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JIROの独断的日記
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2006年08月29日(火) 「日米同盟の構図」(安倍晋三著「美しい国へ」 第四章)に書かれていないこと。

◆「アメリカはイギリスから独立を勝ち取って生まれた国」それほど単純じゃないだろ?

新総理間違いなしと言われている安倍晋三氏の「美しい国へ」を読んでいると、

きれい事しか書いていないのが気になる。

この人は親米の度が過ぎる。

第四章は「日米関係の構図」と題して、日米関係の重要性を力説しているが、アメリカ史の都合の良い部分しか書いていない。



111ページ。「アメリカ人の信じる普遍的な価値」という部分では、アメリカ人の根底にある価値観は、

1776年にアメリカがイギリスに対して独立を宣言した、ジェファーソンの独立宣言だ、という趣旨のことが書かれている。

これが、独立宣言全文の邦訳である。

安倍晋三氏も引用しているが、独立宣言の最も有名な一節だけを読むと、書かれていること自体は実に美しい。

我らは以下の諸事実を自明なものと見なす.すべての人間は平等につくられている.創造主によって,生存,自由そして幸福の追求を含むある侵すべからざる権利を与えられている.これらの権利を確実なものとするために,人は政府という機関をもつ.


有難くて涙が出そうだ。だが、これはさほど立派な宣言ではない。

何故か。

ここでいう「人間」に「黒人」は含まれていないのである。独立宣言の後、100年間もアメリカは奴隷貿易を続けていたのだ。

アフリカの黒人を「モノ」と同様に扱い、勝手にアメリカに連れてきて、奴隷として働かせていた。

言うまでもなくアメリカの白人はヨーロッパ人だが、ヨーロッパの殆ど全ての国は400年もの長きに亘って奴隷貿易を行っていたのだ。

黒人をアフリカの祖国から無理矢理連れてきて奴隷として働かせるのだ。

北朝鮮による日本人拉致事件どころではない。



また、安倍氏はアメリカはイギリスから独立を勝ち取ったのだ、と書いているが、その時にアメリカにやっていた白人たちが何をしたか触れていない。

独立を勝ち取ったのはイギリスからだが、そのために、アメリカの原住民を虐殺している。

アメリカの歴史は人殺しで始まるのだ。


◆ピルグリム・ファーザーズは何をしたか。

断っておくが、私は安倍晋三批判の為に急遽アメリカ史を調べたのではない。

過去、この日記で何度も書いている。

例えば、2005年07月04日(月) 今日は、アメリカの独立記念日だが、アメリカ建国の歴史的事実に関して記す。をお読み頂きたい。

そこに書いてあるが、繰り返す。

アメリカは、白人が、先住民であるネイティブアメリカンを騙し、虐殺したところから歴史が始まる。



1620年、メイフラワー号に乗ってヨーロッパからアメリカ大陸にやってきた白人たちは、ピルグリム・ファーザーズと呼ばれ、

アメリカ建国の祖として尊敬されているが、この者たちは、悪魔のように残酷な連中だった。

周知のとおり、白人がアメリカ大陸にやってくるまでは先住民族の、所謂、アメリカ・インディアンが平和に暮らしていた。

ピルグリム・ファーザー達は何の罪もないこれら先住民族を虐殺したことを忘れてはならない。

白人たちは、自分達が勝手に他人の土地におしかけたくせに、アメリカインディアンのことを「悪魔の代理人」と呼んだ。



1622年、ピルグリム・ファーザーズの1人が、インディアンの一部族、マサチューセッツ族の酋長ら4人を自分の執務室に食事に招待した。

インディアンは名誉を重んじ、客を丁重にもてなすのが掟であるから、この招待を受けても危険は無いと思ってやってきた。

ところが、なんということであろう。マサチューセッツ族の4人が執務室に入るなり、アメリカ人は執務室のドアに鍵をかけて、逃げられないようにした。

そして、この白人は自らナイフを振りかざして、インディアンの一人をズタズタに切り裂いた。

部下たちは酋長ともう一人のインディアンを剣でめった切りにした。

18歳の少年は、その場では殺されず、あとで、皆の前に引きずり出して絞首刑に処せられた。

ピルグリム・ファーザー達はインディアンの酋長の首をもってプリマス砦に引き返し、人々は歓喜して彼を迎えた。

酋長たち4人の首は棒にさされて30年もプリマスの砦に掲げられ、名物とされた。

これが、アメリカの「自由と民主主義」の起源だ。

安倍晋三氏はこの事実に全く触れていない。


◆繰り返す。アメリカ独立宣言は人類の平等を謳っているが、その後100年も奴隷貿易を続けていた。

ネイティブ・アメリカンの惨殺は勿論これだけではない。

アメリカにやってきた白人たちは、悪魔の如く残酷な殺戮を繰り返しておきながら、いけしゃあしゃあと独立宣言で、

「すべての人間は平等につくられている.創造主によって,生存,自由そして幸福の追求を含むある侵すべからざる権利を与えられている.」

と、自分がしたことを忘れたかの如く、誇りをもって謳っている。

これがアングロサクソンの大きな特徴である。



前述のとおり、独立宣言の後、1860年にリンカーンが大統領となり奴隷制を廃止(彼はそのために、後に暗殺される)するまで、

100年も奴隷貿易は続いていた。この言行不一致を忘れてはならぬ。


◆「リヴァイアサン」を持ち出すとは・・。

「美しい国へ」第四章はさらに、「アメリカ保守の自信はどこからきているのか」という一節を設け、

ネオコンの思想的根源が、有名なイギリスの思想家、ホッブスの「リヴァイアサン」であるかの如く書いている。

「リヴァイアサン」は

「人間は放っておけば闘争を続ける生き物だから、この混乱を治めるには強大な権力をもったもの(ホッブスは国王を意図している)に権力を委ねて統治させるのが合理的だ」

として、絶対君主制を正当化する本だ。

アメリカのネオコンは「アメリカこそ現在の国際社会に秩序をもたらす正義だ」と考えているわけで、

安倍晋三氏はそれを肯定したいらしい。だからそのような強大な力を持った国と仲良くするのが得策だ、というわけである。



現実にはそのようなアメリカの傲慢な思想が世界を却って混乱させている。

ベトナム然り、アラブ・イスラエル紛争しかり、イラク然り、である。見れば分かりそうなものだ。

私には、このような傲慢な思想を持った国を殆ど無条件で賛美する安倍氏の思考回路がどうしても理解不能である。


2005年08月29日(月) 記者クラブでの党首討論要旨
2004年08月29日(日) 「消費者物価、4年11カ月連続マイナス」 不良債権が減少すれば、デフレは止まるはずでしたね?竹中さん?
2003年08月29日(金) 「北朝鮮の主張、「おこがましい」=金総書記を呼び捨てで批判−安倍官房副長官」首相はトム・クルーズに会ってご機嫌
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