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2008年05月31日(土)
『立川ドライブ』

THE SHAMPOO HAT『立川ドライブ』@シアタートラム

あー、希望を書かなくなったぞ。と思わせつつ、実は書いている。視点を変えてきた。そして、希望は役に立たない、そこ迄書いてある。あまりの鮮やかさに絶句。

事前情報で、今回の作品は昨年実際に起こった警官ストーカー殺人事件がモチーフだと知った時にまず思ったのが、「ここ数作続いている『おまえを殺して、俺も死ぬ』と言い乍らもなんとか踏みとどまる物語とは明らかに違うものを書く気だな」と言うこと。あの事件は「おまえを殺して、俺も死」んでいる。希望を書くと言われていることに対しての牽制にも思えた。ここからどう希望を書く気かな、それとも希望はないと書くかな、と思っていた。それがこう来た。

まずふたりが死んでいるシーンを見せる。暗転後「239日前」から物語を追う。きめ細かい会話の丁寧な積み重ねで、少しずつ死に近付いて行くふたりを描く。どうしようもないバカな人物は皆無。困った人物、キチガイと言われる人物ですら、何かしら他者に優しさを示したり、助けの手を何度も差し伸べる。ただ、それを必要としないふたりがいて、それは、拒絶した訳でもなく、だからと言って惰性や怠慢からそうなった訳でもない。ただただ「希望はそこかしこに落ちているのに、それに手を伸ばさないひともいる」と言うことが示される。「助けて」と言う選択肢がない。

女性たちが茶碗蒸しを食べているシーンで、妊娠している女性が自分の見た夢の話をする。ゲームに自分が入り込んでいて、何度も殺されるがそれに心地よさを感じると言ったようなことだ。その際、警官に追い詰められているキャバクラ嬢は舞台に背を向けて座っている。やがてキャバクラ嬢には警官から夥しい数のメールが届くようになる。その時彼女の周囲を、かつての恋人、友人夫婦、職場の同僚たちが笑顔で通り過ぎていく。誰も彼女のことを疎外してはいないのに、キャバクラ嬢と警官はこの世にふたりだけしかいないようにすら見える。演出も鮮やかだ。基本は『その夜の侍』から続くもの。小道具と照明使いで場面転換をする。

役者陣も鮮やかだった。鮮やかばっかり言ってるけどもうそうとしか…これは劇団の強みかな。全員どハマり。赤堀(敬称略が敬称)本人がどろどろしていけばいく(ように見える)程、作品の切れ味が鋭くなるのはなんなんだ。役者としても身体が緩んできてる今の方が目が離せない。これ迄は少ない出番で場をかっさらうヤバめな飛び道具的な役を演じることが多かったが、前回同様中央で身体を晒している。全部見せます、と言っているようなものだ。それが開き直りか、転じて強さとなるか、まだ判らない。ただ、役者としての赤堀は他でも観てみたい。映画ではなく舞台で。他の誰かに演出されたら、この身体は、あの目はどうなるだろうか。

客演の坂井さんの立ち位置も絶妙。ちょっとした表情の変化で、媚びと怯えを目まぐるしく行き来する。その一瞬が命取りになると言うこともしっかり見せる。

すごかった…あまりにもあんまりだったので、あのじさんとふたりふらふらそのまま駅迄行ってしまったよ……せっかく三茶迄来たのに!お茶もせず!(その後渋谷でお茶。溜息ばかり出る。そして「せっかく三茶迄来たのにあかほりのやつ!」とうらみつらみを吐く(笑))

『週刊真木よう子』用に書き下ろした30分版もよかったですが、両方観ると映像と舞台の違い、時間の長さの違いにおいてのバランスの取り方がきちんと書き分けられているのが解って面白かったです。TV版は舞台版のダイジェストではなく、舞台版はTV版の長尺版ではない。やっぱりプロの仕事です。

あー、またあかほりのことばっかり書いてしまったよー。いやだーいーやーだー(泣)今は目が離せません。次は篠井さんと組む『ウドンゲ』、そして9月には早くも再び本公演。きっとどちらも全く書けてない筈!(笑)震撼しつつ楽しみにしています。いろんな意味で大丈夫かと心配にもなりますが、今はひたすら次を待つ状態です。



2008年05月27日(火)
『失われた時間を求めて』

へドウィグ仙台公演無事終了したようです、よかった!演出等変更はあるようですが、これはこれで「違うヴァージョン」として楽しめそうだな…み、観たい……。

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阿佐ヶ谷スパイダース『失われた時間を求めて』@ベニサン・ピット

楽日のマチネにすべりこみ。ジェンヌありがとー!

オールビーの『動物園物語』が下敷きにあるのは明確だったが、あの閉塞感はイヨネスコの『授業』を連想させもした。ベンチ、外灯、枯葉。晩秋の公園のようなロケーションなのに、そこは壁に囲まれ、3箇所のドアから出入りするようになっている。ドアと公園の間には側溝がある。屋外なのに隔絶されている。そこからは、どちらかが死なないと出られないかのようだ。

えーここからは偏ったことを書きます。勿論この芝居は『動物園物語』だけじゃないと思います。この舞台上では誰も死ななかった。

序盤、何かを探しに公園を訪れる人物と、ずっと公園にいるであろう人物(?)との会話が続く。彼らをジェリーとする。中盤、ベンチで読書をする人物が現れ、何かを探している人物と対話する。彼をピーターとする。ジェリーとピーターは体感時間が違う。終盤に『動物園物語』であろうストーリーが語られるのだが、女はあっさりとジェリーの気持ちを喝破してしまう。「王様は裸だ」とでも言うように、そこには不条理なんてものはない、と。公園を出てもそこには同じ枯葉と外灯とベンチが拡がるばかりだ。あちらにもドアがあるのだろう。

時間軸の違う場所にこういうピーターとジェリーがいるかも、と夢想する楽しさがあった。

モチーフとして扱われているので、ジェリーはずっとジェリーではない。ねこになったり、弟になったりする。そしてピーターにはどうやっても揺らがない芯がある。それは都市生活で感情が麻痺しているのではなく、確信を持った強さと優しさだ。彼はベンチの争奪戦には参加しないだろうし、ジェリーにナイフを向けることもないだろう。

長塚圭史の書く芝居にはいつも最後に決意表明のような台詞がある(『はたらくおとこ』の「許す!」、『少女とガソリン』の「あんた間違ってるよ」)。それは反感や侮蔑を呼ぶことがある。しかし言い切る勇気を持っている彼のことは信用したいと思う。それがたまに間違いになることもあるかも知れないが、公園でナイフを持った男はひとりで死にたくなかったから、誰かに憶えていてほしかったから、と言い切れるまっすぐさは貴重だと思う。今回の舞台では「ありがとう」と言う台詞がそれに当たる。その素直さに到る迄には随分回り道や葛藤があるのだろうが(そしてその回り道や葛藤が今回の禅問答のような台詞の応酬に表れ、ところどころ舞台上に膠着状態をもたらしていたように思う)、それでもこの言葉を選ぶ強さを羨ましいとも思う。

そしてこの感想を書いている自分もエラくまわりくどいことを書いてると思う(笑)あー思い切りてえー。

ねこはどうしているのかなと思った。ずっと公園にいるままだろうか。ずっとゴミ箱の中で寝たり、にゃーと鳴(泣)き声をあげたりしているのだろうか。

それにしてもにゃきゃやまさんはにゃきゃやまさんであるかわいさをだな!なんだあれ!分かってやってるだろう!そういう演出をするケイシーもどうなの!

あ〜にくたらしい。

伊達くんは落ち着きのある声が、達観した人物像に効果的でした。奥菜さんは復帰後初仕事でしたが、まず技術的にすげー上手くなったなあと思った。『胎内』の時よりもむちゃ声通るようになってた。長身ケイシーと並ぶと遠近感が混乱する程小柄でかわいい。美形。妖精のようだーあああーかわいいなー持ってかえりたいー(犯罪)

『動物園物語』では、ねこが食卓に食器を並べます(微笑)にゃきゃやまさんも自慢の料理を楽屋でふるまえばいいじゃない(笑)あーにくたらしい。



2008年05月26日(月)
いろいろ

■カンヌ映画祭、ベニさんが主演男優賞
ソダばぁの『CHE』。「Guerrilla」「The Argentine」の2部作。や〜待ちましたよやっと出来たんだ〜。
2009年に日本公開予定。よ、よかった来てくれるんだ。2部作で計4時間28分だし濃そうだしで来るか不安だったんだ。楽しみ!ベニーおめでとう!
・受賞者一覧
・『CHE』作品紹介
・会場での様子
・公式記者会見(日本語)

■で、カンヌですが
『TOKYO!』も無事完成、上映されたようです
これも楽しみ〜

■『きょうの料理』の
後藤アナが気になる。と思っていたらこんなまとめサイトがあった。
・『きょうの料理』後藤アナ・ダジャレ集
キャハー!(レミ)

■『ねこのシジミ』和田誠
レミだれ(水を使わないので長期保存可。いろいろ応用出来るらしい)の作り方を検索していたらこの本の話題が見付かる。タイトルと表紙は知っていたが手にとったことがなかった。和田さん一家がモデルです。「ショウちゃん」が拾ってきたのなー。家にどろぼうが入るのなー。レミがどこ迄もレミなのなー。
シジミの仕事は「ごはん」「みず」「トイレ」。そっと家にいる。皆から愛される

■やっぱり別物なのか
今年頭に鉄板ナポリタンの話を書きましたが、いい画像があった。
・味のガンジス
カレーの後ろにいるやつ。宮崎だとこうなんだよー。生玉子落として、鉄板の余熱で半熟にするの!シス子マスターが言うには、名古屋のはたまごでとじてあったり、スパゲティの下に薄焼きたまごが敷いてあるやつらしいのね。
で、これって九州限定なの?宮崎限定なの?関東にはないの?
つーかガンジスが今でもあることに感動した。私が小学生の時からありますよ

■『西洋骨董洋菓子店』よしながふみ
アニメ化記念か文庫化されたのでボックスセットで買ってみた。単行本未収録のエピソード短編が追加掲載。今出てるFRaUのスウィーツ特集によしながさんのインタヴューが載っていて、当時とはケーキの流行が変わっているのでアニメではいろいろ変更するらしいとか話している。スウィーツ監修は鎧塚俊彦さんだそーです。
いやしかし今読んでも面白い…深い……



2008年05月25日(日)
『HYMNS』楽日

『HYMNS』@青山円形劇場

と言う訳で、千秋楽にスズカツさんは顔を見せず。流石にね…。カーテンコールでアツヒロくんがとても残念がっていた。みのすけさんが「本当はスズカツさんも来れればよかったんだけど…」と言ったら、「ねー!スズカツさん!」とか言って。「これでひと段落だけど、スズカツさんとはまた何かやりたいと思ってます」と言っていたので、それを楽しみに待ちたいと思います。

小松さんがカーテンコールの挨拶で「こんなに台本を手放せなかったことはなかった。アツヒロくんはドSな部分があって…ムチャ振りするし。観客に囲まれてるし、生き地獄だった」と言っていた。本音でしょうなあ(苦笑)笑いに転化しているけど、実際は気が休まらない舞台だったと思います。意外とスズカツさんと小松さんは相性いいように思います(S発言)

今日の公演はとても面白かった。まあいつも面白いですが、ザズゥシアター(と敢えて言わせてもらう)の特色が非常によく出ていた。どこ迄台本から逸脱出来るか、と言うテーマもそこにはあるように思う。そしてどこ迄逸脱しても、根幹が揺らぐことはない。場作り、音響、照明、そこに立つ役者。ここがフリー、と言う指定はもはやなく、台本にあるひとつひとつの単語から世界を拡げることが出来る。勿論帰ってこなければ「公演」としては成り立たない。

その精度がとても上がっていた。脱線が弛緩になることもなく、戻りもスムーズ。揺らぎが少ない。即興で拡がる会話は、登場人物を通して役者自身を浮き彫りにする。怖い舞台だ。音を入れるタイミングも、照明も毎回違ったのだろう。

『ウェアハウス』に通っていた時のことを思い出した。ああ、これは“『ウェアハウス』後”のザズゥシアターの面白さだ。油断している暇はない。「ひたすら見る。見ているだけ」と言う演出家が作り上げる舞台はこうして形になる。見られている安心感でのびのび動ける役者が、その見ているひとが不在の場合(勿論観客はいるが)どうなるのか、と言う面もちょっとだけ垣間見れたような気もする。その繊細さと強さを発揮出来る役者こそが超人。

この日の公演をスズカツさんが観られなかったのは残念だな。仕方ないけどね…ふふ、私は観たので自慢しちゃおう(鬼)

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・黒江は最後「おまえを相棒には出来ない」って言うんだな。あーここちょっと涙出そうになった
・アツヒロくんが「鼻緒」を知らなかったことに場がどよめく
・まあ「ウエハース」も知らなかったひとだしね…(笑→こちらを参照)
・永島さんのこどもの話も、何もかもが本当だそうです(笑)
・みのすけさんの松田聖子の歌が聴けてラッキー
・「グラウンドのスポーツセンター(だったかな)で寝てたぁ?」てどう考えても…くくく……(笑)
・やっぱりこれはひとりのひとの頭の中のものが形になったものなんだなあ



2008年05月24日(土)
とりあえず

つづき。仙台、札幌、名古屋、神戸公演は、代役で望月英莉加さんがステージに立たれるそうです。東京ファイナル、打ち上げライヴについては未定。望月さんは『RENT』等に出演されてる方だそうです。

3日しかないと思うか、3日もあると思うか。無事幕が開けられますよう!

えーいろいろ各所が荒れてますがもっともな意見もおまいバカじゃねえのと言う意見もありますな。なんでそういう方向に飛び火するのか理解出来ない。やつあたりは怖いな。勿論頷ける意見も多々あります。

とにかく、災い転じて福となす、となりますように。ショウマストゴーオン。



2008年05月23日(金)
わちゃー

ヘドウィグ大阪公演、ソムンタクさんが入国出来ず中止になったとのこと。

えー現時点で判っていることは

・大阪公演は今日だけでなく全部中止、振替公演があるかは未定
・ソムンさんは今日来日予定だったが書類不備で入国出来なかった
・午後から代役たてるか、山本くんひとりでやるかでリハをやってみたけれど、無理だと判断。開演20分前に中止決定

ソムンさんツアー中ずっと滞在していた訳じゃなかったのか…新潟公演から1週間あったしなあ。韓国近いしね…。サミット関連でいろいろ入国審査が厳しい時期らしいので、それもあるのかな……それにしても残念。

大阪の後にも仙台、札幌、名古屋、神戸があるし、東京ファイナルもジョンがゲストのライヴもあるのだが……どうなるんだろう。スタッフ、キャストのみなさまおつかれさまです、残りの公演が無事行われますように。



2008年05月21日(水)
『30周年 俳優・光石研 ―祝宴7デイズ』

『30周年 俳優・光石研 ―祝宴7デイズ』@ユーロスペース2

立ち見も通路もみっしり、盛況でした!光石さん30周年おめでとー!ゲストが口を揃えて言っていたけど、30周年でもまだ若いですよねえ。デビューは17歳、『博多っ子純情』。

本日は短編+劇場未公開作品スペシャルデー、『新・刑事まつり 一発大逆転「リハビリ刑事」』と『ビタミンF 第5話「なぎさホテルにて」』の2本立て。ゲストは『リハビリ刑事』の大森南朋監督、『ぐるりのこと。』で共演したリリー・フランキーさん、『五条霊戦記』の石井聰亙監督。飛び入りで『なぎさホテルにて』の高橋陽一郎監督と、脚本を書かれた岩松了さんも参加。

岩松さんは私の真後ろの席にいらして、『なぎさ〜』上映中結構ウケているのが聞こえて「自分の脚本でウケている…」とおかしかったんですが(自分の書いたものが実際に映像に立ち上がっていると改めて面白いのかも)、その後「岩松了さんもご挨拶を!」とかって言われて「ええっ、聞いてないよ!俺客で来たのに!」とうろたえていたのがおかしかったです(笑)それでもちゃんと出て行かれましたよ。光石さん「友達いなくて…」なんて言っていたけど、慕われてるじゃないのー!と言うか多くの監督、スタッフから信頼され愛されているんだなあと思いました。

『リハビリ刑事』は5年前の作品(公開初日の模様はこちら、トークイベントの模様はこちら)。ひーもうそんなにたつのか!10分の上映時間中ウケるウケる、豪華キャストがバンバン出るのでその度客席がどよめく笑う。やー名作ですよね!各方面に許可申請がいるのでソフト化販売はなかなか難しいようですが、いつか実現してほしいなあ。大森くん「ネットで?通販で?」て言ってましたがホントそれやってほしい(笑)

『なぎさ〜』は6年前の作品、重松清原作の『ビタミンF』をNHKでドラマ化放映したもの。6話構成ですが1話ずつでも観られるものになっています。こちらも國村隼さんや洞口依子さんら手練のキャストで、過去への思いを文脈の間を読むように映像化した素敵な作品でした。いろいろ思うところはあるけどな…ひとの手紙見るとか携帯見るとか、どうにもムズムズする性格なものでな……ここらへんの考え方は、エドはるみと同じです(笑・トーク番組で話してたことにブンブン頷いた)。ワンポイントで出た大杉漣さん、李麗仙さんがいい味出してました。

どちらにも水橋研二くんが出ていた。個人的にはもっともっと彼のいろんな仕事を観たい。映画もドラマも舞台も。本当にいい役者さんだから。最近の状況はちょっと歯痒いものがあります。まあこれはファンの勝手な言い種で、本人は好きにやっているのかも知れませんが……。

トーク部分のおぼえがき。記憶で書いているのでそのままではありません。

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光●『リハビリ刑事』は呑み屋で出演依頼された。あっ、光石さんでいいやって感じでね
大●そんなことない!光石さんを想定して脚本を書きましたよ、光石さんしかいないって!でも呑み屋でってのはホントです…山田英治と呑み屋で相談してたら丁度光石さんが来たんですよね…と言うか、他の出演者も皆呑み屋で交渉した。でもこれ『刑事まつり選抜』として海外の映画祭にも出品されたんですよ。地味に自慢しますけど(笑)
光●南朋ちゃんが何かやるって言うとひとが集まる。この時も40〜50人くらい集まったよね。呑み屋の2階の宴会場がひと部屋埋まるくらい。撮影時の見張りとかしてくれたり…
大●商店街には撮影許可もらってたんだけど、警察には言ってなかったから、おまわりさん来たら撮影中断して逃げたりね
光●俺の撮影は1日で。小雨の降る中。弁当出るかなーと思ってたけど出なくて、そこらへんで何か食べてきてくださいって言われて、田中哲司とラーメン食べに行った。弁当くらいは出してほしかった(笑)
大●すみません…なのに皆参加してくれてねえ。こんなちゃんとした映画館で上映もされて、感慨深いです
光●こう言っちゃ失礼かも知れないけど、あの時の南朋ちゃんはおもちゃを手にしたこどもみたいにはしゃいで…はしゃいでって言うか、楽しそうに撮ってたよね。でも南朋ちゃんの周りにはひとが集まるよねえ。俺友達いないから…『Dr. コトー』に途中から参加した時、南朋ちゃんしか知ってる俳優がいなくてすごく頼りにしたんです。(長期出張だから)何が必要か訊いたり
大●海パンとシュノーケルと水中メガネがあれば楽しくすごせますよって言ったんですよね(笑)
光●他の俳優さんとの橋渡しもしてくれて
大●中間管理職的な役回りなんです
光●台風で足止めされた時面白かったねー、空港で8時間待たされて、結局飛ばないってなって那覇のホテルに泊まることになって。そしたら2人部屋しかありませんって言われて
大●僕と光石さん、そこで初夜をね…(にっそり笑)『博多っ子純情』の時俺小学生ですよ、リアルタイムで観ましたもん、そんなひとと今では、ねえ……。これからも光石さんにお世話になっていきたいと思います(笑)

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リ●『博多っ子〜』は嫉妬されたでしょう、当時すごかったもんね。祭りみたいになってて。CMすっごい流れてたし。映画そのもののCMもだけど、お菓子とか…ひよこだったかな?のCMとか、皆提携してて。僕当時映画館で観て「ああ、こいつは足抜けしたんだな」と思った。僕は筑豊とか転々としたけど、あのへんでマンガ描いてるひとなんていないんですよ。大体マンガ読んでるひともいないもんね。読んでも『ミナミの帝王』とかだもんね(笑)
光●いや、自分ではよくわかんなかったですよ。ただ親父がマネージャーみたいになっていって、最初は仕事依頼の電話に「はいっ、はいっ」て感じだったのに、段々「それは〜…」「それだとウチの研は活きないなあ」とか(場内爆笑)俺の部屋の前に黒電話があったから全部聞こえるんですよ…。あ、でも、パンフレットにも載ってますけど、博多出身の松重豊さんがコメントで「キタキュー(北九州)出身のくせに博多っ子を名乗りやがって」って(笑)僕黒崎だから。でもね、東京に撮影に行って、プリンス泊めてもらって、オーディション一緒に受かった友達と部屋から歌舞伎町を見下ろすと、黒崎とそんなに変わらなかったの(笑)「あんまり変わらんばい」「ほら、あそこで吐いとぅひとがおる」って(笑)『博多っ子〜』は東京と、大船のスタジオで撮影したんだけど、大船には他の撮影で緒方拳さんがいた。「おおっ緒方拳や!緒方拳や!」ってしばらくついて回ったりしてた(笑)
リ●当時の緒方拳ってあれでしょ、今みたいに優しそうなんじゃなくて『復讐するは我にあり』の頃でしょ。怖い!よくもまあ近付けましたね。…それにしても『博多っ子〜』は福岡の子は皆知ってた。だから光石さんのことはもう昔っから知ってるんだけど、役者としてこんなねえ…映画何本出てるんだって感じ。日本の映画全部出てません?役者30年も続けるって思ってました?
光●いや、全然。ただ、不安はなかったんですよね。『博多っ子〜』撮影終わって帰って高校卒業してまた上京してきたけど、不安は全くなかった
(他にも時間を超過してかなりグダグダな話で盛り上がった。グダグダなのでまとめづらい(笑)光石さんの音楽のルーツはシャネルズとか(笑)こんだけグダグダだったのに、『ぐるりのこと。』の演技を光石さんから絶賛されるとしどろもどろになって話をはぐらかしてしまうリリーさんは微笑ましかったです)

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光●僕らの世代からするともう、石井監督と言ったらねえ…『五条〜』は監督から直接電話かかってきたんです、ウチの自宅に。今でも憶えてる。「石井ですけど」、もう直立不動で「はい、出ます!」
石●最初断られたんじゃなかったっけか
光●そんなことありませんよ!憶えてますもん僕!
石●ん〜、光石くんその時他の仕事も忙しくて、「もう監督から直接言ってくれないと無理です」って言われて俺が電話したんじゃなかったかなあ
光●いや、そんなことはないです!しかし撮影は…死ぬかと思いました……
石●焼身自殺するお坊さんの役だったんだよね。油被って火着けるからメイクした上から薬剤塗ってたんだけど、それが寒かったのかな。しかも台風が来てねえ。歯が合わなくなって台詞言えなくなってたよね
光●寒くて!もう身体利かなくて。なのに監督は全然平気で
石●でもあまりにも役者さんに演技してもらう環境ではなかったから、後でスタジオで撮りなおしたんだよね。でも両方のラッシュを観てみて…やっぱり最初の方が迫力あってよかったんで、そっちを採用したのね(笑)
光●それにしても監督のしつこさとか集中力はすごい。周りのスタッフはバッタバタ倒れていくのに悠然としてて。(ボソッと)キチガイかって……(笑)
石●ん?普段はぐだーっとしてるけど、映画になるとね(ケロケロ)
光●監督のとこで助監督やってた藤江(儀全)さんが監督した『ジーナK』で共演したじゃないですか。藤江さんもしつこいんですよね。で、監督が「藤江しつこいなー」て言ったら藤江さんが「あんたにだけは言われたくない!」(場内爆笑)
石●やーでもごめんね、『ジーナK』出る迄「役者ってなんて楽なんだろう」って思ってた(場内笑)けど役者って大変だね!ずーっと待ち時間あってさ、その間集中力切らしちゃいけないし、待ってる間にも役作りがあるし。「役者ってなんて大変な仕事なんだろう」って思った!(場内笑)
光●僕らが『博多っ子〜』を大船のスタジオで撮ってた時、監督は『高校大パニック』を同じ敷地内で撮ってたんですよね。あれはリメイクの方?
石●そう、日活のスタッフと組んで
光●その時何歳で…
石●21!
光●はあ〜…21……
石●でもあれよ、光石研っちゅうたら(『博多っ子〜』の)郷六平よ!もう、見た時「あっ、郷六平だ!」「郷六平郷六平!」って。嫉妬されんかった?(またこの話題・笑)だって皆知ってたもんねえ、郷六平!
光●自分ではそんなに気にならなかったんですけど…でも東京から帰ってきたら、先輩に「賞金いくらもろうたとよ?」て訊かれました(笑)ギャラね。「30万です」「30万言うたら(車の)ギャラン買えるやんギャラン」「そうか〜ギャランて30万あれば買えるんだ〜」(笑)
石●俺もそういうとこあるっちゃけん、九州の上の方のひとの特徴なのかな?会う度違うよね。すっごい真剣に演技のこと考えてたと思ったら、次に会ったらぐっちゃぐちゃに騒いでたり暴れてたり……
光●それは酒が入ってた時だと……(苦笑)でも俺酒呑み始めたの遅いんですよ、38から
石●うまかっちゃんのCMとか出なかった?
光●あ、それ話は来たんですけど、ウチの親父が…(笑)さっきも話したんですけど、親父がマネージャーみたいになって、「それは研には〜…」って断っちゃったみたいで(場内笑)
石●ねえ〜、郷六平やもんねえ。それにしても『リハビリ刑事』観たけど…(笑)あんなの見せられちゃどうすればいいんだと思った!どうすればあんな…監督……
光●えっ、南朋ちゃんのこと?
石●いや俺のこと。監督としてこれからどうすれば…って。光石くんハマッてたねー!あんなのがハマるひとって…他の出演者もそうだったけどさ、ああ言うのは…他にも編集とかカット割りとか、大森くんすごいなっと思った!光石くんに今度出てもらう時には、あれに匹敵するような、あれの上を行くような役を持っていかないと……
光●何言ってるんですか、どんな役でもやりますよ、呼んでくださいよ。普通の役もいいなあ
石●ああ、ふつ〜うの役も面白いかもね。でもね殺人鬼とかおかしいひととか、焼身自殺する坊さんの役の上を行くような役をね……
光●(笑)
(石井さん面白過ぎました…最強。いつも少年のようだ!超自然体だ!言い換えれば天然だ!(失礼)素敵だ!)
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リリーさんと石井さんと光石さんは「九州の上の方」出身なので、共通言語が多くて面白過ぎた…私は九州の下の方出身だけど、「わかるわかる!」って話が多かった。アクセントも馴染みあるし。高千穂商科大学とかラサールとか2本立ての映画館でいらない情報迄こどもが手に入れるとか(笑・ウチの地元では『ラストエンペラー』と『危険な情事』が同時上映だったよ)。うまかっちゃん食べたくなったーこっちでも売ってるから買いに行こうっと。

光石さん、これからも面白いお仕事を沢山見せてくださいねー。30周年おめでとうございます。

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■と言えば
博多んもんは横道もん、青竹割ってへこにかく、ばってんラーメン(略して博多んもんラーメン)ってやっぱ九州限定だったんでしょうか。私の鮎川誠さん初見はこれのCMです(笑)バンドよりも先ですよ…刷り込みですよ……



2008年05月18日(日)
『五月大歌舞伎』夜の部

『五月大歌舞伎』@新橋演舞場

夜の部、『東海道四谷怪談』。ひゃっほーいフンパツしたぞ!嬉しくてお弁当じゃなくて食堂で演舞場ちらしとか食べちゃったーい。どうでもいいが歌舞伎の時は日乃出のお弁当食べるのが好きです。手鞠寿司かわいいーうまいー。スタンプも集めてるぜ!

そんな訳で大好きな四谷怪談。観るのは確か5ヴァージョン目です。しかしその割にいつも話が判らなくなります(アホ)…てかいつもここが疑問なんだけど、あのーお岩さんと伊右衛門との間に生まれたこどもって、お岩さんが死んだ時にねずみが連れてっちゃいますよね。それっきりじゃなかったっけ?それで死んじゃったんじゃなかったっけか…今回お梅の父ちゃんが抱っこして出てきたよ。あれ、誰だ!あれも伊右衛門が見た幻なの?判らない!

今回の主な配役は、伊右衛門=吉右衛門、お岩・小平・お花=福助、与茂七=染五郎、宅悦=歌六、直助=段四郎、お袖=芝雀、お梅=京妙。

思えば歌舞伎では橋之助さんの伊右衛門しか観たことなかったんですが…いーやー吉右衛門さんの伊右衛門、サイッテー!!!そう見せられる吉右衛門さんがすごいーてことですけどね…むっかっつっくっ!!!!!悪人過ぎる!あんた酷い!酷いよ!今迄でいちばんムカムカする伊右衛門だった…お岩さん早く化けて出てきて!とか思った(鬼)

口跡の効果かなあ。同じ台詞を言っている筈なのにいちいちムカつくんですよ…。なんだろ橋之助さんだと、お調子者の浅薄さと言うか流されちゃった感じがするんですよね。それも仕方なしと言うか。しかし吉右衛門さんの伊右衛門はなんかもーホンットヤなのよ、ヤなの!それを承知でやってるだろうみたいな!「こんな時に子を産みやがって気の利かない女だ」って、そりゃおめーが生ませたんだろうがよー!DVだし。お梅の床に行く時もなんかすごいエロ親父な感じがした!(言いたい放題)吉右衛門さん昼の部ではあんなに心根の優しい取的だったのに…ショックだ!げに恐ろしきは役者魂。

いやでも立ち居振る舞いは流石の色悪な美しさでしたよ…フォローかこれ。こりゃお梅も「伊右衛門さまぁ」てなるよ……。

で、お岩さん初役の福助さんが素晴らしかったんですよ(ちなみに吉右衛門さんも伊右衛門初役)。だから尚更お岩さんに肩入れしたね!勘三郎さんとこだと、お岩さんは勘三郎さんがやって福助さんはお袖なので、満を持してと言うか念願だったんじゃないでしょうか。お薬飲む時何度も「ありがとうございます」って言うんだけどそれがもーかわいいやらけなげやら先のことを思うと胸が痛いやらで泣けた!その後お礼を言いに行くんでーと髪梳きお歯黒で身支度するところもむちゃむちゃ凄みが。あとあれなー、貧血でダルーな感じがリアルでリアルでもう観てるこっちも段々具合が悪くなる程でしたよ…そうだよ湯呑みすら重いんだよ持つのおっくうなんだよ!何で知っている、それを!とか思った(笑)

やー、福助さんのお岩さん、これから定番になればいいなあ。

そんな感じでいつになくムカムカし乍ら観た四谷怪談でした。まあ伊右衛門も気の毒っちゃあ気の毒なんですけどね…大体お岩さんに薬渡した時それを毒だって知らなかったんだし。いちばん酷いのはやっぱ秋山んちだよなー。お梅「伊右衛門さまのお嫁になりたいのぉ」父ちゃん「よっしゃそんじゃ毒盛ってお岩の面相を崩して別れさせよう」ってことじゃん…何このバカ親。まあいろいろお家事情や時代背景を考えると、そうならざるを得なかった感はなくはないのですが、そこを思い踏み止まらにゃあ!それを通しちゃならんだろーおおおー(泣)とエラくまっとうな感想に至ります。

演出も相当まっとう。勘三郎さんとこがいかにエンタメ色強いかよく判りました。



2008年05月17日(土)
『大岩オスカール:夢みる世界』

『大岩オスカール:夢みる世界』@東京都現代美術館

昭和40年会でいちばん素性?が判らない大岩オスカール。以前は大岩オスカール幸男名義で作品を発表していました。今回から幸男はとったのかな。通常の企画展スペースの半分で、大きなサイズの作品メインだったので数は決して多くはありませんでしたが、これだけ一挙に彼の作品が観られる展覧会は日本では初めてではないでしょうか。12セクション、約70点。

エッチング作品ばかり観ていたので、モノクロな世界観のひとだと思っていた。こんなに華やかな色彩が溢れているとは!圧巻は『野良犬』『虹』『フラワーガーデン』『ガーデニング(マンハッタン)』のエリア。前のエリアから角を曲がって、この区画に足を踏み込んだ途端鳥肌が立ちました。圧倒されて口をポカーンと開けたまましばらく立ち尽くしてしまった。

『ガーデニング(マンハッタン)』の実物を目に出来ただけでも来てよかったと思った…これはメディアには収まり切らないわ。摩天楼に降る花。雲かも知れない。いや、どちらでもいい。ニューヨーク上空の庭園。煤けたような建物群と、それを覆い尽くす色とりどりの花。綿菓子のようにも見える。2002年に描かれたもの。『野良犬』も、炭色の廃墟をうろつく真っ黒ないぬに、胞子のようなふわりとぼやけた花たちがまとわりついている。地上にいるものを哀れみ、寄り添い慰めているようにも見える存在だが、反面これに取り込まれたら二度とここには戻ってこられないだろうと言う恐怖も感じる。誘惑にも思える。でもその誘惑に負けるのも悪くない。

白昼夢を描いているような印象だが、展示されていた制作過程のラフ等を見ると意外にシステマティックだった。まずは頭にイメージが浮かぶのだろうが、そこから形にする迄に、多数の資料写真を撮り、コラージュ着色している。ここらへんは職人的だなあ。

なすび画廊の作品が観られたのは嬉しかった。阪神淡路大震災がモチーフ。なすび画廊シリーズ、会田誠さんは『さりん』だったな。今観ても胃が重くなる作品です。

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常設展示は新収蔵作品展、『賛美小舎』上田コレクション。エリザベス・ペイトンが描いたカート・コバーンの肖像画があった。ハワイで結婚式を挙げた時の姿。パジャマを着て、小さな花束を持ってぽつんと立っている。フレーム内にいるのは彼ひとりだけ。結婚式の絵なのにね。

こんなところでカートを見るとはなあ。小さな作品でしたが、しばし見入ってしまった。他にもシド・ヴィシャスやジョン・ライドンを描いたものもあった。これはまだなんか納得しちゃうところがあるんだよな。なんと言うか…アイコンとして扱われているってことに。カートは、まだなんか違和感があるな。



2008年05月15日(木)
『HYMNS』2回目、Mike Watt Japan Tour 2008

『HYMNS』@青山円形劇場

おおい、上演時間が長くなってるぞ。サモアリの様相を呈して来ています。しかしサモアリと違って、小松さんがめためたにされています。アドリブと言うより、ここはフリーなんで好きにやってねってポイントが数箇所あるんですね。そこがもう…(笑)普段はボケのアツヒロくんが1回転してツッコミです。つうか小松さんがツッコんでもツッコんでもアツヒロくんがボケ倒すので、ツッコミがボケにならずを得ないと言う。よって小松さんがボケに見える。屈辱だ(笑)。

ちなみに今日はストーンズの「黒くぬれ!」を前奏から全部ひとりで唄うように追い込まれて、みるみる小松さんの耳が赤くなっていっていた。「もういやっ!勘弁してください!腋の下にぶわあーって汗が!」(笑)罰ゲームと言うか羞恥プレイ状態です。その後もいろいろと追い詰められて「お風呂入りたい。お風呂に入らせてください」と言ってたふはははは。

面白いのは、これが小松さんとアツヒロくん、ではなく、ちゃんと黒江と小川の会話に見えるところです。しかし、近くにいた書くひと=作り出すひと=相棒を失った小松さんにはいろいろ思うところがあるのではないだろうか。そういう意味ではこの役は残酷です。倉森さんのことはどうしても考えてしまう。

・スコンと腑に落ちることが増えてきた
・今日は音の抜けがよかったなー!席の位置にもよるかな
・ふたりのデイヴィッド
・小松さんのあの格好、横川さんに見えるなあ(笑)
・『ファントム』でも思ったが、永島さんのあの手綱捌きは鳶で培ったものなんでしょうか(笑)
・みのすけさんの髪が静電気なのか、妙に逆毛立ってた

こうやって自分の中に落とし込んでいく作業はなかなか楽しい。至極納得の話です。現実、幻覚、妄想を行き来出来る想像力を、「理解偏重」で抑え込むのは勿体ない。しかしこの話、理詰めでも充分理解出来ると思う。その理解には誤解も含まれるが。自分にとっての正解、他人にとっての誤解は、決して平行線にはならない。だいたい「あなたのことを全て理解出来る」と言うことは、イコール「私は存在していても意味がない」と言うことだ。

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Mike Watt Japan Tour 2008@新宿MARZ

ハシゴ。PANICSMILE2曲とbrother's sister's daughter。あーSamm BennettソロもLITEもtantaも観たかったがー。マイクさんがレコーディングのため来日しており(あらきゆうこさんと何かやってるみたい)、その合間にライヴもやりたいよーてことで急遽決まったそうです。前日に知って焦った。やーんラッキー、こんな短いスパンでまた聴けるとは。

Mike Watt Japan Tourとなってますが、2月にもやったbrother's sister's daughter名義でのライヴでした。今回はマイク=B、サム=Drs、シミズさん=GのトリオにJim O'Rourke=Gを迎えてのセッション。B→Drs→Gの順で組み立てて、Gがネタを出してくるとリズム隊がそれに寄り添い、しばらくするとまたBが変化を出してきて…と言う構成。前回同様曲間が殆どない。ひとまとまり終わったら、即Bがお題を出す。拍手をするタイミングが掴めません(笑)

いやーしかしウワモノによって結構印象変わりますね…ハイテンションプレイヤーが入るとこうなるのか。インプロ度高め。前回はインプロと言うよりジャムな感じだったから。前半のジムはもーノリノリでした。で、後半は疲れちゃったように見えました(笑)あるもん全部使うぞって感じで、サムがスティックを飛ばしたらそれを即拾ってそれでギター弾いたりとか。ドライバーやらいろいろ使ってたな。ギターを直接エフェクターや床に打ち付けたりしてハウリング出したり。ストラップが外れて、ハトヤの鯛か暴れるねこを抱っこしてるみたいな状態でギターを抱えて弾いていたのがおかしかった(笑)そんなんなっても絶対音は止めねえぞって意気込みが微笑ましいー。

で、ジムがぷしゅーってなったらシミズさんのフレーズ待ちみたいになって、しばらく「父ちゃんにネタ帳見せんさい」状態になったのが面白かった。シミズさんがいろいろ音を出して、マイクとサムが「まだないか、なんかないか」みたいな(笑)ギターはふたりともエフェクトいっぱい使うんだけど、リズム隊はノンエフェクトで編成もシンプル。それがちょっとしたきっかけでぐわっとうねるのがシビれます。ふたりとも俺が俺がじゃないプレイヤーで、押し際引き際が奥ゆかしいんだけど、その落ち着いた様はここぞと言うタイミングを逃さない。

皆さん殆どアイコンタクトしないところも興味深かったです。

今回もマイクさんは胸ポケットにリラックマを詰めていました。2匹。ぎゅうぎゅう(笑)何のレコーディングなのかなー、リリースが楽しみです。

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■訃報
蒼井紅茶さんが、数ヶ月前亡くなっていたとのこと。菊地さんの日記で知りました。
「お疲れさん。そのうち、まあ50年もしたらみんなそっちに行くよ」



2008年05月11日(日)
『五月大歌舞伎』昼の部

『五月大歌舞伎』@新橋演舞場

昼の部、『毛谷村』『上「藤娘」中「三社祭」下「勢獅子」』『一本刀土俵入』。歌舞伎の昼の部は11時からです。朝の部やんそれ。ねもい。んがー面白かったよー!

『一本刀土俵入』をちゃんと観るのって初めてだったんですがこんな話だったのか!泣ける!あちこちで鼻をすする音!早いひとは腹ぺこ茂兵衛がおっかさんの話を始めるとこからもう泣いてる。そこまだ序幕の第一場です。んでその後の第二場「利根の渡し」で茂兵衛がおいも食べてるとこでもさめざめと泣いてるひとがいて(客席の地明かりが明るいので結構見える)なんでここで泣いてるんだ…これから親方に会えるんじゃないのか……と思ってたんだけど、ここって茂兵衛がこの後どうなるか知ってるひとはむちゃ悲しいシーンだ!と観終わると判ると言う。わーん茂兵衛は結局関取になれずに渡世人になっちゃうんだよ!知らなかった!む、むくわれねえ…しかもお蔦さんとあんな再会、あんな別れですよ。多分もう二度と会えないよ。うわーん!(泣)

昭和6年初演の新歌舞伎なので喋りも口語体、芝居の流れも分かりやすい。演舞場で吉右衛門さんの茂兵衛は初めての上演だそうです。吉右衛門さんの茂兵衛は取的の時はすっげえ間が抜けてて腹は減ってるけど関取になるんだもん!お蔦さん恩に着ます!て感じでかわいかったんだけど、渡世人になってからは口調も仕種もがらりと変わってて何より出てきた時の凄みが…!わーん10年の間に何があったんだよ!と思わずにはいられませんよ…その、舞台に出てこないあれやこれやが滲み出てくるような姿。およよよよ(泣)芝雀さんのお蔦もはすっぱなのに情に厚くてステキングでした。染五郎さんはああいうニヒルな若頭似合うなー。

大向こうがバンバン飛んでました。こんなに多いのは初めて聴いたな。キメのとことか華やかでよかったなあ。お蔦が茂兵衛を「思い出したー!」のところで大ウケ。

『毛谷村』はもとが人形浄瑠璃。義太夫狂言になっての上演です。義太夫と役者のかけあいが格好いいですが昔言葉なので聴き取りきれない台詞が多かった…しまった予習すればよかった…。でも芝居の進みはコメディ的でとても面白かった。母親候補とこども候補と嫁候補にいっぺんに押し掛けて来られ、今日は妙な1日だ〜とかぼんやりしたり、太鼓を叩いてこどもをあやしたりする六助染五郎がオモロかったです。お幸と六助の金包みの投げ合いにちょっとした仕掛けがあっておかしいのー、マギー審司かと(笑)浄瑠璃の竹本蔵太夫さん(谷太夫さんかも。どっちか判らない)がジョシュ・フリースに似てて格好よかったです(笑)

おどり3つもよかった。完全暗転からぱあっと照明がついて、藤の花満開の舞台を開ける演出もよかったなー。福助さん美しい!「三社祭」は若手の染五郎さんと亀治郎さんの躍動感溢れる激しい動きと、リズミカルに踏み鳴らす足技が格好よかったです。



2008年05月10日(土)
『HYMNS』初日

『HYMNS』@青山円形劇場

えーZAZOUS THEATERが成仏しましたよー(まちがい)わたくし感無量でございます。終了後、大/早稲田攻社の頃から鈴木勝秀演出作品を観ているサさんと、スズカツさんのことをりすと慕ってくれるMIOさんと語り尽くしてしまったのでもう何を書けばいいやらわかりまへん。

一応情報としては

・約90分
・パンフレットの対談が非常に面白いので買うといいよ!読むといいよ!

てなところでしょうか。以下自分用のメモなので、読んでも訳解らないことが殆どだと思いますー読んでくださってる方には申し訳ありまへん。

・カットアップと編集
・『ソカ』のあの名台詞が出て来ますが、これもそもそもカットアップ
・他の台詞も意識的に過去作品からのカットアップで構成。しかしそれもそもそもが他のテキストからのカットアップ
・反復、デジャヴュ、ノイズ
・反復されたその場からもう同じものにはならない
・オリジナル言語と言うものについて
・構成・演出家の自問自答を役者というフィルターを通して観る、その誤読とバグ
・そもそも構成の時点でフィルターを通している
・観客がどこに興味を持つかによってその誤読は拡がる。誤読は妄想になって、他のところへ移動する

・「理解偏重」と「感じる」能力をフルに使うと言うことについて
・菊地成孔と鈴木勝秀における“父親”と言う存在
・個人的にはRHCPでいちばん好きなアルバムは『One Hot Minute』です。他人の評価とか知らんわいボケー
・抑圧と解放とくくれば簡単だけど、簡単でいいじゃない
・考えるのは自分の作業
・それを不親切ととるか?考える余地があると面白がるか?

ここらへんを考えつつ次回を観ます。

呑み屋では江戸アケミと菅波栄純とエレカシとソウルセットとe+のシステムトラブルについてと柏の某サッカー選手について話してたら0時になった。

よだん。Godfleshのアルバムに『HYMNS』ってタイトルのものがあると数日前知ってニヤニヤ。



2008年05月08日(木)
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』@アミューズCQN シアター2

席に着いて、なんとなくスケジュール帳を開いて、明日だと思っていた『新宿ミーティング』(ヤマジ、俊太郎、波多野裕文)が今日だったと気付く……ぼんやりしたまま暗転。ここ最近のボケッぷりはホントにあかん…このままだときっといずれなーんかやらかす……あかーん(泣)

んが、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』。超重量級!ふらふらになって映画館を出ました。おおお、PTAはどこへ行くんだ!てか、こんなとこ迄来ちゃったのか!クラシックのふりしてホラーです。いや、ホラーがクラシックなのか?やっぱり生きてる人間がいちばん怖いよー!『シャイニング』とか『フルメタル・ジャケット』思い出しましたよ…狂信的な人物が出てくるとこといい、双子が出てくるとこといい、音楽の使い方といい。そして同時にコメディ。怖いとおかしいは紙一重。本人たち真剣だから尚更。

ストーリーはシンプル。体感時間は短い。しかし情報量はかなり多く、登場人物の心理はとても複雑。濃いです。以下ネタバレあります、未見の方はご注意を。

ダニエル・デイ=ルイスの奥行きのある演技の効果か、ダニエル・プレインビュー(役名もダニエルなのね)が理解出来ないごうつくばりの怪物には見えないのです。だから憎めない。あんなに立派な家に住んでるのにちっとも幸せそうじゃない。家の中にボーリングのレーンがある(!)のにちっとも楽しそうじゃない。この家だって晩年になってからようやく手に入れたようだし。ああ見えてとても努力家。自分の手腕で富を得たプライドもある。だからスタンダードオイルの連中には異様な敵意を示す。おりゃー買収も掘るのも自分ひとりでやっとんじゃ!てな感じです。ここらへんもクラシックと言うか昔気質。

この時代では珍しくないのかも知れないけど、文盲迄はいかないにしても多分あまり字が読めない。聴力を失った息子とコミュニケーションをとるには、まず筆談を使いそうなものなのにそうしないし。まあその時はまだ息子も教育を受けていないようだったけど、戻ってきてからも手話の通訳を置くし。弟の日記をさかさまに読んでいたし。その後「弟」を殺して日記をまた眺めて泣くんだけど(唯一の泣くシーンだった?)、その時も内容を全て読めていたかどうか…「My brother」は理解出来ていたようだけど。

大地の血=石油、洗礼で示されるイエス・キリストの血、血縁者、油井での事故で命を落とした者の血、そして最後に流れる血。タイトルにもあるブラッドは何度も顔を出す。ダニエルは血縁者を求めているのにそれに該当する人物は周囲にひとりもいない。石油を信じ、神を信じず、ひとを信じない。そして実際、ここには神はいない。牧師イーライ・サンデーも神を信じてはいない。だからああいう結末を迎える。やー、やつのうさんくささと言ったらなかったな。『マグノリア』のトム・クルーズ然り、PTAは徹底してこういうとこおちょくるなあ。ちなみにそのキモい牧師を演じたのは『リトル・ミス・サンシャイン』で主人公のお兄ちゃん役だったポール・ダノ(このひとも二役でイーライと「ポール」を演じてました)。いや最初あのお兄ちゃんて気付かなくて「この顔どっかで…」と思ってて、ハイテンション説教の大声で「あ、あの『ファーーーーーック!!!!!』の子だ!」と気付いた。デイ=ルイスに喰われかねない役ですがなんのなんの、がんばってました。やー、このひといいわー。声も好きだ。

信仰の滑稽さとおぞましさ。何かを信じるってのはよりどころでしかないのか?しかしそうとは言い切れないシークエンスがところどころにあるからまたやっかい。石油が噴出するシーンの美しさとおっかなさは、こいつを信じて人生を賭けてみようと思わせる魔力がある(カエルを降らせた監督だけに?(笑)こういうとこの画作りは素晴らしいなあ)。ダニエルと息子の楽しそうな風景もね。よく頭なでてるし(これ大事)。この幸せな風景は間違いなく存在したものなんだ。うー(泣)そうそう、息子役のディロン・フレイジャーがすんごくよかった!何あの顔!初演技とは思えねー!基本無表情なのにものっそい存在感です。夢に出そう。すごくかわいいの。

ジョニー@レディオヘッドのスコアは耳障りギリギリの迫力。意図的に音響もデカい。冒頭の全く台詞がない10数分(もっとあったか?)の不協和音、息子が聴力を失う原因になった事故のシーンの、壊れてると同時に整然としたリズム。どれもが切迫感溢れる凄みに満ちていました。独立したサントラとして楽しめるかは微妙ですが、映画にはガッツリ合っていたと思う。

PTAの作品には父子間の確執が出てくるけど、今回はベクトルが逆だった。これ迄は息子が帰ってきてたけど、今回は出て行ってしまった。エンドロールにロバート・アルトマンに捧げるとのクレジット。今回群像劇ではなかったよね。訣別でも和解でもないけれど、PTAが次にどういったものを撮るのか、楽しみでもあり怖くもあり。

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■よだん
ダノくんに似ているきかんしゃ。
『There Will Be Blood: Thomas the Tank Engine Edition』

きかんしゃトーマスってマジで怖いー(泣)

■よだん2
サタデーナイトライヴでのパロディ。
『Milkshakes: There will be milkshakes for old men』

ああっ『ノーカントリー』まだ観に行けてないよー!(泣)



2008年05月07日(水)
いろいろ

■『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』ツアー・ファイナル大打ち上げLIVE
6月21日(土)、中野サンプラザ大ホール。
ジョン・キャメロン・ミッチェルも来るそうです。おおお!

■とどいたー
『Ghosts I-IV』CD Deluxe Edition。いつも通販のめんたいこを持って来てくれる宅配業者さんとこだった。「今日はめんたいこじゃないですね!」て言われたよ…年柄年中頼んでる訳じゃないのにそんなに印象に残ってるのか(笑泣)ふくやのめんたいこはおいしいよ……。
まあそれはいいんだ。パッケージが…布張り!しかもエンブレム付いてる!重い!印刷もいちいち凝ってる。
思わず見積もりとりそうに…ご、ごうか……。
CD×2、ブルーレイ、マルチトラックDVDの計4枚がA4変形見開きに収められております。ブックレットも綺麗だよーあーいいなあ紙はー印刷はー

■それにしても
スパイラル入会特典、更新特典、そして今回とNINオフィシャルものは毎回送付方法が違ってるなあ。その都度いちばん融通が利くとこを選んでるんだとしたら研究熱心ですね。いろいろ試してやりくり上手になるといい。
ちなみにレディオヘッドの『IN RAINBOWS』は、本国にオーダーしたものがホステス仲介で送られて来た。『Ghosts I-IV』も日本盤はホステスがディストリビュートすることに決定しましたが、発送については今回ノータッチだったのかな。まあ単純な話、本国から直接届くと何となく嬉しいってのはある。箱が汚れてたりボコボコになってるとああ遠くから来たのねえと思う(笑)

■で、その『Ghosts I-IV』日本盤
・NIN、日本盤『GHOSTS I-IV』は解説音声付
ホステスのマイスペブログはこちら↓
・トレント様、ついにリリース!?
なんじゃ、このタイトル(笑)
にしてもホントすげえなホステス。やり手だわ……

■で、『The Slip』メモ
・『Ghosts I-IV』同様アートワーク+クレジットPDFファイルがついています
・曲は全部トレント
・演奏参加者としてクレジットされているのはトレント、ジョシュ・フリース、ロビン・フィンク(!)、アレッサンドロ・コルティニ
・プロデュースはトレント、アティカス・ロス、アラン・モウルダー
・エンジニアリング、ミキシング、マスタリング(ここらはアラン、アティカスらがぐるぐるまわってやってるみたい)の他にルームチューニングってクレジットがあるのが気になるところ
・アートディレクションはロブ・シェリダンとトレント。今回はロシアアヴァンギャルドテイストな感じ

■Interviews - Modwheelmood -
NINのサポートメンバー、アレッサンドロ・コルティニのプロジェクトModwheelmoodのインタヴュー。鈴木さんどかどかアップしてはるなーはたらきものー。
鈴木さんはサイトを有料にすればいい。なんかタダで読めて申し訳ない。
で、Modwheelmood!すごくよいのです。トレントも働き者ですが、アリーもNINのレコーディングに参加しつつ自分のプロジェクトの作品を続々リリースして、しかもそれがクオリティ高いもので。ライヴもやってるし。すごい。
記事にもあるようにCDとしてまとめられるといいなあ、日本盤リリースされるといいなあ。しかし当面はメンバーの企画した通りの構成で聴くのも楽しいですよん、iTS等で入手してみてくださいな

■てか
日本盤独自のボーナストラックって他の国からするとやっぱ珍しいんだね…『Ghosts I-IV』日本盤もコレクターからするとうはー!て感じなんだろな

■それにしても
今回のインタヴューに限らず、ここ最近のソフトの形式、流通の話はいろいろ考えさせられることも多い。この記事も興味深いものでした。小野島大さんのブログ。
・newswave on line (personal edition)『NINの新作と音楽ソフトの未来』



2008年05月05日(月)
『東京流れ者会特別編 Vol.15』とかNIN新譜『The Slip』とか

ヨタロウ with メトローマンス・ホテル『東京流れ者会特別編 Vol.15』@表参道FAB

そして今日も50代がいるバンド。『Porca Miseria!』発売記念ライヴ。ヨタロウさんは元気だった。でも同時に、ヨタロウさんの弱いところも見てしまったのでつらかったな。でも仕方がないんだ。これからこんなことはもっと増える。めそめそしてもいられないんだけど、やっぱりまだまだつらいよね。また雨だった。

HONZIが亡くなってからもう何をすればいいか判らなかったと言っていた。残されたライヴ音源を何度も聴いていた。HONZIの曲を形にしたい、HONZIにアレンジしてもらいたかった曲を完成させたい。アルバムには、HONZIの音も入ってる。でも完成してなかった曲もあって…『ファントム』でコンサートマスターをやっていた工藤さんと知り合って、ヴァイオリンを演奏してもらえることになり、レコーディングを進めた。すげーがんばった。工藤さんは毎回いたずらっこのようにフレーズを変えて演奏するHONZIのライヴ音源を聴いてコピーしてくれた。勿論彼女の色も加えてくれた。永久欠番なんてHONZIは望んでいないので、彼女の曲を工藤さんが弾いてくれて……等々。「薔薇より赤い心臓の歌」を唄った時、泣いていた。

いろんな国のトラッドソングを唄う。ジューイッシュ、アイリッシュ、三木鶏郎もね。唄うことで伝えられて行く。作ったひとはもうどこにもいなくても、歌は残る。

そうやって、唄い継がれて行ってほしい音楽は沢山ある。形がないからこそ、永遠の命を持つかも知れない。憶えているひとがいれば、それは生きている。

地上に出ると雨は止んでいた。

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さて40代のトレント・レズナー、むちゃむちゃ走ってます。新譜『The Slip』が出ました。10曲、トータルタイム43:45。公式から行ける特設サイト(http://theslip.nin.com/)にメールアドレスを入れると、フリーダウンロードページのアドレスが送られて来ます。ええ、フリーです。フォーマットもいろいろ選べるようになってます。.torrentにも公認で提供されています。好きなとこから好きに好きなグレードのものを落とせばええがなと言う。高音質のものもフリーです、イエーふとっぱらー。7月にCD、アナログでも出るそうです。

こうやって音が散らばって、それを耳にするひとが数百年後にいるかも知れない。トレントのことを全く知らないひとが、CDプレイヤーでもなくMP3プレイヤーでもなく、今の私が知り得ないハードを使ってこの曲たちを聴いているかも知れない。

音源は数百年のうち消え去っていたとする。それでも彼の曲が伝わっていたとしたら?その音はどんなものになっているだろう。メロディーのみ?リズムのみ?サウンドスケープとしてどういうふうに残っているだろう?トレントの音像構築力はすごいものだと言うのは私でも解る。しかしそれが、彼の作り出した形式でなくとも――例えば鼻歌で伝えられていたとしても――それはそれで何だか嬉しいことだな。そしてそれって現実に起こりうることのような気もする。

数百年後。その頃はもうトレントも、勿論私も死んでいるけど、今私が聴いている音をずっとずっと後に誰かが聴いているかも知れないと思うのは楽しいことだ。その誰かと私が会うことは決してない。

まあそんなことはいいんだ。今、この環境で、この音像をトレントの望んだ形で耳に出来ることはとても嬉しいことだ。



2008年05月04日(日)
オペレッタ『ロータスとピエーレ』

シティボーイズミックス PRESENTS オペレッタ『ロータスとピエーレ』@銀河劇場

ここ最近50〜60代のひとばっか観てるな(笑)何故だ!

いやー、でもー、ここ数年の中でいちばんゆるかった…ええと出演者はいつも通りなんですが、それでいいんですが、構成演出が…ほ、ほそかわさん……ちょっとこれが続くようでは………。

ぶっちゃけ言うと、今回はカーテンコールのフリートークがいちばん面白かったです。うえーん。

瀧は馴染んでだなー。しげるが痩せた分今回のデブ担当は瀧でした。で、瀧の使われ方もいろいろ勿体なかった。せっかくの初舞台なのに!瀧本人はよかった。やっぱり今回は細川さんがんばれと言うより他にない。悲しい!あんだけ面白いメンツ揃ってるのにこれはないだろう。ブラックな部分も迷いがそのまま出た感じ。書く方が迷ってちゃ観る方はひく一方だよー。もう一歩踏み込めば化けそうなのにと思うものが殆どだった…。

初老の家族に囲まれて頭がおかしくなりそうになる瀧のコントは好きでした。てか、これくらいしかあわわわわわ(泣)

やたらまことが瀧にからんでいた。どこからがアドリブなのか判らないくらいだった(笑)で、また瀧がうまいことかわしたりたしなめたり出来てるのね。これはいいもん観たと思った!

あっあと気になったのは、いつも最後にまことが「また来年もここでお会いしたい!」って言うのに今回言わなかったの。たまたまかも知れないけど不安だよ!来年も皆元気で揃ってここでコントやれますように、おねがい。



2008年05月03日(土)
どうぶつとかようかいとか

上野動物園と『スパイダーウィックの謎』のハシゴ。実在するどうぶつやら妖精やら妖怪やらいろんな生き物をいっぺんに見たぞー。

上野動物園はリンリンの遺影が飾ってあって花やりんごや寄せ書きやいろんなものがお供えしてありました。うー。それを見ているうちに雨が上がり、鳥エリアでは皆がいっぺんに羽根を広げて乾かしてる珍しい光景を目に出来た。鷹とか鷲とか鶴とか羽根ひろげると3mくらいあるの。すごい綺麗だったーいいもの見た。

旭山動物園を参考にしたのか、結構改装されていて行動展示が出来るようになっているところがちらほら。やっぱり檻がないとのびのびして見えるなあ。池の中も見えるようになっていて、水中で泳ぐかばとかよく見えたー。こびとかば見ましたよれいさん!耳ちっちゃい!ちょうかわいい!あとマレーぐまの寝姿がすごいかわいかった。かわうその泳ぎ方面白い、ずーっとくるくる回り乍ら泳いでるの。

いちばんの目当てはいつもまぬるねこなんですが、このこら西園にいるのね。大体上野公園側の東園から見て行って、ぎやーかわいいー面白いーと散々騒いだ後なので、西園に着いた頃には大概疲れ果てている。半分寝乍ら小獣館に入る。また微妙に薄暗くしてあるからますます眠い…でもまぬるを見たら目が覚める。ぐはー!ひとだかりが出来てるよ嬉しいよ、皆もっとかわいいと言うがいい!そんでブログとかに載せて知名度あげてくれ!まぬるがもっと有名になればいいー!赤ちゃんももう結構おっきくなっていた。うう〜かわいいよう〜へんなかお〜〜。

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『スパイダーウィックの謎』@日比谷スカラ座

どうぶつえんではしゃぎすぎて移動の電車の上野〜有楽町でがくーっと寝た(笑)映画つまらんかったら寝るかも知れん…と思ったが面白かったー。おはなしもええ話やったー。オチもすごいよかった。スカッ!とした。妖怪や妖精がいちいちかわいかったで、アホの子も多くてな。あーでもおばあちゃんがー、おばあちゃんがあああー。あれは幸せなのかも知れないがせつなかった……。

あとねこが丸焼きにされて食べられたかと思った…そういうひっかけっぽいシーンがあったんだ……なんだよそのビックリ仕掛けは!(泣)他にも結構おどかしシーンがあって寝る暇などありまへんでした、面白かったー。



2008年05月02日(金)
ヒカシュー、長塚くん

ヒカシュー@Shibuya Club Quattro

クアトロかスーパーデラックスか青山円形劇場か〜。なんで皆いっぺんにやるんだよ…(泣)悩みつつ、2日続けて30周年のバンドを観ることにしました。3月の面影のイヴェントで興味を持って来たと思われるお客さんもちらほら。

ここ最近のニック・ケイヴのバリバリっぷりにニヤニヤし、R.E.M.の新譜がすごく元気(ぎゃーんいいようーライヴが観たいよ!)で嬉しくなったりしてて、昨日は昨日で還暦前夜の鮎川さんを観たりで、近頃の知命や耳順はすげいなあと思うことがしばしばです。いや、近頃の…じゃなくて、常にここらへんの世代は元気でおっかねえ印象があるなあ。ついこないだもトモロヲさんは格好いい50代だねえとか、ロン兄ちゃん赤いちゃんちゃんこでフジに来るよ!(SPARKS。これでヘイチンフジ行くの決定)とか言ってたとこだった。トッド・ラングレンも先日来日した時還暦祝いされてたな。

巻上さんは知命チームですが何あのデカい声。おっかねえ!てかホント声すごい出る…おそろしい…。

いちばん構成とメロディーがはっきりしている「脳千鳥」では歌とピアノが際立って美しかった。こういうの聴くと即興を単なる思いつきでやってると思うなよとか言われた気がしてハッとする。思いつきと言うか…そもそも発想と言うものは自分の中の蓄積(これは随時更新される)に大きく影響されるものだし、その蓄積を即引っ張り出すには瞬発力が必要。その瞬発力を直ちに形にするには腕が必要。正に心技体。

で、メンバーそれぞれの心技体の公倍数がガチッと一致した時、音はとんでもないところに飛んで行く。こういうのはそれなりの時間があってのことなので、ワンマンで観るのが断然いい。その日の流れも含めてのものだから。いやーすごかったな。

対バンかと思っていたゲストの灰野さんはほぼフルで共演。ノイズが主なんですが、「Be-Bop-A-Lula」だったか「You Can't Catch Me」だったかを途中で使っていたのが意外ー。低音出し過ぎて意図的なノイズなのかトラブルなのか判りかねて巻上さんが自分の機材確認したりしていた(笑)

テルミンが時々胡弓みたいな音を出していて面白かった。

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■おでかけ
長塚くんが1年間日本を離れるようです。シアターガイドのインタヴューより。
野田さんや鴻上さんが行ったあれかな。
となると今年は『失われた時間を求めて』『sisters』の2本かな?



2008年05月01日(木)
SHEENA & THE ROKKETS『S&R HAPPY 30th ANNIVERSARY SPECIAL』

SHEENA & THE ROKKETS『S&R HAPPY 30th ANNIVERSARY SPECIAL』@The Garden Hall

デビュー30周年、すごいー。ガーデンホールに2階席なんてあったっけと行ってみると、フロアの後ろ半分に雛壇置いて椅子席にしたものだった。父兄参観のような趣で観ましたよ…おそれおおい…お、お邪魔します……。段差があったのですごくよく見えた。いい席を有難うポンチさん!先行販売特典の1979年ライヴ音源CDも頂けました、わーい。

メトロも最近椅子席エリア作るようになったし、観客の年齢層を考慮して、今後こういうのって増えていくかもなあ。鮎川さんはこのライヴの翌日に還暦を迎えるとのこと、シェー!格好いい還暦だ。シーナもお召しかえ沢山、ジャンプスーツから超ミニのワンピ、どれもが似合って格好いい。途中ビーハイヴな髪型で出て来た時はエイミー・ワインハウスを思い出したり(笑)いんやー素敵だわー格好いいわー。しかしかなり声が出なくなっててちょっと心配。

30周年のお祝いで、さまざまなゲストがやってきます。2曲くらいずつ、入れ替わり立ち代わり参加して帰っていきます。「ぶっつけ」もあって、その場でキーを確認したりも(笑)ユキヒロさんとの「ユー・メイ・ドリーム」(うわーん!(涙))、細野さんとの「Pom Pom 蒸気」、チバくんと花田さんの「Do The Boogie」…カヴァーもオリジナルも、SONHOUSE時代の曲も入り乱れ、でもどれを聴いても鮎川さんのギターとシーナの声が加わるとハッピーになる。おえー格好いい。それにしても細野さんやユキヒロさんが出て来るステージで、クリス・モズデル作詞の曲……YMO世代には悶絶ものですわ。元メンバーの浅田さんや、内田裕也さんも出て来てすごいことになっていた。いやーすごいもんを観た……。

先日リリースされた新譜『JAPANIK』からのナンバーも満載。「ウィルコ・ジョンソンからe-mailでプレゼントしてもらった」曲や「これもe-mailで届いた、ユキヒロさんの曲」と鮎川さんが紹介したりして。そういえば鮎川さんてすごい早い段階からwebを上手く使っていたなあと思い出した。

「HAPPY HOUSE」や、現在日テレで大量に流れてる「Johnny B. Goode」、あと「My Way」がめためた格好よかった!そして待ってましたの「レモンティー」。アンコールは「(I Can't Get No) Satisfaction」!

それにしてもチバくんの借りて来たねこっぷりはすごいもんがあった。この中ではまだめちゃ若手、小僧だもんね…唄ってる時は堂々としたものでしたが、そうでない時はもうすみーっこでひとりぼっちで。アンコール前に、鮎川さんお誕生日おめでとう!と大きなギター型のケーキが贈られて(娘さんたちも登場)、それを隅に移動させて「Satisfaction」になだれこんだんですが、チバくんはそのケーキとともにすみーっこにいてニコニコしながら手拍子をしていた。そのうちますます後ろに下がって行き…最初渡邊さんたちがもっと真ん中に行きなさいよって引っ張ってくれたんだけど「いやっ!いやっ!」て感じですみっこに行っちゃってたのね。ケーキのろうそくの1本にまだ火がついてて、それをじんねり見つめたりしていた。最後の方でシーナが気付いて「こっちいらっしゃい!唄いなさい!」みたく真ん中に連れてってくれたんだけど、その時のぱあっとした嬉しそうな顔と言ったら(笑)よかったね。

最後にシーナがかすれた声で「死ぬまでロックを好きでいて」と言ったのが印象的でした。ロックって生まれてまだ50年くらいしか経ってないので、70代、80代のロッカーってどんなもんなのかってのはまだ誰も知らない訳です(真面目な話)。それはダンスものもそうだけど。70代、80代で轟音を鳴らしたりフロアでガンガン踊れたら素敵じゃないか。年長のひとたちのそういう姿を見てみたいし、それを格好いいとも思う。そのためには元気でいてね。