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やすみ日記
梅子
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2008年06月18日(水)
「帝都万華鏡ー桜の頃を過ぎても」鳩かなこ

凄く雰囲気のある、文学的な文章で、大正時代の風景が鮮やかに描き出されてました。街を行き交う人々が目に浮かぶようです。
高校時代に出会い、やがて詩人と編集者になる二人の、10年に及ぶ愛憎劇です。とても切ないお話で、良かったです。

高校で、琢馬が京介と出会い、心惹かれる場面から、いきなり10年後に飛ぶので、面食らいました。今度は逆に、京介が琢馬に恋いこがれるのですが、高校時代の二人が心を通わせる様子をじっくり見たかったな…。

その後も、時々話が過去に飛ぶので、流れが分断されるのが残念。お兄さんと伊部さんの話は無くても良かったんじゃ?

10年以上も、京介を親友としか思ってなかった琢馬が、京介を受け入れた理由もよく分からなかった。奥さんのことも「愛していた」という割に、具体的なエピソードがないので、そんなに愛してたって感じがしない。心の移り変わりをじっくり描いてくれたら、もっと良かったな。