doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 高橋竹山、三味線との一人旅

5枚組CD『復元 幻の「長時間レコード」山城少掾 大正・昭和の文楽を聞く』が、10/28に紀伊國屋書店から発売された。
【演奏者】浄瑠璃 二世 豊竹古靱太夫(のちの山城少掾、当時49〜50歳)/ 三味線 四世 鶴澤清六(当時38〜39歳)
【製作年代】大正15年〜昭和2年発売
【価格】12,000円

何日か前に『TOWER.JP』でチェックしたところ、本作が20パーセント引きで売っていた。2割引きなら今月下旬辺りに購入しようと思っていたのだが、本日(11/10)『TOWER.JP』で改めてチェックしたら、「販売していません」との表示。今さら定価で『Amazon.co.jp』などで買うのも損した気がするし、購入は当分先となりそう。

「つらいことは忘れない。楽しいことは忘れるものですよ」

ボサマ(坊様, 盲目の男性の門付け芸人)のホイト(乞食)芸から出発した津軽三味線の名人・高橋竹山(1910−98)は、事あるごとに門付け(旅において家を一軒一軒まわり、門の前で三味線芸を見てもらい、報酬として米やお金を貰う)のつらさを語っている。

17歳から始めた門付けは、生まれ故郷の(青森県東津軽郡中平内村字)小湊から始めたのですかとの鈴木健二の質問に、「小湊だけは歩きません。17、18の若者で外見を気にする年頃なのに、『竹山、袋下げて米やお金をもらって歩いているわ』と笑われ、恥ずかしいだけ。【ここで鈴木健二が失礼にも笑い、冗談のつもりか「お国土産」とも言う】 そんなもんじゃありませんよ。香水の匂いのする年頃の娘さんがいる家に門付けに行き、(物乞い芸で得た物を入れる)袋下げてお金もらうんですから。あんたら今聞けば面白いとか可笑しいって笑うかもしれませんが、そういう身になってごらんなさい。どんなに話をしたって分かりませんよ。並大抵のものじゃない。つらいものですよ」

11/4(土)AM11:40〜11:50にNHK総合テレビで放映された『NHK映像ファイル あの人に会いたい 「高橋竹山」』を偶然にも途中から見る。NHKが所有するいくつかの映像を編集して構成されたこの番組では、『気くばりのすすめ』の著者で、元NHKアナウンサーの鈴木健二への受け応えが特に印象的だった。
この高橋竹山を囲んでのインタビュー映像は、DVD『高橋竹山その人生 音は枯野をかけ廻り』&『高橋竹山独り語り 三味線は津軽の匂い』(共に2001年発売)にも一部収録されているが、鈴木健二の映像と発言&失礼な笑いはカットされている。

2006年11月10日(金)
TOP Antenna MAIL About