離任式を前に、離任した3人の先生宛に原稿用紙に手紙を書きなさい、一人の先生につき1枚の原稿用紙4分の3は埋めて書きなさい、という宿題が出た。恐らくユイマのクラスだけでなく、5年生には全員同じ宿題が出されたのだろう。
ユイマは教頭はまだわかるがほかの二人はどの人かもわからないのに、書きようがない、と今日までぐだぐだ先延ばししていたのが今朝発覚。自分なりに情報を集めて教頭の分はここまで書いたんだけど(たとえば教頭はバナナが好きらしいとか)、と半分埋まった原稿用紙を見せてくれた。でも後の二人はどうしても書けないらしい。「今日までなんだよ〜。ああ、でもどうすればいいんだよ、書けないよ〜」ぐずぐずぶんぶん・・・
しかし今日提出すべき宿題だ。気がついた以上親としてはなんとかせねばなるまい。
まずは教頭の分をもう少し書かせて終了させました。新しい学校では教頭じゃなくて校長先生になったんでしょ、なんて言ったら、それも書いて・・・。何とか4分の3まで埋める。
そして、あとの二人は4分の3まで埋まらなくて良いから、書こう。 僕は先生の顔が分からないってことは正直に書いても良いのではないか。 その上で、顔を知らなくても、だれかわからなくてもS小学校の先生だったんだから少なくとも一緒の時間を過ごしてきたわけで、何か書きようがあるんじゃないか。 ユイマは顔をしらなくても向こうは知っているかもしれない。白紙の手紙をもらうのと、少しでも書いてある手紙とどっちがうれしいだろうね。もらう人の気持ちにもなってみようよ。 それと自分のことを書いてもいいんだよ。 それから、私が思うに、担任の先生には、その先生を知らないのでどうしても4分の3書けなかったと言ってもいいんじゃないか。
そんなことを話して、もう一人分は半分近くまで書くことができました。
でも、やっぱり、あとの一人はどうしても、書けず、(私は同じ文章で良いと言ったんだけど、彼は潔癖だから。どうやら4年の担任の一人だったらしく。顔を思い出したいらしいのだ。)学校に白紙のまま持っていきました。学校でもう少しお友達に聞いて書く、と言って。
顔も分からない人に手紙なんて書けない、というユイマの言い分はとても良くわかる。器用な子なら社交辞令的に書けると思うけど、ユイマはそのあたり、ああみえて、とても誠実なんだと思った。
ユイマは知らなくてもS小学校で同じ空気を吸っていた、ということを思い起こさせ、想像力を働かせるよう働きかけ、さらにやる気をそがぬよう元気付け、励まし、ユイマは誠実な子だと褒め・・・
朝はただでさえいっぱいいいっぱいなのにこの宿題騒ぎで随分エネルギーを取られてしまった。
帰宅してから、ユイマに聞いてみた。「4分の3書いてなくてもいいか、って先生に聞いてみた?」 するとユイマ「うん。感謝の言葉が書いてあればいいって。」
顔も分からない人に感謝の言葉を書けってか・・・・?
ユイマはとりあえず学校で3人目の先生への手紙を書き上げ、提出できたし、4分の3書いていなくても受け取ってもらえたのでそれでもう良くなってしまっていた。が、私は・・・・
何たる形式主義。何たる作文指導。・・・そんな思いがアタマの中を駆け巡り、朝の疲れとは比べものにならないほど、どっと疲れてしまった。
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