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2015年08月23日(日) ■
『気づかいルーシー』『the flowers of romance release tour』

『気づかいルーシー』@東京芸術劇場 シアターイースト

二日連続で絵本原作、ミュージカル、芸劇。松尾スズキの絵本が舞台になりました。うはーこれは面白かったヨ!

開演前、沈んだ声で「原作の松尾スズキです…上演中携帯等音の出る機器は……」とアナウンス。そのあまりの暗さに思わず聴き入ると、最後に「諸注意をちゃんと聴いて頂きたくて実は嘘をついていました……松尾スズキではなくノゾエ征爾でした………」。会場が笑いで包まれます、つかみはオッケー。

ジェンガを模した美術を解体して物語中の小道具に見立てるアイディアがとてもいい。おはぎと馬糞の質感もいい(笑)。ワンピースでパンツが見えるのをものともせず走り、飛び、高所にしっかと立つ健康的な少女の姿に生命力を感じる。こういう姿を、ペドフィリアの要素を感じさせることなく見られることが今ではとても少ない。ここは松尾スズキマジックでもあって、王子さまの皮を被ったおじいさんの場面に顕著に表れる。愛情の種類とはとても曖昧なもので、おじいさんはその一線を(偶然の要素はあれど)踏み超えることがない。松尾さんがかつて演出した『農業少女』をふと思い出す。高い場所から遠くを眺める少女、その瞳に世界はどう映るだろう?

世界=世の中を象徴するかのような、王子さまの嘘とその気づかい。原作同様このモヤモヤは消えないなー、「気づかい地獄」の最たるものです。しかしここ迄描いちゃうところも松尾さんならではと言うか、めでたさにかき消されて放っておかれがちな、ひとが見たくない、隠したい部分を抉り出す真骨頂にも思えました。

健康的な少女を体現するルーシー役の岸井ゆきの、素晴らしかったなー! アクションもキレキレ、声も魅力的。魅力的な声と言えば王子さま役の栗原類。プライマルスクリームかと言うような声を発し、それに伴う身体の動きにも警戒心がないと言うか防御する姿勢を感じないと言うか…貴重な身体の持ち主。身体を解放することに関してはプロのおじいさん役小野寺修二、同様に身体をモチーフとした作品への参加も多い馬役の山中崇と、見ていてとても気持ちのよい座組みでした。複数の役を担当したはえぎわ組の川上友里、山口航太もいい味。田中馨、森ゆにによる生演奏がおかしくもかなしい物語を鮮やかに彩っております。それにしても山中さんは馬の衣装の前半かなり大変そう。暑い夏の公演ですし、脱水に気をつけてくださいませ……。

そうそう、田中さんが使ってたベースってAmpegのクリスタルシリーズ(ADA4)だよね。これのギター(ADA6)をデイヴ・グロールが『One by One』の頃よく使ってたんであっとなった。
・[Ampeg Crystal Guitar] - サウンドママ!!
コントラバスも使ってましたし、ちいさなパーカッションもこまごま。かわいらしくて奇妙な劇伴。

「エンディングで出演者と一緒に立ち上がって踊ろう!」と配布されていた『気づかいのうた』振付図解。立ち上がるひとはおらず、煽り役の山中さんが「拍手だけでも! 拍手だけでも嬉しいです!」と言うと皆さんノリノリで手拍子。この辺りのハードルは高いですね…初日開けてからの試行錯誤が見え隠れ。それでもこの日はかなり客席の反応がよかったように思いましたよ。演者が観客に話しかける場面でもこどもたちが元気よく答えており、ロビーの落描きコーナーではこどもたちが嬉しそうに色を塗っておりました。松尾さんの原画展示も。


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mouse on the keys『the flowers of romance』release tour@UNIT

UNIT 11th ANNIVERSARY! 初ワンマン! いやー待った待った待ちました、フルアルバムとしては六年振り、『machinic phylum』からでも四年振りの新作『the flowers of romance』リリースパーティです。6月の上海と北京、今月の香港、マレーシア、台湾のアジアツアーを経てご本人たち曰く「我々いい仕上がり具合になって来ております」とのこと。こちらもライヴを観るのは昨年のUNIT 10th ANNIVERSARY『dirty realism』以来、期待するなと言うのが無理な話です。

・mouse on the keys - the flowers of romance "album release asia tour 2015"

アジアツアー告知映像格好いいんで張っときましょ。

しかもゲストにぎゃーとなりましたよね。レギュラーでもある根本潤(sax)と佐々木大輔(tp)、rokapenis(vj)に加え、Akeboshi(vo、electronics)、千葉広樹(b)、飛田雅弘(g)と総力戦と言うか、この界隈集合した感が……ワンマンが出来るだけの楽曲数が揃い、それらを再現出来る、いや再現以上のものを演奏出来るメンバーを揃える。過去最高のものにしたると言う意気込みが感じられました。

ステージ背後の壁に横長のスクリーンが横断している。暗転、「I Shut My Eyes in Order to See」のSE、真っ白なスクリーンにノイズがはびこり始め、再び白くなっていく。バンド名のタイポグラフィが浮かび上がる。そして川��さんのカウント、「Spectres De Mouse」へとなだれ込む。フロアがステージと近いので、映像が視界を覆う程の迫力。そして爆音。一気に目と耳が作品世界で埋め尽くされる。

記憶が曖昧ですが新譜からはSE含めると「I Shut My Eyes in Order to See」「Leviathan」「Reflexion」「The Lonely Crowd」「Le Gibet」の5曲だったかな? 清田さん作曲の表題曲「The Flowers of Romance」は聴きたかったなー! ストリングスが入ってるからな…「Hilbert Dub」もプリペアドピアノなので難しかったか。いつか聴きたいです。個人的ハイライトはAkeboshiくんの声が入った「The Lonely Crowd」をライヴで聴けたこと。感動しているところにネモジュンのソロがたたみかけ、この辺りはもうエモーショナル極まれりで涙が出ましたよ…「Reflexion」の佐々木さんのソロもライヴならではの、息遣いが伝わる響きでよかった……。

それにしても川��さんの音がデカい。ドラムもだけどBPMを変える際、カウントの声もデカい。まあ自分の音がデカいので大きな声でカウントしないと聴こえませんしね。「Leviathan」の後半とか、声のデカさにビクゥとなりました(笑)。テクニカルでラウド、手数の多さと繊細なシンバル音。ドラマティックであり乍らとことん現実主義的なものを感じる。多面的で多彩、そして強靭。それはMCや曲間の挙動にも顕著で、ライヴの世界観を徹底して表現したいと言う思いと、いろいろ解説したい、いやそれ以前に喋りたい、そしてダイヴしたくてたまらない(笑)と言う思いが瞬間瞬間で入れ替わる。この日も途中「あんまり喋らないようにしてるんです」だって。も〜喋りたくてうずうずしてる感じがますますシーザー(動物のお医者さん)ぽいね!「I Shut My Eyes〜」も「あの〜一曲目、えーと、タイトル長くて憶えられないんだよね」って自分で言っちゃってました。ビールも入りライヴが進むにつれますます挙動不審、酔ってんだかどうなのか判らない…そういえばキックが強すぎたのか終盤「バスドラがずれた」ってなおしてた(笑)。

さてそんなシーザーとともにハイテンションな演奏を繰り広げる清田さんと新留さん。このふたりも多面的で、ハードコアな曲をやっても指先はあく迄醒めきっている。この日は清田さんの運指が比較的見やすい位置だったので、それこそバンド名を体現するかのような鍵盤上を滑る指と、激しく髪を振り乱すので全然見えない顔のギャップを堪能。反面いきなり振られたMCは朴訥。川��さんに「本当はこんなひとじゃない」とか言われていた。新留さんに至っては挨拶と物販情報しか喋らず、「Unflexible Grids」のベース音はちょうクール。

ライヴだと全体的にBPMが早めになり、その複雑なリズムとメロディも相俟って曲が終わったときには「完奏したー!」と言う達成感すらあります。聴いてる側がそう思うってなんだか面白い……。「aom」「plateau」が顕著。「Forgotten Children」のメロディはとても静謐で美しいものだけど、ライヴだとエネルギッシュに響く。それにしても初ワンマンにしてベスト選曲と感じてしまう…どのアルバムにも鉄板曲があるなあ。構成も練られており、「Soil」「Seiren」等の美麗曲から盛り上がり必至の「最後の晩餐」「A Sad Little Town」と隙がない。そうそう、レアなとこでは「the arctic fox」やりました! 音源DVDにしか入ってないんだよねー。香港でのライヴ映像があがってたんで張っときましょ。

・Mouse on the Keys 'The Arctic Fox' live @ Kitec Hong Kong


ちなみにそのDVD『irreversible』、川��さん曰く「今全部YouTubeにあがってんですけどぉ〜、全く冗談じゃないですよぉ〜」だって。帰宅後探してみたらホントに全編あがってた……このDVDホント名作なんで、YouTubeで観てもいいけど観たらソフトも買ってください! マジで!

幕切れは飛田くんのノイズがフロアを覆い、発光するスクリーンに目を奪われ、オープニングへと還っていくような見事な着地。アンコールでは清田さんドラムからの〜envyのダイロクくんが飛び入り、川��さんはキャップにサングラス姿でデス声からの〜ラップなの何なの? な「Toccatina」どしゃめしゃセッション。ネモジュンが「川��くんが喜んでダイヴすると思います!」なんて言ったりしてグダグダなふりしてとてもハッピー、気の抜けないエンディングでした。ひとが降ってくるかも知れない緊張感もあってな……(そう思う根拠)。うわーん楽しかった、早くも次のライヴが待ち遠しい!!!

は〜なんか興奮冷めやらぬままに書いてしまったのでとてもとっちらかっている(そして長い)がホント素晴らしいライヴでした。少しでも様子が伝わることを願ってー!

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・このバンドは、ポストロックに反逆してやろうって―― mouse on the keys、6年ぶりとなるフル・アルバムを先行ハイレゾ配信 - OTOTOY
・前編 : mouse on the key結成にいたるまで
・後編 : ニュー・アルバム『the flowers of romance』が出来るまで
川��さんの話ホント面白いな

・mouse on the keys『The Flowers of Romance』ポストロックの季節が再到来? 時代のキーワードは「折衷主義」: CINRA.NET

・2015年、夏のポストロック事情ーー『ポストロック・ディスク・ガイド』とその後のシーン - OTOTOY
・リズム&ドラム・マガジン 2015年9月号 | 「インスト・バンドで“歌う”ドラマーたち」
リリース時期が近いからか(と言っても二ヶ月は空いてるか)BATTLESと一緒に取り上げてる記事が結構ある

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昨日は『100万回〜』のあと『画鬼暁斎』展を観たので、ねこねこ(かえる)うまねずみな土日曜でありました。