物語を欲しない子供でも、学校で、物語を作らされることもある。5年生のころは、まるでロールプレイイングゲームのような物語(ロールプレイイングゲームのト書きそのものみたいな)を書いて、私を失望させたものだ。(お前の頭の中はゲームだけなのか〜!?と)、、と、ユイマの作文がリビングにころがっていた。6年生になって、またそんな課題が出たのか??それより、せっかく書いたものを学校に持って行かなくてもいいの??と思いつつ、
本人に無断で転載。
お父さんウィーク日記 スズキ・ユイマ
二月三日 今日からお父さんウイークだ。なのにおととい、ひろしが一日三十分ゲームしていいという約束を破って、夕食後もゲームをしていたのでゲーム機のコードをぬいてひろしのことをしかったら、ひろしが怒ってなにも話さなくなった。 昨日、私がうでによりをかけてつくった特製カレーを少しも食べてくれなかった。食べ終わった後、頭が痛くなった。そして、今日の朝、早く起きて、会社に行った。のだが、頭が痛いのがまだ治っていなかったので、早退することにして帰った。夜、ひろしがカレーをいっしょにつくるといいだした。それはなんと中辛だった。どうせひいひいしてたおれちゃうだろうとおもいながらいっしょにつくったカレーをひろしはパクパク食べていた。わたしはひろしを知らなさすぎたんだなと思った。
私はこの作文を読んだとき、夜眠っているユイマが見ている夢をそのままのぞき見てしまったような気がした。文章そのものは、稚拙だし、ジュンコのようなあざとさは全くないけれど、妙にリアリティがあるではないか・・・。
と、感心したのも束の間。
ユイマに「これ何なの?」と聞いてみたら、「カレーライスだよ!」とイヤそうに言うじゃないか。
ぱ:ほえ?ユイマが作った物語じゃないの?? ユ:ちげ〜〜よ。国語の教科書にあるの。 ぱ:じゃ、見せて ユ:なんで〜〜やだよ〜めんどくさい。(すごくイヤそう) ぱ:まぁまぁそう言わず、読みたいんだから見せてよ ユ:ったく、めんど〜〜だなーーなんでそんなの見たいんだよーー ぱ:見たいんだから見たいの。見せて!! ユ:理由になってないよ(ぶつぶつぶつぶつぶつ)
というやりとりのあと、やっと見せてもらいました国語の教科書! と、たしかに「カレーライス」という作品が載っていて、作者は重松清だ。(知ってる人は知ってるよね。私は全然知らなかった!!)
「な〜〜んだ、じゃこれ要約を書いたものだったのね?ほぉ〜〜重松清だったのか〜〜」と言うと、
鼻くそ級につまんねぇんだよ、それ〜〜
どうでもいい日常生活の話なんていらないんだよ
こっちの気持ちがいやんなる
重松清なんてどうでもいい、先生が立派な人だなんて言ってたけど、超つまんね〜んだよ
と正にぼろくそである。価値を認めていないから国語の教科書を見せるのも面倒くさがったのね。 可哀想に重松清。
そのやりとりを聞いていたnoripも「カレーライス」を読み、「うーん。確かに面白くないかも。何も起きないもんねぇ。本当は、(ユイマの作文の)このあと、いきなり壁をぶちやぶって馬に乗った騎士が飛び込んでくるとか、いきなり宇宙服を着た人がどやどやっとやって来てお父さんがどこかに連れ去られるとか、そういう展開だったら面白いのになぁ、だから、続きが読みたいなぁと思っていたんだよ。」なんて話している。ユイマも「そーなんだよ、そういう展開なら面白いのに、ちがうんだよ。どーでもいいことばっかし言ってるんだよ!」なんて答えている。
あの〜〜、それじゃ重松清じゃなくて、テリー・ギリアムかETになっちゃうんですけどー(笑)
自分からは物語を欲しない子供だけれど、物語の中に、あまりにありふれた日常生活はいらない、でも、わくわくドキドキするファンタジーなら面白い、と思っているのだな。 そうか、やっぱり物語を欲しないわけではない子供だったのかな、ユイマ君。
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