長渕剛 桜島ライブに行こう!



7万5千人を受けとめる舞台を見ましたか? (桜島ライブ7)

2004年08月31日(火)

『7万5千人を受けとめる舞台を見ましたか?』−桜島ライブ(7)

                 text  桜島”オール”内藤




A-5ブロックのリストバンド。一度つけたら取れません。


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ようやくグラウンドから解放された僕らは、
長く足止めされたあせりから、
足早に溶岩道路を進んでいきました。

もう、グッズ売り場の様子も目に入りません。
後日聞いたところによると、
グッズ売り場の夕方以降の混雑振りは半端ではなかったとのこと。
グラウンドに足止めを食らったのは、
たぶんそのためだという話でした。
真偽のほどはよくわかりません。

それはそうと、
まだ、この時点で開演まで2時間近く残っているので、
今思えば、そんなにあせる必要はなかったのですが、
なにしろ、予想外のところで止められた。
この先も、会場内に入るまではどこで何があるか、
まったく油断できたものではないと思いました。
はやく、はやく会場に入って、安心したい。
これがこのときの心境でした。

どんなアクシデントがあったとしても、
剛登場に間に合わないという事態は、
けして許容できるものではありません。
1年以上前から、飛行機がどうの、
ホテルがどうのと話し合ってきて、
前日に鹿児島入りしているというのに、
開演に間に合わなかったなんてことになったら、
僕らはこの夏最大の愚か者になってしまう。

そういうわけで、走りたい気持ちではありましたが、
なにしろ道路は人でぎっしり。
このごに及んで、またしても、
列が動かなくなり、立ち止まらざるをえなくなりました。
まだグラウンドから2百メートルくらいしか歩いていないのに。

そうなってくるとあせる気持ちがまた大きくなる。
そんな気持ちに耐え切れない人が、
道路から外れた草むらの中を、
おぼつかない足取りで走っていっていました。

道路は右と左にわかれていました。
僕らは右の道路を歩いていたのですが、
ふと見てみると、
左の方が流れがいいように思えました。
最初は気のせいかと思ったのですが、
確かに左の方が流れているので、
途中から左に移りました。

その理由はすぐにわかりました。
やがてKブロックの表示が出たテントが、
右側の道路に見えてきたからです。
どうやら道路の途中で、チケットチェックが行われており、
ブロック別に色分けされたリストバンドを受け取るのです。
そういう、チケットチェックの第一ポイント、
それがこのテントと思われました。

ということは、右ではそのテントに並ぶ人がいるので、
僕らが目指すAブロックのポイントに早くたどり着くには、
左をずんずん歩いていくのがいいわけです。

確かに、左に移ってからは、快調に流れて行きました。
走るには人の密度があり過ぎましたが、
それでも早足であれば、気持ちよく進めます。
グラウンドで動こうにも動けなかった、
あの時間を考えると、
こうしてずんずん歩いていけることの気持ち良かったこと!

それにしても、やはり2キロの道のりというのは、
けっして短くはありませんでした。
Kブロックのテント・・・Jブロックのテント・・・
このように順番に現れてくるテントですが、
それだけにAブロックのテントが遠く感じました。

立ちっぱなし、歩きっぱなしで足は疲れているし、
Tシャツはフェリーに乗る前からずっとびしょびしょ。
額から延々と流れ続ける汗を、
すでに汗臭くなっているマフラータオルで、
さらにぬぐい続けます。
夜7時半をまわり、辺りは真っ暗です。
しかし、溶岩道路の蛍光灯が、
ずっと道路を照らしているので足下は確かです。

ようやく、ようやく、Aブロックのテントに到着。
チケット管理担当の友人が、
虎の子のAブロックチケットを2枚取り出し、
僕らはそれを見せてリストバンドを受け取りました。
そしてそれをガッチリと手首に巻きつけました。
左手首につけたのですが、やっぱり右にしようかなと思って、
付け替えようと思ったのですが、まったく外れないのです。

そういう構造になっているバンドでした。
取る時はひきちぎるか切るしかないというやつです。
まあいいやと左手首に巻いたまま、
僕らはいよいよ迫りつつある会場にラストスパート!

すると、道路の右側に、幻想的に浮かび上がる、

巨大な建造物に気がつきました。

一心不乱に先に進むことだけを考えて歩いていたため、
僕らの進む先には、会場があって、
そこにはステージがあるのだという基本的なことすら、
このときは意識から抜け落ちていました。

それで、一瞬、

なんで桜島にあんな建造物があるのか?

と、間抜けなことを思ってしまったのですが、
携帯電話でその建造物をカメラに収める人たちの姿を見て、
あっ、と我に帰りました。

それは、ステージセットでした。

過去に、東京ドームや、フジロックなどで、
息を飲むような巨大なステージを見てきました。
マイケルジャクソンや、ローリングストーンズなど、
特に海外の大物アーチストのライブステージは、
スタジアムサイズの巨大なものでした。

しかし、この地方都市鹿児島の、それも桜島に、
(僕らからすると)突如現れたステージセットは、
過去に見たすべての巨大ステージセットのすべてが、
オモチャにしか見えないような、
けた違いの物凄いものでした。

それは、ステージセットという言葉がまったくもって、
不似合いなくらいでした。
とりあえず、「要塞」と呼ぶのが、
イメージとしては近いのかなと思います。
その要塞が、ぽっかりと幻想的に桜島に浮かび上がる。
なんという非日常的なながめなのか・・・。
しばし、ここまでの苦難を忘れた瞬間でした。

その要塞を見ながら感動していた僕らは、
実は会場の入場口のすぐそばまで来ていました。
観光バスが何台か止まっていました。
ツアーの観客を運んでいたバスだと思われました。

バスだとここまで送ってくれるんだ・・・
と、一瞬、強烈にうらやましくなりましたが、
そんな気持ちは、入場口を前にした興奮が、
あっという間に吹き飛ばしました。

ゲートで簡単に荷物チェックを済まして、
リストバンドを見せて、

とうとう、

とうとう、

会場にやってきました!

僕は体中に、ぞくぞくするような震えを感じました。
苦労して会場に到着した感動・・・
のためと言いたいところですが、
そのような感情が沸きあがる前に、
ストレートに僕の感情に訴えてくる光景が目の前にありました。

7万人の大観衆が、大海原のように、
視界いっぱい果てしなく広がっていたのです。



続く


<次回予告>
身震いするほど・・・ではなく、実際、身が震えた大観衆。
桜島まで全国から集まってきた剛ファンたち。
剛の歌が好きな人間が、こんなにもいるなんて・・・。

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