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JIROの独断的日記
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2007年12月22日(土) 毎コン本選会の特集番組を見て。音楽を専攻する若い諸君に言っておきたいことがある。/ベートーベン 交響曲第7番 3,4楽章

◆君たちが血の滲むような努力をしていることは知っている。

 私はプロの音楽家を尊敬している。それは、少しだが自分も楽器のレッスンを受けたことがあり、

同じ先生に習う、プロ志望の兄弟子達が如何に苦労をしているか目の当たりにしたからである。その気持ちは今も変わらぬ。

私は、これまで何度も「プロの演奏家になるのは並大抵のことではない」という趣旨の文章を書いた。
その事実からも、本稿の趣旨をお察し頂きたい



私がこれから書くようなことは、私の駄文を読んで下さっているプロの音楽家の皆さんは十分にご承知である。大人なのだ。

だが、先週(今週というべきか要するに6日前)、NHK(地上波)で毎コン本選会のドキュメンタリ番組を見ていて、

プロのクラシック音楽家を目指す諸君(が、これを読んでいるかどうか分からないが)にひとこと言っておきたくなった。

それは、

世の中には、楽器を習いたいな、と思っていたが、習えなかった人も大勢いる、

ということである。


◆いくら才能があっても、習える環境に生まれる人とそうでない人がいる。

NHKの番組は全ての部門(作曲、ピアノ、ヴァイオリン、声楽、フルート、オーボエ)の本選出場者が、自宅で練習している様子や、

取り組んでいる課題曲をどのように解釈しているか、などが映像として映し出され、

かなり、私のようなマニアにとっては興味深い内容だった。



彼らが必死で音楽に取り込むのは素晴らしいことである。優れた才能が、それを伸ばすことが出来る環境にいる、

ということ自体、文化全体にとって幸福なことである。



本選まで残るような子たちは、皆、精神的に成熟しているから、或いは分かっているかも知れないが、人生経験は少ない。

以前、年甲斐もなく、某巨大掲示板のクラシック板をのぞいてみた。そこで無性に腹が立ったことがある。

毎コン出場者はあんなものに関わっているヒマはないであろうから、おそらくあまり出来の良くない音大生だと想像するが、

「楽器が弾けない者に、所詮音楽は本当には分からない」


という意味の言葉を見つけたのである。

将来、プロを目指すなら、これは口が裂けても言ってはいけない。

人には宿命というものがあり、どういう家庭に生まれるかを選ぶことは出来ない。

楽器を買って貰え、楽器のレッスンを受けさせて貰える家庭に生まれたと言うことは、大変に運の良い、

幸せなことである。

世の中には、実はピアノを習っていたら、大天才だったが、一生ピアノに触れることが無く生涯を終えた人もきっといると思う。

そこまで行かなくても、子どもの頃、或いは大人になってからでも「ピアノを弾いてみたいな」と思ったが、様々な事情で、

その希望が叶わなかったひとが大勢いる。それでもそういう人たちは、音楽を聴くのを楽しみにしている。



プロとは相対的な者である。皆が皆、ピアノをアルゲリッチのように弾けたら、アルゲリッチの存在価値は無い。


皆が皆、ハイフェッツのようにヴァイオリンを弾けたら、ハイフェッツは「100年に1人の天才」とは決して呼ばれなかったろう。

音楽を専攻している学生諸君。

君たちが、プロの演奏家を目指すことが出来るのは、世の中の大多数が楽器を君たちほど上手く弾けない、または、全く弾けないからである。



本当のことを言えば、確かに音楽が分かる近道は楽器を演奏する(ことを習う)ことである。

しかしながら、繰り返すが、「そうしたくても出来なかった」人たちに対してそれをいうのは、失礼だし、残酷だ。

レッスンがあまりに辛くて、泣いたことがあるかもしれぬ。もう楽器など止めてしまおうとおもったことがあるかも知れぬ。

しかし、君たちは楽器を習える宿命の下に生まれた。その有り難さを忘れてはならぬ。


◆ベートーベン交響曲全曲演奏シリーズ:交響曲第七番 第三楽章、第四楽章。

 昨日、「明日は興奮しまっせー」と書きました。そのとおりなのです。


第三楽章はこれまでも、たびたび出てきた、速い三拍子、スケルツォ。1小節を一拍と考えて、ベートーベンは、

メトロノーム速度を132と書いていますが、これは、例によって早すぎ。

しかし、この演奏は、朝比奈隆先生にしては、かなり意識的に早い。大体テンポ122ぐらい。最高126に達している。

速い動きの中で、たびたびトリルを弾かされる弦楽器は大変でしょうが、躍動感がある。



スケルツォには必ず中間にトリオというテンポが変わるところがあります。

この楽章では、再生開始後、2分35秒あたりから、トリオです。最初は木管楽器で静かにはじまります。

3分30秒すぎから、爆発します。突き抜けるトランペットの高音。雷鳴の様なティンパニ。それらをどっしりと支える

弦楽器群の豊かな響き。たまりません。どうぞ。

ダウンロード BeethovenNo7Third.mp3 (10179.2K)

トランペットは一つの音を伸ばしているだけですが、それこそ難しい。微塵も揺れてはいけない。

切れ目の直前、楽譜には書いていないけど、自然にクレッシェンドしています。すごい迫力でした。



次は第四楽章ですが、クラシック音楽には珍しく後打ちなんですよね。

それから、よくお聞きになると分かりますが、同じ音型を繰り返している。ボレロと同じです。

同じ音型、リズムを繰り返すというのは人間を非常に興奮させます。終わりに向けてどんどん盛り上がります。

この曲を聴き終わった後って、本当に気持ちが良い。オーケストラの方々は相当疲れるでしょうが。

どうぞ。

ダウンロード BeethovenNo7Finale.mp3 (8803.2K)



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