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JIROの独断的日記
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2007年09月17日(月) 「美しい」音

◆かつて、毎コンの講評でホルンの千葉馨(かおる)氏が仰っていたこと。

今年の毎コンは、作曲、声楽、ピアノ、バイオリン、(←これは毎年あるのです)の他は、フルート、オーボエ、の各部門で競われます。ホルンはありません。

もう、随分前、10年以上も前になるでしょう。ホルン部門があった年、本選終了後、審査員の一人でN響の首席奏者を何十年もつとめあげた、

千葉馨さんという、私と同年配でN響を聴いた人なら知らない人はいないホルンの名手が、インタビューで、

「これからホルン奏者を目指す若い人たちにアドバイスはありますか」

と訊かれ、うーん、と一瞬考えた後、こう、おっしゃいました。
「そうですねえ・・・。まあ・・、寝ても覚めても、自分の出したい音が何なのか、美しい音は何なのかを探して、それに近づける努力をすることでしょうね」

当たり前のようでいて、あの千葉さんにして、きっといまだに、「寝ても覚めても」自分の求める音を探しているのだろうな、と思い大変感動しました。

(ご承知の通り、私は、こと音楽に関しては、感動の許容度が極めて低くなります・・・・・すぐに感動してしまうということです。念のため)。


◆音が綺麗でなくて良い楽器(歌)など、ありません。

音楽ですから、「音」が美しくなくてはいけません。

無論、特殊効果を狙って部分的にわざと「汚い」音をだすことはある。それは例外です。

最近私は、ジャーマン・ブラスで、ディキシーランドやラテンや、ラグタイムなどを載せていますが、あれをもう一度聴いて下さい。

スウィングしていても、汚い音は決して出していない。

ラテンでどんちゃん騒ぎをしているときでも、楽器からは常に美しい音が発せられています。

私は、クラシックしか音楽ではない、というほど狭量ではないけれど、

ギターの音をアンプで目一杯増幅して、鼓膜が裂けんばかりの音を出し、汚い声で歌う、と言うより怒鳴っている連中のパフォーマンス。

ああいうのは、音楽とは認めません。絶対に認めません。音が汚いからです。



お前のブログは時事問題を扱うものだろう。音がきれいとか、汚いとか言っている場合ではなかろう、と言われるかも知れませんが、

私にとって(青臭いことを言うようですが)音楽とは崇高なものなのです。おろそかに出来る問題ではないのです。


◆美しい音とは、こういうものです。

「美しい音」を言葉で説明する表現能力が私には無いので、私が「美しい」と感ずる音を聴いて下さい。

色々な楽器を集めてもいいのですが、とりあえずトランペットと、金管アンサンブルに絞りました。



チェコフィルの首席、ミロスラフ・ケイマルが吹く、「オン・ブラ・マイ・フ」です。



ダウンロード OnbramaifubyTrp.mp3 (2779.3K)



高音域でも音に緊張感がありません。鋭角的にならない。丸い、柔らかい音色のままです。



同じくケイマルが吹く、コレルリの原曲はバイオリンソナタですが、ソナタ第8番より「プレリュード」です。



ダウンロード PreludeSonataNo8Correli.mp3 (1999.5K)



トランペットの神様、モーリス・アンドレによる、テレマン、トランペット協奏曲より第一楽章です。



ダウンロード TelemannTrumpetConcerto1mov.mp3 (3653.6K)



第四楽章です。



ダウンロード TelemannTrumpetConcerto4mov.mp3 (2610.7K)



ずっと前に他界なさいましたが、音楽評論家の大木正興(まさおき)さんと言う方が、昔は一人で、NHKのクラシック番組の解説をしていました。

面白くもおかしくもない、真面目な先生なんですが、アンドレのことは珍しく絶賛していました。

「全く、このモーリス・アンドレという人。ラッパをくわえて産まれてきたのではないか、と思うほどであります。あの最後の高い音。あれだけでも大変なものだと思います。」

流石に長年、様々な音楽、演奏を聴いてきた方だけのことはあります。トランペットのソリストなんて、それまで日本に来たことがなかったのに、

大木さんは、アンドレの「美しい音」の素晴らしさを一編で見抜いたのですね。



最後に最近、私がハマりっぱなしのジャーマン・ブラスによる「G線上のアリア」をお聴き下さい。



ダウンロード BachAirGermanBrass.mp3 (3731.4K)



ケイマルやアンドレと違って、最初の長い音に全くビブラートはかかっていませんが、これが管楽器の基本です。


長くて美しい音を出す訓練を全ての音域に亘って繰り返す。ロングトーンと言います。

どんな管楽器でもこれをやらないとダメなんです。メロディーなんか最初は吹かせて貰えません。

退屈ですよ。しかし、それに耐えられたものだけが上手くなる。

常に、美しい音を出すためには、大変な努力が必要です。


◆お薦めCD

ここで挙げたのは、過去に取りあげたものばかりなのですが、うっかり聴きのがした、とか、忘れた、という方もおられるでしょうから、

もう一度紹介します。

ミロスラフ・ケイマルのトランペットは、GLORIA-トランペット名曲集

モーリス・アンドレは、このバックは何とカラヤン=ベルリンフィルなんです。

Amazonにはなくて、タワーレコードだとトランペット協奏曲集、輸入盤で良ければ、HMVにもあります



ジャーマン・ブラスは、CDならば、バッハ・イン・ブラス、DVDならば、ジャーマン・ブラス・ゴーズ・バッハとなります。

CDはスタジオ、DVDはライブですが、両方とも聴いた私は、その違いの無さに驚きました。

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