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JIROの独断的日記
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2008年04月23日(水) 素人が刑事裁判に加わるということに関する話の続き

私は法律の専門家ではないから、こういう事を書くのは非常に僭越なのだが、裁判員制度で一般人が判決に関与する場合、

知識が無かったらどうしようもない、というケースが出るだろうと思うのである。

例えば、私が学校の刑法の講義で習い、鮮明に記憶している話がいくつもある。

例えば因果関係の問題。


◆因果関係を巡る問題。

20数年前に習ったときの例をそのまま(記憶しているので)、書く。

男Aがある朝、ジョギングをしていて男Bとすれ違う際にぶつかった。

些細なことだったが、揉め事となり、つかみ合いのケンカになった。男Aが男Bを殴ろうとしたらまともには当たらず、

しかし、男Bは耳たぶに擦り傷を負った。


その場はそれでケンカは収まって、二人とも帰宅した。

ところで、耳に怪我をした男Bは、ある新興宗教の熱心な信者であった。

その新興宗教では神棚を祀るのだが、神棚に供える「ご神水」(ごしんすい)は、

怪我、病気に効き目があり、それを傷口に塗れば、たちどころに治る、という教えだった。

そこで、男Bは耳たぶに、「ご神水」を塗布した。

これが悲劇だった。実際にはその「ご神水」は何年も取り替えていない汚い水で、後で調べたら、細菌の塊だった。

男Bは、その細菌が傷口から血管に入り、細菌が身体中に回ってしまう敗血症を起こして、ほどなく死亡した。


さて、このとき、男Bに殴りかかって、怪我をさせた、男Aの刑事責任は如何に?


◆最も厳しいのは「条件説」という。

因果関係に関しては、私が学生だった頃は、「条件説」「原因説」「相当因果関係説」の三つがある、と教わった。

「条件説」とは何か。

事象Pと事象Qとの間に「Pなかりせば、Qなかりし」(Pが無ければQが起きなかった)の関係が有るとき、

事象Pと事象Qとは「条件関係にある」と言う。

そして、「条件関係が認められる結果については、刑事責任を問う」というのが「条件説」である。


お察しの通り。

上で示した例の場合、男Aが男Bを殴らなければ、男Bは怪我をせず、ご神水を傷口に塗ることもなく、死ぬこともなかった。

男Aの行為と男Bの死は「条件関係」にある。

従って、男Aは殺人又は過失致死の罪に問われることになる。

さて、これで良いのですかね?あまりにも厳しくない?ということで、相当因果関係説が採られることが多い筈であるが、

こればかりは、専門家に聞かないと分からない。


ね?「因果関係の問題」だけ取ってもこれだけ考えることがあるのですよ。

そういうことを全く知らない素人が、感覚で有罪・無罪とか判断をすることが、私は適切と思えない。

とは言うものの、来年から、誰か必ず、裁判員に指名されるのだからね。

少しは勉強した方が良いのではないか、と昨日書いたのは、こういう事である。

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