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2026年01月21日(水)
『28年後… 白骨の神殿』

『28年後… 白骨の神殿』@TOHOシネマズ新宿 スクリーン11

私もレイフファインズのように困難な世をDIYで日々乗り切り、音楽を愛し、ひとに優しくいたいと思いました…って何、めちゃめちゃいい話だったよ!? 途中すっごいツイストするけど!? なんだったのあれ🤤最高か(ポスター撮ったらうまいこと十字の光みたいなのが入った)『28年後… 白骨の神殿』

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— kai (@flower-lens.bsky.social) Jan 22, 2026 at 0:24



『28』シリーズは、ジェレミー・レナーが出ているからという理由で『28週後…』だけ観ています。DVD鑑賞だったので感想書いてないけど、これもとても面白かった。非常時の人間性が露わになるというか……感染者を封じ込めるために街ごとナパーム弾で焼き尽くすシーンが今でも忘れられない。非感染者もろとも焼いちゃう。ああ、こうやって火が拡がるんだ、悠長にバケツリレーなんかやってたら丸焼けだわと納得させられるだけのリアルな恐ろしさがありました。

今作は『28日後…』『28週後…』『28年後…』に続く4作目。『28年後…』だけで2作あるんですよね(ややこしい)。そして『28年後…』は三部作になるということで、次回があるようです。レイフ・ファインズが出ているからという理由で、前作を観ていないまま映画館へ。というかレイフは前作にも出てるんだけど見逃したままです。

一応基本知識として、今シリーズの「ウイルス感染者」は所謂「ゾンビ」ではなく、通常のゾンビ(何それ)とは違い死んでません。病人なのよね。だから治療法さえ見つかればなんとかなる筈なんだけど、感染から発症のスピードがあまりにも早いので医療が追いつかず、感染源を閉鎖・隔離するしかない。世界から見捨てられたイギリスは、文明も産業も28年前で止まったまま。これがわかっていれば話に乗れる。

という訳でなんだなんだというシーンから始まりますが、まあ大丈夫。ちゃんと流れは掴める。こんな荒廃した世界では、力のあるひとについていけば喰いっぱぐれないし、逆らうことは出来ないよなあ。で、こんな世界になっちゃったら、こういうエセカリスマが出てくるよなあ……と思っていたが、あれ? こいつなんか見憶えがあるな……ジミー・サヴィルじゃん! イギリスのジャニー喜多川! そうとわかるくらい見てくれを寄せてる。髪型、服装、間違いなく彼を連想させる見た目になってる。大体名前もそのまんまジミーじゃねえか、最悪だ。

暗澹たる気分になる。子どもが生き延びるためにはこんな大人に支配されるしかないのか。そんでこんな環境にいたら、そりゃ理性も倫理もバグるわな。この子たちに知識を得られる機会があれば、道徳心を育む場があれば……。あー世も末だ。早くこいつに罰が下されないかなー。死なないかなー(ヒドい)。いや、死んだら苦しまなくて済むようになるから、「死んじまえじゃなく生きちまえ」(©松尾スズキ)だなー、一生苦しめ。と念じ乍ら観る(もっとヒドい)。

一方レイフ演じるケルソン医師は、あばら屋で暮らし、日々薬を調合し、レコードを聴き、書物を読み、死者を弔い、その骨で神殿をつくっている。……と書くとつましい暮らしのようですが、この神殿の規模がまあすごい。こんだけ死んだんかとも思うし、それをひとりで全部つくったこのひとも相当ヤバいというか常軌を逸してるんですが、まあこんな世の中なのでな。そんなある日、ケルソンはひとりの感染者と出会います。その風貌からサムソンと名付けられた彼は、ケルソンの投薬により凶暴性を抑制することが出来るようになります。ケルソンは医師の観点から、サムソンの治療が可能なのではないかと思い始め……。

ケルソンのキャラクターがとにかく魅力的。医師としてはそれかなりヤバくね? と思うところもあるけれど、こんな世の中では(こればっかり)安息を得るためモルヒネ使い放題で何が悪い! 一周まわってこんなニンゲンになりたーい! と思わせてくれます。音楽の趣味も最高。イギリスは28年前でカルチャーも止まっているので、ケルソンのレコードコレクションには新譜がない訳よ。Duran Duran大好きっ子なのよ。もう好感度爆上がりですよ、彼が若い頃から愛聴してたものなんだなあなんて思って。それを日々おうちでかけてふんふん唄ったり踊ったりする。その昔鴻上尚史にとんでもない音痴だとバラされた(『ドン・キホーテの休日』参照)レイフですがそんなことないわよ! おうたもダンスも素敵よ! ジミーズを迎えたお祭り(!?)ではIron Maidenかけちゃう。PAシステムを自作! 火を使った演出も自作! 魔法の粉(?)も自作! 久々の来客がうれしくて張り切ったんだなーってのが伝わってきて泣いちゃう!

ジミーズは爆音のなか踊りまくるケルソンをポカーンと見ているのだけど、途中からハイになって笑っちゃう。ワタシこの子らと同じ顔で観てたわきっと……。この子たちも心の底から笑ったのって久しぶりだったんじゃなかろうか。そう考えるとまたせつない。

そんなこんなでケルソンとカリスマが対決、色々あって決着。カリスマのトラウマも昇華される。彼も幼少の心の傷がなかったらこうはならなかった訳で……テレタビーズのエピソードが切ない。あんなに「生きちまえ」と思っていた彼も、もとからこんなだった訳じゃなかったんだよ! あんなとかこんなとかばっかりいってますが! 総じてニンゲンは憎らしく、同時に愛おしいものですね。ジャック・オコンネルのド怪演、素晴らしかったです。

それにしたって「こんな世界」は今と地続き。現実も世も末。『28週後…』を観たときよりもその思いはより強くなっている。人間が人間であるためには、“知識を得て、心を開き、自転車に乗れ!”とSOUL FLOWER UNIONの歌を口ずさむばかりです。ニンゲンを諦めず、ちいさなことからひとつずつ。涙。

ところでレイフ以外のキャスト知らずに行ったんですが、最後の最後にキリアン・マーフィーが出てきてたまげた。えっこれは次回の布石? いや次回ってか一周まわったのか(キリアンは『28日後…』の主役)……そう考えるとウワーンてなるな。『28年後…』第3作がどうなるのか楽しみになりました。ニンゲンを信じたいよー!

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・「外国人」がじつは「日本のカラオケ」に対して不満に思っていること(鴻上 尚史)┃外国人が見たニッポン 現代新書
鴻上さんここでもレイフのカラオケ話書いてた、アルメイダ劇場が来日したときのエピソードです。よっぽど印象に残ったのでしょう、「ホテル・カリフォルニア」を唄うレイフ・ファインズ……同席していた真田広之さんは椅子から滑り落ちそうになった、とのこと(…)