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2017年03月09日(木)
BO NINGEN Japan Tour 2017

BO NINGEN Japan Tour 2017@UNIT

PIXIESのサポートアクトを観逃したので……というわけではなく、楽しみにしていました。やっとワンマンで観られる! これ迄対バンやフェスでしか観たことがなかったので、どういう構成でやるのか? あのテンションを持続出来るのか? といった興味もありました。イギリスを拠点にしているので、日本でのライヴの機会が少ないのです。

いや、すごかった。演劇的とでもいおうか、構成が練られているし演奏が緻密。メンバーがどこ迄ディスカッションしているのか、セットリストについて協議しているのかは判りませんが、フロントマンのTaigen(vo、b)の強烈なキャラクターが前面に押し出されている印象でした。Monchan(drs)がひとり現れリズムパターンを叩きはじめたオープニングから、メンバーが全員ステージを去る迄の約90分がひとつの作品のよう。「とまらない、上へいく」「今しかない」と繰りかえすタイゲンくんの言葉そのもののような、この夜にしか出会えなかったライヴ。

この日だけ、この瞬間だけというものをとてもだいじにしているからか、どんなに無軌道に見えても演奏が破綻しない。何げに頭のすみは冷えてるんだろうなあ。タイゲンくんはMCもフリースタイルのラップみたいで(韻は踏んでないが)演奏も歌も終始テンションが高い。なのにベースラインはキープしてる。そうなんだよ、エモーショナルな怪鳥音ヴォーカルとクールなベースを同時にやってるんですよこのひと。なんなの…気が休まらないわ……。メンテをしっかりしつつも生き急いでる、すごい複雑なひとだなー。普段よじのぼるスピーカーがのぼれる位置になかったようなんですが(そりゃハコの方はそんなこと迄配慮出来んわな)、そうするとスタッフに脚立を持ってこさせてそれにのぼるという(笑)、こういうところも冷静な判断が出来てるなあ。感心する……。

一曲だけ聴けたPIXIESのときもものすごい音圧だったのだが、この日もすごかった。PAの真後ろにいればサウンドマンとほぼ同じ位置から聴くことになるからいい音で聴けるかな〜と陣取ったのがわるかった(いやわるいというか)、爆音直撃ですがな。物理的に身体をどつかれてるようなもんで、中盤には具合わるくなってしまった…オエーてなもんで、どうしよう退場しようかと思うくらい修行状態になってた……。しかしそっからのサイケっぷりは素晴らしかったなー。待っててよかった! いやどういう展開に持っていくかは知らないから待ってたわけじゃないか。

終わってみればモンちゃんの負荷がすごい高くないか、という屋台骨っぷりが印象に残りました。Kohhei(g)はタイゲンくんやYuki(g)と違って前髪がないので顔が完全に隠れてウルトラマンにこういう怪獣いなかったけ……と思うこともしばしばであった。このルックス、どうにもSUNN O)))の覆面装束を思い出してしまうモンドっぷりなんですが、このあたりのドゥームメタル勢と交流あるんだろうか。OMの来日公演、54-71とmouse on the keysと対バンだったんだよね。灰野敬二との交流には納得。

しかしあの音圧、サイケデリックな楽曲ときてメロディラインは美しく、日本のわらべうたのような音階を使っている。イギリス拠点でありながら日本語で唄うことに拘っているところも独特。欧州ではどこそこからひっぱりだこのようで、それはオリエンタリズムが珍しがられているからというだけではないように思う。興味の尽きないバンドです。次はいつ観られるかな。

余談だが『アシュラ』で棒切れなる人物が出てきたときまずBO NINGENを思い浮かべました(笑)。