doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 マイルスのブート購入

マイルスのブートを買いに渋谷に行く。
いつものようにレコファン渋谷BEAM店にも寄ったところ、私のすぐ後から音楽評論家の萩原健太氏が入って来た。15分くらい商品をチェックしていた萩原氏は、5〜6枚のCDを購入。そのうちの一つは、Beastie Boysの新作『To The 5 Boroughs』であるように見えた。

ちなみに1〜2年前には、政治評論家でクラシック音楽のマニアとしても知られる俵孝太郎氏と、『ミュージック・マガジン』の「じゃずじゃ」の執筆者であるマーク・ラパポート氏らしき方も同店で見たことがある。クラシックの中古LP数十枚をレジで検盤する俵氏の後ろには、会計を待つ長い列が出来てしまっていた。一方のマーク・ラパポート氏らしき方とは、近くにあるマザーズ・レコードでも鉢合わせとなった。

Miles Davis / Complete Switzerland 1971(2CD-R, So What!, SW-104/105)
  Live at Neue Stadthalle, Dietikon, Switzerland 1971/10/22: Soundboard Recording
ディスク1 40分54秒、ディスク2 54分33秒。サウンドボード録音による良好な音質。タイトルに「Complete〜」とあるが、実際にはディスク1&2ともに「Complete」収録ではない。

Miles Davis / Miles At Sunplaza 1981(1CD-R, So What!, SW-103)
  Nakano Sunplaza, Tokyo 1981/10/6
61分29秒。当時のオーディエンス録音物としては比較的良好な音質。

Miles Davis / BB's Choice "The Secret Tapes": Master Version(1CD-R, So What! Special Products, SWSP-021)
54分31秒。収録曲、パーソネルなどはこちら


2004年06月28日(月)



 『最後の瞽女 小林ハル 96歳の絶唱』

三味線を伴奏に唄を披露し、村々をまわった盲目の女旅芸人・瞽女(ごぜ)に関する調べものをネットでしていたところ、以前から探していたCD『最後の瞽女 小林ハル 96歳の絶唱』(1997年)が、『邦楽ジャーナル』のオンライン・ショップで取り扱われているのを偶然見つけた。即注文し、数日後の先日、念願かなってようやく入手した。

このCDは、小林ハル78歳の昭和53年に瞽女としては杉本キクイ、伊平タケに続き3人目となる「記録作成等の措置を構ずべき無形文化財の選択」、いわゆる人間国宝の認定を受けた小林ハルの瞽女唄を「保存し広く後世に伝えるため」制作されたとのこと。
「企画、制作、解説」と「語り」は元NHKチーフディレクターの川野楠己で、曲の前後に簡単な解説となる「語り」と、小林ハルによる昔の回想などの「話」が挿入されている。トラック4の「端唄春雨」のみ小林ハル85歳の昭和60年5月の録音(妙音講にて)で、他の曲は平成8年4月4日、小林ハル96歳の時の録音である。



30年間愛用の三味線を弾きながらの、唄と語りと唸り声が一緒になったような唄声は衝撃的。地の底から湧き上がってくるかのような響きを帯びている。96歳の肉体から発せられるのは驚きとしか言いようがない。
小林ハルは、7歳から21歳までの真冬の30日間(朝は5時から7時、夜は6時から11時まで)、薄着姿で信濃川の土手に立ち、杖をしっかり握り、寒声(かんごえ)という発声訓練をやったという。喉から血が出るほどの苦行となったそうで、いつしか唄声は信濃川の向こう岸まで届いたらしい。

小林ハルは、明治33年(1900年)1月24日 現・新潟県三条市の農家に生まれ、生後約百日で白内障により失明する。5歳の時、21年の年季で瞽女に弟子入りすることが決まり、9歳から親方たちと瞽女としての旅に出た。
小林ハルの「想像を絶する凄絶な人生」(by 鉛筆画の木下 晋)は、小林ハル口伝の『最後の瞽女 小林ハルの人生』(桐生清次 著, 文芸社, 2000年, 『次の世は虫になっても』の新装版)や、『鋼の女(はがねのひと) 最後の瞽女・小林ハル』(下重暁子 著, 集英社文庫, 2003年)などに詳しい。

「100年の瞑想」モデル 小林ハル(木下 晋『生の深い淵から』の表紙)ネットでは、瞽女および小林ハルについての参考になるHPはいくつかあるが、一つ挙げると、『悠山隊』(リンクフリー)の「Essay - 瞽女さん」がわかりやすくかつ詳しい。
小林ハルを中心に書かれた長文の「瞽女さん」は、小林ハルの人生において外せない事柄だと私が思うことには、ほとんど触れていると言っていいくらいだし、19歳で子供を産めない体になってしまった悲惨な体験を始めとして、曖昧なぼかした表現もしていない。その歩んで来た過酷な人生を評し、同じ瞽女仲間ですら口を揃えて「特別」だという“鋼の女(はがねのひと)”小林ハルに関心のある方なら必読だ。

・「盲目の旅人・・・最後の瞽女 小林ハルエンディングの言葉」日本テレビ『知ってるつもり?!』2001/1/28放送
「鋼の女(はがねのひと)」小林ハルさんのことば / 下重暁子
[2004/7/16追記] 小林ハルさんは今でもご存命である。ただ、2003年6月に入院し、104歳の現在も闘病生活が続いている模様。一日も早いご快癒を心からお祈りしています。
[2005/4/26追記] 小林ハルさんは2005年4月25日午前2時10分、新潟県北蒲原郡黒川村の養護盲老人ホーム「胎内やすらぎの家」で老衰のため逝去された。105歳だった。心からご冥福をお祈り申し上げます。

2004年06月23日(水)



 King CrimsonのCD『Live In Philadelphia, PA 1982』到着


キング・クリムゾンのマニア向けCDの第26弾が、Discipline Global Mobileから届いた。

King Crimson / Live In Philadelphia, PA 1982(CLUB 26)

アルバム『Beat』発表に伴う1982年7月30日のフィラデルフィア公演を79分38秒収録。音はステレオ・サウンドボード録音で文句なし。本公演は、この時期のクリムゾンのライヴとしてはベスト・パフォーマンスとの誉れが高いようだが、確かに演奏の出来はそのくらい良い。

ところで、オリジナル・アルバムとしては3作めとなるフリップ&イーノの『The Equatorial Stars』が、間もなく発売される(『Discipline Global Mail Order』)。
先ごろイーノのリマスター盤が出たことでもあるし、これを機にフリップ&イーノの1st&2ndアルバムのリマスター盤も発売されないものか。
フリップ&イーノの1stと2ndのアナログ盤








2004年06月21日(月)



 Jimi Hendrix / LA Forum 26th April 1969


ジミ・ヘンドリックスの12,000枚限定のCD『LA Forum 26th April 1969』(Alchemy Entertainment, PILOT200) が、4/26に発売された。一見ブート風のCDではあるが、タワーレコードやHMV、レコファン等の店頭でも販売されている。

ディスク1は、1969年4月26日のL.A.フォーラム公演をサウンドボード録音で約79分収録(オーディエンス録音とする方もいる)。ジミの4CDセット『Lifelines』(廃盤, 1990年発売)のディスク4(1969年4月26日のL.A.フォーラム公演, 約70分収録)ではカットされていた「Foxy Lady」も収録されている。
音に関しては、『Lifelines』のディスク4における、左右のチャンネルにベースとドラムが振り分けられた、音像のやや遠いミックスとは異なるラフ・ミックスとなっており、『LA Forum 26th April 1969』の方が随分と迫力のあるサウンドに聴こえる。ただ、『Lifelines』のディスク4と、『LA Forum 26th April 1969』のディスク1の音質の優劣については、好みなど個人差もあるだろうし、一概には言えないかもしれない。

ボーナス・ディスクであるディスク2には、公式ではジミの最後のライヴ(クラブでの飛び入り演奏を除く)となる、1970年9月6日にドイツで行われたラヴ&ピース・フェスティヴァルをオーディエンス録音で約77分収録。音質は、当時のオーディエンス録音のブートと比較すると平均的なレベルだと思う。ジミ等のブートでかつて有名だったMidnight Beatレーベルの『Love & Peace』を始め、ジミのマニアにはお馴染みの音源でもある。

ちなみに、先ほど少し触れたジミの4CDセット『Lifelines』(廃盤, Reprise, 1990年発売)は、1988年にアメリカのラジオ局で放送されたドキュメンタリー『Jimi Hendrix: Live And Unreleased』を収録したもので、ディスク4には、ドキュメンタリーの最後の1時間に放送された1969年4月26日のL.A.フォーラム公演が約70分収録されている。「Foxy Lady」は未収録だが、その「Foxy Lady」は、1990年に再発されたCD『The Jimi Hendrix Concerts』(廃盤, Reprise等)にボーナス・トラックとして収録されている。

『LA Forum 26th April 1969』(Alchemy Entertainment, PILOT200)は、ジミの遺族が音源等を管理するEXPERIENCE HENDRIXの作品ではないし、承認も受けていないので、限りなくブートに近い商品のはずである。音質等を考えると、ジミのマニア以外は手を出さないか、購入するにしてもジミのブートを買うつもりで購入するのが無難だ。



2004年06月14日(月)



 『Ray Charles In Concert』


レイ・チャールズが6/10(日本時間11日)、肝不全のためロサンゼルス・ビバリーヒルズの自宅で死去した。73歳だった。

追悼の意を込めて聴いたレイ・チャールズのCDの一つに『Ray Charles In Concert』がある。これは、Rhino HandmadeからUS&Canadaのみ(それ以外の国への発送不可)で5,000枚限定発売された2枚組ライヴ・コンピレーション盤で、『Ray Charles At Newport』(1958年ニューポート録音、4曲)、『Ray Charles In Person』(1959年アトランタ録音、3曲)、『Berlin, 1962』(1962年ベルリン録音、8曲)、『Ray Charles Live In Concert』(1964年ロサンジェルス録音、7曲)、『Ray Charles Live In Japan』(1975年東京or横浜録音、7曲)の5作品から全29曲収録されている(私のCDの限定ナンバーは「0337/2500」なので、もしかしたら2,500枚限定かも)。
特に、1950年代後半から1960年代初めのライヴは圧巻。安価で入手しやすい一般発売が実現し、多くの方に聴かれることを願う。

ちなみに、日本への発送不可なのに入手できた経緯は、同じくRhino Handmadeから限定発売されたジミー・スコットの“幻の名盤”『Falling In Love Is Wonderful』(日本への発送不可)の場合、試しにRhino Handmadeのサイトで注文しようとしたが受付けられず、このことから、Rhino Handmadeのサイトでの『Ray Charles In Concert』の注文は最初から諦めていた。
ところが、ある個人HPで、ダメもとで『Ray Charles In Concert』を注文してみたら出来てしまい、しかも、無事日本の自宅に届いた旨書かれた文章を読んだことから、私も試しにRhino Handmadeのサイトで注文してみたら受付けられ(2003/10/30)、5日後にCDが到着した次第。
なお、ディスクユニオンの一部の店では、Rhino Handmadeの日本への発送不可のCDが少数入荷することもあり、ジミー・スコットの『Falling In Love Is Wonderful』、『Ray Charles In Concert』ともに店頭で見たことがある。


話し変わって、かつて開設していた私のWEB日記の「2003/10/05 (日)」付にも書いたことだが、カサンドラ・ウィルソンが2004年8〜9月に来日ブルーノートの各店舗で公演を行う。
日程、チケットの予約受付開始日などの詳細も発表されており、名古屋ブルーノートでは、すでにチケット予約受付中らしい。

もう一つ。
クラフトワークの「正式にはCD化されていない初期3作(『Kraftwerk』『Kraftwerk 2』『Ralf & Florian』)」の発売の話があるらしい(『CD Journal.com』6/9付)。ぜひとも実現するよう、もの凄く期待している。

2004年06月11日(金)



 Robert Quine 死去

ニューヨーク・パンク・シーンの代表的ギタリストで、リチャード・ヘル&ザ・ヴォイドイズやルー・リードのバンドにも在籍したロバート・クワインが、6/5に亡くなった。どうやらヘロインのオーバードーズによる自殺の可能性が高いらしい。私の好きなロック・ギタリストの一人であっただけに、残念でならない。

ルー・リードのソロ・キャリアにおけるターニング・ポイントとなった傑作アルバム『The Blue Mask』や、同じくルーの代表的ライヴ盤『Live In Italy』は、ロバート・クワインの参加なくして成り立たなかったはずだし、2001年に発売されたヴェルヴェット・アンダーグラウンドの3枚組発掘ライヴCD『Bootleg Series Volume 1: The Quine Tapes』への超貴重な秘蔵音源の提供も感謝して止まない。

ご冥福をお祈りします。

Robert Quine 1942-2004
ロバート・クイン、逝去(『CD Journal.com』6/8付)

2004年06月08日(火)



 「海外盤CD輸入禁止に反対する」(3)

海外盤CDの輸入禁止となりうる「著作権法の一部を改正する法律」が、6/2の文部科学委員会において全会一致で原案可決、6/3の衆議院本会議で可決・成立した。

音楽CD再販制度の撤廃、CCCD(コピーコントロールCD)問題同様、何かしらのコメントを書き込む気さえなくなってしまった。

海外盤CD輸入禁止に反対する


2004年06月03日(木)



 『スピリッツ・フロム・アイヌ』 featuring 安東ウメ子

ここ5ヶ月の間、アイヌ文化伝承者の安東ウメ子のCDをほとんど毎日聴いている。2003年12月発売の最新作『ウポポ サンケ』か前作『イフンケ』(2001年)を聴いているのだが、こんなに長く一人の音楽家のアルバムを聴き続けたことは、近年では皆無である。
今年に入ってからの私にとって、最も大きな存在として心の中を占めているのは、現役の音楽家のなかでは安東ウメ子であるのは間違いない。

アイヌ音楽のDTM素材集(サンプリングCD-ROM)の『Spirits From Ainu』(ライセンス・フリー)が3/30に発売された。
ウポポ(アイヌ語で歌の意)とムックリ(アイヌ民族の口琴)の第一人者である安東ウメ子を大きくフィーチャーした本作には、樺太アイヌに伝わる弦楽器のトンコリ(演奏者はOKIではない)、ムックリ、ウポポを中心に全部で646ファイル収録されており、内訳は「ACID/WAV:325files」、「REX2:318files」、「KONTAKT:3programs」となっている。



3月中旬にネットで『Spirits From Ainu』を予約し、私の自宅には4/3に届いた。ムックリとトンコリのファイルはサンプリングCD-ROMという作品の性格から数秒間しか聴けないこともあって、安東ウメ子の歌と手拍子のみによる「VOICES」を、おもに繰り返し聴いている。
「VOICES」に収録の曲と時間は下記の通り。いずれも2004年1月に録音したらしい。
1. アトゥイ ソー カタ(1分54秒)、2. アルオー(0分25秒)、3. イフンケ(2分28秒)、4. サラバ(0分08秒)、5. ヘルトゥン ルトゥン(TONOTO AKAR)(1分42秒)、6. ペカンベ ウク(2分04秒)、7. ヤイサマ(2分04秒)

『ウポポ サンケ』や『イフンケ』とは一味違った趣のある安東ウメ子の歌声は、祈りとか信仰をより感じさせる内省的なもので、アルバムのものよりもディープな印象を受ける。『Spirits From Ainu』の発売を機に、安東ウメ子にさらなる注目が集まるよう願っている。

関連記事: 『十勝メール.com[幕別めーる]』(2004年1月12日付)
→[追記]『スピリッツ・フロム・アイヌ』 収録のウポポの試聴&ダウンロード購入(『DISCOVERY DOWNLOADER』「2006年3月31日(金)〜 アイヌ伝統の音源が初登場!」
→[追記]『スピリッツ・フロム・アイヌ』 収録のムックリの試聴&ダウンロード購入(『DISCOVERY DOWNLOADER』「2006年4月8日(土)〜 アイヌの伝統弦楽器『ムックリ』がダウンローダーに初登場!」

2004年06月01日(火)
TOP Antenna MAIL About