長渕剛 桜島ライブに行こう!



懐かしさをノックしましたか? (桜島ライブ36)

2004年10月07日(木)

『懐かしさをノックしましたか?』−桜島ライブ(36)

                 text  桜島”オール”内藤





当初シークレットだったThank you Tシャツのデザイン。
ライブ当日分はあっという間にソールドアウト。


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M-23 順子  −アルバム『逆流』(1979)−



やっぱり、剛も『海』みたいなラブソングが好きなんだな。
歌の世界から戻ってきた剛はなにやら陽気。
僕もつられて気分が弾む。

「懐かしいの、いってみようかねえ!」

剛が「懐かしい」というときは、たいてい、
僕にとっても、十分に懐かしい曲です。

「歌いなよ!
 めちゃくちゃ懐かしいよ!」


なぜか、ちょっと笑いながら剛は言いました。
なにか、含むものがあるようでした。
いったい何なのでしょうか?

そして、あの、4拍子のリズム。
おおー!
そうだ、そうだ、この曲、待ってたよ!

また吉田拓郎の例を出しますと、
ヒットし過ぎてフォークファンの反感を買い、
ずっと歌わなかった『結婚しようよ』の封印を解いたのが、
拓郎の初めてのオールナイトライブのときでした。
それなら、やっぱり剛もこれを歌わなければ!

この歌が大ヒットしたために、
染みついたイメージを払拭できずに、
ずっと苦労してきたという・・・

剛初のオリコン1位!『順子』!

しかも、しかも、
CDバージョンの、あの、笛のような音まで!!

この音色は、おおいに僕の琴線にふれました。
4拍子のところで『順子』に気付いて歓声を上げた観客が、
また、ここでも興奮して歓声を上げる!

ピコピコした音もいいけど、
やっぱり、こういう古いけど暖かみのある音って、
僕はたまらなく好きなんだ。


離れない 離さない
離したくないキミ
いろんな言葉で キミに
愛を告げてきた けれども
終わりさ みんな終わりさ 
僕のひとりよがり
きみへつないだ 心の糸は 
いま プツリと切れた



大合唱!めっちゃ気持ちいい!
代々木第1と東京ドームで聴いた『順子』は、いずれも弾き語り。
それも、「とんぼ」大ヒット時代の剛ということで、
ちょっと斜にかまえて歌った『順子』でした。
一方この日は、陽気に、素直に歌っている!
まさしく、オリジナルの『順子』!


おー 順子!
キミの名を呼べば 僕は切ないよ
優しさはいつも僕の前で カラカラ空回り
おー 順子!
キミの名を呼べば 僕は悲しいよ
だから心のドアを ノックしないで
ノックしないで ノックしないで



僕が幼いころ、ザ・ベストテンで見た、
あの懐かしい感じが溢れていました。
ちょっと涙腺がゆるみました・・・。

ステージを歩き回りながら、『順子』を歌う剛。
とてもリラックスした会場の雰囲気のためか、
間奏で気がゆるんだらしく、
2番の歌い出しのタイミングを逃してしまった。

「歌いなって、だから!」

観客のせいにして笑ってごまかす剛。
客席も笑いに包まれました。
なんとも優しく暖かい雰囲気だ〜。

この心地よい雰囲気に任せて、
繰り返し、繰り返し、サビを繰り返す剛。
ハッピーな空気が充満する桜島。
剛も、このムードに酔ってしまったのか、
2番以降はどうにも歌詞が危うい(^_^;)。

特に危ういのが、「切ないよ」か「悲しいよ」か。
サビを繰り返し歌っていると、次はどっちかわからなくなり、
剛自身もなんだか自信なさげに歌っているような・・・。
もちろん、僕も不安たっぷりに、
しかもバンバン間違いながらも大声で歌っていました。

剛はやがて、その部分だけ、観客に歌わせるようになり、
観客は観客で、もう、ぐちゃぐちゃだ!
「おー順子 キミの名を呼べば僕は・・・」
のあとに、微妙な、0.1秒くらいの間があったような・・・

もう、どっちでもいいじゃん!
もう、ハッピーなんだから、なんでも許せるって感じ。
ほんと、このときの雰囲気は最高だった。

しまいには、演奏をピタッと止めて、
剛自身も動きをストップ!

わーっと大歓声!

「つよしーーーっ!」

という叫びやツヨシコールに加えて、

「じゅんこーーーっ!」

と叫ぶ人、多数!

誰やねん!(^o^)

しばし停止したあと、ふたたび『順子』のサビを歌い出す。
ワンモアタイム!と言いながら、
ぜんぜんワンモアじゃなく、
ツーモア、スリーモアと、
延々と『順子』を歌いつづける剛と僕ら。

なんとも不思議な気分でした。
僕は小学生のころ、お小遣いをもらっていなかったから、
欲しいレコードがあっても、買うことができませんでした。
だから、「ザ・ベストテン」を見ながら、
父親のラジカセで、番組を録音して、
そのあと一週間、それを聞いていました。
そして、翌週の番組を、カセットに上書き録音して・・・
そのサイクルを一時期繰り返していました。

ある日、剛が『順子』で出演しました。
僕はその曲を大変気に入って、
次の週に消す前に何度も聴きたくて、
その週末は一日中、繰り返し、繰り返し、
カセットの『順子』を聴いていました。

その『順子』を、20年以上も経って、
剛本人と、7万5千人の観衆と、
剛の故郷、鹿児島の、それも桜島で大合唱しているのです。
人生って、ほんとうにいろんなことがあるものです。

『順子』が終わり、僕は力いっぱい拍手をしながら、
あの、いつかの少年だった僕自身を思い出し、
この20年間、元気に生きてこれたことに感謝していました。

できることなら、タイムマシンで20年前に戻って、
「ザ・ベストテン」の録音を聴いている自分に、

「今、キミが繰り返し聴いているその歌を、
 これから20年後、
 鹿児島の桜島で、
 長渕剛と歌うんだぞ!
 7万5千人と大合唱するんだぞ!」


と言ってあげたい気がしました。

もしそうしたら、小学生の僕は、
いったいどんな顔をするでしょうか・・・



続く



<次回予告>
懐かしい、典型的なフォークソングの『順子』から、
20数年の時空を超えて、ファンキーな最新曲へひとっ飛び!
チキショー!の絶叫のあの曲をキープオン!

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