長渕剛 桜島ライブに行こう!



過去を錦港湾に沈めましたか? (桜島ライブ35)

2004年10月06日(水)

『過去を錦港湾に沈めましたか?』−桜島ライブ(35)

                 text  桜島”オール”内藤



◆ご依頼◆
「恥ずかしい事なのですが『春待気流』って何て読むんですか?」

(ご依頼人 ぺぺさん)

ぺぺさん、ご依頼ありがとうございます。
これ、「はるまちきりゅう」なのか、「しゅんたいきりゅう」なのか、
意外とわからないものです。
グーグルとかでも「該当なし」って出てくるんですから、
ぜんぜん恥ずかしい質問じゃないですよ。

これは剛の4枚目のシングルで(『雨の嵐山』を入れると5枚目)、
そのジャケットにはよみがなが書いてあるのです。
ジャケ裏の方がくっきり書いてあるので、証拠として掲載しましょう。



と、いうわけで、なんとか読めるかな・・・?
正解は「はるまちきりゅう」でした!
(昨日の日記にも、よみがなを入れておきました)

ちなみに1枚目のシングルは『巡恋歌』、2枚目は『俺らの家まで』、
3枚目は『祈り』です。
『雨の嵐山』は、『巡恋歌』よりも前で、
「長渕剛(ながぶち・ごう)」という芸名でのリリースでした。


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M-22 海  −アルバム『JEEP』(1990)−



気が付けば、またしても汗だくになっている僕でした。
マフラータオルを買っておいてほんとうによかった。
ハンドタオルだけだったら、不便なことこの上なかった。

『春待気流』ですっかり盛り上がった僕らは、
演奏が終わったあとも大ツヨシコール!
そうそう!この元気が欲しかったんだ。
A−5ブロック、スゴイ元気になってました。

「じゃあねえ、最高のみんなに、
 最高のラブソングを歌ってあげる」


この剛の言葉に、女の子の悲鳴のような歓声。

極上ラブソング、『海』!

おおおお!
これまた意表を突く、渋い選曲!
JEEPツアー以来です。懐かしい!


俺の背中で 力果てた
おまえの指が すべり落ち
ゆっくりと ゆっくりと
シェイドランプに 火を灯す



剛、得意の、シリアスタッチのラブソング。
描写するのは、いつも、寂しさを伴う愛情。
無邪気にじゃれあう恋人の風景ではなく、
悲しさと苦しさと覚悟が交差する愛の形。

映画『オルゴール』『英二』でのラブシーンでも、
一貫して表現されてきた、
これが剛の愛の情景。

剛は、きっと、
ひたすら明るいだけの女性とは縁がないんだろうな・・・
剛のラブソングを聴くたびに、
僕はそんなことを思っていました。

明るさだけではなく、
苦しみも、悲しみも背負っている女性。
そんな女性でなければ剛は愛せないのだと思います。
ことさらに深い「人間」を求めているのでしょう。

どこかのインタビューで剛は、いち時期、
「クサイ女」という言葉をよく使っていました。
これにはそのときどきによって、
二通りの意味を持たせて、剛は使っていたように思います。

ひとつは、ズルさを持ち、煮ても焼いても食えないような、
したたかな女性のことを言っているパターン。

そして、もうひとつは、
「人間くさい」女、という意味だったと思います。

「どうも俺は、クサイ女と縁があるんですよね」

と笑いながら言う時は、
この、人間くさい女、を指していると思います。

激烈な少年時代を過ごしてきた剛。
剛の苦しみ、悲しみに関しての繊細さは、
その少年時代に形成されたと思います。
きっと、苦しみ、悲しみの感情を共有できる女性でなければ、
剛は一緒に生きていくことはできないのでしょう。

切々と、切々と、愛を物語る剛。
かたずを飲んで、見守る観客たち。

思えば、剛のアルバムの中には、必ずと言っていいほど、
『海』のような切ないラブソングが収録されています。

「Bye Bye 忘れてしまうしかない悲しみに」
「愛してるのに」
「Don't Cry My Love」
「生意気なパートナー」
「Come Back to My Heart」
「パークハウス701 in 1985」
「ほんまにうち寂しかったんよ」
「かりそめの夜の海」
「ごめん」
  :
  :

そんな、桜島で演奏されなかった、
ラブソングたちの代表として演奏されたのが、『海』でした。
たくさんある、これらの作品群から、
桜島で歌うラブソングとして剛に選ばれたことは、
この曲にとってのドデカイ勲章です。

スローテンポのメロディと、モノトーンの歌景色を綴る歌詞、
そして剛の苦しげなボーカル・・・
真夜中の桜島を、否応無しに歌の世界に染め上げてしまう。


夜の海に 俺の過去を 沈めたら
明日から おまえと
二人で 生きよう



まさしく、夜の海をバックに歌う『海』。
いい映画のラブシーンを見届けたような気分でした。
静かに始まり、会場いっぱいに広がって行った拍手が、
『海』を演じ切った剛を包んでいました。

ステージの上の剛は、まだ、歌の世界から出て来れないようでした。
恍惚の表情でたたずみ、静かにつぶやきました。

「いい感じだね・・・」

剛のラブソングがたっぷりと溶け込んだ錦港湾は、
ワインの香りがするのでしょうか。

僕らはもちろんのこと、
歌っている剛もすこし、『海』に酔っているようでした。



続く



<次回予告>
ひそかに待っていたマイ・ファースト・ツヨシソング!
なんと、なんと、弾き語りではなく、オリジナルバージョン!
ノックしないでと歌いつつ、僕の涙腺をノックし続けました。

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