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kai
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| 2026年01月25日(日) ■ |
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| 将門塚と菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール |
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菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール コンサート2026@大手町三井ホール
大手町三井ホールって初めて行くな、どこだっけと調べたら平将門の首塚のお隣さんだった〜そして皇居ビュー 「魚になるまで」ってPTAでは初演だっけ? いやー素晴らしかった(いつも素晴らしいが)
[image or embed] — kai (@flower-lens.bsky.social) Jan 26, 2026 at 0:28
ホールが入っているOTEMACHI ONE(三井物産ビル)、散歩で何度か行ってたとこだったわ。将門塚にもその都度お参りしている。人一倍宗教とスピに厳しく伝承と信仰を重んじる人間なので、お参りはちゃんとするんです。
----- 菊地成孔(cond/sax/vo/perc/cdj)/ 林正樹(pf)/ 鳥越啓介(cb)/ 早川純(bdn)/ 堀米綾(hpf)/ 田中倫明(perc)/ 大儀見元(perc)/ 牛山玲名(vn1)、田島華乃(vn2)、舘泉礼一(va)/ 関口将史(vc) -----
2026年のPTA、最初の仕事は将門の鎮魂から(違う)。この時期のコンサートというと雪のBLUE NOTEを思い出すなあ。冬に聴くPTAは格別。
カンファレンスホールとしても使われる(というか場所柄そっちがメインなのか)会場ということもあってか、座席が可動式。前方のブロックは平場にパイプ椅子を並べた状態で、段差がない。前列に大柄の男性が座ったので視界がかなり分割されてしまったが、真正面かつ立奏の鳥越さんはガッツリ見えた。無理せず見えたのは林さん、菊地さん、大儀見さん。懸命に首を伸ばして見えたのは早川さんと田中さん。堀米さんとストリングスの4人はほぼ見えず(泣)。音はよかった!
『天使乃恥部』のリリパ(1日目、2日目)以来のPTAだったので、鉄板のセットリストをリラックスして聴けた。とはいうものの、ここ数年クインテットのレパートリーだった「魚になるまで」をやったのにはシビれた。SNSでご本人が予告していたので「ええ、あれをオルケスタの編成で!?」と楽しみにしていたのだが、いやこれがまた最高だった。ストリングスが入るとエレガンスが増す! リリックの怖さが際立つ! 夜の高速マジ怖い! クインテットのスリリングさとは違う肌触り! なんというかリンチの映画を観ているような(それはあなたが先週『インランド・エンパイア』を観たからでは)……しかもそっから「CARAVAGGIO」に繋げよった。おおお! 「京マチ子の夜」アウトロや「Killing Time」のアウトロ、「ルペ・ベレスの葬儀」導入の早川ソロ(「東京-ブエノスアイレス」の変奏かな)前に「Le Rita」を挟み、展開が増えていたのも新鮮。メンバーが固定されている強さは柔軟性を生み、瞬間瞬間の揺らぎ=訛りが楽団全体でほぼ同時に起こるという光景を何度も目にする。「Killing〜」のブリッジ後って、以前はズレてしまったらリカバリに時間がかかっていた記憶があるけど、今は「そういう構成」として聴けるものになっている。
それにしても今夜の鳥越−田中−大儀見ラインは恐ろしかったですね。いつもだが。3人とも満面の笑みで。田中さんと大儀見さんがやり合ってるとき、鳥越さんが「このひとたち何やってるのよ……」と吹き出したりもしていた。ここに林さんがハンドクラップで加わるのも楽しい。といえばこの日の林さん、ソロをはじめ全体的にリズム感が変わっていてその都度瞠目。
『New York Hell Sonic Ballet』ってエポックだったよなあ。林、早川、鳥越の三氏(菊地さん曰く同期)が揃ったことが、このオルケスタが続く要因のひとつになったように思う。林さんと鳥越さんの「楽団のリズムを体得した上でどれだけ遊べる(=自由に演奏が出来る)か」具合、この10年で大化けしましたもんね。そのおかげで(?)腕を買われて皆さん売れっ子になっていき、スケジューリングが難しくなるのだが。菊地さんが「自分は何も頭抜けたものはないが(謙遜)、こういう素晴らしいミュージシャンと出会える才能を持っている」みたいなこといっていたけど、それは慧眼というんだよ! あとこんな猛獣みたいなひとたちをまとめられる才能が頭抜けてるだろう! えっそれって猛獣使いってこと? まあ菊地さんが猛獣だからな(真顔で)。
それと近年つくづく思うのは、クラシックの演奏って同じ楽曲でも指揮者によってエラい印象変わったりするじゃないですか。それだよ(どれ)! 楽譜は残る、楽器もPAシステムも残る、でもこの演奏は今ここにいる指揮者と演奏家でしか生まれないもの。このスリリングな「合奏」を、他の誰で聴けるというのだ。PTAの楽曲は将門塚のように遺り続けてほしいものですが(無理矢理繋げる)、こんな指揮者のふたり目なんていつどこに出現するんだよ〜。
なんてことをいつにも増して痛感したのは、年齢の話から田中さんが「あとどのくらいやれるかな、いつまでやれるかな」なんていい出したから。それを受けた菊地さん、「わかる、俺もそう思うもん」。その後近年の鉄板MC、養子になりたいネタに移行して笑わせてましたが、時折ふと入るこういう会話に切なくなってしまう。田中さんはジャパニーズサルサのオリジネイターですが、その話から「本来のサルサマナーと違うなーって思い乍らやってるでしょ」「そう、翻訳し乍らやってる感じ」「でしょ? ごめんね変なのやらせて」みたいな会話も興味深かった。そのジャンルが日本に輸入された黎明期に現場にいて、それが日本独自の文化とミックスされていく歴史を目撃とともに体験し体得している演奏家が、この楽曲を演奏するからこうなるんだよ。他に誰がやれるっていうんだよ。こうとかそうとかばっかりいってるが。という訳で歴史だいじ、積ん読のこれもいい加減読まな……。
・『欲望という名の音楽 狂気と騒乱の世紀が生んだジャズ』二階堂尚┃草思社
御多分に洩れずPTAも中国公演が中止になったそうで、その分日本公演が一本増えたとのこと(夏にスタンディングだって。楽しみ)。昨春のNKDS中国ツアー(北京、上海)はとても盛り上がったそうなので、PTAでも行ければよかったのにね。珠也さんなんて秋にも北京に行って、その現場で公演を中止にされちゃったんだよね…半年でこうも状況が変わるなんてなあ……。その話の流れで「この楽団のメンバーを全員揃えられるスケジュール組むのがどんなにたいへんか判るでしょ? 7日間押さえられるなんて奇跡だったんだよ! スケジュールは林さんと鳥越くんが握っている! 俺のスケジュールは林さん次第!」とかいい出してウケた。そこから「家で『徹子の部屋』観てたらゲストが小野リサさんで、ピアノが置いてあるからま、まさか……と見てたら林さんが! 林さんが出てきた! 『徹子の部屋』に林さんが! 俺ひとりで部屋でひっくり返った!」とかいう話になってなおウケた。林さんは終始ニコニコと困った顔をしてた。林さんいじりも恒例になりつつある。
つーか7日間押さえてたってことは複数箇所まわるんだったんだろうなあ。残念ね……。
それはともかく、戦前と戦後はPTA、戦中はdcprgが担当しているという話には妙に納得させられてしまったのだった。カナリヤだもんねこのひと。今dcprgが不在ということが、災禍となるか福音となるか。久しぶりに唄われた(私は多分初めて聴いた)「戦前と戦後」に戦慄するとともに、早くこの曲を呑気に聴ける時代(=戦後。でも戦後は戦中を通過せずして来ないのよなあ……)が来てほしいと強く願う。といいつつ「ハンドマイクで唄ってる!」と妙なところに反応もしてしまう。非常時の呑気って命取りだけど、そのおかげで命拾いすることもあるよな。
そういえば菊地さん、「昨日『Catch 22』やったんだけど」っていってた。なんだと、クインテットでやったの(前日KAMATA JAZZにクインテットで出ていた)!? 今dcprgのナンバーが演奏されることの恐怖よ、もはや今は戦中なんだなと実感。悲しい。 (20260201追記:この方のツイートによると 「アンコールで菊地成孔クインテットに須川崇志と石若駿呼んで7人のセッション」で「Catch 22」をやったとのこと)
その他。
・スーツはフルオーダーメイド、靴もフルオーダーメイド、ボウタイは洋服の青山 ・家に忘れてきたそうです
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setlist
01. 闘争のエチカ 02. 京マチ子の夜 03. 魚になるまで 04. CARAVAGGIO 05. 嵐が丘 06. 色悪 07. Killing Time 08. Le Rita 09. ルぺ・べレスの葬儀 encore 10. 戦前と戦後 11. 大空位時代のためのレチタティーヴォ 12. 大空位時代
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・将門塚(スポット紹介)┃Visit Chiyoda 千代田区の観光情報公式サイトでも紹介されています。高層ビル群に囲まれた塚の風景は一見の価値あり。お近くにお越しの際は是非寄ってみてくださいね
・「平将門の首塚」が大手町の超一等地から撤去できない「ゾクリ」とするワケ┃ダイヤモンド・オンライン 『正直不動産』を思い出してニッコリ。こういうのだいじよね……オカルトノリでどうこういうようなものではないのよ、やっぱりこういう言い伝えがある場所をおろそかにしちゃいかんのよ
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