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2010年11月28日(日)
『パブリック・ドメイン』

フェスティバル/トーキョー『パブリック・ドメイン』@池袋西口公園

ロジェ・ベルナットがコンセプトと演出を手掛けたこの作品は、観客が出演者になります。と言う訳で出演してきました。観客参加型の演劇は少なくありませんが、観客のみで演劇を進行する作品は珍しい。参加者=出演者は約150人、上演時間は一時間強。

立ち入り禁止区域等指定していない公園のど真ん中でやるので、通常で言うところの観客はその公園に居合わせたひとたちになります。何やってんだとずっと見ているひとが結構いた。あと公園周辺が根城らしいホームレスのひとたちも見てたなー。上演途中、披露宴の帰りか引き出物っぽい紙袋を持ったいい気分の集団がなんだなんだ何やってんのと笑い乍らエリアの真ん中を横切っていくハプニングもありました(笑)。

会場である池袋西口公園に着くと受付があり、名前、電話番号と交換でヘッドフォンを受け取ります。スタッフのホイッスルが開演の合図。ヘッドフォンを装着して、そこから聴こえてくる質問や指示に従って動きます。質問、指示は合計250。この質問と言うのがひとくせある。

最初ささんと行こうと言ってたところ日程が合わなくてひとりで行ったんだけど、いやこれはひとりで参加してよかったわ…非常にパーソナルな質問が続くのです。居住エリア、年収、家族について、宗教観、セクシャリティ。他者を意識せざるを得ない質問もあり、嘘をつく局面もあります(つかないひともいるだろうが)。これ知り合いと一緒に参加したら結構気まずくなりそうだでー。実際複数人で参加して、動きに迷っているひとがちらほら。反面、タブー気味な質問に堂々と応えて行動するひとが妙にドヤ顔になっていたり(笑)。それを見ているひとたちの視線も興味深いものでした。

そうこうするうち、外国で生まれたひとには蛍光色の黄色で背中に赤十字が描かれているベスト、東京出身者にはオレンジ色のジャケット、地方出身者には紺色のジャケットが配布され、それを着ることを指示されます。それ迄クラシック曲が流れていたヘッドフォンから『宇宙戦争』のサントラが流れ始め、次第に不穏な雰囲気が漂い始めます。そこで出演者は、着ている服が何を意味するのか、自分が何者を演じる役割なのかを知ることになります。

公園の広場はデモやテロが起きた現場になり、紺=警官とオレンジ=囚人が対峙し、警官によって撃たれた囚人には黄=看護師が介抱に向かう。オレンジ色のジャケットと黄色のベストを両方着ているひと(外国生まれ東京育ちってことでしょうか)などは、迫害を受けつつ介抱すると言う複雑な役回りに(役の割り振りは細分化され、同時に行動を起こす場面はありませんでしたが)。名指しで個人を動かす場面もあって、これにはビックリしたわー。名前呼ばれたひと「ええっ!!!」と悲鳴あげてた。あれはビビるわね…いきなりヘッドフォンから自分の名前が聴こえてくるんだもの。しかもそのひと、死ぬ役だった(苦笑)。和やかに、時には笑いも交えて行動していた出演者の間に困惑と緊張が走ります。怪我人を助けたい心境でいても、囚人をレイプしたり処刑する立場だったりするのです。

この心境と役割の乖離は、他者の介入を許さない自分の中で、自身と対峙することを促します。それとともに、自分と他者の共通点にも気付かされる。自己が希薄になり、パブリックドメインそのものになっていく。

音楽にもヒントがありました。ポイント毎にヘッドフォンから流れてくるモーツァルトの『魔笛』には、ひとつずつ解説が付加されていきます。『魔笛』は収入を得るため=金のために作られた、フリーメイソンを暗示している、芸術に対価はあるのか……それをあなたは了解していますか?作曲の過程を知った上で、この曲に高揚感や好意を持ちますか?もしそうなら、広場の中央に進み出てダンスを踊ってください。解説を聴く毎に、曲に対する印象も揺らぎます。

こう書くとややネガティヴな印象を受けますが、この作品には意外にも暖かみや包容力を感じる幕切れが用意されていました。終盤観客=出演者たちは、広場にあるステージの裏に誘導される。そこにはミニチュアの広場と人間たちの模型が置かれている。ヘッドフォンには質問が流れ続ける。しかし出演者はもう動くことはない。ミニチュア模型と、ステージ裏に張られたスクリーンにただただ見入る。スクリーンには、ミニチュア模型の世界が映し出されている。銃を向けるひと、両手を挙げるひと、倒れているひと、それを介抱するひと……。

今自分は警官の役を演じる立場にいるけれど、意識は別のところにある。自分のこころは誰にも侵略されることはない。同じ質問を聴いていても、その答えは出演者全員違うものなのだ。『パブリック・ドメイン』は、共通性を持ち乍らただひとつとして同じものはない出演者たちそれぞれの物語を持ち帰る作品になる。

スクリーンにエンドロールが流れ始める。『本日の出演者:登場順』として、参加者の名前が映し出される。受付で渡した名前がここで使われるとは(笑)上演中にスタッフが入力してるんですねー。毎回のことだから結構な手間、ちょっと嬉しくなったりしました。全てが終わると、出演者たちから自然と拍手が起こりました。この拍手は誰に向けられたものなのかな。穏やかな表情の出演者たちは劇場にやってきた観客に戻り、集団は分解し、ぱらぱらと広場へと散っていきます。ヘッドフォンを返却すればもうどこにも出演者たちの関係を証明するものはない、やっぱり心の中にしかない。一期一会。

ベルナットはこの作品について語るとき、ランシエールの本に引用されていたフレーズ「劇場とは過去においても現在も、集団としての観客が自らと対峙する唯一の場所である」をあげていました。ひとりひとりは、必ず何かと共通点を持ち、決して物理的な孤独は有り得ない。同時に、それでもひとりでしかないのです。それは悲しいことであると同時に、喜ばしいことでもあるのだと感じました。

・Time Out Tokyo『観客演劇「パブリック・ドメイン」』

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今回のフェスティバル/トーキョーのテーマは『演劇を脱ぐ』。舞台上でおこることを観に行く、だけでは済まない作品が多く非常に興味深かったです。『パブリック・ドメイン』を筆頭に、飴屋さんの『わたしのすがた』、やなぎみわさんの『カフェ・ロッテンマイヤー』(『パブリック〜』後ちょっとだけ覗くことが出来ました。盛況だったよー)もそうだな…高山明さんの『完全避難マニュアル 東京版』に参加出来なかったのがこころのこり(登録はしてたんだけど行く暇がなかった…)。次回は一年後。楽しみです。

そういえばこの記事面白かった(笑)→・日経ウーマンオンライン『HOOTERSとロッテンマイヤー』



2010年11月27日(土)
MANIC STREET PREACHERS POSTCARDS FROM A YOUNG MAN TOUR 横浜公演

MANIC STREET PREACHERS POSTCARDS FROM A YOUNG MAN TOUR@YOKOHAMA Bay Hall

よこはまたそがれ。ベイホールって大昔にスカパラで来た憶えがあるんだが、つれてってもらったようなものなので最寄りの駅も道順も全く憶えておらず。余裕を持っておでかけです。遠足です。

着いてみればああそうだった、周りには何もないのだった。寒い。海辺綺麗。ベイブリッジが遠くに見える。物販でTシャツを買い込み開場迄の時間どこで過ごせばいいのやら…とりあえずいちばん近場のHOME'S(ホームセンター)へ。マックがあったー、ここでしばし暖をとる。この時あのじさんとしまむらの話題になった。しまむらには店内ソングがあって…とかそういう。しまむらに行ったことがないのでいろいろ興味深く聞く。

100番台の整理番号だったけど余裕で前へ行けました。実質2列目、下手寄り。こんだけガチで前で観るのっていつ以来だ……それにしても狭い。キャパ1200くらいらしいけど、それはステージが全く見えないバーカウンターや柱の後ろ迄みっちみちに入れた場合なんじゃないか。ちょっと横に広いクアトロくらいな感じだよ…フロアもステージも。新譜ジャケ(ティム・ロスのあれ)のバックドロップが、ティムの肩辺り迄しか張れてない(折り曲げて張ってある・笑)。こんな小さなハコでマニックスを観られる日本って…嬉しいようなー……いや、嬉しい!嬉しい!いやマジで手を伸ばせばジェイムス迄30cmとか、それくらいの距離でしたがな。大人なので前の列のひとを潰して迄押し掛けようとは思わなかったが(笑)。とまあいい場所を確保出来たので開演迄動けないなー水なしで保つかなーなんて思っていたら、おにーちゃんがペットボトルの詰まった箱を持って水を売りにきた。野球場か。

そうこうするうちミッチさんがカメラマンピットに入ってきました。いつもの緑のニット帽。その気になればミッチさんの頭もなでられる距離(大人なので実行には移さないよ!)…近い……ウキウキしつつ開演です。

もはや馴染みに聴こえるごあいさつ「オゲンキデスカイ!」、素で「はーい!」とか言ってもうた…どこが大人じゃ。もうずっとシンガロング状態でした。すげーデカい声で唄ってた自覚あったんだけどそれでも自分の声が聴こえなくて、それであー周りもすごい唄ってるんだって気付いた(笑)それでもジェイムズの声はしっかり聴こえたよ!ナイス音響!

セットリストは東京とほぼ同じ+「AUTUMN SONG」をやった!ぎゃー。アコースティックセットの「STAY BEAUTIFUL」が「THE EVERLASTING」になった!ぎゃー(泣)ここどばーと泣いてもうた。どこが(後略)

1曲目からフロアの盛り上がりもマックスで、押すわ押すわ。いやしかし全然平気だったな…身体中ボコボコになりましたが。でも筋肉痛も翌日に出たぜ!マニックスのライヴはアンチエイジングになるぜ!これぞ一軍のなせる業か。実際ここ数日1本だけ残ってた親不知が動き出して痛くてたまらんかったのだが治まった(マジで)。癒し効果もあるよ……。

や〜それにしてもホントに近かった…ショーンの演奏する姿を肉眼でこんなにしっかり見られたのって初めてかも。ステージもそんなに高くなかったし。ある程度近いくらいだと、ドラムセットに埋もれて見えないんだよね…(笑)。で、すごく楽しそうに、終始笑顔で叩いてたの!ええー!これにはビックリ。ポーカーフェイスで演奏してるイメージだったから……実際ライヴ映像でも、こんなにニコニコ叩いてるのは記憶にない。これは嬉しかった…日本でリラックスしてたのかなとか会場の雰囲気が気に入ったのかなとか勝手に思いを巡らせてしまったよ。いやー長年見てますけどあんなに笑顔で叩いてるって初めて…うれしい……。そしてあまりにも近いのでジェイムズが私の目を見て唄ってる気がする。ジェイムズ普段はメガネっこなので見えてる筈はありません、わかってます、わかってますけど勘違いしてもいーじゃねーかー!キャージェイムズありがとー!

東京公演でもそうだったけど、「EVERYTHING MUST GO」“And if you need an explanation, nation”ラインの“ね〜ショーン”♪のとこでジェイムズがショーンの方を振り向いて唄ったのが面白かった。あと何の曲だったか忘れたが、イントロ部分で何故かジェイムズが擦り手をしてその後両頬と両こめかみを交互に掌でパーン!パーン!と叩いた後唄い出すと言う光景が。開演前に相撲中継でも見たか。似合い過ぎる!キャー!そして「SUICIDE IS〜」で唄い乍ら何故かシャツの襟を立て始める、どうした。何か自分の中でこの歌を唄うときのテーマみたいなものがあるのか。キャーダンディー!あとアコセットの時ちょろっと「テキーラ」のイントロを弾いたら客が盛り上がって、それを受けて「テキーラ」知ってる?と続きを弾き始めたら「ラ・バンバ」の合唱になってしまいジェイムズ苦笑してた…す、すまねえ。

どんだけジェイムズのこと見てるねん…いや、目の前だったから………。

そしてアコセット後やはりマイクロミニで現れたニッキー、この日はフロアも遠慮なく「待ってました」と言わんばかりの大歓声。ちょっとすごかったで、この盛り上がり(笑)むしろ男客が喜んでた、歓声がのぶとい(爆笑)なんでもこのスカート、当日ファンの子がプレゼントしたものだとか!うわーなんていいひとニック!つうか187cmの大男にサイズぴったりのミニスカートしかも花柄をプレゼントしたそのファンの子もグッジョブですよ。そんでハイソックス履いてないんだ…普通にハイソックスがとか書いてるとマニックス知らないひとには何のことだかだろうが。序盤は上下白のパンツスーツ(シャツはピンクのフリルつき)だったところ、着替えて生脚ですよ!上は前日も着ていたヒョウ柄ジャケット、チャイナシャツ(中華街で買ったの?終演後に行ってたそうだけど)に花柄ミニスカのコーディネート。☆さ☆い☆こ☆う☆!☆

そういえばニッキーのアンプにはウェールズ国旗が張られてるんだけど、今回その上にいろんなものが置いてあったのね…チェブラーシカのぬいぐるみとかスワロフスキーかなんかで出来たいぬの人形とか。OLが自分の机やPC周りを飾ってる感じに通じる…好きなものを並べて気分よく仕事するの☆みたいな……かわゆいよ!あーでもスカートのことからして、もらったプレゼントを「ちゃんと受け取ったよ☆」みたく飾ってるのかなと思った…どのみちガーリィです。あーニッキーとコスメ談義とかしたいわー☆☆☆

とまあキチガイのようなことばかり考えていましたが、「MOTOWN JUNK」前に「彼(リッチー)は天才だった」と言ったニッキーにはうっとなったし、「DESIGN FOR LIFE」は唄い乍らやはり泣いてもうたよ。人生いろいろ。いやーホントすごかったなこの日は……あああー、マニックスと同じ時代に生きてよかったなー!一緒に歳をとるぜ!

すっかりぬけがらです。もうよいおとしを〜と言いたい気分だ……ぼんやりしたままみなとみらい線に乗車。はージェイムズの歌は本当に素晴らしい……彼が唄えば小鳥がよってきたり枯れた花がまた咲いたり涸れた井戸に水がまた湧いたりするよねー(真顔で) 彼がおふろで鼻歌唄えば循環風呂になるよね〜(もう何を言っているのか判らない)…はっ(ここでふと思い返す)、きっとしまむらの店内ソングもジェイムズが唄えば私は涙するよ!本当唯一無二の声。いつかまた会おう!また来てね!

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セットリスト(画像はミッチさんとこから

“AFTER THE AGE OF 30 A MAN'S LIFE IS THE ODD ISLAND OF PLEASURE IN A SEA OF ENNUI” -GEORGE ORWELL (1903-1950)

01. YOU LOVE US
02. YOUR LOVE ALONE IS NOT ENOUGH
03. MOTORCYCLE EMPTINESS
04. (IT'S NOT WAR) JUST THE END OF LOVE
05. JACKIE COLLINS EXISTENTIAL QUESTION TIME
06. ROSES IN THE HOSPITAL
07. THIS IS YESTERDAY
08. EVERYTHING MUST GO
09. SOME KIND OF NOTHINGNESS
10. YOU STOLE THE SUN FROM MY HEART
11. OCEAN SPRAY
12. LA TRISTESSE DURERA
13. SUICIDE IS PAINLESS
14. AUTUMN SONG
15. MOTOWN JUNK
16. IF YOU TOLERATE THIS YOUR CHILDREN WILL BE NEXT
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17. THE EVERLASTING (Acoustic)
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18. FASTER
19. NO SURFACE ALL FEELING
20. GOLDEN PLATITUDES
21. TSUNAMI
22. DESIGN FOR LIFE

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2010年11月26日(金)
MANIC STREET PREACHERS POSTCARDS FROM A YOUNG MAN TOUR 東京公演

MANIC STREET PREACHERS POSTCARDS FROM A YOUNG MAN TOUR@studio coast

ソロとバンドでキャンセルが続いたことなどもうどうでもいいねー!また来てくれた、自分内一軍バンドマニックスが!後で確認してみたら、単独では5年振りなんですね…サマソニを入れたら3年振り。いやもうホント、来てくれて嬉しい……なんてえの、もう当日なんて嬉し過ぎる+緊張のあまり具合が悪くなる程です(バカ)。

遅刻してカール・バラーは最後の3曲。リバティーンズの曲もやった!ストリングスも入った面白い編成でした。

セッティング間oasisがかかり場内がざわめく(笑)続けてNIRVANA、ここ迄はまあわからんでもない、しかし次にPEARL JAMがかかったよ!うわー!あ、ありがとー!90年代のあれやこれやを思い出して白目になる勢いです。おかげで緊張がちょっと解けた(いやだからおまえが緊張して何になるのだと)。oasisもNIRVANAももういない。あーでも出会えてよかったなあ、このバンドたちに。そして今も現役のマニックスを観られることって本当に幸せなことだなあ。PEARL JAMもいつかまた来てね……。

マニックスの3人+サポート2人(Key、Tp、時々Tambのショーン・リードとGのウェイン・マーレー)の5人編成。てかリードさんがデカい、ニッキーくらいある。上手ニッキー下手リードさん、両サイドが異様にデカい(笑)。リードさんは基本座って演奏してましたが、Keyの下に膝がキツキツに収まってる感じ。そしてウェインは若くて綺麗な子ー。2007年のサマソニにも来てたよね。あのポジションにいるのも気にならないと言えば嘘になるけど、それがイヤだなんてことはないな…ジェイムズの負担も減るし。こうやって時は過ぎ去っていくし、前に歩いていくんだ。

で、いきなり「YOU LOVE US」、サマソニと同じスタート。そりゃもうアガりますよってとこに続けて「YOUR LOVE ALONE〜」「MOTORCYCLE EMPTINESS」とたたみかけられた日にゃあうひゃあああと叫んで頭を抱えます、嬉しくて。えっちょっとこれ新譜のツアーじゃないの?満遍ない!どこから切っても名曲です。いや新譜も名曲揃いだったのでそれ中心でも全然構わなかったんですが(実際新譜からの曲、フロアの反応よかったよー)、久し振りの来日と言うこともあるのかな。ぎゃーうれしい!こっちも唄う唄う、フロアが大合唱に覆われる。

ジェイムズは若干ギター弾くのが軽減されたけど(と言ってもまあ弾くわ弾くわでしたが)、弾いてない時はくるくる回ったりしているので運動量としてはそう大差ない。どるさんに指摘されて気付いたが、ワイアレスじゃないんだよね、あれ…てことはくるくる回る間からまないように縄跳びよろしくぴょんぴょんコードを跳び越えてるってことだよね…お、おもろい!何の為のその運動量!最高!スーパーボールに見える……。前回単独の時とかは、曲間ぜーぜーはーはー言い乍ら(でも歌は全然ヘタらないんだよ)MCするもんだから「ちょ、休んでよ」と思う程だったが、今回は息切れしてなかった。まるいけどたるんではいないんだよねーと言うかまた引き締まった感じ?それこそ豆タンクみたいな…しょうぼうじどうしゃじぷたみたいな……ちっちゃいけれど力持ちで機動力があるヨ!て言う。あ!あと漁師!漁師みたいです!何を誉めてるんだか判らなくなってきました!

あれ、昔ジェイムズってミュージックライフのアンケートに好きなたべものはさかなって書いてた気がする…じゃあ漁師もいいね。……こんなどうでもいい知識を未だに憶えている辺り、どんだけ一軍。

はーそれにしてもホント休まないね…。ギター弾く、唄う、くるくる回る、ぴょんぴょん跳ぶ、ドリンク飲むのもテキパキ、ギター交換もテキパキ、しょっぱなのMCは「オゲンキデスカイ!」。兄貴を見ると背筋が伸び、兄貴の歌声を聴くと性根を叩き直される思いです。そして、ここ数年(ソロ出してからが顕著)ニッキーのベースがすごく上手になったってのもまた…そんな、期待していないところに(無礼)まだまだのびしろがあったことにも驚くし、継続は力なりとはよく言ったものだなと……アルバムリリースのスパンがいつもそんなに空かないことも含め、ホントいつも、ずっと勤勉。ああ、歳を重ね経験を重ねることの悦びを見る思いだよ!つうか自分もいろいろとやる気(何の)が出た。前向きになった。数年に一度マニックスのライヴに行くことは、永平寺の泊まり込み座禅修行に相当するんじゃないの…あーシャキッとしたー!

どれもこれもよかったが、「OCEAN SPRAY」の間奏、音源と同じくTpで聴けたのが嬉しかったなー。サマソニではT-Saxにアレンジされてたのだ。この曲、毎回演奏される度に、楽曲自体の素晴らしさとともに歌詞の背景も思い出し涙が出てしまう。マニックスの歌はもう随分長いこと自分の生活のすぐ傍にあって、いろんなことがしみついている。

ジェイムズひとりでやったアコギヴァージョンの「STAY BEAUTIFUL」も素晴らしかった、F**k Off大合唱。日本で初めてやるよーと言った「THIS IS YESTERDAY」は以前聴いた憶えがあるがご愛嬌、『GOLD AGAINST THE SOUL』のジャケットを撮ったミッチイキィダ(ミッチ池田)さん(当然カメラマンピットにいたよ!)の話から続けて演奏した「ROSES〜」、珠玉の『M*A*S*H』カヴァー「SUICIDE IS PAINLESS」、初来日のクラブチッタの話からリッチーの姿を活写した「MOTOWN JUNK」、どれもこれもがキラーチューン、どれもこれもで大合唱。オーディエンスもすごい、待ちに待った思いが溢れてる。このシンガロングっぷりは過去最高ではないのと思うくらいだったなー。若い子も意外と多く、いろんな世代に愛されているのが見てとれたのもなんだか嬉しい。

まーそれにしても、「STAY BEAUTIFUL」後ミニスカにお召しかえして出てきたニッキーの、メンバーからのスルーされっぷりには大笑い。もう当たり前の光景なんだよね…。おねえちゃんがお風呂上がりにバスタオル一枚巻いた姿でリビングに出てきても意に介さない兄弟たちのようです。家族!家族になっちゃってるよ!(@『愛がなくても喰ってゆけます。』)まあそうだよね…この3(4)人って。そして最初どよめいたもののやんややんやの喝采を飛ばすフロアのひとたちも最高です。これがマニックスだ!

オーラスは「DESIGN FOR LIFE」。明日は横浜、行ってきます。

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セットリスト(画像はミッチさんとこで
そうそう、この画像見て、セットリストにも引用が記されているのに感動したなー。ライヴには毎回テーマがあるんだ。

“I THINK NIHILISM IS THE MOST EXTREME FORM OF ROMANTICISM” -S. KANE

01. YOU LOVE US
02. YOUR LOVE ALONE IS NOT ENOUGH
03. MOTORCYCLE EMPTINESS
04. (IT'S NOT WAR) JUST THE END OF LOVE
05. JACKIE COLLINS EXISTENTIAL QUESTION TIME
06. ROSES IN THE HOSPITAL
07. THIS IS YESTERDAY
08. EVERYTHING MUST GO
09. SOME KIND OF NOTHINGNESS
10. YOU STOLE THE SUN FROM MY HEART
11. OCEAN SPRAY
12. LA TRISTESSE DURERA
13. SUICIDE IS PAINLESS
14. MOTOWN JUNK
15. IF YOU TOLERATE THIS YOUR CHILDREN WILL BE NEXT
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16. STAY BEAUTIFUL (Acoustic)
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17. FASTER
18. NO SURFACE ALL FEELING
19. GOLDEN PLATITUDES
20. TSUNAMI
21. DESIGN FOR LIFE

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2010年11月23日(火)
『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』とか

早起きして浅草から水上バスのヒミコに乗ってお台場へ。出発前は寝不足でぼにゃーとしてましたが、乗れば大はしゃぎです。船体も格好いいけど、船内アナウンスが車掌さん(あの、999の!)の声なんだよー!そして観光ガイド音声がメーテルと鉄郎の声。目も覚めるわ。景色も冷気も気持ちよかったよう。

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『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』@お台場シネマメディアージュ スクリーン2

ごろっとネタバレしてます。

レイフ・ファインズが出るようになった4作目から観てるんですが、もうね、もはや素顔のファインズさんが思い出せなくなりそうです。もうあの鼻自前なんじゃないの…くらいの。なんたって自分のこと「俺様」って言うしね!字幕だけかと思えば吹き替え版でも俺様って言ってるらしい…ジャイアン……。そして意外とこの魔法使い詰めが甘いって言うか癇癪持ちって言うか抜けてるって言うか、冷酷無慈悲のおっそろしい存在の筈が、だんだんオモシロキャラに見えてきた…いいんだろうか。原作でもこうなんだろうか。いや私がそう思ってるだけかもしれん。今いちばん怖いのはヘレナ・ボナム=カーター演じるベラトリックスだわ。ハリー・ポッターで拷問シーンを観るとは思わなんだ…こわい、こわすぎる……。

物語の方はクライマックスへ向かっているので、それはもう酷くて暗い話になってきててつらい…どんどん死ぬし。しかもあっけなく。序盤も序盤でヘドウィグが吹っ飛ばされてもう泣いた。ちょっとー!何すんのよー!(泣)ええ〜ヘドウィグもう見れないの?どっかで誰かに助けてもらったりしてないの?そういえば今回どうぶつが殆ど出てこなかったよ…ガチバトルが増えてるので、きゃ、ふくろうかわいい☆なんて言ってる暇もありませんよ。人さらいとかちょう怖い。あとドビーが、ドビーがああああ!あードビーちょう格好よかった…妖精最強。「出来ますよ。妖精ですから」なんて台詞素敵過ぎる。言ってみたいわ。

差別とか嫉妬とか疑心暗鬼とか、ひとの心の後ろ暗いところをぐいぐい突くのでもはやこども向けとは思えない……そこを振り切る経緯も描かれますが。いやそれにしてもロンは気の毒だったよ…ええ子やのう。ロン役の子は格好よく育ったね、いい青年になりそうだわー。

そーれーにーしーてーもー、ハリーとハーマイオニーのダンスのシーンが素晴らしかった。お互いの心情や置かれている状況、立場もろもろをのみこんでのみこんで踊るふたり。前後の流れからすると唐突な感じもするんだけど、個人的にはあれはよかった……。しかもこのシーンに流れていた曲が、ニック・ケイヴの「O Children」だったのです。どわー。こ、これは…すごい選択……誰だ、このシーンにこの曲選んだひと!ラジオから流れてくるニックの声、ふたりの表情、外は身を切るような寒さで……む、胸が潰れる!ハリー・ポッターでなんでこんな思いしなきゃならんねん、と逆ギレしそうな程でした。はー…こういうシーンを演じられる年齢になったってことだよね、ふたりが……。途中から観ている私がこうだもの、第一作からリアルタイムで観ているひとは感慨深いだろうなあ、キャストが変わらずシリーズ通して観られるなんて。

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ゆりかもめに乗って新橋へ。日テレ付近をうろうろしてたら『トロン:レガシー』キャンペーンをやっていて、あのバイクが展示してあった。ハリー・ポッター上映前に、これの予告編観たばかりだったのでおおっとなりました。ダフトパンクのサントラも大音量で流れてて格好よかったよー。

その『トロン:レガシー』の予告編は8分の3D仕様。ハリー・ポッターは普通の2D上映だったので、予告編のためだけに3Dメガネが配布されました(笑)。



2010年11月22日(月)
ASH JAPAN TOUR 2010

ASH JAPAN TOUR 2010@LIQUIDROOM ebisu

当日の夕方近くなって、サポートメンバーのラッセル(ブロックパーティの子)が体調不良で出られないとのお知らせ。先日ライオンに噛まれた(本当)ことと関係あるのかな…来日はしていたのかな?とにかく残念、おだいじに……。

と言う訳で急遽3人のみ、本人たち曰く“ヴァージョン1.0”編成。シャーロット脱退後も3人でやっていた時期があったし、さほど心配はしていなかったけど、いいライヴでした。途中のびやかな高音コーラスが聴こえて、あれ、シャー?なんて思って見たらリックのコーラスだったりしてウケた。リック美声!ギターはコードストロークばっかりになっちゃうかな?と思ったものの、ティムはリフもうまいこと絡めて面白いフレーズを弾いていた。音がスカスカに感じることもなかったよ。あとやっぱりメロディがいいからね…。骨格がしっかりしているので、多少傷がついたりしても揺らがないと言うか。

客入れ客出しがポリスだったのもなんだか象徴的。

『A-Z』からの曲はライヴ栄えする!インストもよかった。昔の曲も沢山やってくれて嬉しかったなあ。「Kung Fu」と「Joy Kicks Darkness」を同じライヴで聴けるなんて楽しい。日本ならでは!の「Kamakura」を聴けなかったのは残念。翌日はやったそうです。

しかしヘンな話だけど、あと気のせいかもしれないけど、ティムはイヤーモニターしてたけどリックはしてなかったのね。で、時々テンポがだんだん早くなるんだけど(笑)そのドラムビートの揺れにギターとベースがぴったり寄り添っている感じがしてよかったなー。なんと言うか、クリックを聴かないからこそのドライヴ感がある。それこそ車ってカーブ曲がる時は一瞬速度を落として、その後グッと踏み込んでスピード上げたりするでしょ?ああ言う感じ。阿吽の呼吸もあるんだろうな、長く一緒にやってるひとたちだもんなあなんてことも思った。まだまだ若いけどこのひとたち10代デビューだもんね。パールジャムのサポートオファーを「学校の宿題があるんで…」と断ったりしてたやん(笑)。おっきくなったねー!(近所のおばちゃんの心境)

おおきくなっても、大人になっても、この3人はいつも楽しそうに演奏する。まるでバンドを組んだばかりのように。そして彼らの音楽は、聴いてて身体が浮かぶよう。助走から滑空するハンググライダーのように。笑顔、笑顔。

セットリストはこちら→・BIG NOTHING『Ash/11月22日のリキッドルームのセットリスト』



2010年11月20日(土)
『母を逃がす』

大人計画『母を逃がす』@本多劇場

いやーよかった…いい話過ぎて夢に出そうだ。休憩なし2時間半の芝居って久々だった気がするんだけど、長くもなんともない濃さです。そして自分はこういう流れがしみついてるんだなと思ったし、大人計画ってこの手のがしっくりくる…幕間に休憩入って飲食して、って呑気に観られるものではないと思う……。いや、休憩入る芝居がよくないと言うのではなく、大人計画作品の持つスピード感、どんより感、どうしようもないせつなさは一気に過ぎ去るもので、のんびりした娯楽の心持ちでは見づらいと言う話。でもそれが観劇と言う娯楽として成り立つ松尾マジック。やっぱりこのひとってすごいなと思う。そして当然演者が素晴らしい。

特殊な話ではない。きっとどこにでもある話。そして続いていく話。これって初演時『ヘブンズサイン』の次に発表された作品で(間にニッソーヒ『ふくすけ』再演があった)、世界を呪い続け、笑いとともに破滅を祝福する光景を描いてきた松尾さんが、現状を突破しようともがくひとたちの姿を描いたことにハッとさせられた記憶がある(思えば新井亜樹さんが大人計画の舞台に立ったのは『ヘブンズサイン』が最後だったような)。しかし突破口は悉く塞がれ、「飲み込んで、飲み込んで、……生活は続く」のだ。その間に「少し困って、少し笑って」。ファンキー!宇宙は見える所までしかない。死ぬことを選べない、選ばなかったひとたちの行く末だ。

初演では一本役だった松尾さんが大神で、一本を公園くん。伊勢さんだった経理主任を少路くん。あ、あとこれ大事!密さんが演じた母を池津さん、池津さんが演じたリクを紙ちゃん。あとは同じかな。演者が年齢を重ねたからこその説得力も厚みを増しています。蝶子が再び修学旅行に紛れ込めなかった悲哀もますます出るし(笑)、雄介のリーダーにならなきゃ!って空回りも痛々しい。このどうにもならなさ感は、年月を経たからこそにじみ出るものでもあり、作品の普遍性をより強固なものにする。

それにしても公園くんの化けっぷり!あんな黒くて悪くて格好いい公園くん初めて観たわ、つうかしばらく誰かわかんなかった程で…役者ってこわいわー。少路くんもすごかったけどな…(笑)このふたりは観乍ら「ええと、今回の出演者は誰と誰で、あのひとはあの役だから、残るは……」と消去法で気付いたくらいでした。化けるねー!

黒くて悪くて格好いいと言えばクドカン。自分は役者のクドカンがいちばん好きかもしれん…『クワイエットルーム〜』でも持ってかれたもんなあ。あの自分の中の黒さをどうにも出来ない人物のせつなさがもうね……。良々とのコンビはホント、愛らしく悲しい。どちらが欠けてもふたりは生きていけない。でもいつかはどっちかが先に死んじゃうんだよ。このどうにもならなさもせつない。

カーテンコールもよかったです(笑)。いい再演だった…そしていい劇団公演。プロデュース公演で同じことが出来るかと言うと?そういえば、今回の公演は久し振りにゲストなしだった。

その他。
・猫背さん出たの嬉しかったんだけど当初はキャストに入ってなかったよね、どういう経緯だったんだろう
・オーディションに受かったひとが出演ってのがなくなったってこと?それとも序盤出てきた浮浪者?が新人だったのかしら。でも配役で名前出てなかったな
・松尾さんのダンス最強
・紙ちゃんがいつにも増して白かった
・吐夢さんがいい具合に太っててブタ吉って役にますます近付き……(苦笑)てか最近体調崩してたんじゃなかったっけ?(クロワッサンのエッセイ参照)まあそれですぐリバウンドしたって書いてたけど大丈夫ですのん



2010年11月14日(日)
『スティング』

午前十時の映画祭『スティング』@TOHOシネマズ府中 スクリーン3

六本木では満席で観られなかったので、府中で観てきました。ううう、名作は何度観てもいい…スクリーンで観たのは初めて。嬉しかったー。満杯の客席は年配の方から親につれられて来た小学生迄幅広く、終わった後は皆笑顔。ホントいい映画…映画館で観たかった映画でした。

それにしても…観る度に発見があるなあ。最初観た時はそりゃもうビックリしましたが、ヒントは端々に隠れてるんですよね。それでいて映っていない部分に想像力を働かせる余地も美しく残してある。シーンが切り替わった時、このふたりはこの会話以前に何を話していたのか?と思いを巡らせて、見終わった後になって、ああ、きっとあの相談ごとをしていたんだ!と思えたり。

フッカーの成長物語にもなっている。軽卒に金をバラまいたり、仲間を信用出来ていなかった彼が最後にあんなことを言うなんて。まだまだ小僧のロバート・レッドフォードが生き生きとフッカーを演じてる。

あーもうホントいい話だー!泣けるし笑えるし心が沸き立つのに穏やかになる!人間っていいなー、映画っていいなーと思える!

そして何度観てもゴンドーフちょう格好いい〜!あとゴンドーフの嫁?パートナーのおんなのひとがまたちょう格好いいんだよねー。一歩も退かない刑事とのやりとりもだけど、作戦決行前日、眠れないゴンドーフ(そう、彼ですら緊張して眠れないのだ)に掛けるひとことがもうシビれる!あとダイナーの彼女も。女優の出番は多くはないけど、皆格好いいし、女だからこその魅力に溢れてる。

えーネタバレになってないよな、大丈夫だよな。あのビックリは知らないで観るのがいちばん。そして、一度観たひとはそのビックリへの過程を何度でも楽しめ、幸せな気分になる。この映画は、いつ迄も愛されて受け継がれてほしいです。ポール・シルバーフォックス・ニューマン(『スティング』の時は40代なので、まだ綺麗な銀髪ではないけどね)はもうこの世にはいないけれど、スクリーンに焼き付けられた彼の姿は永遠です。



2010年11月13日(土)
『わたしのすがた』2回目、『ロールシャッハ』

フェスティバル/トーキョー 10『わたしのすがた』@にしすがも創造舎 他

リピート。今回は13:30出発、昼間だとまた印象が変わる。単純に前回暗くてあまり見えなかったところが見えた、とか、暗くないから怖さが軽減する、と言うのもあるけど、それ以外にもいろいろと。

土曜日の昼間と言うこともあり参加者が多かったのか、前回より出発の間隔が短い感じもして(これは自分の錯覚かも知れないが)他の鑑賞者にも気付きやすい。地図を持ってうろうろしている。このひとはきっと初めて訪問するんだな、なんて想像し乍らすれちがう。先週の私はあんなだったんだ。

道順を憶えていたので、土地勘が全くないところを不安に思い乍ら歩くのとは違う。地図を殆ど見ることなく、前回と違う経路で行ってみる。昼間なのでひと通りが多い。公園で遊ぶこどもたちや親子づれ。お店も開いている。

家も育ってた!3の場所の書き込みが増えてた、とかそういうこと以外も。制作側も手を加え続けているようだ。ハチが瓶詰めになっていたり、バラまかれていたり。音の配置も変わっていた。反面、ひとの出入りによって自然と変化していっているところもある。日々続くひとの出入り、気配が場所を変えていく。約一ヶ月の展示期間でもそうなのだ。数年、数十年経てば、どれだけのものが変化するか。そしてしないか。ひともものも歳をとる。そこには劣化と言う言葉だけでは簡単に片付けられないものが刻み付けられている。

最後の場所にはひとのものだと思われる骨が展示されている。本物かは判らない。参加者の感想をwebで読んでいた時、肝臓がんで亡くなった方の骨だと書かれているものを見付けたので、説明されているところがあったっけ?と今回注意深く探したのだが、そのような記述を見付けることは出来なかった。見落としたのかも知れないけど。実際はどうなのだろう。

しかしこのすかすかの骨には見憶えがある。ウチの母親は肺がんが全身に転移して亡くなったのだが、焼き場から出てきた骨はこのようにぼろぼろでなかなか拾えなかったのだ。当時はこんなにぼろぼろになって死ぬなんて、本当に苦しかっただろう、つらかっただろうとしか思えなかった。今なら、こんなになっても、こんなになる迄生きたんだ、と思えるようにもなってきた。

飴屋さんは「生まれてきたので生きています」と自己紹介に書いていたことがあった。何故生きているのか、に対する答えとしてはシンプルで明快で、とても好きな言葉だ。生まれてきたのでただ生きている。死ぬ迄生きる。死ぬ迄の時間、同じように生きている他人と出会ったり、さまざまな場所に移動したり、見たり聴いたり、いろんなことを経験する。ただ、それだけ。でもそれは、ひとつとして同じものはない。

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KKP#7『ロールシャッハ』@天王洲 銀河劇場

ツアーから戻ってきての東京公演。ネタバレ一切読んでいなかったので、こなれ具合とかはよく判らない。面白かったー。

しかし今迄観たKKPの中ではいちばん重かった。小林さんだから必ず前向きに終わるのを信じていたけど、その信じる、と言う行為がいかに困難か、その過程でどれだけ苦しむかが描かれている。小林さんがこういうことを書いたと言うことは…といろいろ考え込んでしまった。書かないではいられない現在、と言うことなのだろう。

前回の『トライアンフ』でも“信じる”と言うキーワードはあった。信じることは思い込むことと紙一重。そして思い込みには、信じたいと願うあまり、自分に嘘をつくことになる可能性が秘められている。その嘘に自分が納得出来るか、嘘でも構わないと思えるか、それは幸せなことなのか。その判断は日々揺れる。そして、決断には勇気が必要になる。

こんな結末を書いた小林さんは強いし優しいし、途中の迷いを見せる勇気もある。そして4人の登場人物を丁寧に丁寧に書く辛抱強さ。やっぱりすごいひとだなと思いました。

竹井さんと辻本さんは初見でしたが(追記:辻本さんて元オレンヂさんだったんですね…き、気付かなかった……)どちらも面白い!そして久ヶ沢さんのネジの外れ具合は見習いたい…もう尊敬する……(笑)。

自分はぎっちょなので、楽しい面もいろいろありました。皆さん左起点で動くの大変だっただろうなあ、ジャグリングなんかもやってたし!ロールシャッハと言うタイトルも粋だし、フックが利いた内容も流石です。こういう気分がぱあっと晴れるようなひっかけ、小林さんは絶対に外さない。ひとを楽しませたい、笑わせたいと言うことにかけて本当に頭おかしいひとだと思います。素晴らしい。

あと以前大森南朋さんが「僕の名前って漢字で書くと左右対称なんですよね」と言っていたのを思い出した。小林くんとこの話したりしたことあったのかな、なんて思いました。おーもりくんがこの舞台に出演していたら、本名を役名にそのまま使えたね(笑)。



2010年11月06日(土)
『東京タクシー』『わたしのすがた』

アジア・シネマ・セレクション『東京タクシー ディレクターズ・カット版』@東京都庁都議会議事堂 都民ホール

『東京アジア月間』中のイヴェントで、バックホーン山田くんの主演映画『東京タクシー』のディレクターズ・カットが上映されました。もともとはM-ON! TV十周年記念のスペシャルドラマとしてオンエアされたものです。まさすの演技は初々しかったよ…(微笑)それにしても、何も喋らないときの表情のアップが画面に耐えきるひとだなー。やっぱり存在感があるわ…。

司会進行のプロデューサーの方が映画のストーリーを説明するとき「売れないロックバンドのメンバーがタクシーでソウルに行く話です。出演されている山田さんはバックホーンと言うバンドのヴォーカルで…バックホーンは有名なバンドですよ!売れてます!」とわざわざ言うのにウケた。上映前にキム・テシク監督と山崎一さんのトークセッションがあり、撮影裏話から文化、たべもの、ひとがら等日本と韓国の違いに関して面白い話が沢山聞けました。スケジュールや予算の都合で、カーチェイスのシーンも全部山崎さんがスタントやレッカーなしで運転したとのこと、シェー。キム監督と山崎さんが山田くんに対して持った印象も興味深いものでした。逆ヴァージョンの『ソウルタクシー』の企画も進めているとのこと。いつか観られたら嬉しいなあ。

韓国語の台詞のシーンには英語と日本語の字幕がついたのですが、釜山のひとたちの喋りが関西弁になってて面白かった…MIOさんによると釜山のなまりは独特で、この字幕はうまいとこついてるとのこと。

いやー貴重な機会だった。MIOさん知らせてくれてありがとー!

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フェスティバル/トーキョー 10『わたしのすがた』@にしすがも創造舎 他

最終便18時出発。夕暮れに暗闇が迫る中、4つの場所を訪問する。ひとりずつの出発で、受付で貰った地図を受け取り、ひとりでその場所へ歩いていく。道を間違えたりし乍ら(…)なんとか到着。途中の風景、すれ違ったひと、天気や気温も当日だけのもの。

そこには見知らぬひとの痕跡がある。そして自分の痕跡を残す。どちらも微かで小さなものだが、確かにそこに存在したもの。物量的にも時間の流れも。あちこちにテキストが貼られている。最後の場所でリーフレットを受け取り、飴屋さんのテキストを読む。

制作面についてから書く。これは相当な労力と時間と資金が必要だっただろうな…そんなこと考えるのは余計なお世話かも知れないけど。しかしこの企画を通した飴屋さん、それを受けてしっかり制作をサポートした相馬さんを始めとするフェスティバル/トーキョーのスタッフ、そして現場の制作スタッフには感服、尊敬と感謝。そしてあの場所たちが、にしすがも創造舎近辺に存在したことがすごい。探し当てたひとたちもすごい。最大限の努力の賜物だろうが、奇跡的なことでもある。と言うか、こういうの見ると努力って報われるねと思うなー。がんばればラッキーはやってくる、とちょっとだけ信じられるなー。そこにも感動。

同時にこれだけ都会に廃墟…うーんちょっと違うか?なんて言えばいいかな、“死んでいる空間”が残っていることについても考えさせられた。隙間と言う隙間を無駄なく使う都会は息が詰まることも多いので、考えようによってはホッとする。

以下内容についてネタバレあります。

貼られていたテキストは聖書等からの引用のようだった。しかしそこに宗教のうさんくささを感じるかと言えばそうでもない。3つ目のひとつの部屋では、あるカリスマが周囲から押し上げられて教祖のような存在になり、やがて失脚していく経緯が紹介されていた。どちらに転ぶかは当人にすら判らない。そしてその立場を降りたとしても、そのひとの人生は続く。前にも書いたことがあると思うが、飴屋さんにもそういうところがずっとある。彼の周りにはひとが集まってくる。彼を祭り上げるひともいるだろう。それに対して飴屋さんは自覚があって冷静だ。このバランスはギリギリなものだ。

無宗教、無神論者であっても信仰と言うものはあるし、そこにいない誰かの思いを感じることがあったり、その力を受け取ることが出来ると思えることがあったりする。うーん、説明が難しいな。オカルト的なことになっちゃうのかな。でも霊が!とかそういうのとはちょっと違うなあ。個人的にはよしもとばななさんの『幽霊の家』を思い出した。2つ目の外観から、岩倉くんが暮らしていた家を連想したこともあるのかも知れないが、それだけではないと思う。かつてそこにいたひとたちが、毎日を営み静かに暮らしていた痕跡は、大きな世界からすればとても些細なもので、いつかは消えていき、誰の記憶にも残らない。でも、確かに存在したのだ。後にそこを訪れたひとたちはそれを思い返す、もしくは想像することが出来る。きっと思い込みでもある。それでいいのかも知れない。

勿論演出はあるのだ。仕込まれた小道具もある。押し入れの扉を開けるとスピーカーが設置されており、サイン波やことば等、いろいろな音が流れている。時々他の鑑賞者と鉢合わせしたりして「このひと仕込みなのかな…役者さんなのかな……」なんて疑心暗鬼になったりもした(笑)。反面、最後の場所は使われなくなって十年程だと言うが、レントゲン現像液の匂いがまだ残っていた。それぞれの場所にあるものたちは、最初からあったものと後から仕込まれたものが混在している。これらは想像力を喚起させる装置のようなもので、それを通して自分に起こったこと、自分が感じたことは、自分にとっては本当だ。

そしてそんな想像力を使える余地があるからこそ人間は生きていけるのだと思う。

時間が許せばまた明るい時間帯に行ってみたい。もしくは、公演が終わった数年後訪れてみたい。勿論不法侵入とかはしませんよ。あの道を忘れないでいたい。

よだん:
・ひとりずつの出発のため、最初の地点は待合室みたいになってた(笑)
・道々にねこがいて、ねこ散策としても楽しみました。今ここにはいるけど、今度来た時にそこにいるかは分からない、生きているねこたち。数年後には死んで消えてしまうねこたち
・しかし夜の病院は楽しかった(笑)ちっちゃい頃近所に廃病院があって、しばらく封鎖されてなかったから何度か遊びに行ったりしてたんだよね…注射針とか持ち帰ったりして。今思うと怖いが
・しかもここ、ウチらが最終退出だった。残ったスタッフさんひとりだったけど怖くないかな…おつかれさまです……
・懺悔室は深刻なものから笑えるものまでさまざま。私も勿論書いてきたよ

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ピノキオのホットケーキやナポリタン、かるかやのうどん、Camo Caféのおやつ、越中富山のごはんもうまかったー。朝から動くとどこそこ行けて楽しいねえ。ポンチさんから『深夜食堂』も貸してもらって(ありがとー!)、食も充実した一日でした(笑)。



2010年11月04日(木)
『Parabolica Jam '10』

『Parabolica Jam '10』@Shibuya CLUB QUATTRO

ここ数年頻繁に来日し、『We Jam Econo』と冠したイヴェントも行っているマイク・ワット。昨年は行けなかった。結果的にはその後行かなくてよかったと思える出来事があり、この判断は間違っていなかった。時々この自分の勘の良さがいやになるわー。出演者がどうこう、と言う話じゃないですよ。

それはともかく、We Jam Econoと言えばMinutemen。リアルタイムでは聴く/観ることが出来なかった。日本のバンドやミュージシャンと親交を深め、数多くのセッションとツアーを行ってきたマイクさんはとても穏やかな印象。それは清濁併せ呑んだ果ての姿のようにも思える、勿論進行形で。マイクさんの荒れた姿を私は見たことがない。今年の『We Jam Econo '10』は札幌で開催。その前段階のツアー『Parabolica JAPAN TOUR 2010』を観てきました(この中の東名阪3公演が『Parabolica Jam '10』)。連続29日間のツアー。Mike Watt + The Missingmenは8日目から合流、22日間を休みなしで演奏してまわる。移動、演奏、移動、演奏。

・『パッとしないワット、脱力な快作』

この挑発的な見出しは好きではないが、内容には共感するところがある。ただしそれに落胆していた訳ではなくて、今マイクさんはこういうことがやりたいんだな、その“今”に立ち会えるのは嬉しいことだなと思っていた。しかし当時のマイクさんの姿を見てみたかった、と思ったことは何度もあった。そして今回、新譜の発表とともに、それを目撃することが出来た。

確かに当時そのままなんてことはない。いつまでも若い、なんてことは誰にも有り得ない。若さは二度と戻らないものだが、それと引き換えにいろんなものを感じとることが出来るようになる。直前迄杖をついていて、アンプを支えにやっとステージに立ったマイクさんは、「ガンバル」と言って演奏を始めた。

ノンストップの30曲。拍手する間も与えない。The Missingmenふたりとのアンサンブルは不安定ギリギリの緊張感溢れるもの。絶え間なく性急に、次々と叩き出されるフレーズとそれを受ける絶妙な居合が強烈なグルーヴを生み出していく。無邪気な狂犬のような明るさと暗さ、落ち着いた古兵の目線、仲間を信頼する勇気が同列にある。しかし彼らはたったひとりで音と向かい合っている。寸前迄フロアをふらふらしてたのに。寸前迄歩くのがやっとだったのに。気が付くと心配や不安は頭から飛んでいた。ここには音楽しかない。音楽を信じているひとがここにいる。マイクさんの姿は、神々しくすら見えた。ひたすら見る、ひたすら聴く。iPhoneで録音?写メ?くそくらえだ。刻み付けた感覚が残ればいい。それを失うのは死ぬ時だ。

思い描いていたMinutemenの彼、と言うだけではこんなこと迄は思わない。ここ数年の活動がこのための準備だったとは言わないが、ジャズ畑のひとたちとのセッション、インプロ、若手とのやりとりを経ていなければ今回の新譜、今日のような演奏はなかった筈だ。手法としてもそうだし、在り方としてもだ。今の彼の姿をここで見ることが出来て嬉しい。彼はオーディエンスを「ソンケイ」していると言った。有難う、私もマイクさんのこと尊敬してる。

これだ、こんなマイク・ワットが見たかったんだ。

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よだん:
・リラックマはぬいぐるみだけでなく根付もペグにぶらさがっていました(笑)どんどん増えるとよい
・ルー・バーロウソロは3分の2がギター、残りをベース、最後にギターで弾き語り。含羞という言葉が浮かぶ美しいものでした。来年はセバドーやるって言ってたよ
・恒例オーラスのファンハウスセッションでは、そのルーがハンドマイクでシャウト&タンバリン担当!やはりはっちゃけきれないはにかみやさんな挙動で好感度アーップ
・Adebisi Shankちょう好みー!この手の算数みたいなのだいすきー!
・アイルランドのバンドなのでベースのひとのマスクには深い意味があるのかも知れないが、「スケバン刑事で梁山泊から救助された後の多聞寺忍みたい…」(この説明解るひとどのくらいいるのか)と思ってしまってニヤニヤしちゃった…ご、ごめん……
・しかしベースのひとはいろいろとアホな子キャラクターで非常に面白かったので、まあいいや(笑)これからは勝手に忍と呼ぶ
・あれだ…あのアホの子挙動はneco眠るを思い出した……
・Adebisi Shankのセッティング中、The Missingmenのトムさんがギターを背負ったままフロアでお客と話し込んでいた。素敵ー
・遅刻したのでLITEは観られず、残念



2010年11月03日(水)
『The Voice-Over』とか

『SP 野望篇』@TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン6

『午前十時の映画祭』の『スティング』を観に出かけたところ、満席で入れず呆然。朝もはよから六本木迄出向いてそのまま帰るのもとこれのチケットをとってみた。TVシリーズもちゃんとは観てないのですが……。

とりあえずTVちゃんと観てなくてもなんとなくは判る展開で、岡田くんのスタントなしアクションも格好よく、そーだ井上ってSPEC持ちだったわと思い出し、そのSPECをいつの間にやら同僚たちがフツーに受け止めてナビ代わりに使っていたりしたことに和み、香川さんの「東大には入れませんけどね」と言う台詞にニヤニヤし、伊達くんが重要な役で結構出ていたことにビビり、と非常に楽しめました。

螢雪次朗さんもよかったなー。北村くんがどこに出ているか判らなかった(…)過去の事件の回想シーンだろうけど、いたっけか……。

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ヨーガンレールのカフェ、ババグーリが一般にも開放されると言うので清澄白河へ移動。しかし満席で90分待ちと言われしょんぼり退散、そのまま現美へ。

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山川冬樹『The Voice-Over』@東京都現代美術館

常設に復活していたのでようやっと観ることが出来た。

山川さんのお父上であるニュースキャスター山川千秋氏は、職業柄か多数のオーディオ/ビデオテープを遺されていました。それらをサンプリングしたインスタレーションです。真っ暗闇のスペースに、スクリーンとTVモニター数台、スピーカー。

結婚式での誓いの言葉、数々の取材やインタヴューの様子、スタジオで読まれるニュース、家庭での息子たちとのやりとり、葬儀での賛美歌。千秋氏が亡くなる迄の数十年が、音と映像で浮かび上がる。映像自体はそう多くはない。千秋氏の姿は殆ど映らない。映っても画面をずらしていたり、ひきの映像だったりするので、顔の雑作や表情は判別出来ない。TVモニターにはニュース映像とホワイトノイズが時折映る。スクリーンには、その音声が録音された年月日と場所のクレジットが出るのみ。

家族へのオマージュ…と言うのとは何かが違う。既にこの世にはいないひとの人生を追体験する、既に肉体が失くなっているひとの、肉体から発せられたもの=声を現在聴いていることの不思議さを意識させる。過ぎ去った時間を再現する記録物としての機能もある。こどもと教科書を朗読する声、コラソン・アキノ大統領にインタヴューする声、食道ガンにより声がかすれ始め、最後の公の場で発した声。それらを鑑賞者は共有することになる。そこには個人の歴史と、彼がキャスターと言う仕事を通して目撃した時代の歴史がある。闇の中に漂うその声は、自分の古い記憶やその時代をも思い起こさせる。

個人的には千秋氏のことは記憶にない。ニュースと言えばNHKを見がちな家だったことや、地方局でオンエアされるフジテレビの番組が限られていたことも関係しているかも知れない。『NNN きょうの出来事』の小林完吾氏は憶えてるんだけどなあ…。一緒に観た姉は憶えていると言っていた。フジのキャスターとして、いちばん最初に認識したのは逸見政孝氏辺りからだ。その逸見氏と千秋氏の会話も作品には収められている。千秋氏の番組の後任キャスターが逸見氏だったのだ。すぐに彼の声だと判った。この声を聴かなくなってからもうすぐ17年経つと言うのに。聴覚の記憶力はすごいんだな、とも気付かされる。

千秋氏の声の遺伝子を山川さんは持っている。山川さんのホーメイは、遺伝子を載せて響き渡る。

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現美内のカフェ・ハイでベトナムプリンとベトナムコーヒーのおやつ。うまかったー。



2010年11月02日(火)
『ファントム』

『ファントム』@赤坂ACTシアター

再演。いろいろ気になるところはあれど、曲もストーリーも好きなんだよなあ。

まず不可解に思ったのは劇場の構造。比較的縦長のプロセニアムの青山劇場と、横長のACTシアターでは、セットの印象がかなり違いました。初演の青山劇場と全く同じセットを望むのもお門違いだけど、劇場が変わるにあたって変更したであろう装置が…「ああーあれが出来なかったんだなあ、こうするしかなかったんだなあ」と見えてしまう……。ステージに奥行きがないんだろうか、劇中劇のオペラで使う大階段が正面に置けず斜めに配置。役者がハケる動線がないのか、白い幕を張って退場させたりしている(これ、せめて黒い幕にした方がいいんじゃないのか…)。ファントムとクリスティーンが地下を散歩する時や、終盤フライングの時に使っていた高台のセットもあるにはあるが、殆ど機能していない(フライングは舞台袖に作ったテラスのセットからになっていた)。この高台のセットすごく綺麗だったのにな……。

で、狭いのか何なのか、転換がすごくせわしないんですよね…セットの柱がぶつかったり(すごい音がした…)してすごいヒヤヒヤした。事故等起こりませんように……。あとこの劇場、杮落とし『トゥーランドット』の時もそうだったけど、オケの音が大き過ぎて歌が聴こえづらい。これはPAで解決出来ないものですかね……。

はーぶっちゃけた。ごめん!でも初日だから!初日だから!改善されていくかもしれないから!

えー初舞台の杏ちゃんは初日と言うこともありとても緊張していた様子。大沢さんの歌は初演と印象変わらず。やはり芝居と華で魅せる。ホントこの作品、曲がすごい難しいので苦労も多いと思われます。がんばれー。

芝居の面で安心して観ていられたのは、篠井さん、石橋さん、まことさんのパート。ホントここはヒヤヒヤすることなく、と言うかヒヤヒヤするなんてことすら意識させないコンビネーション。ミュージカルなので歌が大事なのは勿論ですが、こうやって芝居でビシッと締めてくれるひとたちがいるとよりストーリーに深みが出ます。樹里さんは歌も芝居も達者。宝塚ではキャリエールを演じられた方だそう、観てみたかった!オペラ調の歌も見事でしたし、ファントムに「聴くに堪えない」と言われてしまう部分も巧いからこそ出来るはすっぱな唄い方で表現、すごい。

それにしても篠井さんが本当によかった……キャリエールとエリック=ファントムとの関係を暗示させるやりとりは序盤から緊張感を切らすことがない。ストーリーの流れを遮ることなく、オペラ座の元支配人として、父親としてエリックを守ろうとする責任感と愛情、劇場と息子を自由にしてやりたいと葛藤する心の揺れをじわじわと見せていく。そしてそれらを、謎が明かされる終盤のデュエットに一気に集約させる。流石としか言いようがない。しかも歌が素晴らしかった!声域的にも大沢さんと合っているのかも、劇中いちばん感動するデュエット。思えば男役で男声で唄う篠井さんって初めて聴いたんじゃないか…初演のヨタロウさんもよかったし、複雑で魅力的な役を魅力的な演者で観られたことに感謝するよーううう。

演出や上演台本にもちょこちょこ変更がありました。アランが「俺は芸術のことはよく判らないし金儲けの手段にしただけだが、それでもカルロッタの歌を聴くことは何より楽しみだったし幸せだったんだ」と語るシーン、初演ではあったっけ?あったとしてももっとシンプルだったと思う。このパートよかったなあ、下品だと言われても懸命に働き金を稼ぎ、愛する妻のために劇場を用意したアランの心情が表現されていて、美しい者以外は排除すると言うファントムの狂気も浮き彫りになった。ベラドーヴァと息子が出てくる演出もなくなっていました。あと二幕目前の5分休憩は、転換等でどうしても必要だったのかな?

中日以降にもう一度観に行きたい気もするが、結構なチケット代なので考え中。

よだん:
小澤征爾さんがいらしてました。同じ日にウィーンフィルの名誉団員の称号を授与されてましたね。来月復帰の予定、お元気でいてください。