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2026年04月29日(水)
『ソング・サング・ブルー/Song Sung Blue』

『ソング・サング・ブルー/Song Sung Blue』@シネクイント スクリーン1

観てきた! エディほんと全然似てなかったけど仕草はかなり寄せてたしすごいいい役回りだったしパールジャムの曲もシーンにぴったりだったし、エンドロールではニール・ダイヤモンドと一緒に謝辞も! そんで音楽は救命具になるってエディが常日頃いってることだよね…😭『ソング・サング・ブルー』

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— kai (@flower-lens.bsky.social) Apr 29, 2026 at 19:44

日本語表記だとニール・ダイアモンドみたいですね。ずっとダイヤと書いていた。

映画館で予告編は見てたんですが「へえ、実話なんだ。ヒュー・ジャックマンの髪型が時代を感じさせるなあ、70年代くらいのお話かな?」くらいの印象だったのです。そこへ「エディ・ヴェダー来日のタイミングで公開されるなんて」と今作を紹介している方のツイートが流れてきて、初めてエディ(の役)が出てくると知り、慌ててチェック。SNSのいいとこ〜! 有難う有難う。

その紹介されていた内容というのが、「『Vitalogy』ツアーのとき、エディがオープニングアクトを依頼して…」というもの。そこで「え、90年代の話なの?」と混乱。パールジャムの『Vitalogy』ツアーは1995年なのです。改めて調べてみると、米ウィスコンシン州ミルウォーキーで1989年から2006年迄活動していた、ニール・ダイアモンドのトリビュートバンドであるライトニング・アンド・サンダーの物語だったことがわかりました。

彼らは所謂“歌マネ”エンターテイナー。遊園地やイヴェント会場で、それぞれ別のアーティストをカヴァーしていたマイクとクレアが出会い意気投合、ライトニング・アンド・サンダーと名乗り活動を始めます。マイクがライトニング、クレアがサンダー。歌マネアーティスト仲間に声を掛けバンドを結成、衣裳やヘアスタイルもニールを踏襲し、オリジナルへの愛情溢れるパフォーマンスが評判に。彼らは地元の人気者になっていきます。そんなある日、クレアが悲劇に襲われます。

こうだったらいいのに、という脚色が若干あります。これもある種のファクション(ファクト+フィクション)。クィーンの『ボヘミアン・ラプソディ』がいい例ですが、伝記映画ではよくある手法です。しかしそんな脚色は些細なことだと思わせられる程、マイクとクレアの歩んだ道は波瀾万丈。映画では20年弱の出来事を2時間ちょっとに圧縮しているので、展開も早くそして濃い。次から次へと幸福が舞い降り、次から次へと地獄に突き落とされます。

ベトナム戦争、ステップファミリー、医療保険、アルコールに処方薬物依存とアメリカ現代史の影をなぞるように生きるふたり。それぞれ副業を持ち、生活費をやりくりし、ヤジや乱闘もあるような会場で演奏することもある。それでも彼らは音楽を愛し抜くことで、何度でも人生を取り戻す。トラウマと向き合い、依存と戦い続け、新しい家族と信頼を築く。再起のきっかけとなったタイレストランのオーナーとの交流に象徴されるように、音楽が生きる支えになることを見せてくれるのです。

歌マネエンターテイナーは、オリジナルに忠実であり乍ら、オリジナルとは別の人生を生きる。バンドに参加する50代のバディ・ホリー、素敵だったな。彼は20代で亡くなったバディのその後を生きた。ガレージで練習するバンドを怪訝な顔で見に来ていた近所のおばあちゃんが、最後のコンサート会場にいるという演出も粋。チラッと映るだけなんだけど、「あっ、あのおばあちゃん!」と胸がいっぱいになりました。生活と共にある音楽、地元の人々に愛される音楽。演奏する側も聴く側も、いつでも傍に音楽があるのです。

ヒュー・ジャックマンもケイト・ハドソンも素晴らしかった。歌唱も本人たち! ジャックマンの歌唱力は他作品で拝聴しており知っていましたが、ハドソンの歌もめちゃソウルフル。よかった……ライヴでのパワフルな歌唱、葬儀での独唱。どちらも強く心に残りました。そしてエディのパートですが、めちゃくちゃいいエピソードでした。そもそもはこの映画がつくられるきっかけとなった同名のドキュメンタリー映画で、ニールの楽曲の使用許諾に協力したのがエディだったそうです。エディはかつて「ロックンロールは俺にロープをくれた。首を括るためではなく、しがみつくためのロープを」と話していました。最近のインタヴューでも「音楽は救命具になる」と発言しています。使用されたパールジャムの楽曲は「Alive」でした。

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・The true story behind 'Song Sung Blue,' about Lightning & Thunder┃Milwaukee Journal Sentinel - Milwaukee and Wisconsin breaking news and investigations
映画公開にあたり、ライトニング・アンド・サンダーの活動、マイクとクレアが辿った人生について書かれた記事。地元紙だけあって詳しい。クレアは今でも唄っています。

余談。ニールの「Sweet Caroline」を知ったのは2019年でした。
・MANICS、Rugby World Cup 2019を行く

「マニックスじゃなくて結婚式用の選曲だよ!」とジェイムズが唄い出したら、私の後ろにいたひとが「うお、『Sweet Caroline』じゃん!」と一緒に唄いだしたのです。


「スウィート・キャロライン」はラグビーをはじめ、野球会場でも唄われるアンセムなのだそう。という訳でラグビーファンもマニックスファンも『ソング・サング・ブルー』を観るといい〜。本編ではマイクが「『スウィート・キャロライン』意外にもニールにはいい曲が沢山あるんだ!」って唄うの渋るんだけど、いいものはいいんだよ! と周りに勧められ最終的にはレパートリーに入れるのでした(にっこり)。