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JIROの独断的日記
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2009年08月06日(木) 「ほっとした」「いい経験」裁判員が会見←裁判員がテレビに顔を出すって、アホか?司法も、マスコミも、本人も。

◆記事:「ほっとした」「いい経験」裁判員が会見(8月6日17時29分配信 読売新聞)

全国初の裁判員裁判となった東京都足立区の路上殺人事件で、東京地裁での判決言い渡しを終えた裁判員経験者ら7人は、

6日午後3時40分ごろから約1時間、記者会見に臨み、「ほっとした」「いい経験になった」などと感想を語った。

記者会見したのは、38〜61歳の会社員やピアノ教師、栄養士ら裁判員経験者6人(男性2人、女性4人)と補充裁判員経験者の男性会社員(38)。

3日間に及んだ審理については、「イラストなどを使っていて、分かりやすかった」などの声が相次いだ。


◆コメント:裁判員がテレビで記者会見って、何を考えているのだろうか。

驚いた。裁判員が記者会見って、せいぜいコメントが新聞に載るぐらいかと思ったら、

今回、裁判員を務めた人々の顔をテレビで全国に放映している。

法務省も、マスコミも、裁判員たちも一体何を考えているのだろうか。

最高裁のサイト内に、裁判員制度のサイトが設置してある。

さらに、詳しく読むと、裁判員制度Q&Aのページがあり、

【裁判員の保護】という項目がある。


そこには、裁判員が事件当事者やその関係者の報復に万が一でも遭わないように、

だれが裁判員か(だったか)を特定出来ないようにする、と明記してある。抜萃すると、

裁判員になったことで,事件関係者から危害を加えられることはありませんか。

これまで裁判官や裁判所職員が事件関係者から危害を加えられたというような事件はほとんどおきていません。

また,事件関係者から危害を加えられるおそれのある例外的な事件については,裁判官のみで審理することになっています。ですから,どうぞご安心ください。

もちろん,裁判所は,安心して審理に参加していただくためにも,裁判員の安全確保に万全の配慮をします。

例えば,裁判員の名前や住所は公にされないことになっていますが,万一にも事件関係者に知られることがないように,

裁判員の個人情報については厳重に管理します。また,裁判員が法廷や評議室へ移動する際に,

事件関係者等と接触することがないよう,部屋の配置等を工夫しています。

それでも万一不安や危険を感じるような事態が生じた場合には,直ちに裁判所に相談してください。

裁判所は関係機関と連携するなどして必要な措置をとります。

さらに、
報道機関により,裁判員も法廷内で撮影され,テレビや新聞に報道されることはあるのですか。

法律上,何人も,名前,住所その他裁判員であることを特定するに足りる情報を公にしてはならないとされていますので,

裁判員の顔などが法廷内で撮影され,テレビや新聞で報道されることはありません。

なお,現在,法廷内での撮影は,開廷前に認められることがありますが,裁判員は,この撮影を終えてから入廷していただくことになります。

(注:色文字は引用者による)。

ご覧のとおり、万が一の危険を防ぐ為に、
法律上,何人も,名前,住所その他裁判員であることを特定するに足りる情報を公にしてはならない

のである。今日の「記者会見」は、裁判員を務めた人々の個人情報(氏名、住所等)はさすがに報じていないが、

彼ら、彼女らの知人が見れば、当然「アッ」と思うだろう。その中にタチの悪い奴がいれば、

「あの記者会見で右から何番目に座っていた人の住所、氏名、電話番号は」とネットに書き込むかも知れない。

そうなれば、あっと言う間に全国に裁判員の個人情報が知れてしまうではないか。


それでは、どうして今日の記者会見が可能だったのか?

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律「第六章裁判員等の保護のための措置」

第101条の文言(もんごん)は次の通り。
(裁判員等を特定するに足りる情報の取扱い)

第百一条 何人も、裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員又は裁判員候補者若しくはその予定者の氏名、住所その他の個人を特定するに足りる情報を公にしてはならない。これらであった者の氏名、住所その他の個人を特定するに足りる情報についても、本人がこれを公にすることに同意している場合を除き、同様とする。(注:色太文字は引用者による)

本来、「裁判員は誰か」は、裁判員に選ばれた時、裁判に携わっている最中は勿論、裁判が終わった後でも、特定されるべきではない。

だが、101条で明らかなとおり、「本人がこれを公にすることに同意している場合」は裁判員を特定できるような事をしても構わない、というのである。


この条文自体問題だと思う。

今回は、「最初の裁判員による裁判」ということが考慮されたのであろう。死刑か無期懲役か、という判断を求められる刑事事件ではなかったが、

今後、回数を重ねるにつれ、いよいよ、本当に「被告人を死刑に処す」判決を裁判員が下すケースが出るだろう。

この場合、仮にそのまま死刑が確定したら、被告人の身内の人間からの嫌がらせ、ひどい場合には報復が予想されるし、

それのみならず、特に、匿名で相手に連絡出来るインターネットが普及しているこの時代である。世間一般からの嫌がらせが、必ずあるだろう。


本件の裁判員は日本史上最初の裁判員を務めた「歴史上の存在」であることと、死刑云々に関わらずに済んだため、

気分が高揚して、思わずテレビに出てしまったのだろうが、今回とて、個人が特定されることはほぼ確実であり、

予想もしない嫌がらせのきっかけになる可能性がある。


そういうことは、法律にも、マスメディアの影響に関しても素人である裁判員たちは、正しく認識出来ないのだから、

マスコミが自粛して、裁判員の顔を撮影するべきではなかったし、法務省も、許可するべきではなかった。

今回の例一件では分からないが、裁判員は最初の日はおっかなびっくりだが、

3日目になると随分、法廷の雰囲気に慣れるようだ(最後には、全ての裁判員が被告人に質問したというではないか)。

多分、今まで無関係だった「司法」「法廷」に関わったという非日常性や、

一時的にではあるが、「司法権」という「国家権力の一部」に従属したことにより、個人の感情に一種の快感をもたらすようだ。

だから、その後の「万が一の危険」にまでは頭が回らない。

それをカバーしてやるのが、プロ、即ち法律の専門家やマスコミの良心だろう。

101条は早速改正するべきだ。本人の同意が有ろうが無かろうが、裁判員個人を特定出来るような情報

(テレビに顔が映ることも、歴とした「個人の特定を可能にする情報」だ)は一切公にするべきではない。

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