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JIROの独断的日記
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2007年12月10日(月) ベートーベン 交響曲第5番 ハ短調 作品67 「運命」

◆何万回演奏されても色あせない芸術。

 冒頭から引用で恐縮ですが、指揮者の故・岩城宏之さんは、岩城音楽教室という、比較的くだけた文体(但し内容は真面目)の本の中で、

ベートーベンとモーツァルトについて、襟を正して次のように書いています。

演奏旅行で毎日同じプログラムが続くと、オーケストラもぼくも正直いって飽き飽きしてしまいます。

そういうときいわばお遊びをやると、お互いのリフレッシュに役立つことがあります。

つまり、その日によって解釈をちょっと変えてやってみるとか、テンポを少し速くするとか、

ほんの少しのイタズラ心ともいうべき動作で、みんながフレッシュになって、演奏会を再び新鮮に、素敵にする。

作曲家には悪いのですが、チャイコフスキー、ドヴォルザークの作品には、こういうことがむしろ有効なようです。

しかし、どうしても、ベートーベンの曲だけは、それができません。ちょっとした冗談でも許されないようなきびしい曲ばかりです。

ベートーベンの演奏には、寸毫(すんごう)の邪念もさしはさめるような余地がないのです。(中略)。

モーツァルトに対しては、恐れは抱きませんが、別の意味で、地上でもっとも美しい曲を作り出した天才、

全人類史上、唯一の神様として敬愛していて、やはり意識的な別の解釈をする気はおこりません。

こういう感じ方をさせる作曲家は、ぼくにはこの二人しかいません。

これは、演奏者(オーケストラのプレイヤー)も同じ気持ちなのではないかと思います。

最近、私は、全然コンサートに行けないのですが、若い頃は随分貪欲に、色々なコンサートを聴きに行きました。

今ではテレビや、CD、DVDでしか聴けないのが残念ですがそれはさておき、「運命」です。

日本では、ベートーベンの交響曲の中で最も演奏回数が多いのは、言うまでもなく「第九」ですが、

その次に頻繁に演奏されるのが、交響曲第5番「運命」です。

ベテランの奏者なら、既に何十回、何百回演奏したか、分からないとおもいます。

一応、オーケストラの演奏会では、譜面を見ながら演奏しますが、見なくてもかなり弾けてしまうと思います。



それほど、聴衆にも演奏者にもお馴染みの曲ですが、プロのオーケストラがこの交響曲を弾くとき、たるんで、惰性で演奏しているのを、

見たことがありません。プレーヤーも岩城宏之さんのように、ベートーベンには、
寸毫(すんごう)の邪念もさしはさめるような余地がない

のでしょう。


◆作曲家を英語でコンポーザーと言います。

英語で「作曲する」という動詞は「compose」で、作曲家を「composer」と言います。

composeのもともとの意味は、「構成する」ということです。歌謡曲も作曲家といいますが、あの人達は、ちゃんと勉強していないので、

単旋律のメロディーだけを書いて、編曲は作曲を勉強した人がやります。あれは、作曲ではありません。

美しいメロディーを書けるのは、勿論れっきとした才能ですが、それは音楽の一部です。そのメロディーにどのような、ハーモニーや、対旋律をつけ、

それをどの楽器に割り当てるか。そこまでやって作曲というのです。


他の分野、建築に例えてみます。

もし貴方が、絵が上手い人なら、「こんな家を建てたい」というイメージを絵に描くことは出来るでしょう。

しかし、それでは家は建ちません。建築家が、隅から隅までミリ単位で精密な設計図を書かなければ、家という構築物は出来ません。

音楽も同様です。作曲家とは芸術家ですが、音の構築物を創りあげる、腕の良い職人で無ければなりません。

「運命」は、音楽として偉大ですが、同時にベートーベンの「音の職人」としての技術が見事に結実した作品です。


◆最初の4つの音が終楽章まで、これでもか、と手を変え品を変え現れるものすごさ。

この曲は、最初は八分休符で、そのあと4つの音ではじまります

(余談ですが、弦楽器だけが音を出しているように聞こえますが、クラリネットも同じ音を吹いています。どうしてこういう事をしたのか不思議です。聞こえませんから)。

これが第一楽章だけでも何度繰り返されるか分かりません。よくこれだけ繰り返して、聴衆を飽きさせない音楽を書けるものだと思います。

私が、今まで音楽について書いた文章の中で、今日は最大の知ったかぶりをしてしまいました。

音楽を聴いていただきましょう。ベートーベン 交響曲第5番 ハ短調 作品67より、第一楽章です。

ダウンロード BeethovenNo5First.mp3 (8543.5K)

「ダダダ・ダーン」がこの後、2,3,4楽章まで様々な形で現れます。お楽しみに。

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