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2023年03月04日(土)
サエボーグ『ソウルトピア』デモ版

サエボーグ『ソウルトピア』デモ版@ゲーテ・インスティトゥート東京 ホワイエ


という訳で、酔ってオエーとなったんでマールツァイト(Mahlzeit)でお茶は出来ず。同施設内にあるドイツ料理のレストラン&カフェで、ハシゴするのを密かに楽しみにしていたのよね……。テイクアウトして帰宅後体調が戻ってからいただきました。季節のシュトゥルーデルが今は金柑で、これめちゃおいしかった! クミンたっぷりのたまねぎクーヘン(キッシュみたいなの)もおいしかった〜。

閑話休題、シアターコモンズ2作品目ですよ。サエボーグの世界がVRになりました。


キモ可愛い家畜動物たちが共生するメタバース空間「ソウルトピア」で、動物に変身して戯れよう。

自らの皮膚の延長としてラテックス製のボディスーツを自作し、装着するパフォーマンスを展開するアーティスト、サエボーグ。性別などの固定化されたアイデンティティや、人間の身体そのものを超越したいという強い願望を原動力に、玩具のような雌豚や害虫の着ぐるみに身を包み、食物連鎖の最底辺で明るく生きる家畜たちの世界を作り出してきた。その圧倒的なキャラクター愛と造形力は「Tokyo Contemporary Art Award (TCAA) 2022-2024」受賞など高く評価されている。
今回はシアターコモンズおよび世界演劇祭から委嘱を受けて、サエボーグがデザインする動物たちが共生する、メタバース空間をプロデュースする。世界中どこからでもアクセス可能な遊戯空間「ソウルトピア」では、誰もが自在に動物に変身し、人間界とは異なるルールで戯れることができる。家畜動物として、ジェンダー・年代・言語を超えたコミュニケーションを行うことで、物理的な接触をも超越する新たな出会いの形や交流を楽しめるはずだ。


引用//サエボーグ「ソウルトピア」┃シアターコモンズ'23


『あいちトリエンナーレ 2019』での『House of L』をはじめ過去のこのシリーズでは、公募した動物たち(着ぐるみ演者)のパフォーマンスを観客が鑑賞し、時間経過とともに演者と観客という垣根がなくなっていく様が感動的でもありました。今回は参加者全員が演者です。メタバース空間で動物に転生して、腸内世界や農場で遊べる!

……ところが対応機器がWinのみだったのですね。そしてVR用のゴーグルやコントローラーは自分で用意しなければならない。当方Macユーザー、ゴーグルも持ってない。まあ何がなんでも、となればレンタル+ネットカフェで参加可能ではあったのですが、未知数なことも多いし、そこ迄は……という訳で、とりあえずデモ版のみの体験となりました。

そしてはりきって入場したら私以外参加者がいなかったという(…)。円卓で私とスタッフさんのタイマンです。機器操作のレクチャーを受け、メタバース空間に入ったらスタッフさんも消えてしまった。いや、現実世界にはずっと傍にいたんだろうけど。きっと「えっ何」「あーわかったわかった」「どこ!?」てなひとりごとも全部聴かれていたことでしょう。ちなみに遅い時間に行けば参加者も増えて、メタバース空間にいる者同士でハグとか出来たらしい。えー遅く行けばよかった(泣)。

メタバース空間で私はゼンタイ(全身タイツ)マンでした。これは初期設定。ガワはいろいろあって、豚さんや鶏さんにも変身出来たみたいなんだけど、聴いた先から操作の仕方を忘れたのでそのまま進む。呼び声に従ってまずは腸内世界へ、そして農場へ。キャベツ畑をウロウロしたり、サイロや倉庫を見てまわる。当然だが誰もいない。さびしー、本公演だと他の動物たちと遊べるみたいなのに。と思っていたら、ミルクタンクから牛乳が噴き出しました。ゴキゲンな音楽も流れてきます。気付けばお立ち台(?)にサエポークたちが! きゃー、楽しい! 駆け寄って(概念)一緒にジャンプする。このジャンプというのはコントローラーにジャンプボタンがあって、それを押すと視界が跳ねるんですね。

……で、酔いました。「すいません酔いましたー」と手をあげたら(これはリアル)、スタッフさんがすぐにゴーグルを外してくれました。酔い止め服んでこの有様か。

あれだな、首を動かさないままコントローラーで視点を変えるというのにかなりヤラれたんだな。過去体験したVRはゴーグルのみの装着で、首を動かしたり実際に歩き回ったりすることで視界を移動させるものだった。目の前で景色だけがグイグイ変わるのに三半規管が追いつきませんでした。15分くらいしかいられなかった。いや、設定を終えてメタバース空間に入ってからは10分くらいか?

本公演ではストーリー進行もあり、サナダムシになって腸内でうんこを投げたり、動物同士で悩みを打ち明けあったり出来たらしい。上演時間は約60分だったとのこと。デモ10分でギブだもの、本公演にはとてもじゃないが最後迄いられなかっただろう。これは……ハードル高いな! 私には!

姿を変え、普段行けない場所や現実には存在しない場所へ行き、同じ空間にいるものたちと交流する。現実世界の自分を見られていないからこそ、普段いえないことがいえたり、出来ないことが出来たりする。それが醍醐味でもあるのでしょうが、自分にはそのスタート地点にも立てない訳です。吐いて迄そこにいたいか? といわれると、無理無理〜となる。

それで思ったのは、自分はガワよりも容器の中身をとっかえたい欲の方が強いかも知れない。それこそ酔わない三半規管とか、オエーてならない内臓ととっかえたい。それは現実には難しいというところが身体の厄介なところだなとの思いを強くしました。現実世界の身体から自由になるためのメタバースなのに、結局は身体に邪魔されるというね。そうなると、現時点ではツールがもっと進化しない限りメタバースは身体が丈夫なひと向けなのかしら〜となり、なかなかせつないものがある。三半規管を介さず脳に直結出来るツールはないのか。いずれ出来るのか。

次回があればキットレンタルしてネットカフェとかで本公演参加してみたいし、うんこも投げたい(そこ?)。でも完走するのは現世では無理かも知れません。せつない。サエボーグの世界、こんなに好きなのに! あの世界に住んでみたいのに! 住んだら屠殺されるかも知れないけど(家畜だからね)!

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喜び……(涙)キャラクターデザインがちょうかわいいのよね。本公演だと最後皆で集合写真(?)撮れたんだって、いいな〜。


ツイート拝借、最後の場面らしい。この「次はあなたの人生をお楽しみください」って言葉、最高じゃん!