ、という批判をしなくてはいけないのです。

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