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2019年11月04日(月)
BATTLES JAPAN TOUR 2019

BATTLES JAPAN TOUR 2019@The Garden Hall


いやホント、自分のなかで特別なバンドになった感。

イアンとジョンのふたりになったBATTLESが、『WXAXRXP』のタイミングでやってきた。日本では『Juice B Crypts』が先行リリース、準備万端でお迎えです。ふらりと試聴しにいったらあまりにもガツーンときて、舞い上がって買う予定じゃなかったTシャツ付き限定盤を買ってしまったくらい今回のアルバムはお気に入り。このドラムの鳴り、このリズム、このヴォーカルづかい! あれよ、一周まわって初期のBOOM BOOM SATELLITES好きなひとは大好物でしょ! 「4 a moment of silence」とか「joyride」とか「dub me crazy」とか好きなひとはピコーンてくるでしょ! diceの声が好きだったひとはXenia Rubinosのパンチのある歌声にキエーてなるでしょ! 似てるというより、この素材をBATTLESが料理するとこうなるんだという興奮がありましたね。は〜ダイスキ〜(©Squarepusher)。

編成も変わったし、今回はこの新譜中心のステージになるだろうなという期待と、4〜3人時代の過去曲は出来るんだろうかという不安を抱え、整理番号がよかったのでステージ下手側2列目を確保。なんとなくひとが少なかった方を選んだのだが、これがジョンの目の前だった。ドラムセット一式を積んだキャスターつきの平台がゴロゴロ運ばれてくる。平台の枠には照明が取り付けられていて、ぐるぐる回ったりしている。だ、山車…? この機構が後にすごい演出効果をあげることになるとはこの時点ではまだ知らないので、わーこういうシンプルでスットコドッコイなセットダイスキ〜と笑顔になってた。ふたりが同列に並ぶ立ち位置になったので、ドラムセットがすごい前にきてる。近いよ!

MVが発表されたばかりの「Fort Greene Park」でスタート。あのポヨポヨしたループが鳴らされると同時に大歓声! 最新作からのナンバーがめちゃ盛り上がるの、最高じゃーん! 新譜から立て続けに4曲。いやあ、いい。音源のドライヴ感もすごかったけど、めちゃめちゃライヴ映えする。ヴォーカリストとのコラボ曲も、短いセンテンスで強いメッセージを繰り返すリリックなのでカットアップ的な使い方が出来る上に伝達力が絶大。

あまりに近いのでモニターを通さない音もバカバカ届く。今回ジョンはサンプリングパッドも使っていて、距離が近すぎてサンブル音よりパッドを叩く地の音の方が大きく聴こえることもしばしばでした。スティックとマレット(ヘッドが木製のやつ。ティンパニ用かな?)も使い分けており、豪快なアクションとは裏腹に細やかな音作りをしている印象。ふたりになったので各々やることが増えてかーなーりー忙しそうだし緊張感もすごいんだけど、その間にも缶ビール(ガーデンホールなので勿論YEBISU!)掲げたりふんわりしたMCをしたりと緩急あるステージング。イアンが「僕のともだちのジョンです」、「そして僕が、ジョンのともだちのイアンです」といったあと、やったれジョンみたいなことをいった途端にジョンがドカドカ演奏を始めた図は猛獣と猛獣つかいっぽかった。


ふたりになってからのアー写がとてもいい雰囲気というか、かわいらしささえ感じるんだけど、「ともだち」という言葉にはふたりのリレーションシップが凝縮されているようでグッときました。

「The Yabba」が始まったときは「や(れ)るんだ!?」とフロアがどよめいた。てことは……“あれ”もや(れ)るんじゃね? とあのとき誰もが思った筈。「Ice Cream」がきておおっとなって、ますますソワソワ。そうして遂にあのドッコドッコしたリズムが、ブッニャブッニャしたシンセが鳴り響き、「『Atlas』は、そしてBATTLESは(ふたりでも)いけるー! 新生BATTLESだー!!!」と大歓声があがったときの多幸感はたまらんもんがありました。プレイヤーは結構必死の形相ですが、フロアは大喜びです。その4人時代の代表曲「Atlas」から最新作の「Last Supper on Shasta」へ、そのアウトロから同じフレーズの「Ambulance」イントロへ繋げて〆、という構成も素晴らしい。改めて思い返してみれば、この閉じ方は完璧じゃないか。アンコールがなくて当然だ。スタッフが機材のスイッチを切りに出てきてもアンコールの拍手は続いていたが、シンバルのスタンドが低く下げられたらもうお手上げ。

時計を見ると60分しか経ってない。いや、60分も、か? ふたりでの濃密な、そしてかなりの集中力を必要とするステージは、60分が限界ということかな。いや〜しかし、相当練習したっしょこれ……同期がズレたりしてヒヤッとするところもあったけど、それがポリメトリックになるという怪我の功名(笑)もありました。つうかBATTLESはもともとグリッチをモノにするバンドであった。は〜それにしても「Ambulance」最高よな……ダイスキ〜。「Sugar Foot」の祭囃子テイストもダイスキ〜。トライバルビートっつうより祭囃子よな。日本の土着舞曲と親和性ありすぎるわ、他の国ではどう捉えられてるんだろうか。

で、照明ですよ! BATTLESも『WXAXRXP DJS』同様VJなし、照明でバリバリかっこよく見せる。あの台車、見掛けのスットコドッコイっぷりからは想像出来ないデキるやつでした。横一列に並んだフットライトが上下に動き、光でスクリーン状のパーテーションをつくる。プレイヤーとフロアの間に光の幕を下ろし、そこへ焦点を絞ったカラフルな照明を差していく。こっれっがっめちゃめちゃ格好よかった! かつて人力トランスといわれた演奏にこのアナログな照明は、「一周回って原点に戻った」(後述インタヴュー、ジョンの発言)今のBATTLESにぴったりでした。


これね、光のスクリーン。

チケットとってたのに行けなかったりとかあって、観たのは『Warp20』以来。十年振りじゃないか。このときはタイヨンダイがそろそろ抜けるって前で、ちょっとバンドがギクシャクしていたように思う。そして今、アートワーク含めグロさ(=デイヴのテイスト)がなくなったけれど、音の面ではキャッチーが過ぎて偏執的に響くという新たな魅力が出てきた。人数は減ってってるけど好きの度合いはむしろ増してるなー。ホントよかった……。

「前座」平沢進+会人(EJIN)もよかった! フジの配信でぶっ飛ばされたステージをこんなに早く観られるとは。「フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッ」を生で聴けたわ〜。P-MODELの『ANOTHER GAME』は愛聴してました、「美術館で会った人だろ」なら空で唄えます〜程度のリスナーで、平沢翁のマイペースかつゴーイングマイウェイな活動は気になっていたもののなかなか機会に恵まれず……今回やっと拝見出来ました。いやはや恐れ入りました。20分ちょいと短めでちょっと機材トラブルもあったっぽいけど格好よかったなー、いつかフルで観てみたいな。後方からすごい歓声飛んでた。整理番号早いひとたちはゲスト発表前にチケットとってるから、翁のファンは前に来られなかったのかも。

物販で散財してたらYEBISU片手にイアンが出て来たのでビビる。気付けばジョンもいてサインしたり撮影に応じたり。全ての会場で終了後にファンと交流していたようです。この日ジョンに到っては開場前にも外に出てきてた。おともだちがいたんだろうなー。日本のリスナーと歩んだ長い時間が感じられてジーンとしました。

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Setlist

名古屋で観た方の画像拝借、東京も同じセットリストだったと思います。

01. Fort Greene Park(Juice B Crypts)
02. A Loop So Nice...(Juice B Crypts)
03. They Played It Twice(Juice B Crypts)
04. Titanium 2 Step(Juice B Crypts)
-Sailing-
05. The Yabba(La Di Da Di)
-Day-
06. Sugar Foot(Juice B Crypts)
07. Summer Simmer / 08. Ice Cream (La Di Da Di)(Gloss Drop)
-Sand-
09. IZM(Juice B Crypts)
-Sand-
10. Atlas(Mirrored)
-Sailing-
11. Last Supper on Shasta(Juice B Crypts)
-Talk-
12. Ambulance(Juice B Crypts)

そういえばタイトル曲やんなかったな、次やってください! エディットすごい曲だってのは承知の上でいってる、きっと出来るー!

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同じ画像をジョンのinstaで見たときは気づかなかった、Bibioがいるやーん! 残って観て行ったんだねえ

・See you all again at Warp 40!!!!!!!┃BEATINK.COM
『WXAXRXP』もこれにて終了、beatinkさんおつかれさまでした有難うー! 特典やらスタンプラリー企画も楽しかったです!

・デュオになったバトルスがニューヨークから送る『Juice B Crypts』は、瑞々しくカオティックなエナジーに満ちた一作┃TURN
「バトルスは今、一周回って原点に戻った。ただ、昔とは全く違う在り方でね。4人で始まったバンドが3人になり、今は2人だけになった。だけど僕たちは、あの頃と比較できないほど成長したんだよ。バンドとしてもいちミュージシャンとしても。遠くにいると同時に、環のスタート地点に戻ったんだ。」
アンドリュー・クオと平岡政展によるヴィジュアライザー(かわいい!)のことを「生き物」といってるのもなんかいいな

・バトルスが塗り替えた21世紀の音楽シーン、「2人」になったバンドの復活劇┃Rolling Stone Japan
初っ端に小林英樹さんの話が出てる。そーだよ彼やカトマンさんがいたから早くからBATTLESを観ることが出来たんだよな、感謝感謝。てか小林さん今どうしてるのかしらー

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9月下旬からのマイ祭りが終わった……さびしー。風邪とかひかないように用心しとかないと気ぃ抜けてガクーッてきそう。しっかり自分!