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2002年03月31日(日)
珍しいキノコ舞踊団『フリル(ミニ)wild』@Hara Museum Garden

日没後気温は下がり、上演途中からの雷雨。野外公演としてのコンディションは最悪になった。簡易カイロと雨合羽で寒さと雨を凌ぎながら、でも誰も観るのをやめなかったし、メンバーも踊るのを止めなかった。ショー・マスト・ゴー・オン!

『フリル(ミニ)』の再演は、原美術館中庭での上演。いやあ、思いきり使ったなあ。壁面や窓のドローイングを許可した美術館の太っ腹にも感謝感謝。美術館の建物をスクリーン代わりにして映像を映したり、庭の木にも装飾がいっぱい。途中突風で何か割れた音がしてましたが大丈夫だったんでしょうか…いろいろ飛んでましたが、あれはアクシデントなのか演出なのか(笑)セットが壊れるんじゃないかとヒヤヒヤしながらも、心のどこかでは「オモロイなあ」と思ってたりな…やってる方はそれどころじゃなかったでしょうけど(すんません)。雷雨っつうとどうしてもフジロック1年目の思い出が甦りますな。災難がふりかからなければ楽しいもんです。

入口ではきのこの山、たけのこの里のサービス(笑)があり、館内喫茶のカフェ・ダールも、コーヒーやホットワインの売り子で大忙し。普段の劇場では観られない状況を皆楽しんでいる。遠足に行く時みたいなワクワク。

2箇所飛び入りオッケーのシーンがあり、雨合羽を来た客が乱入。終盤の二度目の時には、人数が増える増える。動かないと凍えちゃうからってのもあったかも知れないけど、雷雨の中何十人もの人間が笑顔で踊りまくる絵は圧巻だった。凄い盛り上がったよー!アートディレクション担当生意気のふたり、デヴィッドとマイケルも踊りまくってました。あとマユタンのうたもよかったな。「見上げてごらん夜の星を」の曲で踊る時、星がなかったのは残念だったけど、その分好天では観られないものを観せて貰えたので満足。面白かった!

ラストシーン、まるで演出効果の様に、美術館の背後に稲妻が走った。もう観客大喜びですよ(笑)なんだか涙出ちゃったよ。ブラボー!ありきたりだけど、災い転じて福と成す。こんなもん二度と観られないよ!最高の千秋楽でした。



2002年03月30日(土)
南船橋〜渋谷

小林建樹@ららぽーとクリスタル広場

カヴァーミニアルバム『リバース〜Private Covers〜』発売記念ミニライヴ。はるばる南船橋迄行って参りました。

30分の予定が、1時間近くもやってくれた。サポートの宮川剛さんが飛び入りで参加、リズムキープで付いてくれ、2人だけど音の分厚いいいライヴ。メロディーメイカーとしてもアレンジャーとしても面白い小林くんだけど、今回のカヴァーものでは、うたとピアノプレイヤーとしての力量を力尽くで納得させられるものがあった。特に山下達郎氏の「RIDE ON TIME」のカヴァーが素晴らしかった!本人以外でこの曲をこんだけ鳴らせるひとがいるんだ〜と鳥肌立ちました。いや、やっぱり凄いわこのひと…フリーライヴでいいもん聴きました(交通費が結構かかったけどな(笑))新譜以外では「花」をやってくれたのが嬉しかったな。


『身毒丸』@シアターコクーン

藤原竜也くんの身毒丸は今回で最後。年齢的にやれる期間が限られている作品は、役者にとっても一生に一度しか演じられない貴重な時間を費やすものだ。蜷川版『身毒丸』は、初演(武田真治くん主演)以来なので、藤原くんのヴァージョンは初見。

天井桟敷の寺山版『身毒丸』とは脚本が大幅に書き換えられているが(年代的に観られていないので実際はどんなもんだかわかりません)、美術は寺山修司氏とも組んでいた小竹信節氏だし、コロスのメイクや衣裳のいかがわしさは、天井桟敷のパブリックイメージを活かしたものになっている。そこにグラインダーの火花やぽたぽた落下する花弁と言う蜷川氏オハコの吸引力の強い演出が入る訳で、舞台の濃さが半端じゃない。1時間45分の上演時間が早い早い。身体動かす余裕もない。おかげで肩と首がガチガチに(笑)。瞬きしてる場合じゃないんじゃー。

その舞台にのる役者がまた濃いひとたちで。白石加代子さんて毎回思うけどホント凄いわ…つうか凄まじい。もう怖い怖い。「買われて来た母親」の悲しさ、継子しんとくが懐かない空しさ、それが転じて呪詛に変わる時のおぞましさ、その反面継子に魅かれるかわいらしさ。もう化け物です(いやこれ最高の賛辞ですよ…)。技術面でもズバ抜けている。どんな声色でも劇場の隅々まで声が通る。動きにまったく無駄がない。それに堂々と渡り合える藤原くんの、役への乗り移りっぷりも凄い。貴重な舞台です。

次回上演は、藤原くんばりの逸材が現れなければ実現しないだろう。それはいつになるかな。よほどの人物でない限り、この舞台は務まらないだろう。最終公演を観られてよかった。

蜷川さんもいらしていて、ロビーで談笑していました。最近は笑顔をよく観る。嬉しい。

10月にはいよいよ『マクベス』の再演。キャストに大石さんがいたと言う事は、マルカムは大石さんだな。大石さんも素晴らしい役者さんなので、今度は最初からみっちり稽古も出来るだろうから面白くなるだろう。高橋くんが出ないのは残念だけど(…)再演は楽しみ。



2002年03月27日(水)
塚本病

発症しました。またか。

『とらばいゆ』@テアトル新宿

監督作品が公開される時期には必ずクるんだけど、近年作は4年に一度、とかだったので最近は落ち着いていた、筈だったのですが…今年は役者仕事が多くて…昨年末の『殺し屋1』のジジイにはじまり、この『とらばいゆ』、5月公開予定の『溺れる人』、『クロエ』と映画館に姿がない時期がないじゃありませんか〜、そら発症もしますよ。うまく行けば監督作の『六月の蛇』も年内公開になりそうとの事。嬉しい年です。

女流棋士姉妹とそのダンナ、彼氏のお話。「仕事が第一!」と公言して憚らず、「家事は分担って言ったじゃん!」「どうしてわかってくんないのよ!」「思いやりってもんはないのか!」と、凄まじい暴君っぷりの姉妹は、ンな事言ってる割に相手の事を全然思いやってなかったりする。「忙しいの!仕事なの!」つって競馬に行ってるしな。機嫌が悪いと食い物にあたるしな。せっかくダンナがお弁当買ってきてあげたのにそれをテーブルからはたき落としちゃうんだもんよー、食べ物を粗末にするなー!

観終わったあとの第一声は「あの姉妹、酷いよ!(苦笑)」でした。いやわからんでもない部分はあるけど、極端でなー(笑)同性から見てもこうなんだから、男性が見たらどうでしょね、これ…。ダンナ(塚本さん)と彼氏(ムラジュン)、なんていいひとなんだ!つうか塚本さん、結婚してくれ!(笑)

ダイアローグが良く出来てるなーと思った。そうそう、「食べる」じゃなくて「食う」って言うよ、「〜っつうの」って言うよ!どこ迄アドリブかわかんない「お喋り」。実際にはアドリブ禁止だったそうですが(でも台詞以外の、動きとかで塚本さんも大杉漣さんも笑かすんだよ…)役者さんがとっても自然で、ワンシーンワンカットの長回しが効いていました。

それにしてもも〜う、塚本さんマジでいいダンナだ。箸の持ち方も綺麗だし。妻(怒った顔が美しい瀬戸朝香さん)に押されっぱなしだけど、思いやりがあって、優しくてさー。時々ダメでお調子者だけどさー、そこがいいんだよ(笑)ムラジュンも思いを素直に口に出来る、今どき珍しいキャラクターで、しかも料理上手。なんだよ男がいいヤツばっかじゃん!こんな理想的な(つうか、非常に女にとって都合がいい)男性像を、大谷健太郎監督(脚本も書いている)はどうして描けるの?セットも家具とかかわいくて(Franc francのでした)、ファッションもオシャレで、女の子好みの映画だなあと思った。

客層が不思議で、40〜50歳代の男性客が多かった(将棋ファン?関係者?)。しかもよく笑う。がはははって笑いじゃなくて、思わず吹き出しちゃう系の笑いなんだけど。こっちもひとめを気にせず笑かして頂きました。あ〜おかしかったわ〜。

ちなみに塚本さんの今後の公開予定作↓

[溺れる人]
[クロエ]

『クロエ』はまだオープンしていませんが、トップ画像は見られます。はやく開け〜!ドンドンドン!2年近く待ってるんじゃ〜!利重さん「2001年中にはかかります」って言ったじゃーん!…まあそれだけ単館が混んでるって事だろうな。『ハッシュ!』も『メメント』がロングランしてるから、4ヶ月も公開がずれ込んでいるし。『溺れる人』も、昨年PFFでのプレミア上映を逃したので、かれこれ1年近く待っている。なんか、チラシやらサイトに載っている画像がいちいちツボなんですけど…うわ〜塚本さ〜ん塚本さ〜ん(壊れ気味)片岡礼子さん美しい〜ああ早く観たい観たい!鼻息も荒いですよ!

それにしてもテアトル新宿、今月だけで4回行ってしまったよ…。



2002年03月25日(月)
ハシゴのつづき

某議員の緊急生出演やら記者会見やらでアカデミー賞のニュースが大幅削減。フジテレビ、0:30からオスカーやりますって言ったじゃんかよーうそつきー待ってたのにー!(泣)ハル・ベリーよかったねーおめでとー。録画頼んでいるんで届くのが楽しみだー。ベニシオさんのプレゼンターっぷりがはやく観たいよ!

さて昨日の続きです。


『ドロップ・シネマ・パーティー プログラムB』@テアトル新宿

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特別上映『留守番ビデオ』監督:篠崎誠
『New York New Yoku』監督:川上徹也(望月六郎クラス)
『青の写真』監督:松田龍樹(村本天志クラス)
『命の響き』監督:村越繁(篠崎誠クラス)

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昨日友人に「あんたもああいうのばっかり観てないで…」と言われたのは「レイトショーでやってる『自殺サークル』に行きたーい」と言ったからです。いいよひとりで観に行くよこれは…。で、1週間限定のこちらを優先。

講師である映画監督・CMディレクターが監修した短編を発表するENBUゼミムービーセレクション2002。いわゆる生徒の発表会です。が、予想以上にレヴェルが高かった、お金払って観る価値アリでした。

映画館に到着したのは21:30過ぎ。1本目の特別上映、篠崎誠監督作品『留守番ビデオ』の途中から入る。これ何分の作品だったのかな、20分くらい観ましたが話の流れは何とか把握出来ました。篠崎監督の作品って1本しか観た事なかったんだけど…うわー…あの『忘れられぬ人々』の、霊感商法のいや〜なシーンをずっとやったって感じって言うか。不気味感を出すのがうまい!も〜うぞわ〜って感じ。絶対監視カメラとか付けたくないわとか思ったね!留守電でも無言メッセージが入ってると気持ち悪いもんなのに、ビデオで人物が映ってた日にゃあ!ドアを撫でまわしたりしてた日にゃあ!ビデオの粗い画像が効果的でした。音声がやたら悪かったのが難。

『New York New Yoku』はゴーカN.Y.ロケ。双子ビル(WTC)が映っている。いつ撮ったんだろう。それともこのシーンだけ後付けなのかな。

『青の写真』はいい話だった。大学の写真部室の靴下臭い感じも良く出てた(笑)。プロでやっていこうか、それ以前にプロを目指しているのか、そもそもプロになんかなれるのか、主人公のグラツキ具合がいい案配でした。台詞もいちいち機微に富んでて面白かった。

さてこれが目当てでした『命の響き』。なんだこの豪華出演者は!とは言え出演者が豪華なだけで全然面白くない作品ってあるじゃん…あれとかあれとかあれとか(笑)ちょっと不安だったんですが、これは面白かった!田中要次(BOBA)さん扮する、奪われた拳銃で妻を撃たれた刑事がハリセンで犯人(森下能幸さん)を懲らしめる話。「夫婦漫才やりたいんだよう」「警察辞める時手帳と銃を返すだろう、あれがやりたいんだよう」「命を粗末にするなあ〜〜〜〜!!!」なんだよオモロキャラかよ!奥さん撃たれた時はどうなる事かと!

シンプルなストーリーをしっかり観せられる技量があった。オープニングやエンディングの編集もテンポよくて引き込み感があって、度胸のいい演出。青木富夫さんにハリセンの舞をさせるなど、ようやるなと思った(笑)。青木さんてチャーミングだね。撮影も音響もクリアだし楽しめた。

BOBAさんの同僚、大森立嗣さんと鈴木卓爾さんの刑事(デカ)コンビがよかったわー。格好よく登場したけど、あとはなんにもしないで缶コーヒー飲んでくっちゃべってるのな(笑)「あの犯人は菜畑目さんが捕まえるんだ、俺たちは手出ししない」なんつってな。立嗣さんは大森南朋くんのお兄さん、麿家の長男です。やっぱ兄弟だ、似てる!口端をクリって上げる笑い方とか、身のこなしが綺麗なとことか。ち、血筋?あとオシャレだー!ジャケットとかパンツのラインの凄く綺麗なものを着ていて、それが似合う。カッコつけてる訳でもなく、ごく自然に地べたに座ってタバコ吸ってるシーンがサマになってる。身体の線が綺麗だね。肘とか膝の曲げ具合とか。友人に「あのひと塚本(晋也)さんかと思ったー。似てない?」と言われて株がますます上昇しました(笑)。言われてみれば頭の丸さとか似てるかも。おでこの感じとか。声もいいです。

さてもうひとつの目的はこれでした、高橋洋さん。やっぱり…脚本家の方だったよ…佐藤佐吉さんとコンビの借金取りで出てました、脚本家コンビだね。はあ〜、高橋くんは今どこで何をしているんだ。年末に『マクベス』再演だけど、出ないかなあ…マルカム誰がやるのかなあ…月川くんだったりすんのかな、流れとしては(泣)。ああ勿体ない勿体ない!あんな降板の仕方をしただけに、リベンジも『マクベス』で果たしてほしいもんですが、まあ本人の気持ちなんて誰にも解らないしね。しょんぼり。

上映作品中、画像と音声がクリアだったのがこの作品だけってのは何でだろう?他作品の、明らかに効果目的ではない音の悪さや画像の粗さって単に技術や予算の差とは思えないんだけどなあ。ゼミでやってるなら条件は同じではないのかなあ。内部事情はわかりませんけども。芸達者な役者にも恵まれて、とにかくこれはズバ抜けてました。

余談。これの前に観た『Laundry』で、よくお店の鍵をどこにやったか解らなくなるテルの「ばあさんは首からぶらさげておけばいいって言うけどやらない。それは子供のすることだ」ってモノローグがあったんだけど、そういや立嗣さんて『KNACK』の取材時鍵を首から下げてたよね…(笑)思い出してちょっと笑った。いいんだよかわいいから!



2002年03月24日(日)
ハシゴデー

例によってネタバレバレバレです。

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『害虫』@ユーロスペース2

「駆け抜けたからセーフ。下手に立ち止まると轢かれて死んじゃう」。

後半、主人公サチ子がヒッチハイクで乗ったトラックの運転手が、飛び出してきたネコをかろうじてよけた後に言ったこの台詞が話の骨だと思うんですが、その「駆け抜ける」速度感と言うものは世代によって確実に違う。疾走する少女の90数分が、こちらの体感では2時間以上に感じられた。展開はテンポよく進んでいたと思うんだけど、時間が長く感じられたのはやっぱりこっちが歳をとっているからか。

この話に関してだけじゃないが、人生全て運だと(自分は)思っているので、主人公が害虫なのかそうでないのか、これも運だと思うんだよなあ。親があのひとなのも、その親の恋人に襲われるのも、家一軒燃やしちゃうのもたまたま運で。とはいえ運と言うのは選べるものでもある。結局は自分に返ってくる。それを環境のせいにするのはズルイと思うんですが。特に加害者となると。まあどっちが被害者でどっちが加害者だってのも視点によって違いますけども。甘いですか。そうですか。まあ私見ですから。

宮崎あおいさんの、ふてくされて見える地顔がハマッていた。その分、時々ふっと見せる笑顔がかわいかったなあ。夏子役の蒼井優さん、どこかで…と思っていたら『リリイ・シュシュのすべて』で、ウリをさせられて自殺しちゃうコを演じてたコだった(確かそうだったと)…うわー…。今回もこんなだし、不憫な…(泣)いつか幸せになる役をやってくれー。伊勢谷友介くんてこんなに滑舌悪かったっけ、ワザと?寺島進さんは高度なサブリミナル出演だったようで、どこに出てたかわかりまへんでした、トホホ。木下ほうかさんは、登場人物中珍しい“いい人”でよかったざんす。リンゴくれたしな。

あと脚の撮影に随分拘りを感じた。『月光の囁き』からの手法を踏襲したこの監督のカラーなのか、それとももともと脚フェチなのか(笑)。女子の脚ってのはいいやねえ〜。

さて目当ての大森南朋くんは役名「ラブホテルの男」。ダメな大人ですよ。ダメっぷり炸裂ですよ。でもグレーのスーツ姿が似合ってて背が高くて格好いいのよ。ダメな大人だけどな。「サチ子、逃げろ!」って思ったけどな。

開演30分前に行ったのにかろうじて座れたと言う感じ、立ち見も出ていて盛況です。よかったよかった。5月のユーロスペースで公開の、『溺れる人』のチラシが出来上がって置いてあったので、大喜びで分捕る。うわおう塚本さんスッテキ〜!『クロエ』のチラシもゲット。うわおう塚本さんかっこい〜い!公開が待ち遠しい。

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『Laundry<ランドリー>』@シネ・アミューズWEST

「あんたもああいうのばっかり観てないで、たまには心が洗われるものを観なよ」と連れて行かれました。どういう意味よ…。こちらも1時間以上前に整理券を確保したのにギリギリ、いちばん後ろの端っこで、画面の下1/5が見えなかった。字幕ものじゃなくてよかった。

ええ、ええ、心洗われましたですよ。窪塚洋介くんが〜!ぎゃーおまえかわいいんじゃ〜!てなもんで。黒目部(勝手に創部してます)部長の本領発揮です。トンガリ帽子が何故こんなに似合うんじゃ〜!これを目深に被っているから、眉がかくれてますます黒目が際立ちますよ!ああそんな目で見るな!自分のヨゴレを自覚させられるわ!食べるものもスパゲティナポリタンだったり、「救急車って速い?」って聞いたり、うわー天使だ!天使がここにいるよ!白いし!

ちっちゃい頃マンホールに落ちて頭にキズがあるテルは、ばあさんの経営しているコインランドリーで見張り番をしている。下着が盗まれないように、洗濯物を見張っているのだ。そこに洗濯をしにやってくる水絵。ばあさんは彼女を女ギツネと言う。テルはまんま彼女のことを、心の中で「女ギツネ」と呼ぶ。勿論悪意は皆無。女ギツネが忘れたワンピースを届けるために、テルは知らない街へ向かう。

現実には有り得ないだろうこの物語を、観客も了承している優しさがある。いいじゃん、映画だから。こういう映画って観たいじゃん。そうは言うものの、水絵は逮捕されちゃったり結構容赦ない部分もあるんですけど。TVを素手で万引きすればそら捕まります。彼女はひょっとしたら将来テルを裏切る事があるかもしれない。ズルい、甘い、でもこの物語はそれでいい。

いちばんいいひとってサリー(内藤剛志さん)だったよなあ。仕事も家も車も何もかもふたりにあげちゃったもんな。で、「俺はいいひとじゃないんだそ。ちょっとばかりお前らのことが気に入ったんだ」。テルの「ほっとけない」っぷりに引き付けられたとしても、このひとの照れあったかさは魅力的だった。のんべえだしね。愛すべきキャラクターでした。鳩を飛ばすって職業もナイス。

テル役の窪塚くんのハマリッぷりがもうねー。ごはんもペンも左だったのは役柄上?「ほっとけない」キャラ全開です。いい時期に撮ったなあ。ルックスの面も含め、その時にしか撮れないものが撮れたと思う。水絵役の小雪さんも、眉間の皺が繊細さ=神経質さに針が触れている感じで、ああ、水たまりに落ちるよ、とか、ああ、また万引きするよってこっちがハラハラしちゃってな。強い女のイメージがあったので、こういう危なっかしい役もハマるんだーとますます好きになりましたよん。それにしてもふたりとも美白女王で大変です。しろー。鳩も白いし。画面が眩しくて目が潰れそうです。あー晴れた空っていいなあ、笑顔っていいなあ、ひとを信じるっていいなあ。

ホントのところ、テルは知覚障害者なのか天使なのか?ホントに頭にはキズがあるのか?ホントに帽子をとったらヒキツケを起こすのか?ああ、帽子を取りてえ!でもホントにヒキツケ起こしちゃったら可哀想だし。雨の中テルが倒れ、その後ランドリーに集った人々の鳥瞰シーンがあった時は「あ、死んだ」と思ったんだけど、ラストシーンで、彼は水絵を待って旗を振っている。そう、ホントのところどうでもいいんだ、彼が天使でもそうでなくても。そういう優しい映画なんだ。日射しは暖かいけど風はちょっと冷たい、春先にいいものを観た。

『害虫』に出ていた石丸謙二郎さんがこちらにも出ていてちょっと笑った。以前邦画3本ハシゴした時に全部田中要次さんが出ていた時もおかしかったが、SBP(スーパーバイプレイヤー)は皆いつでも大忙しだ。

ところでシネ・アミューズWEST(青い部屋の方)って『MONDAY』やってる頃階上の物音が聞こえるって苦情出てましたが、今でも聞こえるんだね。結局対策ってないんですかね。

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わああ、予告編が20分近くあったのでもう20:55過ぎてるよ!遅刻だあ!…そうです今日はあと1プログラム観るのです。それについてはまた明日。



2002年03月22日(金)
さくらさくら

この時期になると必ず聴くのが、レピッシュの「さくらさくら」。名曲。

しかし今年はこんな気分で聴く事になろうとは…上田現が脱退だそうで。

昨年末に雪好が脱退した時もショックだったが、健康上の理由もあったし仕方ないものかもなと思っていた。2月のライヴではいい感じだったと聞いていて、5月のイヴェントに久々に行ってみようかと思っていた矢先だった。

20年近くオリジナルメンバーでやってこれたってのも考えてみれば奇跡に近い。某誌で対バンしたくないバンドベスト3に選ばれて、メンバーはショックを受けていましたが(笑)それだけヤバいバンドだったのは周知の事実。

レピッシュとオリジナル・ラヴ、スカパラは「いつ聴いても、いつ観ても絶対面白いものを見せてくれる」って言うこっちの勝手な安心感があったりする。それでなんだか最近はご無沙汰していて。

とはいえスカパラの場合は、マークが脱退した時も、ASA-CHANGや寺師が辞めた時も、冷牟田さんが事故に遭った時も、復帰した時も、ギムラや青ちゃんが亡くなった時もずっと観に行っていて、なんだかこっちが勝手に疲れてしまっていて。なんかツラくてなー。フィッシュマンズのさとしんくんが亡くなって、その後の『闘魂'99』でフィッシュマンズの欣ちゃんが初めてスカパラで叩いて。その時に何だかほっとして、それ以来観に行っていない。

久々にライヴに行きたいな。と言ってたらスリルも久々にライヴをやると言う。メトロファルスもやるし、なんだか一周したかの印象(いや自分がな)。

まあいつもこっちの都合なんだけど。彼等はきっといつもいい音楽を聴かせてくれている。と思う。

レピッシュはどうなるんだろう。明日は大阪で、マグミ、恭一、タツの3人でライヴをすると言う。気になる。そして「さくらさくら」はもうライヴで聴く事はないんだろうか。「ヒゲパワー」のように。それは寂しいな。



2002年03月18日(月)
気になる名前

テアトル新宿で現在行われている『ドロップ・シネマ・パーティー』。今週末からのコラボレーション・シネマ Bプログラムで上映される『命の響き』の出演者の中に気になる名前。
[ドロップ・シネマ・パーティー]

篠崎誠監督が受け持ったクラスだそうで、かなり豪華なキャスト。田中要次さんとか森下能幸さんとか大森立嗣さんとか。なにげに青木富夫さんも出ている。その中に…こ、この名前は…。

同姓同名のホラー脚本家かも知れないし。いやきっとそうだよな。でも、ENBUゼミナール絡みだし、演劇畑と繋がりがないわけでもない。彼はよく演劇ぶっくに掲載されていたし…。

どうだろう。復帰したのだろうか。確かめたいけど怖い。でも観に行きたい。



2002年03月17日(日)
『彦馬がゆく―HIKOMA, THE HERO.―』

ネタバレありありです。

再演を観に行ったのはもう9年前(!)東京サンシャインボーイズ(TSB)の名作(つうかここのは全部名作だけどね!)『彦馬がゆく』の再々演。パルコ劇場はチケット確保出来ず、ル テアトル銀座での観劇。松重さんの舞台も何年振りだろう。松重さんのファンサイトで(お世話になっておりますー(私信))、昨年ご本人が「メリークリスマシ!この意味は来年になればわかります」と書き込みされていたんだけどやっとこれの意味がわかったよー!

三谷さんの脚本は、序盤何げに笑わせる台詞として語られていたものが、終盤「こ、こういう事だったのかー!」と涙ぶわーっ!となる事が多いのだけど、再演観てたのにも関わらずまた泣いてしまったさーああ泣いてしまったさ。今回は「おーまいがー」でキたね!これと「メリークリスマシ」、「シューズ!」「ハニムーン」は、松重さん演じる維新派の坂本龍馬が憶えてきた英語。戦火が神田家に迫り、皆が逃げ出すシーンで、家の床下から龍馬に贈られたシューズを「おーまいがー、おーまいがー」って言いながら抱きしめる小豆役の酒井美紀さんがかわいくてけなげでああ泣いたさー。

三谷解釈の坂本龍馬像は、観客に考えさせる事を多く含ませた、おいしいながらも複雑な役。結局のところ、龍馬が神田一家に近付いたのは、小豆と恋仲になったのは、政治的理由のみだったのか、それもあったけど神田家にも小豆にも悪意のみを抱いて接してたのではないのだろうなあと思わせてしまう辺り、憎いよこのー!それを松重さんがねえ、もうねえ(泣)うわー似合うんじゃー!あー大好きだー!着物にブーツがステキ過ぎるんじゃー!

登場人物が皆愛すべきキャラクターなのも大きな魅力。語り手の、ぼんやりしてるけど写真家の才能に長けていた神田家の次男金之介(筒井道隆さん=新撰組に勧誘されて泣いてる所がかわいかったー)、ダメダメでお調子者だけど憎めない長男陽一郎(伊原剛志さん=最高のバカキャラでした)、そんな長男が大好きなしの(瀬戸カトリーヌさん=声量が凄い!歌がうまい!びっくりしたー)、ひがみ屋の桂小五郎(梶原善さん=流石のTSB組おかしすぎ、ずるい(笑))、最期を悟って写真を撮りに来た時の、晴れ晴れとした笑顔が絶品だった近藤勇(阿南健治さん=同じくTSB組、げんこつ手品は健在)、イメージづくりに懸命だった西郷吉之助(温水洋一さん=同郷なんですよ…九州弁はすんなりヒアリング出来て笑かして頂きました)、百姓気質が抜けないで、さといもを神田家に送ってあげたりする優しさがあった伊藤俊輔(大倉孝二さん=ああ大好きだー!最高)、「僕って呼ぶな!」の高杉晋作(笑・本間憲一さん=ミュージカル・ダンスと畑違いの役者さんですが見事にハマッてました)。皆おかしいんだけど、自分の力ではどうにも出来ないもの〜時代の流れだったり、病気だったり〜に翻弄されてしまう。そこでまた涙が出ちゃうんだよう。

そして神田彦馬役の小日向文世さん。よかったよー。普段はホントにダメダメで、娘や息子にドヤされてばかりで、言いかけた事をすぐ「やっぱいいや」とやめちゃって、「それがまたイライラするんだよー!」と怒られて(笑)。でも写真家たるもの、政治に関係なく撮ってくれと来てくれたお客さんは撮る、現像版は大事に扱う、それが政治に利用されても、自分の家族が利用されていても。自分の仕事に誇りを持っている。『HIKOMA, THE HERO.』のサブタイトル通り、彦馬の偉大さを、偉大さと感じさせずにさりげなく描く。『笑の大学』の時の喜劇作家像にも思ったけど、これは三谷さんそのものなんだろうな。本人否定するだろうけど。それを小日向さんは、あのさりげない中にも芯のある優しさで演じられていて本当にステキでした。

しかし劇団公演とプロデュース公演との長所短所も考えさせられた。劇団だと、客演を呼ばない限り(特に大学の劇研出身だったりすると)劇団員の年齢層に開きがないので、老け役とか極端に若いひとの役がなかなかハマらない(演じ甲斐はあるだろうけど)。プロデュースだと役相応の年齢のひとでやれるから違和感を感じない。松金よね子さんの菊かあさんはステキだったなあ、こんな母ちゃん大好きだ!あとプロデュースだと単純にゴージャスになるね。今回の屋台崩しは派手だったなあ。1日2回公演の日はセッティング大変だっただろうなあ(笑)。キャストも(私的に)派手でよかった。大倉くんが舞台あらしにならずうまく馴染んでたし(つっても相当笑わせて貰いました)、それくらい濃いキャラが揃ってました(笑)。

でも、改めてTSBって本当に凄い劇団だったんだなあと思い知らされたのも正直な感想。何と言うのか登場人物の“間”が絶品だったんだよね。会話のテンポのよさも、お互いのリアクションのよさも。今回は誰が、という訳ではないけど、動きに無駄が感じられた部分もあった。

しっかし平均身長高かったなー。大倉くんがひとを見上げるシーンなんて珍しいよ(笑)筒井くんだって結構大柄なのにちっちゃく見えるよ。伊原さん184cm、大倉くん186cm、松重さん189cmだっけ?で、でかい…皆さん舞台映えして最高です。基本的にカーテンコールは1度と言う三谷組、観客が諦めないので(笑)連日の複数カーテンコールが続いているそうで、この日も2回。「ブラボー!」の声もとんで、皆笑顔笑顔で劇場をあとにしていました。



2002年03月16日(土)
ICC三昧

『メタファーとしての医学 芸術と医学展』@NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
『JAM:東京―ロンドン』@東京オペラシティアートギャラリー
ローランド・ブレナー+高島陽子『ENDSVILLE』@NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
『行為と相即するデザイン』展@NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]

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ICCはいっぺんにいろんなもんが観られるので面白い。しかしあんまり観るもんがあるので時間が足りず、今回は寺田コレクションに行くのは諦めた。


refちんに招待券を頂いた芸術と医学展。機能美は見た目の美しさにも繋がるもので、こういう展覧会もっとあってもいいのにな。単純に機材を提供してくれる企業が少ない、金がかかると言う障壁もいろいろあるようですが。ちっちゃい頃近所に廃業した病院があって、忍び込んだら機材ほっぽらかしになっていたので注射針とか貰って帰ってたりしましたが(今考えると結構怖い…なんでほっぽらかしになってたんだ?)コドモ的にもああ言う機材って憧れちゃうんだよねー。単純に樹脂とかガラスとか綺麗だし。

医療ものと言うと、個人的にまず思い浮かぶのが飴屋法水さんのM.M.M.〜テクノクラートプロジェクトなんですが。その頃からずっと活動をしているもとみやかをるさんの作品はファンシーな感じでかわいらしかった。井上リサさんの、外科器機をゴム手袋越しに触れる『Doctor's Hand 2002-1』が面白かった。器機が置いてあるケースの下にはカメラがあって、離れた場所にそれを映すモニタがある。遠隔治療を模したものだろう。CMでもやってるけど、こういうのって近い将来実現するものなんだろうな。『リンゲルの海』シリーズも綺麗でした。


JAM展は出展者43名。しまったもっと時間に余裕持ってくればよかった…。ぎゅうぎゅうじゃー、混み混みじゃー、時間足りないんじゃー。入口入ったらいきなり谷田一郎さんと田中秀幸さんなんだもの、その時点でもう順路が詰まっている(笑)しかも映像作品が膨大。一連のラフォーレCMやら電気グルーヴ、GTSのヴィデオクリップやらショートフィルム(プリンストンガもあったよ)やら…1プログラム何分あったんだろう?1時間近く観ていた(と思う)んだけどいつまで経っても1周せずタイムアップ(泣)。谷田さんの『暮らしの手錠』シリーズが不気味な笑いを呼んでました。

奈良美智さんのコワカワイイ作品群をニヤニヤ観ていたら、レディオヘッドの「ピラミッド・ソング」が聴こえてくる。なんだなんだ?と裏に回ると、シャイノーラディレクションのヴィデオクリップ作品でした。ここも凄いひとだかり。アンクルのものもあった。

ポストペット・モモファミリーとの記念撮影やグッズ売り場もあって(ファイナルホームもギャラリー外のショップで販売していた)、展覧会特有の「静かに観らんかい!そっと触らんかい!いや触んな!」的な威圧感がないのも楽しいもんです。遊園地とかゲーセンみたい。GW迄やってるそうなんでまた行きたいな。


ICCの常設作品はリニューアルされていて、三上晴子さんの無音室を結局体験出来なかったのが残念。いつ行っても外国巡回中で作品なかったんだもんよー(泣)。ジャグラーが残っていたのは嬉しかったな。新しいものでは、深澤直人さんの空に電話をかける『Personal Skies』と『魂の残る椅子』のセットが面白かった。椅子に腰掛けて、机上の電話をとる。電話のモニタにはいろんな空の名前リストが点滅している。観たい空の番号をプッシュすると、その空が上方スクリーンにゆっくりと映し出されると言う仕組み。で、席をたってもしばらくは、センサーがついていた椅子に座っていたひとの痕跡(着ていた服の柄とか皺とか)が残る。飽きなくて結構居座ってしまった。

初台ってICCと新国立劇場以外の用途で行ったことがないのだけど、周辺うろうろすると何かあるのかな。オペラシティを出ると、ファミレスくらいしかゆっくり出来るとこがないような…新宿にすぐ出られるし。いつも時間に余裕を持って来ようとしてるけど、オペラシティ内で遊ぶうちに時間がなくなる、うーむ。次に行くのは『「三人姉妹」を追放されしトゥーゼンバフの物語』かな。こ、今度こそ時間に余裕を…。



2002年03月15日(金)
観られるものは全部観た

大森南朋くんチェックも佳境でございます。

『緑の街』監督:小田和正
『三文役者』監督:新藤兼人
『白痴』監督:手塚眞

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映画の撮影クルー、映画の助監督、TV会社のスタッフ。お、なんか職業が被ってる(笑)。


『緑の街』は、ミュージシャンが映画を撮る話。監督の小田さんも1作目を撮る時こんな思いをしたのかな?結構極端にデフォルメしてると思いますが、いい話でした。「おてんとさん2つ作ってくださいよ」ってセリフが良かったなあ。大森くんは、現場の人間が監督の悪口言ってる中、「そうかなあ」「俺は面白いと思うけどな」などと何げに監督の肩を持ってました。なんかこの頃がいちばん体格いいような。髪ももさもさだしクマのようです。大柄なのでひとりだけフレームからはみだして頭が切れてるシーンがあっておかしかった。あとこれ、エンドロールも最後迄ちゃんと観よう!大森くん好きは特に!


『三文役者』は名バイプレイヤー・タイちゃんこと殿山泰司さんのお話だった事もあり?出演者も名バイプレイヤーが勢揃い。大杉漣さんと田口トモロヲさんのユニット(!?)ハージー・カイテルズが、ハージー・カイテルズ名義で出てるってのもおっかしー!ケンカしてるし(笑)。

タイちゃんは相当ダメ男。飲んべえだわ女にだらしがないわ。観ていて何度心の中で「飲んじゃダメえええええ!」と叫んだか。役者として一人立ちする迄支えてくれた内縁の奥さんを鎌倉においてけぼりにして、京都で若いコをつかまえて赤坂に連れて来て(このひとはこの後“赤坂の側近”としてずっとタイちゃんと暮らす)、怒った鎌倉に籍を入れられて、養女も貰ってきて、そうきたら赤坂も怒るでしょ、養子を貰ってくるんですよ…。なんか字面にするとフォローのしようもない修羅場だな〜。ああホントにダメな男だよ…そこが魅力なんでしょうけど。憎めないし。でも絶対そばにはいたくない〜(笑)。火の粉が降り掛かるのはイヤ〜!ってなもんですよ。

今はもう故人のふたり、実際に新藤監督作品で多数共演していたタイちゃんと乙羽信子さんのダイアローグは今となってはしんみりくるな。ふたりともどっかへ行ってしまった。そしてまだまだ現役の新藤監督はやっぱりエロい。そしてどこかが狂っている。

今回助監督役の大森くんは、ダメダメなタイちゃんを終始困り顔で、時には心配そうに黙って見送る姿が慎ましい。酔っぱらって説教たれるタイちゃんを、なだめるように団扇で仰いであげてる仕種がいいカンジでした。新藤組の助監督で、後に『ひめゆりの塔(1995)』『宮澤賢治―その愛―』等を撮った神山征二郎監督がモデルだったようです。


最後の最後迄ひっぱっていた『白痴』は…えーと、あのー、観たひと観たひとからその…話を聞かされてたんで…借りるのを躊躇してまして。でも大森くんが出ているなら!それに美術が恒松正敏さん(フリクションでの活動はあまり詳しくはないけど、絵描きの彼は大好きでねえ。サイン入り画集持ってますよ…)だったので、それも楽しみではあったんですが。うふふふふ。

なぜにあのシーンで「キエフの大門」をまるまる使うんだろう。画ヅラも曲も独立させるといいものなのになあ、浅野忠信くんも甲田益也子さんもとっても美しかったし(甲田さんて全然見かけが変わらないよ…不老族だ)。好きなものばかり集めたからと言って面白いものが出来るわけでは…やっぱり構成と編集って大事だよ…。恒松さんの絵は、キチガイと白痴の家の、屏絵と家具に使われていた(キチガイの描いた絵と言う設定)。照明が暗めであんまり見えなくて残念。あのタンスほしい。

大森くんは終始泣きそうな顔で原田芳雄さんの説教を聞いていました。大きな身体を出来るだけちいさくして((C)丙チン)な!なにげに登場人物全員メイクが濃くてヴィジュアル系です。シャイニーなメイクでギャル顔な!

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あとは『ざわざわ下北沢の、できるまで。』と『カルテット』と短編か。ざわざわメイキングは、シネマ下北沢で本編とパックになって上映されていたものらしいけど、レンタルビデオとかは出ていないのかなー。出てないならどっかで観られる機会はないかなー。DVDとか出れば特典で付くかも知れないけど。あとはどっかの映画館にかかるのを探すしかないか。

そして次々と明らかになる新作情報。アイドルオタクだったり日系ブラジル人だったりもう大変ですよ!まずは明日からの『害虫』が楽しみ。



2002年03月13日(水)
役者か演出家か

現在チケットをとろうかす〜ごく迷っている公演がある。

大好きな役者さんが主役で出るのだが、作家と演出家が苦手なのですよ。今迄何度も観てるけど(「今回のはたまたまハズレで、次は面白いかも!」って感じでついつい…しかもまたいいキャスト組むんだそこが)、面白いと思えた事がないんですよ。

映画にしても演劇にしても、自分は演出家で作品を選びがちだ。全然知らない役者ばっかり出ていても、演出家が信用出来るひとだと観に行く事は多い。先日の『マルホランド・ドライブ』とかは正にそれで、「デイヴィッド・リンチ監督作品なら面白いだろう」と、警戒心なくほいほい行ってしまった。実際大アタリで。塚本晋也監督作品もそうだな。塚本さんとこは、「僕はネチネチネチネチ撮るので(笑)現場が長い。主役級には拘束時間に余裕のあるひとを選ぶ」と言う理由もあるそうだけど、スクリーンには魅力的な面構えをした人物が映っている。それが初めて観るひとであっても。

が、好きな役者が出ている作品となると、なかなか…演出家によっては腰が重い。なんだろ、そりゃないよ〜な使い方されてガッカリするのが嫌だからかなあ(悪役とかが嫌って事ではないです)。あ、でもそれって、裏を返せば役者至上主義って事か。

役者の力があれば何とかなるっつーひともいるけど、ならないもんもありますよ。相性もあるし。とはいえ自分が好きな役者と演出家が組んで、面白いものが出来ても、役者はその演出家が嫌いだったりって事も多々あるんだよね…いや別に、仲良くやれとは言いませんけどね…。

昔筧利夫さんが、とある舞台に出た時に、演技プランについて演出家とぶつかって、演出家が「ここは私が責任をとるから」と言ったところ、筧さんが「でも実際失敗したら、舞台上で座布団投げられるのは俺なんですよ」と応えた、と言う話をよく思い出す。ごもっともです。

迷いつつも申し込んだ優先がことごとく抽選漏れして、これは行くなと言う事か?と思いはするものの…いよいよ今週一般発売。どうしようかなあ。



2002年03月10日(日)
歩けば腹も減る

『Soul Containers-1』展@art cocoon

中山ダイスケ・八谷和彦・割石ヒロミ・片桐飛鳥・三宅道子(敬称略)のマネジメントを手掛けるart cocoonの展覧会。前日に引き続きteam_omoriで用賀へ出かける。

現在N.Y.在住の中山さんの作品を観るのは、昨年の小沢剛さんとのタイマン勝負展『クロスカウンター』以来。9月11日の事があった時、安否がとても心配だったが、何だか恐ろしくなって自分から情報を探す事が出来ないでいた。彼のプロデューサー/ディーラーの上沢さんとはメールのやりとりをさせて貰っていたが、彼女も海外出張が多い身、もし…と思ったら怖くて連絡がとれない。そのまま半年(もうあれからそんなに経つのか…)が過ぎていた。

年明けにケンイシイさんのweb日記で「中山くんにプロレス会場で(笑)会った」と書いてあったので、帰国してるんだ、無事だったんだと安心した。続いて先日、入会しているMLに、中山さんのインタビューが掲載されるとの知らせがあった。

[TOWN ART GALLERY]『目には見えない絵』中山ダイスケ

ようやく上沢さんに連絡する勇気が出た。丁度事務所を開放して、上記のグループ展を開催するいいタイミングだった。

作品を観せて貰いながら上沢さんに話を聞く。現場の近くに住んでいた中山さんは、2機目が突っ込むところも、ビルが崩落するところも肉眼で見たそうだ。この事件が、作品に影響を及ぼしている自覚もあるとの事。実際、帰国していた先週描き残して行ったと言う最新作は、偶然ながらも昨年の夏から描き始めていたと言う、燃える建物シリーズのものだった。今年の秋にグループ展を日本で開催するそうなので、今後どんな作品が出来ていくのか興味もあるし、それを興味として観てもいいものかと言う迷いもある。楽しみではある、でもそれは楽しみとして感じていいものなのだろうか?これはあくまでも自分の都合だが。

中山さん以外の作品は、初見の三宅さんのものが面白かった。ガラス作品。横須賀市から依頼されたと言う瓶のリサイクル作品や、廃棄物だった加工ガラスの崩壊を展示するプロジェクトなど、テーマの面白さと見た目の美しさが楽しい。八谷さんのエアボードのフォルム縮小模型などもあった。触っていいと言うので3人でベタベタ触る(笑)。やっぱり作品って、保存上の事もあって触れないものが多いのは解るけど、実際手に持てると嬉しいな。

3月9日と10日は『サンキューアートの日』だそうで、Jimbo Yukiさん手作りのクッキーサービスがあった。う、うまーい!販売もしていたのでお土産に購入。うまいんじゃーうまいんじゃー。ジンジャーティーも頂いて、長居しつつくっちゃべる。何故か山崎まさよしの話で異様に盛り上がる(笑・いや真面目な話もしてたんですが)。

art cocoonへ行く前に、大森くんがモデルのエキシビション『STRUCTURE』が開催されたEX'REALMのカフェでお昼ごはん。テーブル席がいっぱいだったので、奥のVIP席みたいなとこに通される。居心地いい〜。ごはんもめっちゃうまーい!何故か手塚治虫作品の話で盛り上がる。

夜は吉祥寺のまめ蔵で夕ごはん。うまーいうまーい。何話してたか忘れたけど盛り上がる(笑)。食べ歩きの様相を呈しつつ、濃くて楽しい2日間でしたん。



2002年03月09日(土)
歩けるもんだのう

『PJ全国映画祭博覧会』@テアトル新宿

2週連続でテアトル新宿のオールナイト。refちんが丁度上京していたので、team_omori全員集合。新宿TSUTAYAのオモロ品揃えを(ホント他の所にはないもの揃ってて有難いです)満喫して、スカラ座をはじめとする歌舞伎町イチ巡りから飲み会>会場へ。

この日は申し訳ないけど大森くん出演の『MSTRBTN』と松岡俊介監督のトークショーを観たら早退させて貰う。元気があれば自分もマニアックラブへ行きたかったんだけど、どうにも体調が元に戻らないのでcycleは諦める。ああYAMAさんのDJ聴きたいよー。とは言いつつくっちゃべりながらテアトル新宿〜青山の骨董通り迄徒歩で行ってしまう。意外と歩けるもんだね(笑)3人でオモロ話を延々話しているうちにいつの間にか着いてしまったよ。そこから私だけウチにタクシーで帰ると言うアホっぷりを晒してしまいましたよ!意気地なしでごめんよ!つうか体調戻ったら遊ぶんじゃー、クラブも行きたいんじゃー。

さて『MSTRBTN』ですが音響が不明瞭で台詞が聞き取りづらく(英語字幕が意図的に入れてあったので、台詞もわざと聞き取りにくいようにしていたのかも知れない)「うわ、参ったな」と思っていたところ、一ヶ所「Do you like Nick Cave?」て字幕があってえっ!と座席から腰が浮きかける(笑)。台詞ではニックのニの字も言ってなかった筈だけど何!?どういう事?ニックがどうしたの!?つうかニックもう日本に来ないの!?来てよー!……はあはあはあ、本筋と関係ないがな。

大森くんは序盤の日比谷公園のシーン(これは私服なのか気になるわー。キャスケット似合うよね!)と結婚式でピアノ弾いてる(メガネっ子)シーンに登場。日比谷公園のシーンは手持ちカメラの一発撮りっぽい構成で、公園の各所で流れている音楽(生演奏だったり、ラジカセから流れているものだったり、集団の歓声だったり)がうまく1曲に繋がるつくりになっていて面白かった。本物の照井さん(ex.BJC)が出てウッドベース弾いててオイシかった。あと北村一輝さんがなにげに出ていてラッキー。

いきなり暖かくなったのでついつい新宿〜渋谷が歩けてしまったような…。もう春ですかね。



2002年03月02日(土)
テアトル新宿の向かいのコンビニっていつ出来た?

『QRANKY's ALL NIGHT #1』@テアトル新宿

●『17才』監督:木下ほうか
●ゲストトーク・バトル
●短編1『ナオと僕』監督:猪俣ユキ
●短編2『8・15〜ハッテンイチゴウ〜』監督:堀江慶
●短編3『秋晴レノ夜』、『MOMO』、『パチンコ・ファイト・クラブ』、『CALLING LOVE』監督:木下ほうか
●『sWinGmaN』監督:前田哲
●『ラブ&ポップ』監督:庵野秀明

邦画専門誌『QRANK』創刊記念イヴェント。オールナイトなのに立ち見も出る盛況で、関係者も沢山いらしてました。井筒和幸監督もいらしてたのには感動したよー。本物だー。今日は自腹じゃないよね(笑)前日の『虎ノ門』で『マルホランド・ドライブ』を斬っていたのを思い出してニヤリニヤリ。面白かったよね!

『QRANK』創刊号で特集を組まれていた『17才』は、猪俣ユキさんと三輪明日美さんが中心となって作り上げた作品。前日に初号が上がったという、ホントにギリギリの完成だったそうで。現場はかなり大変だったみたいですね…勢いで作れてしまうパワーは凄いし、その歳にしか出来ない事だと思うし、出来上がった作品もその時にしか撮れないものが映っていたと思う。そういう意味では貴重なものを観た。このひとたちが歳を経る毎にどんなものを作っていくかって言う興味もある。是非とも続けてほしいです。

ゲストトークバトルは、ほうかさん、三輪さん、猪俣さんに、司会は『17才』に製作で参加、監督作『グローウィン グローウィン』の公開を控えている堀江慶さん。『17才』を作る事になった経緯や現場の様子などをお話。飛び入りで大森南朋くん(ラッキー!)に宮崎あおいさん、抽選会のヘルプに三輪ひとみさんとあとひとり…誰だったっけ、ごめん失念。とは言え場の流れ的に大森くんとあおいちゃんは発言の場があまりなくどんどん舞台奥に後ずさり気味、しまいには大森くん、マイクを通して「あの、僕帰ってもいいですか」などと訴える始末(笑)。いやーそれにしてもあおいちゃんかわいいわ。腕脚長いわ。顔ちっちゃいわ。『害虫』『パコダテ人』楽しみだわ。そうそう、『パコダテ人』と『sWinGmaN』の前田哲監督も客席にいらしてたんですが「出てこなくていいです」とほうかさんに釘を刺されてました(笑)。

この日来たのは短編『パチンコ・ファイト・クラブ』に大森くんが出ていたから。短編も短編で、3分くらいの作品だったんですけど(笑)面白かった!この作品とトークの内容に関しては、近々[Joyride]の方にアップします。

短編ものでは堀江監督の『8・15』が面白かった。小日向文世さんが出ていたのもポイント高い。『グローウィン〜』はチラシで見て内容的に気になっていた(同時期公開される園子温監督『自殺サークル』と何か…ちょっと環境が似ていそうなのでこっちも気になる)。この日『8・15』を観て、信用出来そうな気がしてきたので『グローウィン〜』も観に行こう。

『sWinGmaN』はスクリーンでは初見。ビデオの時より集中して観られた。『まぶだち』に出ていた沖津和くんも、あおいちゃんもまだ顔が若い、つーか子供(笑)。かわいい。

『ラブ&ポップ』は初見。面白い。脚本のとらえどころもいいし、全編デジカメを使った撮影、仰角がやたら多いアングルも、アイディア勝ちと言う感じ。が、が、その分手ブレも凄いのね…酔うのね…オールのラストに観るにはこれはツラい!途中から気分悪くなってしまって…オエー。でも面白いので目は離せなくて…一種苦行(笑)。主人公が会う男たち〜吹越さん、手塚とおるさん、浅野くん、渡辺いっけいさんのキャラクターがかっちり出来上がっていて、でもステレオタイプな感じではなく、どっちに転ぶか判らない緊張感がよかった。とおるさん気持ち悪い男させると最高だよね(笑)。吹越さんが作る料理のドレッシングのレシピが非常に気になる。ウチでも作ってみたい。

なんかこのイヴェント、ある意味木下ほうかさんナイトだったよなー。出演に監督に大忙し。上映された中で関わっていないの2本だけだし。現場も仕切っていたしね。お疲れ様でした。あーやっぱ顔が痒い。要は夜遊びがダメなのか!?(泣)