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JIROの独断的日記
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2009年04月28日(火) WHOはパンデミックアラート「フェーズ4」に引き上げたが、想定していた事態と違うので、WHOも各国政府もやや当惑気味。

◆記事1:情報BOX:豚インフルエンザ感染状況(4月28日17時56分配信 ロイター)

各国の政府と企業は、豚インフルエンザの感染拡大を受け、世界的大流行(パンデミック)を防ぐための対応に取り組んでいる。

世界保健機関(WHO)は豚インフルエンザのパンデミック警戒レベルを「フェーズ4」に引き上げた。

以下は、4月28日現在の豚インフルエンザの感染状況




◆記事2:<新型インフル>政府対策本部が初会合 対処方針を決定(4月28日22時13分配信 毎日新聞)

政府は28日、世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザの警戒レベルを引き上げたことを受け、

全閣僚参加の「新型インフルエンザ対策本部」(本部長・麻生太郎首相)の初会合を国会内で開いた。

ウイルスの国内侵入を防ぐ「水際対策」の徹底や、ワクチン製造などを柱とした基本的対処方針を決定した。

現状を、政府の行動計画に定める第1段階(海外発生期)と認定した。

首相は会合で「国家の危機管理上、総力を挙げて対策に取り組むことが必要だ。

ウイルスが国内に侵入した場合に備え、医療体制の確保や国民生活の維持のための措置など、国内対策にも遺漏なきように」と指示した。

対処方針

(1)情報収集の徹底と国民への的確な情報提供

(2)在外邦人の支援と水際対策の実施

(3)ウイルス株の早期入手とワクチン製造

(4)国内発生に備えた対策の実施−−の4本柱。


◆記事3:現時点では国内で確定診断できず―豚インフルエンザ(4月28日13時28分配信 医療介護CBニュース)

世界的な広がりを見せる豚インフルエンザの検査について、国立感染症研究所感染症情報センターの岡部信彦センター長は27日、

現段階では国内に豚インフルエンザウイルスがないため、「検査の試薬を作ることはできない」とし、

国内では確定診断ができない状況にあることを明かした。

医療現場では、迅速診断キットと問診によって感染リスクが高いと見込まれた患者がいた場合、「細かい検査が必要」だとした。

岡部センター長は、豚インフルエンザウイルスの検査について、

「元のウイルスがないと、検査の試薬を作ることはできない。わが国ではまだ発生していないので、検査がなかなか難しい」と指摘。

その上で、同研究所のインフルエンザウイルス研究センターがウイルス入手に向けて動いていることを明らかにし、

米国の疾病予防管理センターとやりとりをして、ウイルスの分与を受けられるというところまでは来ている」と発言。

「もし本物が届けば、一部の衛生研究所に分配し、少なくとも少数例の患者の検査はできるようになる」とした。

医療現場での患者のスクリーニングについては、「日本国内で現在流行しているインフルエンザウイルスはB型が中心」

既存の迅速診断キットでは、A型ウイルスの診断はできる」とした上で、

「(迅速診断キットで)A型インフルエンザが出てきて、なおかつ最近海外から帰国したような人であれば、細かい検査が必要になる」と述べた。


記事3:成田着の米国便で機内検疫、係官不足の懸念…新型インフル(4月28日15時11分配信 読売新聞)

新型インフルエンザの発生宣言に伴って、成田空港では28日、近年例を見ない大規模な機内検疫が始まり、

午後1時過ぎに到着した米アトランタ便には、マスクをつけた検疫官7人が乗り込んだ。

機内検疫の対象が国際航空便の主要路線である米国便にまで広がったことについて

「検疫官の数が足りるのか」と不安視する見方も出ている。

政府の行動計画では、新型インフルエンザの発生国から航空機が到着する空港を成田など4空港に集約することになっているため、

職員を全国の検疫所から集めることは織り込み済み。

成田空港には、東京と横浜の各検疫所から計約40人の職員を派遣し、国立国際医療センターからも医師2人を応援に向かわせた。


◆コメント:鳥インフルエンザのヒトーヒト感染を想定していたので、若干、拍子抜け。

WHOのパンデミックアラートのサイトを見ると、確かに

フェーズ4に引き上げられている。従来のフェーズ4は「明らかなヒトーヒト」感染の増加の兆候がある」場合だった。

今回も豚インフルがヒトに感染し、その後「明らかなヒトーヒト感染の増加」が世界各地で見られるのでフェーズ4にしたが、

豚インフルは、特に日本人は殆どが免疫を持っている、季節性インフルエンザH1N1型(ソ連A型)なので、大抵免疫を持っている。

だから、感染した欧米各国やニュージーランドの患者は回復している。

しかも、パンデミックが発生するとしたら、強毒性の鳥インフルエンザウイルスH5N1型が、従来は「トリ→ヒト」感染しかしなかったのに、

変異して、強毒性のまま、ヒトーヒト感染する場合を考えていた。今まで誰もが「フェーズ4」を恐れていたのは、H5NI型を想定していたからである。

ところが、昨日、WHOがフェーズ4に引き上げる決め手となったのは、


  • 「ヒトーヒト」感染が増加しており、

  • 世界各地で感染者が次々に確認されているから。

である。従来のフェーズ4の定義からするとそうせざるを得なかった。

しかし、今ひとつ、緊迫感が無いのは、弱毒性のH1N1型(ソ連A型)だからである。

そして、上の表で一目瞭然だが、感染者が多く、かつ死者が出ているのはメキシコだけである。

この差はどうして生ずるのか。日本経済新聞27日付の科学面に載っていたある専門家は、
メキシコには、Aソ連型への免疫を持たない人がたくさんいるのではないか

と述べている。日本では毎年必ず季節性インフルエンザが流行するが、熱帯などではあまり流行しない国もある。

アフリカのマダガスカルでは季節性インフルエンザが2002年、初めて侵入した際に、多くの人が免疫を持たず、

新型インフルエンザ並の爆発的な感染を起こしたことがある。メキシコは海外と人の往来も多いから、マダガスカルと

同一視は出来ないかも知れないが、免疫が無い人が多い、と考えないと、メキシコばかり感染者・死者が多い理由の説明が付かない。


要するにWHOは「フェーズ4」を発したが、以前から懸念されていた「鳥インフルエンザ由来の新型ウイルスではない」ので、

うろたえないことだ。但し感染症には違いないし、弱毒性豚インフルウイルスが変異を起こし、強毒性ウイルスになることが

絶対に無いとは誰も言えないから、やはり、用心に越したことはない。しかし、政府は迅速に動いているようだが、

どうも、間抜けなところがある。


◆政府の基本方針では「水際対策の徹底」を強調しているが、実は日本ではまだ確定診断出来ない、という事実。

政府は「フェーズ4」と聞いて、早速、麻生首相を本部長とする、全閣僚参加の「新型インフルエンザ対策本部」を

設置した。首相は、「水際対策」を強調し、政府は「新型インフルエンザに対する基本的対処方針」を決定した。

早くも米国便の機内検疫が実施された、という。

一見、迅速な行動で、頼もしげなのだが、国立感染症研究所によると、実は、
日本では

現段階では国内に豚インフルエンザウイルスがないため、「検査の試薬を作ることはできない」

のである。それは尤もな理屈である。印鑑届けが無ければ印鑑照合出来ないようなものだ。

したがって、成田で行っている「検疫」は「既存の迅速診断キット」によるものだろう。

WHOのパンデミックアラートのサイトには、診断基準が載っている。

Case Definitions(症例定義)というところを読むと、一番上に、“confirmed case”(感染確定)についてあるが、

繰り返すが、国立感染症研究所によれば、日本では、まだこれが診断できない。

但し、2番目の“probable case”(推定感染)には、
positive for influenza A, but negative for H1 and H3 by influenza(A型ウイルスは陽性だが、H1及びH3は陰性)

という基準(本当はもう一つ書いてあるが、私には知識がなく、意味が分からない。悪しからず)である。

昨日(28日)韓国で「推定感染」の女性が1人出た、というニュースがあったが、正にこの「A型陽性、H1、H3陰性」だった。

日本で今、可能な「検疫」はこの「推定感染」を発見することだけである。

確定診断の為には、今回の豚インフルのウイルスが入手出来なければ、検査キットが作れないというのに、

記事3では国立感染症研究所のインフルエンザ研究センターが、米国の疾病予防管理センター(CDC)と直接やりとりを

しているそうだが、こんな事は、日本政府が米国政府が頼むことだろう。上から行ってもらった方が早く行く。

公平を期するために正確に時系列を書くと、記事3における、国立感染症研究所感染症情報センターの岡部信彦センター長の発言は、

27日に為されたものであり、政府の「基本的対処方針」が決まったのは、翌日(28日)である。

そして、「方針」の中には、
ウイルス株の早期入手とワクチン製造

が含まれているので、希望的に書くならば、既に政府は外交ルートを通じて、米国にウイルスを送ってくれと依頼しているかもしれないが、

この辺りが最近の政府の間抜けぶりから想像して危ないところで、感染症研究所インフルエンザ研究センターに任せきりにしている可能性もある。

どちらを通してでも良いから、一刻も早く確定診断出来るようにならないと、水際対策もへったくれもない。


◆豚インフルが流行し始めたからといって、強毒性の鳥インフルエンザウイルスが消えた訳ではない。

あと一点だけ述べるならば、今回、予想外の豚インフルエンザが世界的に流行する可能性がある、というので、

政府も人々も頭が完全に「豚インフルモード」になっているが、より毒性の強い、鳥インフルエンザウイルス、H5N1型は、

今なお存在しており、24日にはエジプトとベトナムで鳥インフルエンザによる死者が出ている。

そして、皆がまだ注目していないがおっかないのがこのニュース。

豚が鳥インフルエンザに感染した、という記事である。

◆記事:インドネシア豚から鳥インフル、体内で変化「新型」の恐れ(4月29日3時5分配信 読売新聞)

インドネシアの豚が高い確率で、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)を持っていることが、神戸大感染症センターの調査でわかった。

H5N1型は、アジアを中心に鳥から人への感染例が相次ぎ、250人以上が死亡しているウイルス。

豚の体内で変化し、人から人へ感染する能力を獲得すると、今回の豚インフルエンザを上回る大きな被害を人類に及ぼす危険がある

同大は、インドネシアの4州で402頭の豚を調査。1割を超える52頭の豚からH5N1型を検出した。

豚は、鳥と人のウイルスにも感染するのが特徴。世界保健機関(WHO)は、H5N1型が豚の体内で変化するパターンを、

人から人へ大流行する新型インフルエンザ出現の有力な筋書きとして警戒している。

実際に、52頭の豚から検出されたH5N1型ウイルスを詳しく調べると、人への感染力を一部獲得したタイプが1株見つかった。

理化学研究所感染症研究ネットワーク支援センターの永井美之センター長は

「驚くべき結果だ。新型インフルエンザが感染力を獲得する過程を見ているのかもしれない。注視する必要がある」と指摘している。

今回の豚インフルそのもの、とは別に、豚が鳥インフルエンザに感染しており、強毒性鳥インフルエンザウイルス、H5N1型が

豚の体内で、一層危険なウイルスに変異するかも知れない、という。

気を配らなければならないことは、色々あるのだ。

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